【R18】婚約が有効だったとは知りませんでした【完結】

迷い人

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19.化け物は契約を求める 01

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 王都に向かう際に、ティナは両親から注意をされていた。

『王宮には近づくな』

 英雄、勇者、筆頭騎士、聖人、神人、国や時代において最高の武人・魔術師・治療師を示す言葉。 と、一般的に思われている。 だが、実際にはその力は人外とも言える特殊なものであり、努力で補えるようなものではない。

 ティナの両親は、事あるごとに幼い事からティナに語っていた。

「王宮には、とても恐ろしい化け物がいる。 だから化け物に見つからないように、良い子にしていなければいけない……アレに捕まれば、父さんとて救出できるかどうか怪しいからな」

 切実に伝えられてきた。 物心がつけば、それは物語なのだと考え出した。 なぜなら、両親ほどに強い人間をティナは知らなかったためだ。 だが、王都にティナを送り出す際に再び父は言った。

「王宮には化け物がいるから近寄るなよ。 どんな難題を押し付けられるかわからんからな」

 化け物なのに、劣る人間に難題を持ちかけるのか? そんな疑問を持った。 父は真剣な顔でティナの両肩をガッシリとつかみ言うから、ティナは問い返した。

「化け物の話は、物語とは違うのですか?」

「だったら良かったんだがなぁ~」

 顔をしかめながら父が言えば、

「父さま、母さまをもって化け物と言わしめるほどとは……それは、どのような生き物なんですか?」

「……あら? ティナはずっと誤解していたのかしら? 化け物と言うのはたとえ話、でも、事実でもあるのよねぇ……」

 うふふふふふと母は不気味な笑みを浮かべて語る。

「私が最後にあったのは20年ほど前、既に40歳を過ぎていると言っていたけど、少女のような姿をしていたわ……」

「上級の魔物に、魔人と呼ばれる者は、とても美しい人の姿をしているものがいると聞きますが、ソレですか?」

「彼女は王妃なんだ」

「魔人が王妃に?」

「いや、王妃が魔人……違う、そうではなくて、王妃は俺と同じ英雄と呼ばれた人だ」

「同じ英雄なのに父様は負けるのですか?」

「力は僅かに俺の方が上だが、狡猾さにかけては向こうが格段に上だ。 それも魔人のように目的のために手段を択ばない」

「そう、そして手段のために目的を忘れ、楽しみのために目的も手段も忘れてしまう方なのよ……」

 ティナは理解できず首を傾げるばかり。 なぜなら、ティナの中では戦闘と言う事において両親は最凶の生物だと思っていたから。 そんなティナの混乱を無視して、母ティルテュは語り続ける。

 当時の私には、その両親との会話の殆どが理解できなかった。



 だけど、先ほどまで目の前で繰り広げられていた景色を考えれば、両親が言っていた意味はなんとなくだが理解できた。


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