【R18】親の因果が子に報い【完結】

迷い人

文字の大きさ
18 / 50
03.快楽都市『デショワ』

18.それは私の憶測で…… 03

 手を……触れられた……。
 ユックリと指が絡められる。

 手の感触は、自分とは全然違うものだった。

 差し出した手を包み込むように触れる手と指。 ドキッとして……手を引こうとすれば、そのまま掴まれて引き寄せられ……指に……男の唇が触れた。

「えっと……あの……な、何?」

 顔が熱い……。

 今まで男性に触れた事が無いなんて事は流石に言わないけれど、それでも、今まで触れた相手と言うと、馬での移動でケヴィンが私をケアしてくれていたり、落ち込んだ時に撫でてくれていたり……。 ケヴィン以外はなっ……く、は、ない? 記憶を紐解けば、ユーグは何時だって私に触れようとしていたなぁと思い出していた。

 何時も側にいてくれるケヴィンを好きだって思っていたけれど、こんなにドキドキしたことは無かったかもしれない。

 鼓動が早くなる

「……手を離してもらえますか?」

「なぜ? 俺は抱くつもりで、金を出したんだが?」

 そう言って意地悪く笑われれば、どうすればいいのか分からなくなって、連れの茶髪の男へと視線を向ければ、肩を竦め首を横に振って見せるだけ。

「でも……」

「なんだ? そのお勧め婚約者に操を立てているって?」

 テーブルを挟んで向かい合う位置にいたのに、気づけば黒髪の男は横にいて……唇が触れるのでは? と言うほどに側にいて……。 私は慌てて顔を背けた。

「そ、そういう訳ではないんですけど……」

 慌てたままで言えば、黒髪の男は何故かフリーズして黙り込んだ。 ソレはどういう現象なのだろうか? そんな風に思った私は茶髪の男に視線を向ける。

「気にしないで下さい。 彼は少しばかり厄介な神の加護を得てしまって……まぁ、おかしな言動はその副作用だと思って下さい」

「えっと……大丈夫ですか?」

 顔を覗き込むように言えば、両手を広げソファーの背もたれに腕を乗せていた。 それは、私には触れていないのに、なんとなく肩をだかれているような感じがして居心地が悪い。 もそもそと距離をとり逃げるようにモソモソ移動すれば、肩が掴まれ抱き寄せられた。

「ちょっ、急に何を」

「なぁ、ここの店主は、アンタを売る気はないって言った」

「うん、まぁ……そうでしょうね」

「わかってたのか?」

「私は、私の他に27人の見目の良い男女と共にこの都市に来たの。 その人達がどうしているかは分からないけれど、きっと私ほどの待遇を受けている人はいないはず。 どうしてか? ソレは誰にアピールをするためか? そう考えれば、私を誰かに売るつもりがないような気がする。 だからと言って、他の27人と一緒に運ばれた時、店主が私に手を出そうとした……。 だから、店主の意志と、命じた者の意志は別にある。 店主が私に嫌な事をしたのはその時だけですし。 私を利用して金を稼ごうともしないなら、ここの店主は私の利用価値を理解していない。 理解はしていないけれど、理解している者に命じられている。 だから、大まかと言うか乱暴な考えだけど、私はただここに保護されているだけ」

「だが、店主は、白金貨10枚を受け取った」

「そこには、私が誰かに抱かれる事を望んでいる人が多いと言う事……なのかもしれない」

「へぇ? どういうの?」

 そういいながら、私に顔を寄せて来た男は……私の匂いを嗅ぐ。

「な、に?」

「もっと……甘ったるい匂いがするんだと思ってた」

「そんな風に見える?」

「いや、見えない。 で、複数の意志って?」

「1人目、私を惨めで薄汚れた浮浪者に売りつけたい人。 2人目、とりあえず貴族の正妻に収まる事を回避したい人。 3人目、私を保護したと言う立場をとり、お勧め婚約者が正式な婚約者を得るまで私を……保護しようと言う人。 4人目、良く分からないから普通に金儲けにつかいたい」

「なるほど、5人目もつけくわえておいてくれ」

「何?」

「このまま連れて逃げたい人」

 ソファの背もたれを抱いていた腕と手が、私の背に回り、肩に触れていた。 指先で剥き出しの肩を弄ぶように触れてくる。

「くすぐったいわ」

「それぐらい、大したことないだろう? 多分、お前を欲しくて、金を出してもいいって連中の中では、俺はかなりマシな方だと思うんだが?」

 耳にささやくように言われるのは、脅しか? それとも挑発か?

「でも」

「でも、何?」

「なんかヤダ。 気持ち悪い……し、なんか、怖い」

 また、僅かな停止が見られた。

「……えっと、ソレは俺が気持ち悪いって言われた訳?」

「ぇ、やっ、そうじゃなくって……。 その、お勧め婚約者の産みの親が、所かまわず発情していて、ソレを見せつけられていて……なんか、ヤダまって……」

「うん、まぁ、アレだ……。 なんか、諸悪の根源って気がする。 先に始末しようか?」

 何故か、とっても爽やかに言った黒髪の男。 そして、両手でカップを持ち、お茶を飲んでいた茶髪の男はむせかえっていた。

「体調が悪いなら、帰って休めばどうだ?」

「……そう、ですね。 疲れたので、休ませてもらいますよ」

 帰ってなんて言うから、どこかにいくのかな? そう思っていたけど茶髪の男は、ソファにゴロンと転がった。

 まぁ、白金貨1日1枚と言って手渡したなら、決して広くないこの建物全部を貸切ったところで問題はないだろう(連れてこられた他の27人は、同オーナーの別店舗にタイプごとに割り振られ、時に雑用係として取り上げていた)。

「貴方は眠くないの?」

「眠気より食い気かなぁ……」

「何か準備するように頼みましょうか? ここの料理人は結構おいしいご飯を作るのよ」

「へぇ、アンタが居た貴族の家の料理とどっちがうまい?」

「それは……こっちだよって言いたいけど、本気に知らないの。 私がその貴族の家に行った頃は、もう愛妾が幅を利かせていて、食事も服も使用人程度のものしか与えられていなかったんだから」

「なんか……苦労していたんだな。 でも、ソレはソレ、コレはコレ」

「それは、もうわかったわよ。 だから何よ」

 何かって……別に分からない訳ではない。 むしろココはそういう場所で、彼はそういうのを目的にしていて……ソレしかない。

 はぁ、大きな呼吸と共に触れているようで触れていないハグがされた。

「ぇ、っと、あの……」

「悪いが、そろそろ、色々と無理……だ」

 男の手が私の頬に触れていた。 唇はさけ、私の顔にキスをし、舌を這わせる。

「入れないし、痛い事はしないし、恥ずかしくないようにする。 だから、俺にアンタを食わせて」

 気づけば、どこかで見たことがあるような気がする瞳の色は、熱を帯びたように潤んでいたような気がした。

「その……そうしないと、仕方が無いんですよね?」

「まぁ、そういう事。 放置すると残虐性が増して、最悪な結果になる」

 今ならまだ楽だよって感じで、脅されているような気がした。

 言っている事は無茶苦茶、だけど……これほど、私を理解してくれる人はいないだろう。 そんな気がして……ただ、そんな勘がして、私は頷いて見せた。



 ここにいれば、誰かに抱かれる。
 なら……彼がいい……。
 話を、私の事情を聴いて、理解してくれていた彼以上の人はいないだろう。

 多分……。

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

愛を知った私は、もう二度と跪きません

阿里
恋愛
泥だらけのドレス、冷え切った食事、終わりのない書類仕事。 家族のために尽くしてきたエカテリーナに返されたのは、あまりにも残酷な追放宣告だった。 「呪われた男にでも喰われてこい」 そう笑って送り出した彼らは知らなかった。辺境伯ゼノスが、誰よりも強く、美しく、そして執着心が強い男だということを。 彼の手によって「価値ある女」へと生まれ変わったエカテリーナ。 その輝きに目が眩み、後悔して這いつくばる元家族たち。 「エカテリーナ様、どうかお助けを!」 かつて私を虐げた人たちの悲鳴を聞きながら、私は最愛の夫の腕の中で、静かに微笑む。

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!