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後編
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ボタンが外されれば、滑らかな薄布の下着と透ける肌が露わになる。
薄布の感触を確かめ、楽しむように、胸元から腹部にかけて、指と掌で撫で触れた。
「ぁっ……」
身体が震え身を捩り、私は羞恥に顔を背ける。
「逃がしません。 あぁ……違います」
ティス様は僅かな間を持ち言い直す。
「仕事は止めても構いません。 ですが、私から逃げる事は許しませんよ」
「側にいる事を許してくれなかった癖に、今更」
甘い嘆きは、喉を掠れ囁くように零れ出る。
早くなる鼓動。
体温が上がる身体。
甘い疼き。
うまく、嘘がつけない……。
「すみません……。 もしかして、寂しく思ってくれていたのですか?」
嬉しそうな問いかけに……私は視線を背けたまま頷いた。
「それは……配慮にかけていました。 申し訳ありません」
謝罪は軽く、彼自身の表情は嬉しそうに、目元が甘く笑みを作っている。
怒りの色はもう見る事は出来ない。
ティス様は嬉しそうに、私の顔を自分の方へと向けさせ幼い子にするように額に唇を落とし、優しく髪を撫でてくれた。 猫が飼い主の手を求めのは、きっとこんな感じなのだろうと、そんなふうに思う心地よさ。 私は大きく温かで無骨な手に頬を摺り寄せる。
あぁ……ダメ……。
一時の思いに流されては……。
私は、醜くて……そんな私を知られたくないのだから。
「仕事を止めないと言えば、離してもらえますか?」
そっと、怯え、伺うように尋ねた。
何時もと様子が違うから……。
「私の思いを分かっていただくまでは……」
でも、抑えられていた両手が離された。
代わりに馬乗りになり押さえ込むように、私の太腿がティス様の両足に挟まれ抑え込まれる。
「な、にを……」
「お互いの理解を深めるのに、良い機会ですから。 逃がしませんよ」
ティス様は、スルリと自身のネクタイを解き、襟首のボタンを解いた。
迷いのない動き。
緩めたシャツから程よく鍛えられた身体が覗き見えて、恥ずかしくて顔を背ければ、ブラウスが脱がされ……そして両手が再び重ねられ、ネクタイで纏め結ばれる。
「ティス様?」
私の頼りない問いかけにかえされるのは、艶のある微笑みだけで……何がされたのかと確認でもするように軽く手首を捻ってみれば、僅かなゆるみがあった。 それは、私に選択肢がある……そう言う事なのでしょうか?
でも……、私は……ここを後にして、国を出るつもりで……その時、彼以上に好きになれる人が出来るのかと考えれば思い出が欲しい……そう思った。 彼が与えてくれる思い出は、きっと私を支えてくれるはずだ……。
僅かな思考の瞬間にもタイトなスカートも脱がされる。
薄布のキャミは飾の少ない肌触りが心地よく、柔らかく、滑らかに、身体のラインに沿って流れ落ちていた。
見下ろすティス様は目を細め嬉しそうに言うのだ。
「あぁ、とても、煽情的で素敵です」
甘く、低く、艶っぽい声。
私よりも彼の方が余程煽情的だと思う。
軽く触れる唇。
舌が唇を優しく舐めた。
唇と唇が微かに触れる距離で、ティス様は囁く。
「さぁ、指を舐めていた時のように、私を受け入れて下さい」
頬を撫ですべらせ、顎に手を添え上向かせた。
視線と視線が交わされ、再び唇がふれあった。 瞳を閉ざせば、その感触が、熱が、吐息が甘く切なく心を揺らす。
舌を絡め吸い上げ、唾液を絡め、口内を撫でる。 絡まる舌が下品な音を立てて、舌と舌を絡め、その感触を共有するかのように撫でて擦り、溢れる唾液を絡めた舌を吸い上げられる。
淫靡な口づけの音が静かな室内に響いた。
「んっ、ぁ……」
いやらしく響く音が恥ずかしく……そして乱れる呼吸が甘く切なく……気持ちいい。
唇が離れ、はぁ……と大きく息をついた。
僅かの間。
終わったと思えば安堵、と、切ない疼きが残され……縋るようにティス様を見てしまう。
首元を指先で擽りながら、甘く微笑めば、その顔が首筋に落とされる。
「私を誘っていますか?」
耳元の囁きはくすぐったくて、下腹部がきゅっと疼けば……熱のこもった息が零れ出る。 弄ぶように耳の裏に落とされる口づけ。
「甘い、匂いがします……」
「知り合いの子に、香水を頼まれたんです」
「へぇ……。 知り合いのため?」
「えぇ……」
「雄を誘う匂いがするのですが?」
「ぇ、」
これを使って欲しいと、材料は向こうから渡された。 私は治療師で作るのは治療薬だと言ったのだけど……それでいいのだと。 持ち込まれた素材は、微かな興奮作用をもたらすかも?と言うものだったけど。 治療師が作る事でその効果は増していたらしい。
「他の男の前で使ってませんよね?」
私は、コクコクと慌てて頷いた。
「私のためにつかったのですか?」
慌てて私はクビを横に振れば、ティス様は小さく笑う。
「少し前に、出来たばかりなの……」
それは甘く恋の香りを想像させる匂いで、少しだけ試してみたのだ。
「まったく……どこか抜けているのですから。 だから……あの2人も好ましいと思ったのでしょうが……これから隙を見せるのは私の前だけにしてください」
「だって、知らなかったんですもの……」
「いずれ知らないで済まない事をしそうで、私はとても心配ですよ」
大人が子供を心配するような言葉だけど……。 太腿を撫でながら言われれば……意味が違ってくる。
優しい言葉、甘い声、微笑みは艶やかで……触れる手は艶めかしい。 太腿を撫でる手が、下腹部の疼き……熱を持ち、快楽に疼き、濡れる場所へと近づき……両太ももを慌てて閉ざそうとしたけれど、遠慮のない手つきで熱を含んだ部分に触れて来た。
「あっ」
切ない刺激にのけ反り、甘い吐息をこぼした。
「下着が濡れて、意味をなしていないようですが……どうしましょうか?」
クスクスとカラカウような笑い。
そして敏感な蕾がショーツの上から撫でられる。
「ひゃぁっ」
感じたことのない刺激に、身体が跳ねた。
「身体は……もっと触れ合いたいと言っているようですが、あなたは……どうして欲しいですか?」
「い、やぁ……」
ぐにぐにと布越しに刺激され、その強い快楽に身を捩り震わせ、溢れる蜜がショーツを濡らす。
「私では、不満ですか?」
耳元への囁き、甘く耳朶を口に含み、甘く噛み歯を当て……蜜が溢れる裂け目をショーツの上から強く、肌に食い込むほどの力でなぞり、快楽の蕾には小刻みに振動を与え触れて来る。
「ぁあっ、ぁ……やっ、だめっ……!!」
身じろぎでは逃げられず、拒絶の言葉を口にするごとに、刺激が強くなっていった。
「ぁっ――!!」
息を飲みこみ、耐えるように……絶頂を飲み込んだ。
薄布の感触を確かめ、楽しむように、胸元から腹部にかけて、指と掌で撫で触れた。
「ぁっ……」
身体が震え身を捩り、私は羞恥に顔を背ける。
「逃がしません。 あぁ……違います」
ティス様は僅かな間を持ち言い直す。
「仕事は止めても構いません。 ですが、私から逃げる事は許しませんよ」
「側にいる事を許してくれなかった癖に、今更」
甘い嘆きは、喉を掠れ囁くように零れ出る。
早くなる鼓動。
体温が上がる身体。
甘い疼き。
うまく、嘘がつけない……。
「すみません……。 もしかして、寂しく思ってくれていたのですか?」
嬉しそうな問いかけに……私は視線を背けたまま頷いた。
「それは……配慮にかけていました。 申し訳ありません」
謝罪は軽く、彼自身の表情は嬉しそうに、目元が甘く笑みを作っている。
怒りの色はもう見る事は出来ない。
ティス様は嬉しそうに、私の顔を自分の方へと向けさせ幼い子にするように額に唇を落とし、優しく髪を撫でてくれた。 猫が飼い主の手を求めのは、きっとこんな感じなのだろうと、そんなふうに思う心地よさ。 私は大きく温かで無骨な手に頬を摺り寄せる。
あぁ……ダメ……。
一時の思いに流されては……。
私は、醜くて……そんな私を知られたくないのだから。
「仕事を止めないと言えば、離してもらえますか?」
そっと、怯え、伺うように尋ねた。
何時もと様子が違うから……。
「私の思いを分かっていただくまでは……」
でも、抑えられていた両手が離された。
代わりに馬乗りになり押さえ込むように、私の太腿がティス様の両足に挟まれ抑え込まれる。
「な、にを……」
「お互いの理解を深めるのに、良い機会ですから。 逃がしませんよ」
ティス様は、スルリと自身のネクタイを解き、襟首のボタンを解いた。
迷いのない動き。
緩めたシャツから程よく鍛えられた身体が覗き見えて、恥ずかしくて顔を背ければ、ブラウスが脱がされ……そして両手が再び重ねられ、ネクタイで纏め結ばれる。
「ティス様?」
私の頼りない問いかけにかえされるのは、艶のある微笑みだけで……何がされたのかと確認でもするように軽く手首を捻ってみれば、僅かなゆるみがあった。 それは、私に選択肢がある……そう言う事なのでしょうか?
でも……、私は……ここを後にして、国を出るつもりで……その時、彼以上に好きになれる人が出来るのかと考えれば思い出が欲しい……そう思った。 彼が与えてくれる思い出は、きっと私を支えてくれるはずだ……。
僅かな思考の瞬間にもタイトなスカートも脱がされる。
薄布のキャミは飾の少ない肌触りが心地よく、柔らかく、滑らかに、身体のラインに沿って流れ落ちていた。
見下ろすティス様は目を細め嬉しそうに言うのだ。
「あぁ、とても、煽情的で素敵です」
甘く、低く、艶っぽい声。
私よりも彼の方が余程煽情的だと思う。
軽く触れる唇。
舌が唇を優しく舐めた。
唇と唇が微かに触れる距離で、ティス様は囁く。
「さぁ、指を舐めていた時のように、私を受け入れて下さい」
頬を撫ですべらせ、顎に手を添え上向かせた。
視線と視線が交わされ、再び唇がふれあった。 瞳を閉ざせば、その感触が、熱が、吐息が甘く切なく心を揺らす。
舌を絡め吸い上げ、唾液を絡め、口内を撫でる。 絡まる舌が下品な音を立てて、舌と舌を絡め、その感触を共有するかのように撫でて擦り、溢れる唾液を絡めた舌を吸い上げられる。
淫靡な口づけの音が静かな室内に響いた。
「んっ、ぁ……」
いやらしく響く音が恥ずかしく……そして乱れる呼吸が甘く切なく……気持ちいい。
唇が離れ、はぁ……と大きく息をついた。
僅かの間。
終わったと思えば安堵、と、切ない疼きが残され……縋るようにティス様を見てしまう。
首元を指先で擽りながら、甘く微笑めば、その顔が首筋に落とされる。
「私を誘っていますか?」
耳元の囁きはくすぐったくて、下腹部がきゅっと疼けば……熱のこもった息が零れ出る。 弄ぶように耳の裏に落とされる口づけ。
「甘い、匂いがします……」
「知り合いの子に、香水を頼まれたんです」
「へぇ……。 知り合いのため?」
「えぇ……」
「雄を誘う匂いがするのですが?」
「ぇ、」
これを使って欲しいと、材料は向こうから渡された。 私は治療師で作るのは治療薬だと言ったのだけど……それでいいのだと。 持ち込まれた素材は、微かな興奮作用をもたらすかも?と言うものだったけど。 治療師が作る事でその効果は増していたらしい。
「他の男の前で使ってませんよね?」
私は、コクコクと慌てて頷いた。
「私のためにつかったのですか?」
慌てて私はクビを横に振れば、ティス様は小さく笑う。
「少し前に、出来たばかりなの……」
それは甘く恋の香りを想像させる匂いで、少しだけ試してみたのだ。
「まったく……どこか抜けているのですから。 だから……あの2人も好ましいと思ったのでしょうが……これから隙を見せるのは私の前だけにしてください」
「だって、知らなかったんですもの……」
「いずれ知らないで済まない事をしそうで、私はとても心配ですよ」
大人が子供を心配するような言葉だけど……。 太腿を撫でながら言われれば……意味が違ってくる。
優しい言葉、甘い声、微笑みは艶やかで……触れる手は艶めかしい。 太腿を撫でる手が、下腹部の疼き……熱を持ち、快楽に疼き、濡れる場所へと近づき……両太ももを慌てて閉ざそうとしたけれど、遠慮のない手つきで熱を含んだ部分に触れて来た。
「あっ」
切ない刺激にのけ反り、甘い吐息をこぼした。
「下着が濡れて、意味をなしていないようですが……どうしましょうか?」
クスクスとカラカウような笑い。
そして敏感な蕾がショーツの上から撫でられる。
「ひゃぁっ」
感じたことのない刺激に、身体が跳ねた。
「身体は……もっと触れ合いたいと言っているようですが、あなたは……どうして欲しいですか?」
「い、やぁ……」
ぐにぐにと布越しに刺激され、その強い快楽に身を捩り震わせ、溢れる蜜がショーツを濡らす。
「私では、不満ですか?」
耳元への囁き、甘く耳朶を口に含み、甘く噛み歯を当て……蜜が溢れる裂け目をショーツの上から強く、肌に食い込むほどの力でなぞり、快楽の蕾には小刻みに振動を与え触れて来る。
「ぁあっ、ぁ……やっ、だめっ……!!」
身じろぎでは逃げられず、拒絶の言葉を口にするごとに、刺激が強くなっていった。
「ぁっ――!!」
息を飲みこみ、耐えるように……絶頂を飲み込んだ。
応援ありがとうございます!
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