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2章 7年後
13.平和な生活の平和な悩み
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そして、バウスコールを出て7年が経過していた。
「金、金が欲しい……」
ジャガイモの皮を剥きながら私は呻くようにつぶやく。
「私だってお金は欲しいですよ」
「贅沢ですよルシェさん。 私達は飢える事も、凍える事もなく生きて生けるんですから」
同僚とも言える娘達は、昼食時に出た大量の洗い物をしながら突っ込みを入れてくる。
「そりゃぁ、衣食住には困らないのだけど、子供を育てるとなると……もっと、こう、金を稼ぎたい。 あの子に金をつぎ込みたい!!」
あははっははと周囲から笑い声があがる。
私は話をしながらも、水魔術と風魔術を器用に使いながらジャガイモを洗い、そしてジャガイモの皮を風魔術でしゅるしゅると剥いていた。 魔術等と言うのは使わなければ使えなくなるような代物で、調理場での仕事は一石二鳥と私にはあっていた。
「まぁ、分かりますよ」
娘達が頷いた。
「今度、服を作らせてくださいよ。 ルシェさん、子供はすぐに大きくなるからって、何時もサイズの合わない大きな服ばかり着せているんですから。 どうせ、ヤンチャして大きくなる前に着れなくなる訳だし? たまには可愛く着飾らせましょうよ」
「顔は、顔は、大人しいのに、なぜ、あの子は、あんなに動き回るんでしょう。 全く誰に似たのか……」
それは親では? と周囲の視線が語るが、自覚のないルシェに通じるはずはない。
「まぁまぁ、してはダメと言えば1度で覚えてくれるんですから、賢いですよ」
はぁ……と溜息をつくと同時に、皮を剥き終わった数十のジャガイモが空中で、ザンッと切り刻まれ、樽の中に落下していった。
「うわぁあ……」
新しく下働きになった娘達が、下ごしらえの終わった野菜を取ってこいと言われたらしく、その調理過程に口を大きく広げてボーゼンとしていた。
「凄いですね……」
「流石に、王族の方々にお出しする料理には使えない手段ですけどね」
ルシェが言う。
料理長曰く、魔術調理は誠意と愛情がない分、味が劣るそうだ。 事実は定かではないが、それでも王族に出す料理でなければと認めて貰っている。 まぁ、私1人で10人分の働きをするのだから、王城に勤める者全員の食事を準備する調理部としては、認めずにいられないと言うところだろう。
「そういえば、リック君。 皇子と盗み食いに来ていましたよ」
リックとは、私の可愛い可愛い息子だ。
「また、あの子は立場をわきまえなさいと言っているのに」
続ける言葉が思い浮かばず言葉を止めた。 10カ月ほど同じ乳を吸い育った2人は仲がいい。 が、王族と庶民の子、余り仲良くするのも良いものではない。
「仕方ありませんよ。 何しろリック君は皇子の初恋の相手なんだから」
両方とも男児であるが……うちの子10人中10人が女児と勘違いする美幼女と化している。 皇子の幼い令嬢達への態度が、問題視されており、正直言えば私の立場も危うい状態だ。
「くそっ……。 私が仕事を首になったらどうしてくれる」
「まぁ、リック君は、いい子だし……多分平気ですよ。 可愛いし、愛されているし、何しろ愛おしい!!」
なんて同僚は言ってくれるけど、皇子の教育を考えれば、うちの子は邪魔以外の何物でもない。
「お金が、欲しい……」
「また、それですか? 誰だって欲しいですよ」
「出来るなら、あの子に色々と学ぶ機会を与えたいんですよね。 皇子の性癖を歪めず、ここで勤め続けることが出来ても、あの子の未来は調理場の下仕事だし」
私の場合、幸運が上手く働き、後ろ盾も無しに王宮勤めになったが、一般的な子供は特別な環境で学ぶ機会等は与えられず、親の仕事を手伝い、その技術を身に着け、親と同じ職につくものだ。
「う~ん、料理人の人達にも可愛がられているし、料理人ぐらいは目指せるんじゃない?」
「この間、騎士団の人達に剣の使い方を習っているのを見たよ」
「あら、私は司書の膝の上で本を読んでもらっているのを見たわ」
「私は、暴れる殿下の首根っこをひっつかみ、教師に引き渡しついでに勉強を学んでいるのを見たけど……」
「……何をしているんだ。 あの子は……」
正直、父親の顔面を写し取ったかのような顔と、黄金の髪、私に似ているところと言えば、緑の瞳と、学習欲の強さだろうか?
「注意をしないとなぁ……うちの子可愛すぎるし」
幼児愛好家の変態親父(貴族)が、変な目で見ているのは、結構有名な話だ。 まぁ、殿下の寵愛を得ているため下手に手出しはしないでしょうけど。
「誘拐されないように注意をしておかないと」
「賢い子だから大丈夫でしょう」
「賢いから心配なのよ。 余計な事に顔を突っ込まないか。 アンタが誘拐された日には、誘拐した変態親父(貴族)がズタボロになると、改めて脅しておかないと……うふふふふふふ」
「怖い、怖い……」
まぁ、そんな感じで平和な日々を私達は送っていた。
「金、金が欲しい……」
ジャガイモの皮を剥きながら私は呻くようにつぶやく。
「私だってお金は欲しいですよ」
「贅沢ですよルシェさん。 私達は飢える事も、凍える事もなく生きて生けるんですから」
同僚とも言える娘達は、昼食時に出た大量の洗い物をしながら突っ込みを入れてくる。
「そりゃぁ、衣食住には困らないのだけど、子供を育てるとなると……もっと、こう、金を稼ぎたい。 あの子に金をつぎ込みたい!!」
あははっははと周囲から笑い声があがる。
私は話をしながらも、水魔術と風魔術を器用に使いながらジャガイモを洗い、そしてジャガイモの皮を風魔術でしゅるしゅると剥いていた。 魔術等と言うのは使わなければ使えなくなるような代物で、調理場での仕事は一石二鳥と私にはあっていた。
「まぁ、分かりますよ」
娘達が頷いた。
「今度、服を作らせてくださいよ。 ルシェさん、子供はすぐに大きくなるからって、何時もサイズの合わない大きな服ばかり着せているんですから。 どうせ、ヤンチャして大きくなる前に着れなくなる訳だし? たまには可愛く着飾らせましょうよ」
「顔は、顔は、大人しいのに、なぜ、あの子は、あんなに動き回るんでしょう。 全く誰に似たのか……」
それは親では? と周囲の視線が語るが、自覚のないルシェに通じるはずはない。
「まぁまぁ、してはダメと言えば1度で覚えてくれるんですから、賢いですよ」
はぁ……と溜息をつくと同時に、皮を剥き終わった数十のジャガイモが空中で、ザンッと切り刻まれ、樽の中に落下していった。
「うわぁあ……」
新しく下働きになった娘達が、下ごしらえの終わった野菜を取ってこいと言われたらしく、その調理過程に口を大きく広げてボーゼンとしていた。
「凄いですね……」
「流石に、王族の方々にお出しする料理には使えない手段ですけどね」
ルシェが言う。
料理長曰く、魔術調理は誠意と愛情がない分、味が劣るそうだ。 事実は定かではないが、それでも王族に出す料理でなければと認めて貰っている。 まぁ、私1人で10人分の働きをするのだから、王城に勤める者全員の食事を準備する調理部としては、認めずにいられないと言うところだろう。
「そういえば、リック君。 皇子と盗み食いに来ていましたよ」
リックとは、私の可愛い可愛い息子だ。
「また、あの子は立場をわきまえなさいと言っているのに」
続ける言葉が思い浮かばず言葉を止めた。 10カ月ほど同じ乳を吸い育った2人は仲がいい。 が、王族と庶民の子、余り仲良くするのも良いものではない。
「仕方ありませんよ。 何しろリック君は皇子の初恋の相手なんだから」
両方とも男児であるが……うちの子10人中10人が女児と勘違いする美幼女と化している。 皇子の幼い令嬢達への態度が、問題視されており、正直言えば私の立場も危うい状態だ。
「くそっ……。 私が仕事を首になったらどうしてくれる」
「まぁ、リック君は、いい子だし……多分平気ですよ。 可愛いし、愛されているし、何しろ愛おしい!!」
なんて同僚は言ってくれるけど、皇子の教育を考えれば、うちの子は邪魔以外の何物でもない。
「お金が、欲しい……」
「また、それですか? 誰だって欲しいですよ」
「出来るなら、あの子に色々と学ぶ機会を与えたいんですよね。 皇子の性癖を歪めず、ここで勤め続けることが出来ても、あの子の未来は調理場の下仕事だし」
私の場合、幸運が上手く働き、後ろ盾も無しに王宮勤めになったが、一般的な子供は特別な環境で学ぶ機会等は与えられず、親の仕事を手伝い、その技術を身に着け、親と同じ職につくものだ。
「う~ん、料理人の人達にも可愛がられているし、料理人ぐらいは目指せるんじゃない?」
「この間、騎士団の人達に剣の使い方を習っているのを見たよ」
「あら、私は司書の膝の上で本を読んでもらっているのを見たわ」
「私は、暴れる殿下の首根っこをひっつかみ、教師に引き渡しついでに勉強を学んでいるのを見たけど……」
「……何をしているんだ。 あの子は……」
正直、父親の顔面を写し取ったかのような顔と、黄金の髪、私に似ているところと言えば、緑の瞳と、学習欲の強さだろうか?
「注意をしないとなぁ……うちの子可愛すぎるし」
幼児愛好家の変態親父(貴族)が、変な目で見ているのは、結構有名な話だ。 まぁ、殿下の寵愛を得ているため下手に手出しはしないでしょうけど。
「誘拐されないように注意をしておかないと」
「賢い子だから大丈夫でしょう」
「賢いから心配なのよ。 余計な事に顔を突っ込まないか。 アンタが誘拐された日には、誘拐した変態親父(貴族)がズタボロになると、改めて脅しておかないと……うふふふふふふ」
「怖い、怖い……」
まぁ、そんな感じで平和な日々を私達は送っていた。
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