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1章 斉木望
03.
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「ま、迷い込んだだと?」
そこは大正ロマン溢れる喫茶。
広い喫茶店の内部には、斉木以外の客はいない。
窓の外を眺めれば、重厚な木造家具とは違う荒廃した都市。
「俺は部屋にいたんだぞ!!」
傍にいたルイに掴みかからんばかりに詰め寄る斉木だが、胸倉をつかもうとする手は軽く避けられ、トンッと押されて傍にあった席に座らせられた。
「メニューだよ」
慌てた様子で少年、青嵐がメニューを渡す傍らで夜影が水を勧めた。
斉木は水を一気に飲み干す。
ほのかな桃の香り……と……遠い昔、走り回った祖母の庭の景色が脳裏をよぎった。
穏やかな日々。
何の苦労も無かった日々。
ただ、幸福の積み重ね……ではな……いか……夏休みの宿題、夏休みの終了と共に両親のもとに帰るのが嫌で泣きわめいた日々を思い出す。
『斉木みたいな奴って、オタクって言うんだろう?!』
ドンッとグラスをテーブルにたたきつけるように置こうとした。 それほどまでに思い浮かんだ思い出が鮮明すぎて捕らわれたのだ。
叩きつける前に、グラスが止まる。
ピクリとも動かず視線をあげれば、背の高い和装の装いの男が居た。
「そんな風にしては、グラスもテーブルも可哀そうですよ」
――優しげな微笑みと共に、穏やかに声が落ちる。 ほんの一瞬、目元から笑みが消え、冷たい影がのぞいた気がした……不思議に揺れる金の瞳をした男。
「うちの子猫ちゃんが、怯えるではありませんか」
店主と思われる和装の男――夜影は、子猫と呼んだ幼女をかばうような視線を向ける。 視線の先にいた幼女は大きな目を見開き、凍り付いたように動かなくなっていた。 慌てた様子の美女が守るように幼女を抱きしめる。 その動きだけでフワリとした花の香りが凛とした鈴の音と共に広がる。
穏やかな景色。
彼らの現実。
案ずるように向けられた夜影の視線に、幼女はチラリと視線を合わせたが、すぐに幼女の視線は斉木へと向けられボソリと気持ちを言葉にした。
「怒っているの?」
「ぁ、いや、なんか……ごめん……」
そう言わないと、悪者になるような雰囲気に……俺は反射的に謝っていた。 そして、視線を外に向ける。
「ここは何処なんだ? 俺は部屋にいたはずなんだが?」
控えた声で男は言う。
帰って来た声は、幼女のもので質問への答えとは遠い言葉だった。
「ご注文は?」
口調は柔らかいのに、どこか機械仕掛けのように揺るぎない。
問いかけというより“定められた手順”を遂行しているようだった。
イラっとした気持ちを、周囲からの圧力で押さえ込まれていた。
なぜ、俺が我慢しなければいけないんだ? そんな風に理不尽にも感じたが、それでも、そこで不満をぶちまけるほどに横暴でもなければ、状況判断が出来ない訳でもない。
斉木が苛立ちを瞳に宿すのを見て、夜影は言う。
「ここは25時に迷い込んだ人が、ひととき休める喫茶店です。 ……不思議でしょう? ですが大丈夫ですよ。 皆、最初は同じようにそう言うのです。『部屋にいたはずなのに』って」
視線を優しく落とし、斉木の不安を撫でるように夜影が言う。
「安心してください。 ここでは誰もあなたを急かさない。 ただ座って、注文の品を口にすれば……きっと心がほどけていきます」
穏やかな微笑みを向けた夜影は続けるが、その言葉は斉木の表面を居心地悪く撫でるだけだった。
「ご注文を。あなたが“今いちばん欲しいもの”を、遠慮せずにおっしゃってください」
促されるままにメニューを開いた。
白紙のメニュー表に文字が浮かび上がる。
珈琲系
JavaBrew(Java+珈琲)
BeanStack(コーヒー豆とプログラミングのスタック)
CaffeineLoop(カフェイン×無限ループ)
紅茶系
RubyTea(Ruby言語+紅茶)
TeaQuery(SQLのクエリ)
SteepFunction(紅茶の抽出=関数の処理)
プリン系
SoftCompilePudding(柔らかくてコンパイルしやすいプリン)
SweetSyntax(甘くて文法的に正しいプリン)
BufferPudding(バッファみたいに口どけが溶けるプリン)
ホットケーキ系
StackCake(重ねたホットケーキ)
FluffyThread(ふわふわの生地)
HotLoopCake(ループのように重ねたホットケーキ)
苺ショート
StrawberryPatch(苺畑イメージ)
桃パフェ系
PeachProtocol(桃+プロトコル)
AsyncPeach(非同期処理+桃パフェ)
英語で書かれたメニューはお洒落なように見えて……少しばかり不快と不安を齊木にもたらした。 それでも、カフェインの無限ループ等、そんなものがあればきっと仕事中に役立つのにとか思い……そして、担当の言葉を思い出し、落ち込みと苛立ちが同時に襲って来る。
「ご注文は?」
幼女が、妙に機械めいた言い方で、返事をしなければひかないのだろう。 そんな感じがした。
……不意に何かが脳裏をよぎった……。
ほんの少し前に、香りと共に脳裏を刺激した郷愁。
「えっと、この桃のプロトコルを1つ」
「桃のぷりょことる」
幼女は言い切れない言葉に首を傾げていた。
「プロトコル、プロトコルだ。 もっかい言ってみようか?」
柔らかくからかうようなルイと、軽く肘で突く青嵐。
幼女が行儀悪くカウンターを乗り越え和装の青年夜影の元に行こうとすれば、夜影はそっと手を差し出し幼女の身体を受け止め持ち上げそしておろす。 ルイは、幼女が乗り越えようとするカウンターの足元にあった椅子が邪魔にならないようさりげなく退かしていた。 それを気にかける様子なく、傍により幼女の身体を支えながら夜影は幼女の声を聞こうと耳を幼女の口元へと近づけた。 耳元でささやかれる注文。
人々は、ふわりとした甘い空間を演出し、置かれた家具はチョコレートのように苦味を含んだ重厚さ、熱帯を思わせる観葉植物の数々、強烈な個性が主張しあっているはずが、奇妙に調和して見えた。
俺は、テーブルの上で頬杖をつき、店としては、顧客を無視してじゃれつく評価1が妥当な喫茶店の店員たちを眺めていた。
「なぁなぁ、夜影、今日はもう客も来ないようだし、ケーキ食べてもいいよな?」
ルイが言う。
「構いませんが、喧嘩しないで下さいね」
苦笑交じりに言いながらも夜影はパフェ用のグラスを出し、幼女は、きれいなガラスの器に積み重ねられたツルリとした表面が美しい桃とアイスを持ってくる。
「無理しないでくださいね」
仲睦まじい様子を見せつけられ……自分の孤独や戸惑いが馬鹿にされているようで不愉快だった。
赤い髪の……俺を助けてくれた男が、ガサツそうに見える姿とは裏腹に、繊細なしぐさで、作り置きのコーヒーをカップに入れていた。
俺――客の注文より、店員が先に食べるってどうなんだ?!
調和がそこにある。
異物としての自分を自覚すれば、不快感は増すばかり。
「早くしてくれませんかねぇ~。 俺も暇じゃないんだよ!! こんな訳の分からない所に連れてこられて」
そう言葉にした次の瞬間。
目の前にはパフェが置かれ、そこには幼女。
カウンターの奥にいる美女の口元にはクリームがついていて、ガラスに写る姿を見た彼女は口元を拭っていた。
「……糖分補給完了」
「ぇ!?桔梗姉さん? 今ケーキ食べてた!? 俺、少し目を離しただけだよね? もうなくなっているってどういうこと?」
「僕の分は?」
ルイと青嵐が騒ぎ出す。
「彼女は何時も密かに仕事を進めて行く。 当然栄養補充だってそうだ。 油断したルイが悪い」
「ぇ、なんで?!」
「栄養は大事です。解析・カフェの保護精度に影響しますから、この栄養補給は重要な仕事の一つです」
真顔のまま頬にクリームをつけて女性は語り、ルイは溜息と共に珈琲を飲み始めていた。
この馬鹿げた茶番劇のような景色は、早送りされたように時間が過ぎるかのようで……眩暈を覚えた斉木の視線は、目の前に置かれた桃パフェに集中する事で収まった。
そこは大正ロマン溢れる喫茶。
広い喫茶店の内部には、斉木以外の客はいない。
窓の外を眺めれば、重厚な木造家具とは違う荒廃した都市。
「俺は部屋にいたんだぞ!!」
傍にいたルイに掴みかからんばかりに詰め寄る斉木だが、胸倉をつかもうとする手は軽く避けられ、トンッと押されて傍にあった席に座らせられた。
「メニューだよ」
慌てた様子で少年、青嵐がメニューを渡す傍らで夜影が水を勧めた。
斉木は水を一気に飲み干す。
ほのかな桃の香り……と……遠い昔、走り回った祖母の庭の景色が脳裏をよぎった。
穏やかな日々。
何の苦労も無かった日々。
ただ、幸福の積み重ね……ではな……いか……夏休みの宿題、夏休みの終了と共に両親のもとに帰るのが嫌で泣きわめいた日々を思い出す。
『斉木みたいな奴って、オタクって言うんだろう?!』
ドンッとグラスをテーブルにたたきつけるように置こうとした。 それほどまでに思い浮かんだ思い出が鮮明すぎて捕らわれたのだ。
叩きつける前に、グラスが止まる。
ピクリとも動かず視線をあげれば、背の高い和装の装いの男が居た。
「そんな風にしては、グラスもテーブルも可哀そうですよ」
――優しげな微笑みと共に、穏やかに声が落ちる。 ほんの一瞬、目元から笑みが消え、冷たい影がのぞいた気がした……不思議に揺れる金の瞳をした男。
「うちの子猫ちゃんが、怯えるではありませんか」
店主と思われる和装の男――夜影は、子猫と呼んだ幼女をかばうような視線を向ける。 視線の先にいた幼女は大きな目を見開き、凍り付いたように動かなくなっていた。 慌てた様子の美女が守るように幼女を抱きしめる。 その動きだけでフワリとした花の香りが凛とした鈴の音と共に広がる。
穏やかな景色。
彼らの現実。
案ずるように向けられた夜影の視線に、幼女はチラリと視線を合わせたが、すぐに幼女の視線は斉木へと向けられボソリと気持ちを言葉にした。
「怒っているの?」
「ぁ、いや、なんか……ごめん……」
そう言わないと、悪者になるような雰囲気に……俺は反射的に謝っていた。 そして、視線を外に向ける。
「ここは何処なんだ? 俺は部屋にいたはずなんだが?」
控えた声で男は言う。
帰って来た声は、幼女のもので質問への答えとは遠い言葉だった。
「ご注文は?」
口調は柔らかいのに、どこか機械仕掛けのように揺るぎない。
問いかけというより“定められた手順”を遂行しているようだった。
イラっとした気持ちを、周囲からの圧力で押さえ込まれていた。
なぜ、俺が我慢しなければいけないんだ? そんな風に理不尽にも感じたが、それでも、そこで不満をぶちまけるほどに横暴でもなければ、状況判断が出来ない訳でもない。
斉木が苛立ちを瞳に宿すのを見て、夜影は言う。
「ここは25時に迷い込んだ人が、ひととき休める喫茶店です。 ……不思議でしょう? ですが大丈夫ですよ。 皆、最初は同じようにそう言うのです。『部屋にいたはずなのに』って」
視線を優しく落とし、斉木の不安を撫でるように夜影が言う。
「安心してください。 ここでは誰もあなたを急かさない。 ただ座って、注文の品を口にすれば……きっと心がほどけていきます」
穏やかな微笑みを向けた夜影は続けるが、その言葉は斉木の表面を居心地悪く撫でるだけだった。
「ご注文を。あなたが“今いちばん欲しいもの”を、遠慮せずにおっしゃってください」
促されるままにメニューを開いた。
白紙のメニュー表に文字が浮かび上がる。
珈琲系
JavaBrew(Java+珈琲)
BeanStack(コーヒー豆とプログラミングのスタック)
CaffeineLoop(カフェイン×無限ループ)
紅茶系
RubyTea(Ruby言語+紅茶)
TeaQuery(SQLのクエリ)
SteepFunction(紅茶の抽出=関数の処理)
プリン系
SoftCompilePudding(柔らかくてコンパイルしやすいプリン)
SweetSyntax(甘くて文法的に正しいプリン)
BufferPudding(バッファみたいに口どけが溶けるプリン)
ホットケーキ系
StackCake(重ねたホットケーキ)
FluffyThread(ふわふわの生地)
HotLoopCake(ループのように重ねたホットケーキ)
苺ショート
StrawberryPatch(苺畑イメージ)
桃パフェ系
PeachProtocol(桃+プロトコル)
AsyncPeach(非同期処理+桃パフェ)
英語で書かれたメニューはお洒落なように見えて……少しばかり不快と不安を齊木にもたらした。 それでも、カフェインの無限ループ等、そんなものがあればきっと仕事中に役立つのにとか思い……そして、担当の言葉を思い出し、落ち込みと苛立ちが同時に襲って来る。
「ご注文は?」
幼女が、妙に機械めいた言い方で、返事をしなければひかないのだろう。 そんな感じがした。
……不意に何かが脳裏をよぎった……。
ほんの少し前に、香りと共に脳裏を刺激した郷愁。
「えっと、この桃のプロトコルを1つ」
「桃のぷりょことる」
幼女は言い切れない言葉に首を傾げていた。
「プロトコル、プロトコルだ。 もっかい言ってみようか?」
柔らかくからかうようなルイと、軽く肘で突く青嵐。
幼女が行儀悪くカウンターを乗り越え和装の青年夜影の元に行こうとすれば、夜影はそっと手を差し出し幼女の身体を受け止め持ち上げそしておろす。 ルイは、幼女が乗り越えようとするカウンターの足元にあった椅子が邪魔にならないようさりげなく退かしていた。 それを気にかける様子なく、傍により幼女の身体を支えながら夜影は幼女の声を聞こうと耳を幼女の口元へと近づけた。 耳元でささやかれる注文。
人々は、ふわりとした甘い空間を演出し、置かれた家具はチョコレートのように苦味を含んだ重厚さ、熱帯を思わせる観葉植物の数々、強烈な個性が主張しあっているはずが、奇妙に調和して見えた。
俺は、テーブルの上で頬杖をつき、店としては、顧客を無視してじゃれつく評価1が妥当な喫茶店の店員たちを眺めていた。
「なぁなぁ、夜影、今日はもう客も来ないようだし、ケーキ食べてもいいよな?」
ルイが言う。
「構いませんが、喧嘩しないで下さいね」
苦笑交じりに言いながらも夜影はパフェ用のグラスを出し、幼女は、きれいなガラスの器に積み重ねられたツルリとした表面が美しい桃とアイスを持ってくる。
「無理しないでくださいね」
仲睦まじい様子を見せつけられ……自分の孤独や戸惑いが馬鹿にされているようで不愉快だった。
赤い髪の……俺を助けてくれた男が、ガサツそうに見える姿とは裏腹に、繊細なしぐさで、作り置きのコーヒーをカップに入れていた。
俺――客の注文より、店員が先に食べるってどうなんだ?!
調和がそこにある。
異物としての自分を自覚すれば、不快感は増すばかり。
「早くしてくれませんかねぇ~。 俺も暇じゃないんだよ!! こんな訳の分からない所に連れてこられて」
そう言葉にした次の瞬間。
目の前にはパフェが置かれ、そこには幼女。
カウンターの奥にいる美女の口元にはクリームがついていて、ガラスに写る姿を見た彼女は口元を拭っていた。
「……糖分補給完了」
「ぇ!?桔梗姉さん? 今ケーキ食べてた!? 俺、少し目を離しただけだよね? もうなくなっているってどういうこと?」
「僕の分は?」
ルイと青嵐が騒ぎ出す。
「彼女は何時も密かに仕事を進めて行く。 当然栄養補充だってそうだ。 油断したルイが悪い」
「ぇ、なんで?!」
「栄養は大事です。解析・カフェの保護精度に影響しますから、この栄養補給は重要な仕事の一つです」
真顔のまま頬にクリームをつけて女性は語り、ルイは溜息と共に珈琲を飲み始めていた。
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