19 / 21
19.国王陛下うじうじする
しおりを挟む
最初に口を開いたのは最年長であるエルオーネだった。
国王陛下の言い難そうに時間をかけた説明には、時折プラテリアのヤジが入り、ソレをしめながら行われたため、大した内容でもないのに、やけに時間がかかったとも言える。
「えっと、簡単に言うなら自慰行為を手伝わせたら、ソレを性行為だと勘違いされてしまったと」
エルオーネに問われ、陛下は両手で顔を隠し、頷く。
「そう……」
補足し説明するなら、抱きしめキスをし、身体を撫で触れることまではいけるのだが、少しでも股間のモノが反応すると、
私、頑張るね!!
とばかりに処理されてしまうと言う説明だった。
「それで、大人しく抱きしめて眠っていると?」
エルオーネが苦笑交じりで言えば、やはり顔を隠したままで、横に首を振った。
「最初は……」
「最初は、というと今は違うと」
そう問いかけるが、余り良い期待は出来ないと3人の表情は語っていた。 そして、陛下はコクコクと頷き返す。
「最近では、陛下が余り眠れなさそうなので、失礼します。 等と言って寝室を出ていくんだが!!」
「俺に怒っても仕方ないでしょうが」
エルオーネは苦笑しながら、視線の先でネーヴェに茶でも入れろと指示していた。
「止めなよぉ~。 行かないでって」
「そんな事言えるか!! 寝付けないのですか陛下? とか言ってきっと子守歌を歌いだすに決まっている」
「流石陛下!! 姉様を良くわかってる」
「嬉しくないわ!!」
一度果てたとは言っても、すぐに復活できる程度には精力的なお年頃。 なんとかしてエッチな気分へと持ち込めればと、身体に触れていれば安眠妨害になっているのだろうと思ったヨミが変な気遣いをし始めてしまったのだ。
エルオーネは笑うのを堪え、ネーヴェは唖然とし、プラテリアは遠慮なく笑いだした。
「失礼な奴だな」
憮然とする陛下に、エルオーネとネーヴェは表情を引き締めた。 そして、自分達の態度はギリギリセーフと位置づけ、ネーヴェはプラテリアを非難する。
「陛下が、真剣にお悩みになっていると言うのに、不敬だぞ」
「え~~~、兄様達も同罪でしょう」
「もうなんでもいいから、なんとかしてくれ……」
デスクに突っ伏すダリオに、3人は苦笑する。
「なぜ、嬢ちゃんはそこまで疎いんだ?」
「そうですよね、普通はどこからともなく耳に入るものなんですが」
ネーヴェの相打ちに、プラテリアが笑う。
「仕方がありませんよ。 姉様は友達がいませんし、陛下一筋でしたから」
この場合の一筋は恋愛的なものではない。
「ぁ……いや、流石に1人もいないと言うことは、嬢ちゃんと近い娘などゴロゴロいるだろう? 余り良いことではないが、仲良くなって美味い思いを使用と考える者ぐらいいただろうが」
「そんな事を考える人は、きっと下ネタなんて話さないと僕は思うな」
「それも、そうか」
と言いつつも、ヨミがテンペラータ家の茶会に来ても、年の近い者達と話をすることなく、幼少期から専門性の高い知識を持つ大人を見つけては、色々と質問責めにしていた事を思い出せば難しい顔をする。 そしてネーヴェもまた苦々しく笑った。
「確かに、いる様子はありませんね。 一度、妹に個人的な付き合いに、ヨミを誘ったりしないのか? と、たずねたことがありましたが、私共がお誘いして良い相手ではありませんから。 と言っていましたね」
「イジメ?!」
「する意味がないだろうが……」
「実は、グライオ家では側室狙いだとか?!」
「姉も妹も嫁ぎ済ですよ」
「まぁ、冗談はさておき……。 子作りについて話をしてもらえないんですか?」
「あえて、言わせてもらうなら、どう説明すれば理解するのか想像がつかないのですが? それこそ、陛下に少々強引な手段に出て貰うのが一番だと思いますが?」
「ここまで、十分に強引に進めたから、それに嫌われたくない……」
「そういえば、侍女達には何か変わった事があったら報告するようにと入っておいたんだ、なぜ報告が今までなかったんだ?」
エルオーネが頭をかき弱り切る。
「それは、単純に報告すべきことが何もなかったからでは?」
可愛らしく小首をかしげたプラテリアが呟く横で、ネーヴェはヨミ付きの侍女を呼び寄せるようにと伝えた。
国王陛下の言い難そうに時間をかけた説明には、時折プラテリアのヤジが入り、ソレをしめながら行われたため、大した内容でもないのに、やけに時間がかかったとも言える。
「えっと、簡単に言うなら自慰行為を手伝わせたら、ソレを性行為だと勘違いされてしまったと」
エルオーネに問われ、陛下は両手で顔を隠し、頷く。
「そう……」
補足し説明するなら、抱きしめキスをし、身体を撫で触れることまではいけるのだが、少しでも股間のモノが反応すると、
私、頑張るね!!
とばかりに処理されてしまうと言う説明だった。
「それで、大人しく抱きしめて眠っていると?」
エルオーネが苦笑交じりで言えば、やはり顔を隠したままで、横に首を振った。
「最初は……」
「最初は、というと今は違うと」
そう問いかけるが、余り良い期待は出来ないと3人の表情は語っていた。 そして、陛下はコクコクと頷き返す。
「最近では、陛下が余り眠れなさそうなので、失礼します。 等と言って寝室を出ていくんだが!!」
「俺に怒っても仕方ないでしょうが」
エルオーネは苦笑しながら、視線の先でネーヴェに茶でも入れろと指示していた。
「止めなよぉ~。 行かないでって」
「そんな事言えるか!! 寝付けないのですか陛下? とか言ってきっと子守歌を歌いだすに決まっている」
「流石陛下!! 姉様を良くわかってる」
「嬉しくないわ!!」
一度果てたとは言っても、すぐに復活できる程度には精力的なお年頃。 なんとかしてエッチな気分へと持ち込めればと、身体に触れていれば安眠妨害になっているのだろうと思ったヨミが変な気遣いをし始めてしまったのだ。
エルオーネは笑うのを堪え、ネーヴェは唖然とし、プラテリアは遠慮なく笑いだした。
「失礼な奴だな」
憮然とする陛下に、エルオーネとネーヴェは表情を引き締めた。 そして、自分達の態度はギリギリセーフと位置づけ、ネーヴェはプラテリアを非難する。
「陛下が、真剣にお悩みになっていると言うのに、不敬だぞ」
「え~~~、兄様達も同罪でしょう」
「もうなんでもいいから、なんとかしてくれ……」
デスクに突っ伏すダリオに、3人は苦笑する。
「なぜ、嬢ちゃんはそこまで疎いんだ?」
「そうですよね、普通はどこからともなく耳に入るものなんですが」
ネーヴェの相打ちに、プラテリアが笑う。
「仕方がありませんよ。 姉様は友達がいませんし、陛下一筋でしたから」
この場合の一筋は恋愛的なものではない。
「ぁ……いや、流石に1人もいないと言うことは、嬢ちゃんと近い娘などゴロゴロいるだろう? 余り良いことではないが、仲良くなって美味い思いを使用と考える者ぐらいいただろうが」
「そんな事を考える人は、きっと下ネタなんて話さないと僕は思うな」
「それも、そうか」
と言いつつも、ヨミがテンペラータ家の茶会に来ても、年の近い者達と話をすることなく、幼少期から専門性の高い知識を持つ大人を見つけては、色々と質問責めにしていた事を思い出せば難しい顔をする。 そしてネーヴェもまた苦々しく笑った。
「確かに、いる様子はありませんね。 一度、妹に個人的な付き合いに、ヨミを誘ったりしないのか? と、たずねたことがありましたが、私共がお誘いして良い相手ではありませんから。 と言っていましたね」
「イジメ?!」
「する意味がないだろうが……」
「実は、グライオ家では側室狙いだとか?!」
「姉も妹も嫁ぎ済ですよ」
「まぁ、冗談はさておき……。 子作りについて話をしてもらえないんですか?」
「あえて、言わせてもらうなら、どう説明すれば理解するのか想像がつかないのですが? それこそ、陛下に少々強引な手段に出て貰うのが一番だと思いますが?」
「ここまで、十分に強引に進めたから、それに嫌われたくない……」
「そういえば、侍女達には何か変わった事があったら報告するようにと入っておいたんだ、なぜ報告が今までなかったんだ?」
エルオーネが頭をかき弱り切る。
「それは、単純に報告すべきことが何もなかったからでは?」
可愛らしく小首をかしげたプラテリアが呟く横で、ネーヴェはヨミ付きの侍女を呼び寄せるようにと伝えた。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】妻至上主義
Ringo
恋愛
歴史ある公爵家嫡男と侯爵家長女の婚約が結ばれたのは、長女が生まれたその日だった。
この物語はそんな2人が結婚するまでのお話であり、そこに行き着くまでのすったもんだのラブストーリーです。
本編11話+番外編数話
[作者よりご挨拶]
未完作品のプロットが諸事情で消滅するという事態に陥っております。
現在、自身で読み返して記憶を辿りながら再度新しくプロットを組み立て中。
お気に入り登録やしおりを挟んでくださっている方には申し訳ありませんが、必ず完結させますのでもう暫くお待ち頂ければと思います。
(╥﹏╥)
お詫びとして、短編をお楽しみいただければ幸いです。
【完結】愛する夫の務めとは
Ringo
恋愛
アンダーソン侯爵家のひとり娘レイチェルと結婚し婿入りした第二王子セドリック。
政略結婚ながら確かな愛情を育んだふたりは仲睦まじく過ごし、跡継ぎも生まれて順風満帆。
しかし突然王家から呼び出しを受けたセドリックは“伝統”の遂行を命じられ、断れば妻子の命はないと脅され受け入れることに。
その後……
城に滞在するセドリックは妻ではない女性を何度も抱いて子種を注いでいた。
※完結予約済み
※全6話+おまけ2話
※ご都合主義の創作ファンタジー
※ヒーローがヒロイン以外と致す描写がございます
※ヒーローは変態です
※セカンドヒーロー、途中まで空気です
【完結】婚約破棄を待つ頃
白雨 音
恋愛
深窓の令嬢の如く、大切に育てられたシュゼットも、十九歳。
婚約者であるデュトワ伯爵、ガエルに嫁ぐ日を心待ちにしていた。
だが、ある日、兄嫁の弟ラザールから、ガエルの恐ろしい計画を聞かされる。
彼には想い人がいて、シュゼットとの婚約を破棄しようと画策しているというのだ!
ラザールの手配で、全てが片付くまで、身を隠す事にしたのだが、
隠れ家でシュゼットを待っていたのは、ラザールではなく、ガエルだった___
異世界恋愛:短編(全6話) ※魔法要素ありません。 ※一部18禁(★印)《完結しました》
お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
真面目な王子様と私の話
谷絵 ちぐり
恋愛
婚約者として王子と顔合わせをした時に自分が小説の世界に転生したと気づいたエレーナ。
小説の中での自分の役どころは、婚約解消されてしまう台詞がたった一言の令嬢だった。
真面目で堅物と評される王子に小説通り婚約解消されることを信じて可もなく不可もなくな関係をエレーナは築こうとするが…。
※Rシーンはあっさりです。
※別サイトにも掲載しています。
冷酷王子と逃げたいのに逃げられなかった婚約者
月下 雪華
恋愛
我が国の第2王子ヴァサン・ジェミレアスは「氷の冷酷王子」と呼ばれている。彼はその渾名の通り誰に対しても無反応で、冷たかった。それは、彼の婚約者であるカトリーヌ・ブローニュにでさえ同じであった。そんな彼の前に現れた常識のない女に心を乱したカトリーヌは婚約者の席から逃げる事を思いつく。だが、それを阻止したのはカトリーヌに何も思っていなさそうなヴァサンで……
誰に対しても冷たい反応を取る王子とそんな彼がずっと好きになれない令嬢の話
離宮に隠されるお妃様
agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか?
侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。
「何故呼ばれたか・・・わかるな?」
「何故・・・理由は存じませんが」
「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」
ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。
『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』
愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。
コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~
二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。
彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。
そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。
幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。
そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる