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35.辺境伯来襲 その3
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「やれやれ、なんと不憫な子だ。 婚約者は双子の妹を愛していて、妹を助けるために婚約者に謀られ、虜囚のように送られてきた。 それで、次は、婚約者だった男の父親の妻として迎えられるだと? よく考えろ、全てもの発端はアナタでしょう。 アナタが双子があの子に興味を持たぬよう。 あの子が双子を嫌うよう、手を尽くしたのだろう」
「まさか、悪意が過ぎると言うものだ。 俺は何もしていない」
「そうだ、何もしていない。 何もしなかった。 最初から双子が制御できなかったのか? 幾ら力があると言っても、本当に何も言い聞かせる事はできなかったのか? アナタ達の一族で言うなら、力が全てだ。 それは一族の本能に刻まれているはずだ。 今は無理でも、あの子を息子の婚約者にした当初ならどうだ? 一族をまとめるものとしてどうにでもできただろう」
「オマエには、関係のない事だ!」
「関係、関係なら結びましたよ。 まだまだ青い果実ではあるけれど、ずいぶんと甘美でしたよ」
公爵の声がなんだか粘っこいと言うか、イヤラシイのは気のせいでしょうか?
「ふざけるな!! あの子は大切な俺の宝だ!」
「その大切な子を、アナタは優しくしたのですか? 俺ならもっと優しく大切にしますよ」
「そもそもだ、借金の対価として預かった子だ!! その子に十分な衣食住を与え、教育を与え、礼儀作法を学ばせた。 俺は十分やってきた! 俺は彼女を愛している。 彼女も俺を愛しているからこそ、領地に尽くしてくれていたはずなんだ!!」
「それは、アナタの都合でしょう。 アナタの言っている事は、猟犬を購入して、生きるに困らない小さな小屋を与え、立派な首輪を与え、最小限生きるに困らない餌を与え、鎖をつけ、調教を行い、命令に従うようにした。 狩りを覚えさせたら、想定外に多くの獲物を狩ってくれたが、それは俺が愛し愛されたからこそ。 彼女の成果は、俺への愛、だから俺は優しくしたと言っているのと同じです。 アナタのために命がけで働く犬は、ありがとう等と言いますか?」
「言うとも!! 彼女に直接愛をつげ、妻にと求める。 彼女は喜んでくれるはずだ」
いったいどこから生まれた自信なのでしょうか?
私は金で買われた奴隷として、良く扱ってくれていると感謝していたに過ぎなかった事を……あの方は理解していない……。
クルトは、侮蔑の表情で辺境伯を眺めていた。
「下種が」
「お前に言われたくなどない。 最初から、そうあの子を買った時から、俺の愛妾に迎えるとノエルに伝えるべきだった。 そうすれば、あの子がみすぼらしい恰好をすることも無かったし、孤独に一人で暮らすことも無かった。 妻がいるからと配慮したがために、不憫な思いをさせてしまった」
「我が子と思えば、そんな欲情など抱けぬものではないのか?」
うちの子と、俺の大切な子の1人。 辺境伯は私をそういって隠れて菓子を与えてくれた。 表だってはフランとフレイに取られるだろうと。 隠れて……。
わずかな間があった。 そして辺境伯は冷静な素振りで語りだす。
「息子が抱かぬなら子を作ろうとしないなら、一族のためにあの子を抱くのも役目。 俺は常に覚悟をしていた。 彼女が辺境伯夫人としての立場を確固たるものとするためには、必要なこと。 全部、あの子のためだ」
吐き気がした。
娘だと言う裏側に嫌悪を覚えた。
顔色を悪く倒れそうになっていたところを、護衛侍女が受け止めソファに横にさせてくれたが、それでも声は聞こえる。
「彼女の待遇が悪かった事は認めよう。 ノエルに謝罪もしよう。 彼女への償いとして妻と別れ、彼女を妻に迎えこれからは正当な扱いをしよう」
む、無理。
いや……。
そもそも辺境伯の奥様と言うと侯爵家と言う高い身分を生家とされる方で、私の記憶している限り仲睦ましい夫婦であったはずだ。
帳簿を任せられてから知ったが、レイバ家と辺境伯夫人の実家との商売的なつながりは大きく。 人材支援、技術支援、様々な支援を受けていたはずなのだ。
「……それって……」
私は思わずつぶやけば、護衛侍女が私を見る。
「大丈夫ですか?」
コクリと頷いては見せたが……。
はきそう……。
辺境伯は、公爵から見せて頂いた禁書の内容を知っていると言う事では?
以前の私ではあくまで聖女の素養を持つものでしかなく侯爵家の繋がるを優先されていたが、公爵との繋がりを持ち魔力供給がなされる事で素養ではなく、聖女としての資格を満たし、その価値が大きく変わった事に気づいた……。
そんな……気がした。
「まさか、悪意が過ぎると言うものだ。 俺は何もしていない」
「そうだ、何もしていない。 何もしなかった。 最初から双子が制御できなかったのか? 幾ら力があると言っても、本当に何も言い聞かせる事はできなかったのか? アナタ達の一族で言うなら、力が全てだ。 それは一族の本能に刻まれているはずだ。 今は無理でも、あの子を息子の婚約者にした当初ならどうだ? 一族をまとめるものとしてどうにでもできただろう」
「オマエには、関係のない事だ!」
「関係、関係なら結びましたよ。 まだまだ青い果実ではあるけれど、ずいぶんと甘美でしたよ」
公爵の声がなんだか粘っこいと言うか、イヤラシイのは気のせいでしょうか?
「ふざけるな!! あの子は大切な俺の宝だ!」
「その大切な子を、アナタは優しくしたのですか? 俺ならもっと優しく大切にしますよ」
「そもそもだ、借金の対価として預かった子だ!! その子に十分な衣食住を与え、教育を与え、礼儀作法を学ばせた。 俺は十分やってきた! 俺は彼女を愛している。 彼女も俺を愛しているからこそ、領地に尽くしてくれていたはずなんだ!!」
「それは、アナタの都合でしょう。 アナタの言っている事は、猟犬を購入して、生きるに困らない小さな小屋を与え、立派な首輪を与え、最小限生きるに困らない餌を与え、鎖をつけ、調教を行い、命令に従うようにした。 狩りを覚えさせたら、想定外に多くの獲物を狩ってくれたが、それは俺が愛し愛されたからこそ。 彼女の成果は、俺への愛、だから俺は優しくしたと言っているのと同じです。 アナタのために命がけで働く犬は、ありがとう等と言いますか?」
「言うとも!! 彼女に直接愛をつげ、妻にと求める。 彼女は喜んでくれるはずだ」
いったいどこから生まれた自信なのでしょうか?
私は金で買われた奴隷として、良く扱ってくれていると感謝していたに過ぎなかった事を……あの方は理解していない……。
クルトは、侮蔑の表情で辺境伯を眺めていた。
「下種が」
「お前に言われたくなどない。 最初から、そうあの子を買った時から、俺の愛妾に迎えるとノエルに伝えるべきだった。 そうすれば、あの子がみすぼらしい恰好をすることも無かったし、孤独に一人で暮らすことも無かった。 妻がいるからと配慮したがために、不憫な思いをさせてしまった」
「我が子と思えば、そんな欲情など抱けぬものではないのか?」
うちの子と、俺の大切な子の1人。 辺境伯は私をそういって隠れて菓子を与えてくれた。 表だってはフランとフレイに取られるだろうと。 隠れて……。
わずかな間があった。 そして辺境伯は冷静な素振りで語りだす。
「息子が抱かぬなら子を作ろうとしないなら、一族のためにあの子を抱くのも役目。 俺は常に覚悟をしていた。 彼女が辺境伯夫人としての立場を確固たるものとするためには、必要なこと。 全部、あの子のためだ」
吐き気がした。
娘だと言う裏側に嫌悪を覚えた。
顔色を悪く倒れそうになっていたところを、護衛侍女が受け止めソファに横にさせてくれたが、それでも声は聞こえる。
「彼女の待遇が悪かった事は認めよう。 ノエルに謝罪もしよう。 彼女への償いとして妻と別れ、彼女を妻に迎えこれからは正当な扱いをしよう」
む、無理。
いや……。
そもそも辺境伯の奥様と言うと侯爵家と言う高い身分を生家とされる方で、私の記憶している限り仲睦ましい夫婦であったはずだ。
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「……それって……」
私は思わずつぶやけば、護衛侍女が私を見る。
「大丈夫ですか?」
コクリと頷いては見せたが……。
はきそう……。
辺境伯は、公爵から見せて頂いた禁書の内容を知っていると言う事では?
以前の私ではあくまで聖女の素養を持つものでしかなく侯爵家の繋がるを優先されていたが、公爵との繋がりを持ち魔力供給がなされる事で素養ではなく、聖女としての資格を満たし、その価値が大きく変わった事に気づいた……。
そんな……気がした。
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