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それは甘く蕩けて灰になる
罪と贖罪
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「お?またあったにゃ~。割れてにゃいにゃ~」
リンシェンは壊れた飛行型ロボットから、米粒大の石を取り出す。
“AntiMagicSystem”、通称“AMS”のシステムの心臓部分となる代物だ。
魔封石と言われている、一定範囲内の魔力を消滅させる石である。
消滅する範囲は石の大きさに比例するが、“AMS”は米粒大で十分なことは意外だった。
「にゃるほどにゃるほど。光エネルギーを電気エネルギーに変換しているんだにゃ。
ん?ということは、こいつら夜が苦手にゃにょかにゃ?
・・・うにゅにゅにゅ、いくつかラボに持ち込みたいにゃ」
これを作った人間はこの石が取られないように、ロボットが破壊されたらこの石を破壊する仕掛けを作っていた。
しかし何かのバグで仕掛けが上手く動かずに残っている物がいくつかあった。
「こんなにバグが起きるにゃんて不思議にゃ。いや、量産型だからか?それとも・・・」
量産型だから仕掛けを簡単にして失敗が増えたら元も子もない。
となると壊し方か?
あの時、このロボットを壊したのはリンシェンとリーシャ。どちらも武術由来の体術で戦うタイプだ。
リーシャは今までに戦闘経験がある。その時発見されてないということは、自分の壊し方か?
心当たりは全くない。
「にゃっはぁ~」
思わず顔がニヤけてしまった。
「戻ったら確認するにゃ」
研究対象が増えたことで、意気揚々と解体作業を進めていた。
リンシェンから使いまわしが出来そうだと嬉しい知らせがあった。
となると最初の作戦通りになるので、早速サンプルを作るよう指示した。
サンプルで、AMSが本当に効果あるのか確かめなければならない。
サンプル完成までおよそ一時間。出来る限り手を打てるよう手回しをせねば。
マスターになってから、こんな仕事ばかりやってる気がする。
申請や書類などを作っていると、町長の補佐役が部屋に現れた。
「あ・・・あの。私にも何か手伝わせてください」
補佐役は土下座して頼み込む。
「どうしたのですか、急に?」
「私も・・・彼女を助ける手伝いがしたいんです」
「局に関わる仕事ばかりですので、部外者であるあなたが出来ることはありません」
冷たいが実際その通りである。
「で、でしたら他の仕事を!何でもいいんです、手伝わせてください!」
「・・・なぜそんなに必死になってるんですか?」
「・・・」
ふうっと短く溜め気をつく。
「悔いてるんですか?」
「・・・・はい」
行き過ぎた行動だったことは皆理解していた。
だから町長を始め、多くの人は復讐に怯えて避けている。
魔族の生き残りかもしれないとわかった途端、そんな空気が出ていた。
だがこの人だけは違った。しかし・・・
「ここで手伝ったからと言って償う事にはなりませんよ?それはただの自己満足です」
「わかっています!・・・でも・・・・でも・・・・・・」
面倒な事になってしまった。これは何かするまで動かないぞ、と思いポーラは諦めた。
「なら、ここにいた魔族の情報をください。あと石化の治療の情報もお願いします」
「は、はい!ありがとうございます!」
補佐役は喜んで情報収集に向かっていった。
まあ石化を使った治療法、つまり石化の解除方法はいざという時あれば安心だ。
メンバーを守る為に、ありとあらゆる可能性に備えなければ。
「はぁ、精神的に疲れるわね」
ギルドマスターは気苦労が多いことがよくわかった。
トウヤは一人であの彼女のいる森の側まで来ていた。
中にいる彼女は、迫害された魔族の子供の可能性がある。
そして生まれた瞬間から、ずっと一人で生きてきた。
孤独と言うのは経験がある。トウヤは一人で好き放題するのを好む。
地球でも、輪に入らず遠くから眺めたり、一人でやりたいようにやってたりした。
しかし、それでもシスター達の元を離れなかったのは、チビ達を守るためだけじゃない。
やはり心のどこかで、人とふれあうことを求めていたのだろうか?
どこかで聞いたことがある。
「人には孤独を好む者もいる。でも孤独に耐えられる者はいない」
彼女は望まぬ形で孤独になった。なぜそうなったか、どうしてここにいるのかもわからずに。
「・・・ユキ・・・・シスター・・・・・」
記憶を失い、訳も分からずに施設に入ったあの頃に似ている。
トウヤにはすぐに血の繋がらない家族が出来た。
そして今、守りたい仲間もいる。
でも彼女は・・・
「どうしたら救えるかな?」
自分が救われた方法を思い出す。ユキやシスターたちがしていたことは・・・
「トウヤ?今どこ?」
突然通信が入る。ポーラの声だ。
「今あの森のそばだよ」
「ちょうどよかった。リンシェンがサンプルを作ったから試してほしいって。
そっちに向かうからちょっと待ってて」
「待った。今ポーラは休憩室にいる?」
「え?ええ、そうよ」
「“風打ち・第九座・繋”」
大きな穴が現れると、そこに通路が出来た。
「さ、さすが空間操作魔法ね・・・」
ポーラの居る休憩室とトウヤの居る森の二空間を繋げたのだ。
ポーラが通り抜けると、一度“繋”を閉じた。
「ここの環境はデメリットが少ないからな。それよりも、それが例のサンプル?」
「ええ。試してみるわよ」
スイッチと思われる物を押すと何かが広がった。
「・・・魔法が消えた」
魔力を集めようとするが、全く出来ない。
「物としては成功ね」
「あとは・・・」
「離れて見て、重なった箇所が出来たら教えて」
「わかった」
少し離れ、ポーラを観察する。強で見るとよくわかる。
砂嵐のように見える場所に何もない場所が二カ所。
結界とサンプルのAMSの効果範囲だけ砂嵐がない。
ゆっくり結界に近づくポーラ。
「今重なった。もう少し進めるよ。・・・もう少し・・・あと少し・・・OK。そこで止まって」
結界とAMSが重なった空間が出来た。
「じゃあ確認は・・・これだな」
トウヤは具現化の魔法で先がL字に曲がった、長い棒を創り出す。
そして棒を結界内に刺し、ゆっくりとAMSに近づける。
パリンッ!
結界内で石になった部分がAMSに触れると、割れるように消えて行った。
これは石化の結界内でもAMSは有効で、石化しないことを示していた。
「うん、成功ね」
「これって“魅了”も無効化出来るんじゃね?」
「そうね。どちらも魔法なんだから、消せるでしょうね」
「俺が説得しなくても・・・・」
「・・・・まぁ、彼女の気持ちを一番理解出来そうなのはトウヤなんだし」
「う・・・うん、そうかもしれないけど、何か俺には足りない気がするんだ」
それは今までトウヤが避けてきたものかもしれない。
いや、避けていたからこそ相手に与えられるのかもしれない。
トウヤはその何かには、なんとなくの心当たりがあった。
リンシェンは壊れた飛行型ロボットから、米粒大の石を取り出す。
“AntiMagicSystem”、通称“AMS”のシステムの心臓部分となる代物だ。
魔封石と言われている、一定範囲内の魔力を消滅させる石である。
消滅する範囲は石の大きさに比例するが、“AMS”は米粒大で十分なことは意外だった。
「にゃるほどにゃるほど。光エネルギーを電気エネルギーに変換しているんだにゃ。
ん?ということは、こいつら夜が苦手にゃにょかにゃ?
・・・うにゅにゅにゅ、いくつかラボに持ち込みたいにゃ」
これを作った人間はこの石が取られないように、ロボットが破壊されたらこの石を破壊する仕掛けを作っていた。
しかし何かのバグで仕掛けが上手く動かずに残っている物がいくつかあった。
「こんなにバグが起きるにゃんて不思議にゃ。いや、量産型だからか?それとも・・・」
量産型だから仕掛けを簡単にして失敗が増えたら元も子もない。
となると壊し方か?
あの時、このロボットを壊したのはリンシェンとリーシャ。どちらも武術由来の体術で戦うタイプだ。
リーシャは今までに戦闘経験がある。その時発見されてないということは、自分の壊し方か?
心当たりは全くない。
「にゃっはぁ~」
思わず顔がニヤけてしまった。
「戻ったら確認するにゃ」
研究対象が増えたことで、意気揚々と解体作業を進めていた。
リンシェンから使いまわしが出来そうだと嬉しい知らせがあった。
となると最初の作戦通りになるので、早速サンプルを作るよう指示した。
サンプルで、AMSが本当に効果あるのか確かめなければならない。
サンプル完成までおよそ一時間。出来る限り手を打てるよう手回しをせねば。
マスターになってから、こんな仕事ばかりやってる気がする。
申請や書類などを作っていると、町長の補佐役が部屋に現れた。
「あ・・・あの。私にも何か手伝わせてください」
補佐役は土下座して頼み込む。
「どうしたのですか、急に?」
「私も・・・彼女を助ける手伝いがしたいんです」
「局に関わる仕事ばかりですので、部外者であるあなたが出来ることはありません」
冷たいが実際その通りである。
「で、でしたら他の仕事を!何でもいいんです、手伝わせてください!」
「・・・なぜそんなに必死になってるんですか?」
「・・・」
ふうっと短く溜め気をつく。
「悔いてるんですか?」
「・・・・はい」
行き過ぎた行動だったことは皆理解していた。
だから町長を始め、多くの人は復讐に怯えて避けている。
魔族の生き残りかもしれないとわかった途端、そんな空気が出ていた。
だがこの人だけは違った。しかし・・・
「ここで手伝ったからと言って償う事にはなりませんよ?それはただの自己満足です」
「わかっています!・・・でも・・・・でも・・・・・・」
面倒な事になってしまった。これは何かするまで動かないぞ、と思いポーラは諦めた。
「なら、ここにいた魔族の情報をください。あと石化の治療の情報もお願いします」
「は、はい!ありがとうございます!」
補佐役は喜んで情報収集に向かっていった。
まあ石化を使った治療法、つまり石化の解除方法はいざという時あれば安心だ。
メンバーを守る為に、ありとあらゆる可能性に備えなければ。
「はぁ、精神的に疲れるわね」
ギルドマスターは気苦労が多いことがよくわかった。
トウヤは一人であの彼女のいる森の側まで来ていた。
中にいる彼女は、迫害された魔族の子供の可能性がある。
そして生まれた瞬間から、ずっと一人で生きてきた。
孤独と言うのは経験がある。トウヤは一人で好き放題するのを好む。
地球でも、輪に入らず遠くから眺めたり、一人でやりたいようにやってたりした。
しかし、それでもシスター達の元を離れなかったのは、チビ達を守るためだけじゃない。
やはり心のどこかで、人とふれあうことを求めていたのだろうか?
どこかで聞いたことがある。
「人には孤独を好む者もいる。でも孤独に耐えられる者はいない」
彼女は望まぬ形で孤独になった。なぜそうなったか、どうしてここにいるのかもわからずに。
「・・・ユキ・・・・シスター・・・・・」
記憶を失い、訳も分からずに施設に入ったあの頃に似ている。
トウヤにはすぐに血の繋がらない家族が出来た。
そして今、守りたい仲間もいる。
でも彼女は・・・
「どうしたら救えるかな?」
自分が救われた方法を思い出す。ユキやシスターたちがしていたことは・・・
「トウヤ?今どこ?」
突然通信が入る。ポーラの声だ。
「今あの森のそばだよ」
「ちょうどよかった。リンシェンがサンプルを作ったから試してほしいって。
そっちに向かうからちょっと待ってて」
「待った。今ポーラは休憩室にいる?」
「え?ええ、そうよ」
「“風打ち・第九座・繋”」
大きな穴が現れると、そこに通路が出来た。
「さ、さすが空間操作魔法ね・・・」
ポーラの居る休憩室とトウヤの居る森の二空間を繋げたのだ。
ポーラが通り抜けると、一度“繋”を閉じた。
「ここの環境はデメリットが少ないからな。それよりも、それが例のサンプル?」
「ええ。試してみるわよ」
スイッチと思われる物を押すと何かが広がった。
「・・・魔法が消えた」
魔力を集めようとするが、全く出来ない。
「物としては成功ね」
「あとは・・・」
「離れて見て、重なった箇所が出来たら教えて」
「わかった」
少し離れ、ポーラを観察する。強で見るとよくわかる。
砂嵐のように見える場所に何もない場所が二カ所。
結界とサンプルのAMSの効果範囲だけ砂嵐がない。
ゆっくり結界に近づくポーラ。
「今重なった。もう少し進めるよ。・・・もう少し・・・あと少し・・・OK。そこで止まって」
結界とAMSが重なった空間が出来た。
「じゃあ確認は・・・これだな」
トウヤは具現化の魔法で先がL字に曲がった、長い棒を創り出す。
そして棒を結界内に刺し、ゆっくりとAMSに近づける。
パリンッ!
結界内で石になった部分がAMSに触れると、割れるように消えて行った。
これは石化の結界内でもAMSは有効で、石化しないことを示していた。
「うん、成功ね」
「これって“魅了”も無効化出来るんじゃね?」
「そうね。どちらも魔法なんだから、消せるでしょうね」
「俺が説得しなくても・・・・」
「・・・・まぁ、彼女の気持ちを一番理解出来そうなのはトウヤなんだし」
「う・・・うん、そうかもしれないけど、何か俺には足りない気がするんだ」
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