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9章
116.転じる 06
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「とりあえず現地には、行っておきませんか?」
親良が言えば、晃は同意した。
「それも、そうだな……。 面倒だな」
「何がだ?」
「アレだけ騒げば、殺されかねないと言っているんだ」
「何を言っているんだオマエは……」
顔色悪くも怒ったのは木崎だった。
「アレは自分を大切に育てた家族を殺した。 命令とは言え、自分を大切にしようとした疑似家族も殺した。 煩いだけのガキどもの安全をどう保障するんだ」
「それを何とかするのが警察だ!!」
木崎が晃を正面から睨めば、自分もこんな風に思っていた事があったな……と、嫌味っぽい笑みが自然と晃の口元に浮かんでいた。
「ホテル内の客の避難、マスコミ、野次馬配信者の対策を最優先にした方がいい」
「そんな事わかってる!!」
そう言いながらも木崎が指示をだせば、晃と親良はその合間をぬって去って行った。
「先輩、先輩」
「なんだウルサイ!!」
「ポケットに紙が……」
そこには幾つかの注意があった。
・連打可能の電動エアガン
・細工済ペットボトルに入れられたパチンコ玉とドライアイス
・粉塵爆発
・火炎瓶
何れも玲央の部屋で見かけた本の中にあった手頃で、攻撃性の高い攻撃手段である。
そこにある注意事項を見て、木崎は叫ぶ。
「言いたい事があるなら、言葉でいぇええええええ!!」
晃と親良がホテルにたどり着いた頃、葛西浩輔から連絡が入り、中の人間が動画配信を始めたと伝えられ、内部の動画はダミーサイトへと誘導するよう細工を命じた。
決して希望があるなどと晃も親良も考えてはいない。
視聴率は葛西浩輔の手によって操作され、視聴率がうなぎのぼりになる状態を作れば中の若者達は興奮しはじめた。
「新郎新婦、初めての共同作業をお願いしま~す!!」
「初めての共同作業で~す!!」
「嘘だけどぉ~」
そう言いながらタキシード姿の新郎とドレス姿の新婦は、中央においてあるウエディングケーキに毎分1000発を超えるライフル型の電動ガンを使い破壊していく。 友人として集まった者達も、そこがサバイバルゲームの会場であるかのように遊びはじめた。
どんどん高まる視聴率に、調子に乗る若者達。
「やめなよ!! 玉が無くなるよ!! 警察がきたらどうするのさ」
「あぁ? 視聴率が全てっしょ! 後の警察よりも、今が大事、むしろ警察に無抵抗な俺達って方が美味くね?」
「だねぇ~、あったまいいぃ!!」
なんて状態で玲央を苛立たせていた。
ぶつぶつと言いながら爪を噛み始める玲央。
それを止める下僕と言う名の保護者が、玲央に止めたほうがいいと言えば、苛立ちの限界に来た玲央に殴られ蹴られる。
「ここで人質がどうなってもいいのかぁ!! ってのはどうだ?」
そう言って、若者達は保護者な下僕対してエアガンを打った。
直接暴力を振るうのは怖いらしい。
「痛くても、我慢しなよ……コレが美味しいんだから……」
呻き声と共にナイフを手に反撃しようとする下僕に玲央が言えば、大人しく下僕は引いた。
「よくわかっているねぇ~。 流石坊ちゃん。 で、坊ちゃんはどうやってイジメて欲しい?」
そう言った青年に玲央は口づけた。
奇妙な色香が漂う玲央の様子に、周囲に静かになる。
ゴクリと誰かが唾をのみ、俺が……と手をあげようとする青年が数人。
そんな中、女性の一人が切羽詰まった声で叫ぶ。
急に冷静になり、ヤバイと感じた者がいたのは確かだった。
「トイレに行きたいんだけど!!」
「わ、私も!!」
逃げたかった。
「そういえば、警察はいつ来るんだよ」
気づけば、最初に連絡した頃から5時間が経過しており、彼等は食べ物も飲み物も無い現実にようやく気付いた。
不安は連鎖する。
カフェのラウンジでは、ソロソロか? とばかりに晃が親良を見た。
「まぁ……仲間割れには良い頃合いではないですか?」
ここまで言って、彼等に付き従っていた木崎が、ようやく2人の何もするなと言った理由を理解した。 それでも、言わずにはいられなかったらしい。 それほどに途方に暮れたのだ目の前の2人に。
「お前達、何を考えているんだ……」
現在の状況。
二階から十階までへの立ち入りを禁止。
ホテルの外にはマスコミ、野次馬が集まっている。
警察関係者も集められるだけの人員が集められ配置についている。
「こんな時間まで、待ったのですから相手が寝るまで待てないんですか?」
そんな事を聞いたのは浅間だった。
「……なら、そうするか……」
カラカウ用に晃が言えば、やめてくれと木崎が止める。
晃は、扉の周辺に防弾用の盾の設置を求めつつも、扉周辺から人を退避させる。 外開きの戸にはロープを数本括り付け、親良に力任せに開かせた。 いや……正確には、その行動によって……扉全体が外れて倒れた。
予想していたモデルガンの攻撃は無かった。
代わりに叫びながら中から逃げ出してくる者達。
そんな彼等と共に、ドライアイスとパチンコ玉を入れたパンパンに膨れ上がった改良ペットボトルが、雨どいをゴロゴロと転がってくる。
「液体窒素をかけろ!!」
木崎が叫び、機動隊が動く。
会場内に水をまく機動隊。
逃げてきた若者を確保する警察官。
警察官の怒声。
野次馬の悲鳴。
楽し気に撮影を行う者達が、警察から注意を受けている。
「「なんて、酷い結果だ……」」
晃と玲央は全く違う表情で、全く違う声色で囁いていた。
※攻撃、反撃に関しては科学的知識が曖昧のまま書いています。
当然実験なんかもしたことありません。
ご指導いただける方がいらっしゃるなら、よろしくお願いします。
親良が言えば、晃は同意した。
「それも、そうだな……。 面倒だな」
「何がだ?」
「アレだけ騒げば、殺されかねないと言っているんだ」
「何を言っているんだオマエは……」
顔色悪くも怒ったのは木崎だった。
「アレは自分を大切に育てた家族を殺した。 命令とは言え、自分を大切にしようとした疑似家族も殺した。 煩いだけのガキどもの安全をどう保障するんだ」
「それを何とかするのが警察だ!!」
木崎が晃を正面から睨めば、自分もこんな風に思っていた事があったな……と、嫌味っぽい笑みが自然と晃の口元に浮かんでいた。
「ホテル内の客の避難、マスコミ、野次馬配信者の対策を最優先にした方がいい」
「そんな事わかってる!!」
そう言いながらも木崎が指示をだせば、晃と親良はその合間をぬって去って行った。
「先輩、先輩」
「なんだウルサイ!!」
「ポケットに紙が……」
そこには幾つかの注意があった。
・連打可能の電動エアガン
・細工済ペットボトルに入れられたパチンコ玉とドライアイス
・粉塵爆発
・火炎瓶
何れも玲央の部屋で見かけた本の中にあった手頃で、攻撃性の高い攻撃手段である。
そこにある注意事項を見て、木崎は叫ぶ。
「言いたい事があるなら、言葉でいぇええええええ!!」
晃と親良がホテルにたどり着いた頃、葛西浩輔から連絡が入り、中の人間が動画配信を始めたと伝えられ、内部の動画はダミーサイトへと誘導するよう細工を命じた。
決して希望があるなどと晃も親良も考えてはいない。
視聴率は葛西浩輔の手によって操作され、視聴率がうなぎのぼりになる状態を作れば中の若者達は興奮しはじめた。
「新郎新婦、初めての共同作業をお願いしま~す!!」
「初めての共同作業で~す!!」
「嘘だけどぉ~」
そう言いながらタキシード姿の新郎とドレス姿の新婦は、中央においてあるウエディングケーキに毎分1000発を超えるライフル型の電動ガンを使い破壊していく。 友人として集まった者達も、そこがサバイバルゲームの会場であるかのように遊びはじめた。
どんどん高まる視聴率に、調子に乗る若者達。
「やめなよ!! 玉が無くなるよ!! 警察がきたらどうするのさ」
「あぁ? 視聴率が全てっしょ! 後の警察よりも、今が大事、むしろ警察に無抵抗な俺達って方が美味くね?」
「だねぇ~、あったまいいぃ!!」
なんて状態で玲央を苛立たせていた。
ぶつぶつと言いながら爪を噛み始める玲央。
それを止める下僕と言う名の保護者が、玲央に止めたほうがいいと言えば、苛立ちの限界に来た玲央に殴られ蹴られる。
「ここで人質がどうなってもいいのかぁ!! ってのはどうだ?」
そう言って、若者達は保護者な下僕対してエアガンを打った。
直接暴力を振るうのは怖いらしい。
「痛くても、我慢しなよ……コレが美味しいんだから……」
呻き声と共にナイフを手に反撃しようとする下僕に玲央が言えば、大人しく下僕は引いた。
「よくわかっているねぇ~。 流石坊ちゃん。 で、坊ちゃんはどうやってイジメて欲しい?」
そう言った青年に玲央は口づけた。
奇妙な色香が漂う玲央の様子に、周囲に静かになる。
ゴクリと誰かが唾をのみ、俺が……と手をあげようとする青年が数人。
そんな中、女性の一人が切羽詰まった声で叫ぶ。
急に冷静になり、ヤバイと感じた者がいたのは確かだった。
「トイレに行きたいんだけど!!」
「わ、私も!!」
逃げたかった。
「そういえば、警察はいつ来るんだよ」
気づけば、最初に連絡した頃から5時間が経過しており、彼等は食べ物も飲み物も無い現実にようやく気付いた。
不安は連鎖する。
カフェのラウンジでは、ソロソロか? とばかりに晃が親良を見た。
「まぁ……仲間割れには良い頃合いではないですか?」
ここまで言って、彼等に付き従っていた木崎が、ようやく2人の何もするなと言った理由を理解した。 それでも、言わずにはいられなかったらしい。 それほどに途方に暮れたのだ目の前の2人に。
「お前達、何を考えているんだ……」
現在の状況。
二階から十階までへの立ち入りを禁止。
ホテルの外にはマスコミ、野次馬が集まっている。
警察関係者も集められるだけの人員が集められ配置についている。
「こんな時間まで、待ったのですから相手が寝るまで待てないんですか?」
そんな事を聞いたのは浅間だった。
「……なら、そうするか……」
カラカウ用に晃が言えば、やめてくれと木崎が止める。
晃は、扉の周辺に防弾用の盾の設置を求めつつも、扉周辺から人を退避させる。 外開きの戸にはロープを数本括り付け、親良に力任せに開かせた。 いや……正確には、その行動によって……扉全体が外れて倒れた。
予想していたモデルガンの攻撃は無かった。
代わりに叫びながら中から逃げ出してくる者達。
そんな彼等と共に、ドライアイスとパチンコ玉を入れたパンパンに膨れ上がった改良ペットボトルが、雨どいをゴロゴロと転がってくる。
「液体窒素をかけろ!!」
木崎が叫び、機動隊が動く。
会場内に水をまく機動隊。
逃げてきた若者を確保する警察官。
警察官の怒声。
野次馬の悲鳴。
楽し気に撮影を行う者達が、警察から注意を受けている。
「「なんて、酷い結果だ……」」
晃と玲央は全く違う表情で、全く違う声色で囁いていた。
※攻撃、反撃に関しては科学的知識が曖昧のまま書いています。
当然実験なんかもしたことありません。
ご指導いただける方がいらっしゃるなら、よろしくお願いします。
応援ありがとうございます!
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