国王陛下は愛する幼馴染との距離をつめられない

迷い人

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19.国王陛下うじうじする

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 最初に口を開いたのは最年長であるエルオーネだった。 

 国王陛下の言い難そうに時間をかけた説明には、時折プラテリアのヤジが入り、ソレをしめながら行われたため、大した内容でもないのに、やけに時間がかかったとも言える。

「えっと、簡単に言うなら自慰行為を手伝わせたら、ソレを性行為だと勘違いされてしまったと」

 エルオーネに問われ、陛下は両手で顔を隠し、頷く。

「そう……」

 補足し説明するなら、抱きしめキスをし、身体を撫で触れることまではいけるのだが、少しでも股間のモノが反応すると、

 私、頑張るね!!

 とばかりに処理されてしまうと言う説明だった。

「それで、大人しく抱きしめて眠っていると?」

 エルオーネが苦笑交じりで言えば、やはり顔を隠したままで、横に首を振った。

「最初は……」

「最初は、というと今は違うと」

 そう問いかけるが、余り良い期待は出来ないと3人の表情は語っていた。 そして、陛下はコクコクと頷き返す。

「最近では、陛下が余り眠れなさそうなので、失礼します。 等と言って寝室を出ていくんだが!!」

「俺に怒っても仕方ないでしょうが」

 エルオーネは苦笑しながら、視線の先でネーヴェに茶でも入れろと指示していた。

「止めなよぉ~。 行かないでって」

「そんな事言えるか!! 寝付けないのですか陛下? とか言ってきっと子守歌を歌いだすに決まっている」

「流石陛下!! 姉様を良くわかってる」

「嬉しくないわ!!」

 一度果てたとは言っても、すぐに復活できる程度には精力的なお年頃。 なんとかしてエッチな気分へと持ち込めればと、身体に触れていれば安眠妨害になっているのだろうと思ったヨミが変な気遣いをし始めてしまったのだ。

 エルオーネは笑うのを堪え、ネーヴェは唖然とし、プラテリアは遠慮なく笑いだした。

「失礼な奴だな」

 憮然とする陛下に、エルオーネとネーヴェは表情を引き締めた。 そして、自分達の態度はギリギリセーフと位置づけ、ネーヴェはプラテリアを非難する。

「陛下が、真剣にお悩みになっていると言うのに、不敬だぞ」

「え~~~、兄様達も同罪でしょう」

「もうなんでもいいから、なんとかしてくれ……」

 デスクに突っ伏すダリオに、3人は苦笑する。

「なぜ、嬢ちゃんはそこまで疎いんだ?」

「そうですよね、普通はどこからともなく耳に入るものなんですが」

 ネーヴェの相打ちに、プラテリアが笑う。

「仕方がありませんよ。 姉様は友達がいませんし、陛下一筋でしたから」

 この場合の一筋は恋愛的なものではない。

「ぁ……いや、流石に1人もいないと言うことは、嬢ちゃんと近い娘などゴロゴロいるだろう? 余り良いことではないが、仲良くなって美味い思いを使用と考える者ぐらいいただろうが」

「そんな事を考える人は、きっと下ネタなんて話さないと僕は思うな」

「それも、そうか」

 と言いつつも、ヨミがテンペラータ家の茶会に来ても、年の近い者達と話をすることなく、幼少期から専門性の高い知識を持つ大人を見つけては、色々と質問責めにしていた事を思い出せば難しい顔をする。 そしてネーヴェもまた苦々しく笑った。

「確かに、いる様子はありませんね。 一度、妹に個人的な付き合いに、ヨミを誘ったりしないのか? と、たずねたことがありましたが、私共がお誘いして良い相手ではありませんから。 と言っていましたね」

「イジメ?!」

「する意味がないだろうが……」

「実は、グライオ家では側室狙いだとか?!」

「姉も妹も嫁ぎ済ですよ」

「まぁ、冗談はさておき……。 子作りについて話をしてもらえないんですか?」

「あえて、言わせてもらうなら、どう説明すれば理解するのか想像がつかないのですが? それこそ、陛下に少々強引な手段に出て貰うのが一番だと思いますが?」

「ここまで、十分に強引に進めたから、それに嫌われたくない……」

「そういえば、侍女達には何か変わった事があったら報告するようにと入っておいたんだ、なぜ報告が今までなかったんだ?」

 エルオーネが頭をかき弱り切る。

「それは、単純に報告すべきことが何もなかったからでは?」

 可愛らしく小首をかしげたプラテリアが呟く横で、ネーヴェはヨミ付きの侍女を呼び寄せるようにと伝えた。
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