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28.【求】教師 01
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母が、皇妃ルイーズと誓約を解除してから1月。
私も宮殿に来るのは、およそ1月ぶりでしょうか? まぁ、もともと図書館にしか行っていなかったのですけどね。
「妙に殺伐しているような気がするのは気のせいでしょうか?」
「いえ、気のせいではないようですね」
そんな事を言いながらサロンへと向かうが、特に知り合いもいない私達は、人々の話に耳を傾ける事ぐらいしか出来ない。
人の噂から察するに、
シグルド殿下が、領地運営に対する助力を辞めたと言う話だった。
利益が大きい土地、改善度が高い土地、そして早い段階で完全服従を行った貴族は幸いだったと語られる。 それ以外は見限ったと状態にあるらしい。
「まぁ、仕方がありませんよね。 お嬢様の助言あってこその改革案だったのですから」
「見て来たかのように語るのは止めなさい。 でも、まぁ、得意なもののみを特化して行えばいいなんて言わずに停滞させるのは正解だと思うわ」
「どうしてですか?」
「そうね。 例えば、この国の人間が飢えから解放されるために必要な、米、麦、芋、豆、まぁ、お腹を膨らませるために多く食べるものだけど。 年間100と言う量が必要だったとする。 でも、生産量が200になる。 こうなると、食料が余りだし、値崩れが起こるのよ」
「と言う事は、最初から切り捨てありきだった訳ですか?」
「いいえ、米、麦、芋、豆、それらをどう使うかを先に検討しておけばいいのよ」
「例えば?」
「そうねぇ……他国に売り資産を得ると言うのが一番楽だけど、家畜の餌として使うのも手段の一つだと思うわ」
「へぇ……外には?」
「って、誰?!」
「おや、申し訳ございません。 私クロード・バラデュールと申します。 シグルド殿下の側近をしております」
「そ、そう……。 えっと」
私、頭の中が大混乱ですよ!! お茶を一気に飲み干して席を立とうとすれば、腕が掴まれた。
「今の話、詳しく聞かせて頂けませんか? あぁ、あと、お名前を」
「許可もなく、女性の手を掴む等、上位貴族の方は随分と乱暴ですね」
「ラン、おやめなさい」
「ですが……今、この状況でシグルド殿下の関係者と親しくするのは、面倒なことになりますよ」
「それも、そうですわね」
「……権力を振りかざして、捕らえてもよろしいのですよ」
「私がお嬢様をお守りしますので、ご安心下さい」
なんて感じで睨みあうランバールと、クロード様。 そして……案の定というかなんというか……凄い美人の令嬢が話しかけて来た。
「あの、クロード・バラデュール様ですわよね?」
「はい、えっと、ストリーン伯爵家と、インデル男爵家のご令嬢ではございませんか。 どうなされたのですか?」
物凄い愛想笑いだった。
「美女の威力凄い」
ボソリと呟けば、フッ感じで笑われた……。
「大丈夫ですよ。 お嬢様はまだ成長期なだけ、将来は若様のような立派なお胸を手に入れられますよ」
「ちょっと……そこは、せめて母様になさい」
「いえ……、お嬢様は若様似ですから」
「胸まで父様に似てどうすると言うのよ」
クスクスと笑われて、私は顔を赤くして身を竦め、盾にするようにランバードの袖を引っ張った。
私も宮殿に来るのは、およそ1月ぶりでしょうか? まぁ、もともと図書館にしか行っていなかったのですけどね。
「妙に殺伐しているような気がするのは気のせいでしょうか?」
「いえ、気のせいではないようですね」
そんな事を言いながらサロンへと向かうが、特に知り合いもいない私達は、人々の話に耳を傾ける事ぐらいしか出来ない。
人の噂から察するに、
シグルド殿下が、領地運営に対する助力を辞めたと言う話だった。
利益が大きい土地、改善度が高い土地、そして早い段階で完全服従を行った貴族は幸いだったと語られる。 それ以外は見限ったと状態にあるらしい。
「まぁ、仕方がありませんよね。 お嬢様の助言あってこその改革案だったのですから」
「見て来たかのように語るのは止めなさい。 でも、まぁ、得意なもののみを特化して行えばいいなんて言わずに停滞させるのは正解だと思うわ」
「どうしてですか?」
「そうね。 例えば、この国の人間が飢えから解放されるために必要な、米、麦、芋、豆、まぁ、お腹を膨らませるために多く食べるものだけど。 年間100と言う量が必要だったとする。 でも、生産量が200になる。 こうなると、食料が余りだし、値崩れが起こるのよ」
「と言う事は、最初から切り捨てありきだった訳ですか?」
「いいえ、米、麦、芋、豆、それらをどう使うかを先に検討しておけばいいのよ」
「例えば?」
「そうねぇ……他国に売り資産を得ると言うのが一番楽だけど、家畜の餌として使うのも手段の一つだと思うわ」
「へぇ……外には?」
「って、誰?!」
「おや、申し訳ございません。 私クロード・バラデュールと申します。 シグルド殿下の側近をしております」
「そ、そう……。 えっと」
私、頭の中が大混乱ですよ!! お茶を一気に飲み干して席を立とうとすれば、腕が掴まれた。
「今の話、詳しく聞かせて頂けませんか? あぁ、あと、お名前を」
「許可もなく、女性の手を掴む等、上位貴族の方は随分と乱暴ですね」
「ラン、おやめなさい」
「ですが……今、この状況でシグルド殿下の関係者と親しくするのは、面倒なことになりますよ」
「それも、そうですわね」
「……権力を振りかざして、捕らえてもよろしいのですよ」
「私がお嬢様をお守りしますので、ご安心下さい」
なんて感じで睨みあうランバールと、クロード様。 そして……案の定というかなんというか……凄い美人の令嬢が話しかけて来た。
「あの、クロード・バラデュール様ですわよね?」
「はい、えっと、ストリーン伯爵家と、インデル男爵家のご令嬢ではございませんか。 どうなされたのですか?」
物凄い愛想笑いだった。
「美女の威力凄い」
ボソリと呟けば、フッ感じで笑われた……。
「大丈夫ですよ。 お嬢様はまだ成長期なだけ、将来は若様のような立派なお胸を手に入れられますよ」
「ちょっと……そこは、せめて母様になさい」
「いえ……、お嬢様は若様似ですから」
「胸まで父様に似てどうすると言うのよ」
クスクスと笑われて、私は顔を赤くして身を竦め、盾にするようにランバードの袖を引っ張った。
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