国王陛下は愛する幼馴染との距離をつめられない

迷い人

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18.多分、きっと、これも国家的な危機

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 ヨミがダリオ陛下の部屋で休むこととなり1月。

「実家で、2.3日ほどユックリしてきてはどうだろうか?」

 ダリオは少しばかり疲弊した笑みでヨミに告げた。 公私共に昼も夜も共に居すぎた。 愛情など適度な距離と理想を持っているのが丁度良い等と語るものがある……と語るものがいるが、決してそんな理由からではない。 理由からではないが、ダリオの言葉にヨミは嬉々とした表情を向ける。

「いいんですか?!」

 ダリオは少しだけ切ないものを胸に覚えた。 覚えて、自分が与えた休暇に嫉妬し、嫉妬を必死に隠しながらヨミに問いかけた。

「休みの間、何をするんだ?」

「そうですね……街に買い物に行きたいですね。 お気に入りの本は王宮で購入するような代物ではありませんし、後は可愛らしい小物があれば見て回りたいです」

「見て回るだけなのか? 良いものがあれば、気にかけておくがいい。 俺がプレゼントしよう」

「いいえ、見るのが好きなのです」

 見るのが好きなら手元におけばいいのに、それでヨミが幸せなら店ごとだって買い与えるのだが……等と考えて居れば、

「店には、贈り物等を度々購入させて頂いているので、迷惑はかけておりませんわ」

「そういう事ではないんだが、そういえば、ヨミは私物を部屋に置かないが、何か気に入りのものがあれば持ち込んでも良いんだぞ?」

「陛下がいらっしゃれば、それで十分でございます」

 そう言われる事は予測が出来た。

 ヨミの私物は、続部屋として改装した部屋に置かれてある。 大量のドレスに装飾品等が仕舞われた部屋。 入浴後の手入れを受けるためのリラックスルーム。 2部屋あれば元からあるダリオの部屋に荷物が増える事が無いのも当然と言えば当然なのだが、侍女達に伝えてヨミの好みそうな花を飾るように言えば、

 甘い香りは陛下が苦手ですから、私の部屋に移動しておいて頂けますか?

 等と言い出す始末。

 通い妻……未満……だよなぁ……。

「そうか……」

 ダリオは、日ごろ余り見せない上辺だけの静かな笑みを浮かべていたが、久々の休暇に浮かれていたヨミには気付く事ができなかった。

「後は、先日リアに聞いた美味しい菓子を出すカフェも寄ってみたいですわ。 ソレを終えた後は、家で本を読んで、菓子を食べて、兄妹とユックリお話しするのも良いかもしれませんわ」

 どこまでも浮かれるヨミだった。

「まぁ久々の実家だユックリとしてきてくれ」

 そんな風に快く送り出すダリオに、欲求不満の対象と、本命との扱いが違うだけで、良い関係を日々築かれているのだと侍女達は安堵したのだった。



 だが、事実と言えば、ヨミを王宮から遠ざける目的がダリオにあったのだ。

『ヨミとの関係を進展させよう会議』 の開催である。

 ヨミ不在初日、兄弟のように育った3公爵家の令息3人に対して陛下からの召集がなされた。

「国の危機だ」

 ダリオは重々しい声で集まった3人に告げたのだった。
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