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21.近くなって遠くなる
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最近、魔術の勉強をしている。
知っているのは、基礎魔術だけだから。
世界樹の巫女にならなければいけない。 そう強く求められていた私は、術自体はヨハンに依存し、マナコントロールを重視するよう日々を過ごしてきた。
元々、魔術は竜の民の対抗手段として生まれたもので、戦闘用のものが多く、生活系は二の次で、生活系は魔石を使った魔道具に頼っていると言っていい。 まぁ、竜の民は色々と別格だけど……。
白に魔術を教えて欲しいと言われ、他愛ない魔術ごっこを始めていた。
[マナの遮断ですか?]
「そう、何処にいるか隠れるためには、どうしたらいいかな? って」
[そうですね……白と黒の場合は、相反するマナですから2人の間でマナを循環させれば、マナを増やしつつ、マナを隠す事ができるはずですよ?]
「マナの循環ですか……試させてもらえますか?」
[えっと黒は寝ているので、私とになりますが……]
「はい」
クマとは思えない穏やかな雰囲気。 私が手を差し出せばそこに大きな手が重ねられた。 肉球……。 触りたい……。 が、それは眠っている時までのお預け。
[普通なら、私程度のマナは白の内側に通る事はないのですが……]
竜の中心である世界樹があるから……。
ぼふっと白い毛並みに埋もれてマナを回す。
「ぇっ……」
初めて聞く白の戸惑いの声、
「ちょ、まったまったまってください!!」
[ぇ? 痛かったですか?]
「くすぐったかったです」
[大丈夫、慣れます!]
「……例え慣れたとしても、黒とは無理ですね……」
[我侭ですよ~]
「……でしたら、シーラの中でマナを混ぜ合わせて、返却してもらうと言うのはダメでしょうか?」
[ぇ~~]
「え~~って言う事を私にさせていたのですか?」
[そう言う訳では……それに白は、マナを私に送るって事が出来ないでしょう?]
「私は器用なんですよ。 こちらに」
両足の間に座れとぽんぽん絨毯を叩いて見せた。
[白は体温が低いから、夏がいいのに]
「マナ調整で温まって下さい」
そんな訳で……白は私にマナを渡しだした。 最初は……そっと手渡す感じだったのだけど、器用と言っていただけあって、白のマナは徐々に積極的に私の中に入り込んできていた。
[んっ……ふぅ……]
冷たいのに……なれると何処か温かなマナだった。 ヒヤリと私のマナを撫で固まるごとに、私のマナが熱を持ち始める。
よしよしと大きな手で私を撫で、私の肌を……と言うか剥き出しのマナを白いフワフワの毛並みが撫でて来る。
私の負担にならないように流されるマナをゆっくりと自分に馴染ませ変質させる。 ただ、それを変質させるにも私のマナは白のマナに追いつく事は無くて……、世界樹のマナを使い馴染ませ、コネ合わせ、そして白と世界樹へと返す。
それは……ヨハンが行っていた行為よりも、ずっと優しく甘く感じ、気持ちよくて……そのまま沈んでいきたいと思えてしまう。
白い……雪の中に沈むように……浸るように……甘く切なく、そして白い毛並みに身を寄せる。 私の中が白と世界樹の混ざり合ったマナに埋められるまで、それほど多くの時間を必要としなかった。
「何をしている……」
言葉は冷ややかに、だけどそのマナは燃えていた……黒。
「何って、マナの使い方を学んでいるのですよ。 私達は少々存在が大きすぎますからね。 世界樹のマナと混ぜ合わせれば、私の存在を認識できなくなるでしょうからね。 その方が都合が良いので」
ニッコリと白は黒に微笑んでいたのだろうけど、私はマナ酔い状態で2クマの声を聞いていてもその言葉の意味を理解しきる事は無かった。
「ほぉ……それは随分と都合がいい。 是非俺にもご教授願いたいものだな!!」
「それは無理でしょう。 貴方はマナの使い方が下手ですからね。 シーラを潰し書けません」
「そんな事はないだろう。 今のシーラはマナそのもの、世界樹なんだからな。 ほれ、かせ」
「せめてマナを細く流すぐらいの芸は身に着けて下さい。 はい、練習」
とか言って、黒のマナを変質させ始めたのは数日後の事で、私は、こんな調子で……社会との関わりを持った……のかもしれない……。
こうして私のマナは、世界樹と黒と白と混ざりあい、私の本体も白黒のマナに色づき、染められていた。
「見つからない……なぜだ? 生きているなら、世界樹との繋がりがあって国を出る事は不可能だと言うのに……2人の王子は、どうやって私の、私の娘を隠した!」
ジェフリーは困惑と不安に叫び、ローマンは所詮人など役に立たないのかと心の中で冷ややかにジェフリーを見下した。
知っているのは、基礎魔術だけだから。
世界樹の巫女にならなければいけない。 そう強く求められていた私は、術自体はヨハンに依存し、マナコントロールを重視するよう日々を過ごしてきた。
元々、魔術は竜の民の対抗手段として生まれたもので、戦闘用のものが多く、生活系は二の次で、生活系は魔石を使った魔道具に頼っていると言っていい。 まぁ、竜の民は色々と別格だけど……。
白に魔術を教えて欲しいと言われ、他愛ない魔術ごっこを始めていた。
[マナの遮断ですか?]
「そう、何処にいるか隠れるためには、どうしたらいいかな? って」
[そうですね……白と黒の場合は、相反するマナですから2人の間でマナを循環させれば、マナを増やしつつ、マナを隠す事ができるはずですよ?]
「マナの循環ですか……試させてもらえますか?」
[えっと黒は寝ているので、私とになりますが……]
「はい」
クマとは思えない穏やかな雰囲気。 私が手を差し出せばそこに大きな手が重ねられた。 肉球……。 触りたい……。 が、それは眠っている時までのお預け。
[普通なら、私程度のマナは白の内側に通る事はないのですが……]
竜の中心である世界樹があるから……。
ぼふっと白い毛並みに埋もれてマナを回す。
「ぇっ……」
初めて聞く白の戸惑いの声、
「ちょ、まったまったまってください!!」
[ぇ? 痛かったですか?]
「くすぐったかったです」
[大丈夫、慣れます!]
「……例え慣れたとしても、黒とは無理ですね……」
[我侭ですよ~]
「……でしたら、シーラの中でマナを混ぜ合わせて、返却してもらうと言うのはダメでしょうか?」
[ぇ~~]
「え~~って言う事を私にさせていたのですか?」
[そう言う訳では……それに白は、マナを私に送るって事が出来ないでしょう?]
「私は器用なんですよ。 こちらに」
両足の間に座れとぽんぽん絨毯を叩いて見せた。
[白は体温が低いから、夏がいいのに]
「マナ調整で温まって下さい」
そんな訳で……白は私にマナを渡しだした。 最初は……そっと手渡す感じだったのだけど、器用と言っていただけあって、白のマナは徐々に積極的に私の中に入り込んできていた。
[んっ……ふぅ……]
冷たいのに……なれると何処か温かなマナだった。 ヒヤリと私のマナを撫で固まるごとに、私のマナが熱を持ち始める。
よしよしと大きな手で私を撫で、私の肌を……と言うか剥き出しのマナを白いフワフワの毛並みが撫でて来る。
私の負担にならないように流されるマナをゆっくりと自分に馴染ませ変質させる。 ただ、それを変質させるにも私のマナは白のマナに追いつく事は無くて……、世界樹のマナを使い馴染ませ、コネ合わせ、そして白と世界樹へと返す。
それは……ヨハンが行っていた行為よりも、ずっと優しく甘く感じ、気持ちよくて……そのまま沈んでいきたいと思えてしまう。
白い……雪の中に沈むように……浸るように……甘く切なく、そして白い毛並みに身を寄せる。 私の中が白と世界樹の混ざり合ったマナに埋められるまで、それほど多くの時間を必要としなかった。
「何をしている……」
言葉は冷ややかに、だけどそのマナは燃えていた……黒。
「何って、マナの使い方を学んでいるのですよ。 私達は少々存在が大きすぎますからね。 世界樹のマナと混ぜ合わせれば、私の存在を認識できなくなるでしょうからね。 その方が都合が良いので」
ニッコリと白は黒に微笑んでいたのだろうけど、私はマナ酔い状態で2クマの声を聞いていてもその言葉の意味を理解しきる事は無かった。
「ほぉ……それは随分と都合がいい。 是非俺にもご教授願いたいものだな!!」
「それは無理でしょう。 貴方はマナの使い方が下手ですからね。 シーラを潰し書けません」
「そんな事はないだろう。 今のシーラはマナそのもの、世界樹なんだからな。 ほれ、かせ」
「せめてマナを細く流すぐらいの芸は身に着けて下さい。 はい、練習」
とか言って、黒のマナを変質させ始めたのは数日後の事で、私は、こんな調子で……社会との関わりを持った……のかもしれない……。
こうして私のマナは、世界樹と黒と白と混ざりあい、私の本体も白黒のマナに色づき、染められていた。
「見つからない……なぜだ? 生きているなら、世界樹との繋がりがあって国を出る事は不可能だと言うのに……2人の王子は、どうやって私の、私の娘を隠した!」
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