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34.王様だって弱る時はある
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向かい合いイチャイチャしていた状態から、ヒューバートは突然にリエルを持ちあげ、同じ方向に向かうように膝の上に座らせた。
「さて、話してもらおうか?」
リエルの身体を背中から包み込むように抱きしめたヒューバートは少しばかり脅すかのような口ぶりで耳元に囁いた。 ささやかなお茶目、その程度に考えていたのだが、リエルと言えばビクッと怯えたように身体を震わせ固まってしまった。
何かあったのかと、一旦身体を放すがリエルは停止したままで……。
「陛下、今のセリフと現状も記載しておきますか」
記録係が困ったようにたずねる。
「……いや、あ~~~、後でチェックするから、今はそのままで」
そういいながらリエルと視線を合わせられるように、向きを変えてみれば、リエルが睨みつけてきた。
まぁ、凍り付かれているよりはいい。
「よし、動いたな。 じゃぁ、次は左回しに」
「ち、がう、からぁああ!!」
ヒューバートはホッとし笑った。 いや、安堵させるようにリエルの濡れた額と髪に手を伸ばし撫で、頬を撫で、優しく問いかける。
「どうした?」
オロオロとするゼルの気配を心の片隅でヒューバートは感じ取る。 それは、小さな子供がカクレンボしているようで微笑ましく思えた。
心の中で呼びかける。
どうした?
言葉と心、ヒューバートには2人同時で聞いていた。
躊躇うリエル。
躊躇うゼル。
そしてヒューバートは笑い問いかける。
かわるかゼル?
即座に返される言葉。
私には無理だ。
切なそうなゼルの声が聞こえれば、ヒューバートは他者を思う事が出来るようになったゼルの変化を喜び、うつむきほくそ笑んだ。
「何がオカシイのよ」
目の前で、リエルが拗ねたように怒っており、ヒューバートは今度こそちゃんと笑って頭を撫でた。 指先で濡れた肌に触れ、髪に触れ、啄むように口づける。 その行為にリエルは抵抗する様子はなく、誘拐される前よりもずっと気を許しているように思えた。
「抱きしめられるのは嫌か?」
「嫌……ではなくて、怖い」
「怖い? 別に抱き潰したりはせんよ」
「出来るんだ」
気まずい状況を和ませようとしているのが分かった。
ヒューバートはリエルの腰部分を掴み撫で、細い体に触れたまま腋へと手を移動させれば、くすぐったそうに身をよじり逃げようとする。 手を触れているだけなのに逃れる事が出来ないリエルは、じたばたと抵抗して見せた。
「ふむ、まぁ、リエル程度なら余裕で潰せるな」
ニッコリと微笑みながら言えば、ゲンナリとした顔を向けられた。
「王様嫌い!!」
「だから、しないって。 こんなにも知識に溢れ、無知で可愛らしくて愛しい子を殺す訳ないだろう」
少しばかり言い方が生々しかったか? と思ったが、リエルは複雑な表情を演じながら照れていた。
いいんだ……。
ヒューバートは笑いながら、抱き寄せ口づける。 軽く触れる程度では恐れないのだとホッとした。 ホッとする反面、何を怖がっているのかがなんとなく想像ついて痛ましく思えてしまう。
神の水の中に放り込まれていた。 もし、ソレが只人であれば即座に獣化、いや魔物化し、神の威光に消し炭となっただろう。 その事実を知らなくとも、そんな危険な中にいたなら恐怖を感じて当然である。
「そうか、恐ろしかったんだな……まぁ、当然か。 救ってくれと放り込まれた先が、神の懐、力溜まり。 よく頑張った」
「わ、私には、神の力は効かないから」
神の力は効かなくても、神が神力しか使えないとしても、それでも他の者達に魔法を使わせたなら、物理でリエルを征服したなら、リエルはアッサリとその生を終えただろう。 その可能性は言葉にしたくない。 記録係が信用できると分かっていても言葉にしたくはなかった。
「それでも、怖くないはずはない。 よく頑張った。 戻ってきてくれて嬉しいよ。 耐えてくれてありがとう」
様子がおかしかったのも合点が言った。
甘えたように無知を気取り、心を閉ざし守っていたのだろう。
リエルの心を察するように甘く囁けば、リエルは幼い子供のように泣きだし、ヒューバートは優しく抱きしめる。
「怖いか?」
耳元に優しく問えば、泣きながらリエルは言う。
「王様は平気! 王様は怖くない!!」
「ソレは良かった」
ヒューバートは、繰り返し囁きながら、泣く子の背中を撫であやす。
「もう、どこにも行くなよ。 余り遠くに行かれると守れないから」
「うん」
抱き着くように細い腕が首に回され、その背を、身体をシッカリと抱きしめた。 風呂場で興奮状態なリエルはやがて湯にのぼせてしまうのだった。
本日2度目の召喚に医師達は呆れ怒る。
「子供相手なのですから、陛下が気を付けて下さらないと!!」
「はいはい、以後気を付けます」
おざなりに返事をしながら、ヒューバートは苦笑し考える。
「そういえば、何故……アレが神力を消されてまでリエルにあんな事をしていたのか、聞き忘れたな」
ボソリと呟けば、冷えたタオルで冷やされていたリエルがボソリと呟いた。
「私が、彼の核である金魚を身の内に隠してしまったから……彼? 彼女? が、この世界で形を保つためには金魚を身体の中に隠している私が必要だったの」
「へぇ……」
興味ないふりをするのは心が揺れたから。 医師達は気を利かせて席を外した。
「……その金魚とは、何か話を?」
リエルは首を横に振るう。
「ずっと、殺してって囁くだけだったよ」
「そうか……大変だったな」
言葉がおざなりになり、乱れる心の中で自嘲する。
「王様、彼女は自我を失くしてはいたけれど、王様に会って嬉しそうだった。 ずっと殺してって泣いていたけど、嬉しそうだったんだ」
「うん、そうか……ありがとうな。 リエル……」
「なに?」
「慰めてくれるか?」
ふざけた様子で言えば、わずかに悩んだリエルはフラリと頼りない足取りで、ヒューバートに近寄り、そして小さな両腕で抱きしめてくれた。
「ありがとう」
ヒューバートはリエルを抱き上げ、甘えるように小さな体を抱きしめた。
「さて、話してもらおうか?」
リエルの身体を背中から包み込むように抱きしめたヒューバートは少しばかり脅すかのような口ぶりで耳元に囁いた。 ささやかなお茶目、その程度に考えていたのだが、リエルと言えばビクッと怯えたように身体を震わせ固まってしまった。
何かあったのかと、一旦身体を放すがリエルは停止したままで……。
「陛下、今のセリフと現状も記載しておきますか」
記録係が困ったようにたずねる。
「……いや、あ~~~、後でチェックするから、今はそのままで」
そういいながらリエルと視線を合わせられるように、向きを変えてみれば、リエルが睨みつけてきた。
まぁ、凍り付かれているよりはいい。
「よし、動いたな。 じゃぁ、次は左回しに」
「ち、がう、からぁああ!!」
ヒューバートはホッとし笑った。 いや、安堵させるようにリエルの濡れた額と髪に手を伸ばし撫で、頬を撫で、優しく問いかける。
「どうした?」
オロオロとするゼルの気配を心の片隅でヒューバートは感じ取る。 それは、小さな子供がカクレンボしているようで微笑ましく思えた。
心の中で呼びかける。
どうした?
言葉と心、ヒューバートには2人同時で聞いていた。
躊躇うリエル。
躊躇うゼル。
そしてヒューバートは笑い問いかける。
かわるかゼル?
即座に返される言葉。
私には無理だ。
切なそうなゼルの声が聞こえれば、ヒューバートは他者を思う事が出来るようになったゼルの変化を喜び、うつむきほくそ笑んだ。
「何がオカシイのよ」
目の前で、リエルが拗ねたように怒っており、ヒューバートは今度こそちゃんと笑って頭を撫でた。 指先で濡れた肌に触れ、髪に触れ、啄むように口づける。 その行為にリエルは抵抗する様子はなく、誘拐される前よりもずっと気を許しているように思えた。
「抱きしめられるのは嫌か?」
「嫌……ではなくて、怖い」
「怖い? 別に抱き潰したりはせんよ」
「出来るんだ」
気まずい状況を和ませようとしているのが分かった。
ヒューバートはリエルの腰部分を掴み撫で、細い体に触れたまま腋へと手を移動させれば、くすぐったそうに身をよじり逃げようとする。 手を触れているだけなのに逃れる事が出来ないリエルは、じたばたと抵抗して見せた。
「ふむ、まぁ、リエル程度なら余裕で潰せるな」
ニッコリと微笑みながら言えば、ゲンナリとした顔を向けられた。
「王様嫌い!!」
「だから、しないって。 こんなにも知識に溢れ、無知で可愛らしくて愛しい子を殺す訳ないだろう」
少しばかり言い方が生々しかったか? と思ったが、リエルは複雑な表情を演じながら照れていた。
いいんだ……。
ヒューバートは笑いながら、抱き寄せ口づける。 軽く触れる程度では恐れないのだとホッとした。 ホッとする反面、何を怖がっているのかがなんとなく想像ついて痛ましく思えてしまう。
神の水の中に放り込まれていた。 もし、ソレが只人であれば即座に獣化、いや魔物化し、神の威光に消し炭となっただろう。 その事実を知らなくとも、そんな危険な中にいたなら恐怖を感じて当然である。
「そうか、恐ろしかったんだな……まぁ、当然か。 救ってくれと放り込まれた先が、神の懐、力溜まり。 よく頑張った」
「わ、私には、神の力は効かないから」
神の力は効かなくても、神が神力しか使えないとしても、それでも他の者達に魔法を使わせたなら、物理でリエルを征服したなら、リエルはアッサリとその生を終えただろう。 その可能性は言葉にしたくない。 記録係が信用できると分かっていても言葉にしたくはなかった。
「それでも、怖くないはずはない。 よく頑張った。 戻ってきてくれて嬉しいよ。 耐えてくれてありがとう」
様子がおかしかったのも合点が言った。
甘えたように無知を気取り、心を閉ざし守っていたのだろう。
リエルの心を察するように甘く囁けば、リエルは幼い子供のように泣きだし、ヒューバートは優しく抱きしめる。
「怖いか?」
耳元に優しく問えば、泣きながらリエルは言う。
「王様は平気! 王様は怖くない!!」
「ソレは良かった」
ヒューバートは、繰り返し囁きながら、泣く子の背中を撫であやす。
「もう、どこにも行くなよ。 余り遠くに行かれると守れないから」
「うん」
抱き着くように細い腕が首に回され、その背を、身体をシッカリと抱きしめた。 風呂場で興奮状態なリエルはやがて湯にのぼせてしまうのだった。
本日2度目の召喚に医師達は呆れ怒る。
「子供相手なのですから、陛下が気を付けて下さらないと!!」
「はいはい、以後気を付けます」
おざなりに返事をしながら、ヒューバートは苦笑し考える。
「そういえば、何故……アレが神力を消されてまでリエルにあんな事をしていたのか、聞き忘れたな」
ボソリと呟けば、冷えたタオルで冷やされていたリエルがボソリと呟いた。
「私が、彼の核である金魚を身の内に隠してしまったから……彼? 彼女? が、この世界で形を保つためには金魚を身体の中に隠している私が必要だったの」
「へぇ……」
興味ないふりをするのは心が揺れたから。 医師達は気を利かせて席を外した。
「……その金魚とは、何か話を?」
リエルは首を横に振るう。
「ずっと、殺してって囁くだけだったよ」
「そうか……大変だったな」
言葉がおざなりになり、乱れる心の中で自嘲する。
「王様、彼女は自我を失くしてはいたけれど、王様に会って嬉しそうだった。 ずっと殺してって泣いていたけど、嬉しそうだったんだ」
「うん、そうか……ありがとうな。 リエル……」
「なに?」
「慰めてくれるか?」
ふざけた様子で言えば、わずかに悩んだリエルはフラリと頼りない足取りで、ヒューバートに近寄り、そして小さな両腕で抱きしめてくれた。
「ありがとう」
ヒューバートはリエルを抱き上げ、甘えるように小さな体を抱きしめた。
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