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52.獣の力

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 関係性を破壊するほど、恥と言っていたけれど、もう17年近くホルト帝国にいても同じなのかしら? 問いかけられないとなれば、ソレは余計に疑問となっていく。

 そして、私は精神の図書館へと降りていく。

 想像するのは、オークランド国の創生に関わる物語。

 森の民は、敵対国の王子と姫が手と手を取り合って逃亡した土地が、過酷とも言える魔力が渦巻く森の中だったと言う話だ。 その手の話は、強烈な特徴のない国でも存在するもの。

 扉を開けば、思った以上に書籍の数が多くてうんざりとしてしまった。

 多くは天罰系の話で、他国の子供用の絵物語として書かれている。 悪い事をすれば鬼が捕らえに来て食べる的なもの。 他にも人を思いやり過ぎ天から落とされた元神を始祖とするとかある。 ナマコのような存在からボコボコと生まれた異形的な話。 獣姦。 諸説入り乱れていた。

 原因はこれかな?

 獣体のオークランド民は理性を失い刈取る命が失われるまで、命を奪い続ける。 ソレを利用し、生物兵器として彼等を捕らえ利用した国が幾つもあった。 そしてホルト帝国もその一つである。

 戦争の状況なんて、知らないけれど……ぐるっと貴族を見回す限り、戦場で活躍しそうな人と言うか一族は無い。

「どうかなさいましたかお嬢様」

 長く精神の図書館にいたけれど、そんな私を見ているランバールには一瞬言葉を止めたぐらいに見えただろう。

「ミランダはどうしています? 余り気にしていなければ良いのですが」

「お嬢様がお気になさる事ではございません」

 そう言いながら、数滴のブランデーが入った紅茶が差し出された。

「ありがとう。 今日はもう寝るわ」

 僅かな疑心暗鬼。

 ホルト国が戦争に彼等を利用していたなら、ソレはオークランドの民にとって悲劇である。 だが、なぜ、強者である彼等が……利用され続けたのだろう?

 布団の中で考え続け、そして眠りに落ちた。

 早朝、まだ早い時間。

 きゅ~ん、きゅ~んと鼻を鳴らす音で、ユックリと目を開いた。

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