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6章 居場所
63.2人の長が追い詰められた先 02
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その後、客間へと移動し、離宮に張られた結界の説明を求めた。
「で、何がしたい訳? 精霊と違い、人間がケガレに飲まれても気が狂うだけだけど、それでも破壊衝動が強ければ害になると言う事を理解していない訳じゃないよね」
「そんなはずは……。 私は、しっかりと指示を……」
「しっかりと指示を出した? それで終わり?」
「他にも色々と仕事があるので、結界は他の者に任せたんです。 忙しいと言っているじゃないですか」
魔導師長、半泣きである。
「で、確認なしと。 できない仕事なら、しない方がマシじゃない?」
「貴方が!! そもそも貴方が、ケガレの管理を放棄したから!!」
「私はジェリド王の依頼を受け、魔人管理をしていただけ、後は私の仕事ではない、暇をした子供が大人の手伝いをしたからと言って、責任まで引き受けた気はないからね。 魔人管理の責任者だって、私ではなく国王!! 封印の間の管理は魔導師長貴方でしょ!! 魔人以外のケガレの管理は誰? 神官長ではないのかな? なんでもかんでも人のせいにしないでくれる? と言うか、貴方達、私の敵? 敵なの? 敵でいいよね? 長をやれば下は否応なく従うのは、先王が証明してくれていますし。 もう、敵でいいかぁ~」
「聖女殿!! そのような汚い言葉をお使いになって、神に見放され、その力を失ってしまえばどうなるか!! 貴方もただでは済まない事を理解していますよね?」
これを言ったのは神官長。
「何、この状況で、誰が上かまだ理解できない訳? 精霊は言っていた。 神はいないとね。 私の浄化能力はただの体質。 私が罪人となってもその力は変わる事はないの」
「一体、この大変な時に何がしたいのですか!!」
ヒステリックに魔導師長が叫ぶ。
「なぜ、ルデルス国からの進行が、これほどまで効率良く行われた訳? 地方の要と言える地域に、炎の小精霊を引き連れた戦士まで出向いていた。 この国の騎士の鎧を着た敵国の者が王宮に入り込み、王都内にも王都に致命傷を与えるだけの戦士を入り込ませ。 強姦、略奪までする余剰戦力まで入り込んでいる。 あの日の警備はどうだったの? ジュリアンが王位を取るから人を貸してくれと言って、あれだけの人間をハイハイと貸し出すものなの? 何の準備もなしにアレだけの人間を急に動かせるものなの?」
「何が、おっしゃりたいのですか……」
「ジュリアン、アイツは馬鹿よ。 だけどね。 国を破滅に導こうとするほどの馬鹿じゃない。 馬鹿は馬鹿なりに国を良くしようとしていた。 次期王として認められたいと思っていた。 だから!! 最後の一線は守り、愛人を持つ事は無かった」
ジュリアン自身がなぜ王位をすぐに欲するかのような行動になったのか理解していなかった。 理解できない自分自身に恐怖すら覚えていた。
彼の希望だけを言えば、私を追い詰め、私よりも自分が偉いのだと私に認めさせ、世間に認めさせる事だったらしい。
それが、なぜ、あぁなったのか? 自分でもよく分からない間に、状況が進んでいったそうだ。 そして……私が居なくなれば、アリアメアは帰ってくるだろうと、何かが……囁いた……アリアメアが戻れば全て上手くいくと。
その話を2人に伝えた上で私は言う。
「アレに、あそこまでの甲斐性はない。 なら、今、この状況で一番得をしているのは誰? そして、ここ最近の異常を起こせたのは誰?!」
離宮に集められた使用人達の裏切り。
王候補達がなぜ私を襲ったのか? と、その理由。
離宮に張った結界が、自滅を促すものだったのは何故?
国内のケガレ調査をなぜ父様だけが命じられたか? なぜ父様の死が、あっさりと報告されたか……そこは、常に裏切り者や、私に害をなすものを警戒していた父様だ。 なんらかの準備があったのだろうと思う。
私は気になる点を述べ続け、そして最後にこう問いかけた。
「なぜ、精霊が契約者の命令を拒否した?」
「ソレは……この迷宮図書館の主が……」
「する訳ない。 できる訳がない」
そう言いながらヴェルは人型に戻った。
「アレは、主を自分の庇護下に置いた事で、小精霊達に関わるなと命じた。 なぜ、わざわざそうしたと思う? 精霊が契約もなしに人の世に関わる事が、自らの身の崩壊につながるからだ」
「ですが!! そんなことを他の誰が出来ると言うんですか?!」
「精霊と人の間の存在である魔人ならできる」
「では、貴方様がそう命じたのですか?!」
「まさか、あの時の私はまだ夢現にあった。 お前達は、魔導師長、神官長をしておりながら、この地に入り込んだ魔人にすら気づかなかったのか? 愚か者め」
ヴェルは、闇と魔力脈の空間を客間に作り出す。
彼の強烈な意思とも言える力が、魔導師長と神官長に圧力をかけた。
死神にでも出会ったかの恐怖が、2人を襲ったかのような絶叫がこだまし……空間に飲み込まれ、彼等自身が闇の中に溶けたかのように見えた。
「で、何がしたい訳? 精霊と違い、人間がケガレに飲まれても気が狂うだけだけど、それでも破壊衝動が強ければ害になると言う事を理解していない訳じゃないよね」
「そんなはずは……。 私は、しっかりと指示を……」
「しっかりと指示を出した? それで終わり?」
「他にも色々と仕事があるので、結界は他の者に任せたんです。 忙しいと言っているじゃないですか」
魔導師長、半泣きである。
「で、確認なしと。 できない仕事なら、しない方がマシじゃない?」
「貴方が!! そもそも貴方が、ケガレの管理を放棄したから!!」
「私はジェリド王の依頼を受け、魔人管理をしていただけ、後は私の仕事ではない、暇をした子供が大人の手伝いをしたからと言って、責任まで引き受けた気はないからね。 魔人管理の責任者だって、私ではなく国王!! 封印の間の管理は魔導師長貴方でしょ!! 魔人以外のケガレの管理は誰? 神官長ではないのかな? なんでもかんでも人のせいにしないでくれる? と言うか、貴方達、私の敵? 敵なの? 敵でいいよね? 長をやれば下は否応なく従うのは、先王が証明してくれていますし。 もう、敵でいいかぁ~」
「聖女殿!! そのような汚い言葉をお使いになって、神に見放され、その力を失ってしまえばどうなるか!! 貴方もただでは済まない事を理解していますよね?」
これを言ったのは神官長。
「何、この状況で、誰が上かまだ理解できない訳? 精霊は言っていた。 神はいないとね。 私の浄化能力はただの体質。 私が罪人となってもその力は変わる事はないの」
「一体、この大変な時に何がしたいのですか!!」
ヒステリックに魔導師長が叫ぶ。
「なぜ、ルデルス国からの進行が、これほどまで効率良く行われた訳? 地方の要と言える地域に、炎の小精霊を引き連れた戦士まで出向いていた。 この国の騎士の鎧を着た敵国の者が王宮に入り込み、王都内にも王都に致命傷を与えるだけの戦士を入り込ませ。 強姦、略奪までする余剰戦力まで入り込んでいる。 あの日の警備はどうだったの? ジュリアンが王位を取るから人を貸してくれと言って、あれだけの人間をハイハイと貸し出すものなの? 何の準備もなしにアレだけの人間を急に動かせるものなの?」
「何が、おっしゃりたいのですか……」
「ジュリアン、アイツは馬鹿よ。 だけどね。 国を破滅に導こうとするほどの馬鹿じゃない。 馬鹿は馬鹿なりに国を良くしようとしていた。 次期王として認められたいと思っていた。 だから!! 最後の一線は守り、愛人を持つ事は無かった」
ジュリアン自身がなぜ王位をすぐに欲するかのような行動になったのか理解していなかった。 理解できない自分自身に恐怖すら覚えていた。
彼の希望だけを言えば、私を追い詰め、私よりも自分が偉いのだと私に認めさせ、世間に認めさせる事だったらしい。
それが、なぜ、あぁなったのか? 自分でもよく分からない間に、状況が進んでいったそうだ。 そして……私が居なくなれば、アリアメアは帰ってくるだろうと、何かが……囁いた……アリアメアが戻れば全て上手くいくと。
その話を2人に伝えた上で私は言う。
「アレに、あそこまでの甲斐性はない。 なら、今、この状況で一番得をしているのは誰? そして、ここ最近の異常を起こせたのは誰?!」
離宮に集められた使用人達の裏切り。
王候補達がなぜ私を襲ったのか? と、その理由。
離宮に張った結界が、自滅を促すものだったのは何故?
国内のケガレ調査をなぜ父様だけが命じられたか? なぜ父様の死が、あっさりと報告されたか……そこは、常に裏切り者や、私に害をなすものを警戒していた父様だ。 なんらかの準備があったのだろうと思う。
私は気になる点を述べ続け、そして最後にこう問いかけた。
「なぜ、精霊が契約者の命令を拒否した?」
「ソレは……この迷宮図書館の主が……」
「する訳ない。 できる訳がない」
そう言いながらヴェルは人型に戻った。
「アレは、主を自分の庇護下に置いた事で、小精霊達に関わるなと命じた。 なぜ、わざわざそうしたと思う? 精霊が契約もなしに人の世に関わる事が、自らの身の崩壊につながるからだ」
「ですが!! そんなことを他の誰が出来ると言うんですか?!」
「精霊と人の間の存在である魔人ならできる」
「では、貴方様がそう命じたのですか?!」
「まさか、あの時の私はまだ夢現にあった。 お前達は、魔導師長、神官長をしておりながら、この地に入り込んだ魔人にすら気づかなかったのか? 愚か者め」
ヴェルは、闇と魔力脈の空間を客間に作り出す。
彼の強烈な意思とも言える力が、魔導師長と神官長に圧力をかけた。
死神にでも出会ったかの恐怖が、2人を襲ったかのような絶叫がこだまし……空間に飲み込まれ、彼等自身が闇の中に溶けたかのように見えた。
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