【R18】双子の妹を愛するナルシストな婚約者は、大切な妹の代わりに婚約者である私を悪魔公の元に嫁入りさせる

迷い人

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34.辺境伯来襲 その2

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 辺境伯の到着を聞き、迎えが来たと嬉々として立ち上がれば、お姉さん侍女は少し悲し気に笑っていた。 でも、私はソレを気付かない振りをする。

 ここには私の物等なにもないのだから、と……私は、そのまま辺境伯が待つ応接室へと向かおうとした。 案内をしたのは護衛侍女。

「ノエル様、旦那様からの命令です。 お呼びになるまで、コチラで控えてください」

 そう言って、応接室の横にある小部屋。 普段は掃除用具が入れられている狭い部屋へと入れられた。 いえ、決して掃除用具と一緒にではありませんよ? この日を想定してたのでしょう小部屋は掃除され、ソファにクッション、小さなテーブルの上には、お茶と菓子、果物、等が置かれていました。

 そして護衛侍女が同席する。

 彼女は、突然にとんでもないことを言いだすが、基本的には静かなので嫌いではないのですよね。 ちなみに、どんな気持ちで他の侍女達の話を聞いているのか? と、たずねた事もある。

『パンは干しブドウが入ったものが美味しい。 特に、王都の銀の麦庭のは最高でな。 後はクルミパンもなかなか美味くて。 特に焼き立てのものにバターを垂らすともう~。 今度お土産を買ってきますね』

 と言うように、やり過ごしているとのことでした。



 小部屋では、応接室で語るクルト公爵とレイバ辺境伯2人の声が息遣いまでハッキリと聞こえる。

「うちの子を、ノエルを返してもらおうか? あの子がいるべき場所は、辺境だ。 辺境にはあの子を待つ者達が大勢いる。 返してくれ!!」

 穏やかな口調で、笑顔で話をする辺境伯の印象しか私にはない。 だけど、私が今聞いている声は、威圧的で、偉そうで、傲慢にすら感じ、恐ろしかった。

「その割に、あの子は人に馴染むのが下手なようだが?」

「それは、ただココの人間に馴染めないためだろう!! きっとあの子は心細いと、帰りたがっているに違いない、本人を呼んで確かめてくれればいい。 あの子に向けられた領民の笑顔、感謝の心、ソレを眺めるのがあの子は好きだった」

 間違ってない。

 けど……。

 私はここで多くの人に会い、色々と考えさせられた。 同時に、私は善人だと思っていた辺境の人々を考えた。

『人には良い面も、悪い面もあるのですよ』

 お姉さん侍女の言葉で、そうではない辺境の人達はみんな笑顔だった……。 だが、その笑顔の中に私はいなかった。 私に笑顔を向けていない時の彼等の姿は……よく思い出せない。

『我慢する必要などないのですよ。 アナタは主側の人間なのですから。 アナタがあの子達の使用人になる必要等ないのですから』

 人に慣れない私を、若い侍女達から助け出しお姉さん侍女はそういって慰めてくれた。 ……そして、次にはまた谷に突き落とすかのように、年若い侍女の中に放り込む……。



 ふっふふふふ。



「あの子の特性を考えれば、そりゃぁ感謝もするでしょう。 アナタに付き従い辺境の領地についていった者達は、元は魔物狩りを専門とする傭兵。 敏感に彼女の力を察知するでしょうねぇ」

 クルト公爵の声は何処か嫌味っぽい。

「正当な感謝に対して、何をぐちぐちと、この引きこもりが!!」

「あの子は、微笑みには裏があることを知りましたよ」

「余計なことを!! なぜ、オマエは俺の宝を汚す!!」

 隣室で起きた熱気が伝わってきた。 ここまで届く熱気であればその傍にいる公爵はどれほどの高温に包まれているか? 

「人には、永遠の孤独は辛かろう。 いないよりはマシだと手に負えぬ娘を押し付けようとしたくせに、自分は無垢な宝を手中に収めているとは、本当に息子の妻にするつもりはあるのですか?」

「双子は、生まれなかった者、存在しなかった者として除名した。 あんな双子を産んだメリッサとも別れる。 そして、あの子を俺の妻として迎える」



 辺境伯の言葉に、激しい嫌悪感を覚えたのは言うまでもない。

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