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終章

119.それは確かめ合うような行為

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 顔を背ける雫の頬を晃はペロリと舐める。
 驚いたように雫が晃へと視線を向ければ、晃は雫の瞳に浮かぶ涙を舐めとっていく。

 傲慢……。

 雫はそう思いながら、その身勝手さに拗ねていた。

 だけれど甘えたいと言う蕩けそうな心に逆らう事が出来ず、雫は晃に身を預ける。




 この容易さ……なんて可愛らしいものだ。

 晃は笑い、雫はまた拗ねた様子で顔を背けようとする。

 だが、晃はソレを許さない。

 優しく壊れないように晃は雫を抱きしめ、顔を自分の方へと向けさせ固定する。 唇を押し当て舌先で唇を割り入り、雫の口内を執拗に舐めて、擦って、舌先を吸って、噛んで、溢れる唾液を啜る。 それは口内を犯しつくそうとでもするかのように執拗に繰り返された。

『んっ……ふっ、ぁ、だめ……』

 抱きしめる腕の中で雫はもぞもぞと拒絶を示していたが、欲情と戯れに雫の魂と触れあっていた前回とは違う衝動を晃は抱えている。 それは、耐えがたい執着と愛情で、その二つが情欲に伴った事で止める事も緩める事も出来なくなっていた。

 どれほど嫌だと言っていても、晃の腕の中に納まっている雫の肉の器を形を模した魂が、晃を受け入れているの事は、雫の熱と咽るような花の香りから分かる。

「あぁ……良い匂いだ……欲情の匂いがする」

 甘く深く晃が耳元で囁けば、ゾクリと雫の身体が震えているのが分かった。 その声だけで、雫が軽く絶頂を迎えたのは腕の中で震える身体から分かった。

『やっ、だ。 晃さん……ダメ、今日の晃さんは、なんだか、怖い』

 晃は雫の頬を撫で、頭を撫で、啄むように口づける。 額に、頬に、耳元に、首筋に、唇に。 その行為は宥めているかのようだが、怯えながらも快楽と言う熱を帯びていく雫の姿に、晃は嗜虐心を刺激され抑えられない興奮が瞳に宿っていた。

「怖いなら、見えなくするか?」

 晃が雫の首筋から耳裏をネットリと舐め、低く耳に響くような甘い声で囁けば、雫は腕の中で震えて首を横に振って見せた。 ダメと言われても止める気等なく、晃の唇が雫の瞼にふれれば、雫の視界は暗く闇に奪われた。

『やだ、怖い』

「シッカリとしがみつけばいい。 俺は、ちゃんとココにいる」

 言われるままに雫は晃の首に両腕を回し、見えぬ瞳で晃を見つめて来た。 自分だけを求めてくる幸福感に満たされ晃は唇を奪い、甘く開かれた唇の隙間から雫の唇を絡め舐めていく。 ネットリと熱を持ちながら触れ合い絡み合えば、欲情は熱となり高まって行く。

 唾液を絡めあい、奪いあい、与えあう。
 溶けて、絡まり、熱が一つとなる。

 それでも、混ざり合わない自分と相手。

 もどかしく、求めあうように抱き合い、いつの間にかどちらからともなく唇を奪いあうように舐めて、擦って、噛んで、絡めて、快楽を貪っていった。

 雫と言う花は熱を帯び、香りを増す。
 それはまるで獣の発情のように、晃を刺激してきた。

 そこは晃の支配の場。

 抱き合い、触れ合う肌と肌を無視し、雫の身体を包み込む柔らかな肌に心地よい布地は、晃の願いのまま雫の身から花びらが落ちるように落ちていく。

 雫の白く柔らかな肌が露わになり、触れる熱が、甘い香りはいっそう強さを増し晃に伝わってきた。 雫の薄い肉付きの身体を抱きしめ、その肌を確かめるように晃は触れていく。 両胸のふくらみは少女のようだが、発情に熟した果実はピンク色を増して固く実っているのが、愛おしくも可愛らしいと晃は思った。

 腰から尻にかけて綺麗なラインを晃は確かめるように撫でていけば、甘く小さな囁くような雫の吐息が漏れ出て晃を煽ってくる。 全体的に細身ではあるが尻は女性らしい丸みを帯び、触れれば滑らかな触り心地をしている。

 身体の全てを感じ取ろうとする晃のわずかな手の動きに雫は反応していた。

 雫の身体は小さく震え、鈴の音が鳴るように甘い声と香りがまき散らされる。 ソレは晃だけでなく、雫自身の欲情に熱を与え、甘く身体を疼かせていく。

 雫は、熱を持ち震える身体に、胸の先端や、脚の間、お腹の奥がずきずきと疼くのが、辛くもあり……気持ちよくもあった。

 だけど……足りない。
 もっと、もっと、欲しいよぉ……。

 そんな欲求が晃と言う熱に触れるたびに酷くなっていくように思えた。

『んっ、ふぅっ……晃、っん』

 晃さん。

 いつものように呼ぼうとしたところを口づけで塞がれ、ペロリと晃の舌が雫の唇を舐め、硬く太い指先が濡れた唇をなぞり、歯列を撫でくすぐりながら、晃は雫の耳元で囁いた。

「晃でいい」

 その声だけで、雫の身体は魂は震えてしまうのだ。

 身体が電気を帯びたように震え、呼吸が荒くなり、身体に触れる晃の熱を敏感に感じ取り、快楽に酔い落ちていく。

 抱き合い触れる熱に溶け合うように、快楽を確かめ合うように身体に触れ合った。 そっと撫でるように熟したピンク色の果実に晃が優しく触れれば、雫は恥ずかしがる事も無く甘い快楽に蕩けて身体を摺り寄せる。

『んっ、ぁっ、もっと……』

 震える身体は、焦らすような晃の触り方では足りないと、甘い声で雫は求めていた。 頭の中が溶けるようだと……雫はコレでいいのだと、快楽を受け入れていた。

 甘い声を響かせ、晃に身体をすりよせる。

 白く滑らかな肌に触れ、晃は甘く首筋を舐めながら、胸の先端を指先でこするように撫でていく。

 片手で雫を抱き寄せ、耳を舐めながら晃は囁いた。

「いつの間にこんなに淫乱になった? ずっと……俺の中で、こうやって楽しんでいたのか?」
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