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二章 吸血鬼

二十話 舐めないで下さいッ!

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 強制的に転移させられた直樹たち。

「ぬっ、まずいっ!」
「ッ!!! 白桃っ!」
「きゃっ!」

 焦燥すると同時に、ティーガンは片腕を血の触手に変え、直樹たちを包み込む。血の繭が出来上がる。直樹は頬を引き攣らせながら、雪を庇うように抱きしめる。

 その瞬間。

「朽ちなさいィィィィッッッッ!!!」

 金切り声。絶叫もかくやと言わんばかりにヒステリックな女性の声が響き渡る。

「……チッ。予想はしてたが面倒な」
「どういう事ですか?」

 血の繭の中は、まるで時が止まった空間のようだった。キーンと耳鳴りがする程の静寂。無風。呼吸音と直樹の滴り落ちる汗だけが響き渡る。

 外部は見えない。それどころか、≪想伝≫で外の様子を探ろうにもそれができない。分かるのは、直樹をしてとても焦っているという事。命の危機を感じているという事。

 だからこそ、雪は冷静に努めて質問した。

 そんな質問を無視して、直樹はハラリハラリと解け去っていく血の繭を見やりながら、雪の体をギュッと抱きしめる。

「いいか、白桃。女がいる。絶対に戦うな。近づくな。分かったなっ!」
「え、あ、どういう――」

 直樹たちを覆っていた血の繭が消え去った瞬間。

「アイツらの治療でもしててくれっ!」
「きゃっ!」

 着地は自分でやってくれ、と言わんばかりに直樹は雪を背後に放り投げる。あまりの速さに雪が舌を噛む。

 だが、直樹はそんな雪を気にかける余裕もなく、疲労困憊こんぱいの体に鞭を打ち、グッと疾駆する。体の節々が悲鳴を上げ、痛みが走るが、無視する。

吸血鬼ヴァンパイア十五・・体。……チッ、やっぱり白髪野郎を含めた五人はいない。場所は……マジか、ロンドンの時計台かよっ! 一般人は……いない。で、血闘封術師ヴァンパイアハンターらしき奴らは全員戦闘不能。気絶だな。ティーガンは……よし、力の回収したなっ)

 僅か0.5秒でそれを再度把握した直樹は、頭斜めにつけているお面に一度触れた後、両眼を黒く染め、白の華を咲かせる。その上で右目に翡翠の星々。

 つまり出し惜しみなしの本気。白仮面の最終機能を発動し、痛みの許容量を上げ無意識にかけているリミッターを解除。

 “空転眼[黒門]”を発動。

「転移ッ!?」

 妖艶という言葉がよく似合う。豊満な肢体したいを惜しげもなく見せびらかすドレスを纏った金髪の女吸血鬼ヴァンパイア――リシカが背後に現れた直樹に驚く。

 だが、驚く暇はない。

「朽ちないってのはいいなっ!」
「巻き戻りの前にはただの持ち腐れじゃっ!」
「それでも数千年大丈夫だろっ!」

 まずは背後からリシカを見下ろす直樹。

 眼から血が滴り落ちるほどの痛みに耐え、“空転眼[黒門]”を発動っ! リシカという超常存在の抵抗レジストを突破して、胴体に黒渦の転移門をじ込むっ! 捻じ込み続けるっ!

 リシカの胴体が疑似的な空間断裂により千切れ、じれ、泣き別れる。断面に転移門があるからこそ、再生が阻害される。

 そこに前方から音を超えた速度で襲い掛かるティーガン。

 ズザザザザァーっ! と音速から急激な静止をし、腰を低く構える。同時に目の前に突き出した日傘をバサッと開く。指先を血に変え、日傘に血を流し込む。

 そして掃射。血が纏わりついた日傘の生地からまるで空から降ってきた雨粒が逆再生するが如く、先端が尖った血の水滴が浮き上がり、リシカへ向かって放たれる。
 
 リシカの上半身に音速がプラスされた無数の血の水滴が突き刺さる。体内に入ったそれらは、リシカの血に侵略を仕掛ける。再生を阻害し、血肉を滅ぼす。

 よって、襲い掛かる無数の血の雨によって上半身が消失。

 ただし、リシカの背後には直樹がいる。つまりフレンドリーファイア――

「無茶させんなっ!」
「お主なら可能じゃろうっ!」

 ではなく、連帯。“空転眼[黒門]”を更に発動っ! 前方に転移門を作り出し、また対となる転移門をリシカの下半身横に作り出す。
 
 だが、未だに抵抗レジストしているリシカに転移門を捻じ込んでいるのだ。一瞬でも気を抜けば、転移門が消え去る。

 つまり、許容量を超え、眼からだけでなく、鼻から、口からも血を流す。されどそのおかげでリシカの下半身に血の雨が襲い掛かり、同様に消失。

 数秒間の時間稼ぎができ、最低限の態勢を整えられるかと思いきや、だが、それは罠だった。

「所詮、愚昧ぐまいなサルと痴愚ちぐな外道の悪あがき。巻き戻りなさい」
「ナオキッ!」
「大丈夫だっ!」

 地の底から響いた。そう錯覚するほどに怖気立つ声が響き渡った。

 瞬間、直樹とティーガンの周りに血で作られた歯車が幾つも現れる。

 それはリシカがデジールから授かった力。片翼の時之血歯エママキナホーロロギオン

 それをふるったリシカは、直樹たちの周囲に浮かべた幾つもの血の歯車をカチリを合わせる。キューッとスパークさせ、回転させる。徐々に肥大化し、二人を覆いつくしていく。

 自らを血の繭で覆いながらティーガンは焦燥を叫ぶっ。間に合わないのだ。このままでは直樹が巻き戻って、消失してしまうっ。

 だが、肌を粟立たせながらも直樹はニィッと嗤う。

「やっぱり作って正解だったぜっ、大輔ッ!」

 そして血の歯車が放つスパークが全てを覆いつくした瞬間。

「ッッッッッ!!!!」

 漆黒の極光が直樹を覆っていた血の歯車から漏れ出たかと思うと、爆発的に広がり、全てを吹き飛ばす。

 晴れる。

「……それは」
「……なんだ……なんだ、それはァァァァッッッッッ!!!!!」

 ティーガンは安堵にも似たつぶやきを漏らす。巻き戻りにより消失から再生したリシカは、目の前の現実が受け入れられないのかヒステリックに叫ぶ。

「それはっ、サルにっ、ゴミにも劣る下等生物に相応しく――」

 漆黒・・の懐中時計。つまり、劣化版黒のオムニス・プラエセンスを掲げた直樹が鼻を鳴らす。

「ンな事知らねぇよ。三下」
「さんっ。上位種である私たちがさんっ!」

 リシカは直樹のあまりの物言いに言葉を詰まらせる。真っ青がデフォルトの顔は真っ赤に染まる。

 だが、目の前にいる存在直樹が放つ存在感に動けなくなる。先ほどまで、影の薄い只人だと思っていたのに、だ。

(はぁぁぁぁぁぁーーーっ。あっぶねっ。[薄没]を切って威圧して正解だったな。追撃されたらたまったもんじゃねぇし。ぶっちゃけ、劣化版黒のオムニス・プラエセンスで抵抗レジストできるかどうかは博打だったせいで、気力が、俺の精神がヤバい。死ぬ)

 そんな内心を隠しながら、直樹は会話を引き延ばそうとする。

「俺たちみたいなゴミにも劣る下等生物を――」
「ぶっとべッッッッッッ!!!!」
「ッァァア゛ア゛!!」

 が、その前にリシカは殴り飛ばされ、時計台に叩きつけられる。クレーターができ、建物内に埋もれる。

 世界的に有名な、っというか議事堂を壊して怒られないかは置いておいて。

「……へ?」

 直樹は呆然とした。発動していた“空転眼”や“白華眼”の発動が切れ、目が点になる。
 
 ようやく動揺から立ち直ったティーガンも再び呆然とする。

 だってそこには。

「直樹さん」
「は、はいっ!」

 直樹の声が思わず裏返ってしまうほど恐ろしい雪がいた。

 覚醒姿。だが、以前混沌の妄執ロイエヘクサと対峙した時とは違う。

 白と黒。

 背中に生やす雪桜の片翼は純白。だが、もう片翼は黒よりも深い闇。

 瞳も同様だ。左目は新雪の様に白く、右目は夜空のように吸い込む闇。その上で薄桃色の桜の花を咲かせている。

 薄桃色を基調としたフリル装束にも白の線と黒の線が入り乱れ、散らせる桜の花弁も白と黒。

 光と闇の魔法少女といった具合だ。両方使える最強魔法少女だ。

 それは混沌の妄執ロイエヘクサの想いを可能な限り受け入れた状態だ。絶望の権化として今にも世界の全てを消したいという衝動を気合でねじ伏せている状態だ。

 つまり、ヤバい。ほんの僅かに操作をミスれば、敵味方関係なく殺戮する兵器みたいな感じだ。諸刃の剣どころか諸刃の超爆弾だ。

 そんな状態になった雪はキレていた。リシカと、そして直樹に静かにキレていた。

「それを貸してください」
「あ、いや、これ、結構魔力を――」
「嘘ですよね? それ、中に魔力生成機能と貯蔵機能がありますよね?」
「は、はい。そうっす」

 微笑みだ。優しく柔らかな微笑みなのに、直樹は逆らうことができない。思わず手に持っていた劣化版黒のオムニス・プラエセンスを雪に渡してしまう。

 そう。時に干渉する幻想具アイテムなのに、それは自分の魔力を消費せずとも使えるのだ。

 何故か。

 それは混沌の妄執ロイエヘクサから回収した黒の心臓の一部が組み込まれているから。

 そして黒の心臓とは天然の魔力変換装置。大地大気等々のあらゆるエネルギーを取り込み、増幅させ、魔力として放出する自然の機能の一つなのだ。

 魔力回復手段を欲していた神和ぎ社は、どういうわけかその自然の種を手に入れ、混沌の妄執ロイエヘクサに埋め込み、その膨大な権能ちからと魔力を種の成長のために利用したのだ。

 寄生である。

 そしてある程度成長したため、それを回収しようしたところを直樹たちが掠め取ったのである。

 ただ、天然素材故か、それを再現するのには相当の労力が必要だと分かった。それこそ、魔力回復手段を欲している直樹たちが未だにそれを作り出さないほどには。

 けれど、自然魔力変換装置である黒の心臓を使わないのはもったいない。

 ということで、直樹たちはオムニス・プラエセンスと、残り二つの異世界転移に必要な幻想具アイテムにそれを組み込んだのだ。

 幸いというべきか、オムニス・プラエセンスの魔力消費量は他の二つに比べて少ないため、作ってから二日しか経っておらずとも何度も使用できるのだ。

「あ、あの、白桃さん。やっぱり返して――」
「何度も言いますが、雪と呼んで下さい」
「いや、そんなこと――」

 痛々しくて見ていられない。混沌の妄執ロイエヘクサを取り込んだ覚醒姿をしている雪は、表情に見せないものの辛すぎる戦いをしている。体を乗っ取ろうとする混沌の妄執ロイエヘクサの意思をなだめ、抑え、流し、言いくるめ、殴り合い、傷つき合っている。

 だからこそ、直樹は一刻も早くその状態を解除して後ろに下がれと言おうとした。

 が。

「舐めないで下さいッ!」
「お、おいっ。白桃っ!」

 白と黒の桜の花弁を基点として、雪は結界を張る。今もせめぎ合う混沌の妄執ロイエヘクサを説得して聞きだした魔法の一つだ。

 それにより、直樹とティーガンは戦場から隔離される。いや、それだけでない。戦闘不可能となっていた十人の血闘封術師ヴァンパイアハンターもそこにいた。硬化した桜の花弁を服などにひっかけ、集めたのだ。

 同時に、様子見をしていた十四体の吸血鬼ヴァンパイアが雪に襲い掛かるっ!

「なかなかに美味そうなおん――」
「どうぞ怨んでください。そして――」

 人外の膂力りょりょくによる攻撃はもちろん、槍衾のごとく降り注ぐ血の刀剣、針、斧、槍、ギロチン等々。他にも血をパキパキと氷に変えたり、雷を迸らせたり、風の刃を纏わせたり。

 異常超常神秘の雨あられが雪を殺すかと思われた。

 が。

「もう一度言いますッ。舐めないでくださいッ!!」
「カハッ!」

 舞。

 全てを防ぐことはできず、血飛沫を上げながらも雪は桜吹雪によって全てを薙ぎ払う。吹き飛ばす。

 一陣の花吹雪を纏う美しき舞。

 それだけではない。

「虫けらがっ! よくも私を――」
「避けろっ、しらも――」

 鬼の形相で飛び出してきたリシカが片翼の時之血歯エママキナホーロロギオンを唸らせ、雪に振り下ろす。必死に“空転眼”を発動した直樹が割り込む前に。

「確かに頼りましたッ!」

 漆黒の光――劣化版黒のオムニス・プラエセンスの光に包まれた桜吹雪を拳に纏う。振り下ろされた片翼の時之血歯エママキナホーロロギオンを殴る。

 拮抗。たわむ。

「なっ、おん――」
「確かに頼ってしまいましたッ!」

 片翼の時之血歯エママキナホーロロギオンを掴み、自らの体の方へと引き寄せる。反動を利用し、もう片方の拳でリシカの腹を打ちく。穴が開く。
 
 血飛沫が舞い散り、だがしかし、リシカは刹那の瞬きの間にそれらを硬化させる。そして超至近距離で硬化した血飛沫の弾丸を雪に掃射するっ。

「虫けら如きがァァァァァッッッッ!!」
「確かに虫けら程度の力しかありませんッッ!!」

 百近く。精神を焼き殺す程の痛みに裂帛の叫びを上げ、雪は舞い散る白と黒の花弁を操作っ、硬化っ! 角度をつけ、弾く、逸らす。

 それでも完全に防ぐことはできず、体に無数の小さな孔が空くが、雪は無視する。頭だけでなく全身を焼き尽くす程の激痛をねじ伏せ、リシカを蹴り上げる。

「クッ」
「「「「「ッッ!!」」」」」

 頭上にいた五体の吸血鬼ヴァンパイアに、時之血歯エママキナホーロロギオンを背負ったリシカが襲い掛かる。

 血界を利用した短距離疑似転移で雪を奇襲しようとした五体の吸血鬼ヴァンパイアは、必死に頬を引きらせながら、避ける。

 時之血歯エママキナホーロロギオンは彼らにも影響があるからだ。

 ところで、防いだのは頭上の奇襲だけ。

くびり殺すッッッ」
「八つ裂きにして喰らって殺るッッッ!」
「ひれ伏せッ!」

 全方位から、九体の吸血鬼ヴァンパイアが襲い掛かる。殺意を燃やし、上位者としてのプライドも怒りで忘れ、全力で雪を血祭りにしようとする。

 襲い掛かるは死だ。でなければ、それに近い傷。激痛。

 つまり――

「白桃ッッッッ!!」

 桜が血に染まる。

 脇腹が切り裂かれ、太ももが切り裂かれ、手首を切り裂かれ……至る所が切り裂かれ、体から刃が突き出る。

 九体の吸血鬼ヴァンパイアが駄目押しに、鋭く尖らせた手――手刀で雪を貫こうとする。

「ですがこの程度雑事ッ。虫けらでもこなせますッッ!!」

 ニィッと雪が嗤う。どこかの誰かさんを彷彿ほうふつさせるその嗤いは、吸血鬼ヴァンパイアたちに絶望をもたらす。

 リシカ以外、全員人から吸血鬼ヴァンパイアになったが故に。全員の手刀が一瞬だけ、雪を直接貫いたが故に。

「「ガァッ、ア゛ア゛ア゛ァァァッッッ!!!」」
「「「「「「「「bkrghぬjlwwqgbkァッッッ!!!」」」」」」」」

 前者が千年近く生きた地球上では古株の吸血鬼ヴァンパイア。後者がここ五百年近くに誕生した吸血鬼ヴァンパイア

 どれだけ吸血鬼ヴァンパイアであったが顕著にでたが、どっちにしろ前者も後者も我を失い精神を一時的に崩壊させる。

 強烈な執念いしが超常存在である吸血鬼ヴァンパイアの精神に打ち込まれたを討ち込んだのだ。

「この役立たずがッ!」

 片翼の時之血歯エママキナホーロロギオンで腹に空いた穴を瞬時に修復したリシカが、そんな彼らを血の歯車で覆う。精神を数十秒前に回帰させ、回復させる。

 ついでと言わんばかりに、リシカは十四体の吸血鬼ヴァンパイアに血の歯車を一つづつ植えつける。いつでも巻き戻しができる。

 リシカは、絶叫を響かせ十四体の吸血鬼ヴァンパイアに命令する。

「死んで戦いなさいッッッ!!!」
「直樹さんッッ。任せてくださいッッッ!!!」

 吸血鬼ヴァンパイアたち十四体がその命令に従い、鬼気迫る勢いで襲い掛かる。

 そんな中でも、雪の心は直樹に向けられる。吸血鬼ヴァンパイアたちを桜吹雪で一蹴し、雪は叫ぶ。怒鳴るッ!

「直樹さんを巻き込んだ図々しい女なんか放っておいて、早くクロノアさんを助けてくださいッッッ!!!」
「……」

 強い言葉だ。≪想伝≫を使っているわけでもないのに、しなやかで強烈で美しい想いが伝わってくる。

 呆然としていた直樹は。

「ハハ、何やってんだか」

 バンッと自分を殴った。

(地球に戻ってくる前の俺が見たら、ぶっ殺してるだろうな)

 己惚れだ。雪を守らなければならない。そうでないと死ぬ。

 確かに雪は直樹よりも弱い。それは事実だ。

 だが、雪が死ぬというのは事実ではない。守る必要もない。

 だって、強いから。どんなに強大な相手であろうが、己の意思おもい一つで全てをひっくり返す。

 既にそれを為した。混沌の妄執ロイエヘクサ≪想伝≫おもい一つで抑え込んで、あまつさえ対話してるのだ。

 偉業だ。直樹や大輔をして易々とできない事を成し遂げていたのだ。

 ティーガンがきつくなにかを我慢するように唇を噛みしめながら、直樹を見やった。見えないが、拳もきつく握りしめられているだろう。

「過保護すぎじゃ」
「……分かってる。だからクロノアの情報を教えろッ!」
「うむ」

 直樹が屈み、ティーガンは血に塗れた手・・・・・・で直樹の額に触れる。同時に、血を媒介にティーガンが持つクロノアの情報――身長体重姿形魂魄の気配等々を流し込む。

 それを確かに受け取った直樹は。

「白桃ッ、任せるッ!」
「雪って呼んで下さいッッ!」

 “収納庫”を発動。それを掲げたッ!




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公開可能情報

幻想具アイテム劣化版黒のオムニス・プラエセンス:オムニス・プラエセンスの劣化版。色が黒に変わっている。劣化版だが、基本的な効力は変わらず、魔力消費が少々増える程度。
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