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第11章・恩赦
◆ 6・入れ替え(中) ◆
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その日の夜、私は眠い目をこすりながら荷物の仕分けに追われていた。
側ではエイベルがオリガの日記を声出しで読んでいる。普段の片言が嘘のようにスラスラと読む様は何度見ても不思議だ。
七割が愚痴の日記とか、自分では読みたくないわ。
オリガの日記を持ってこさせた理由は、持ち出し禁止の書物を家に置いておく不安。そして早く役に立つ情報を仕入れる為だった。移動時間に読んで貰えば時間の節約もできて、魔王な彼が持っているなら奪われる心配もない。
もっとも落とす可能性はあるので重々言い聞かせたし、互いにダブルチェックをするようにもした。
不意に、エイベルが読み聞かせしていた声を止める。
「オネーサマ、誰か来た」
控え目なノック。
こちらにはエイベルがいるのだ。不穏な客だろうとも問題はない。
「どなた?」
穏やかに問いかければ、思いもよらない声が返る。
「ボクだよ」
驚きと同時に、ドアに駆け寄り開いた。そこには見慣れたカエル男の姿――ではなくて、整った顔立ちのイケメン悪魔の姿。
だが、表情が違う。
傲岸不遜な感情を表す強い瞳は、穏やかな光を湛え、全体的に柔らかい印象になっている。
「あの、チャーリー……、えっと、ボクはアレックスだよ。カエル王子の……」
困ったような下がった眉を見れば、彼が本物だと分かる。
「ルーファと一時的に体を入れ替えているんだ。あ、彼が言うには長い時間ではなくて、定期的に経路の補給というモノをしなければならないんだって。あ、入れ替わってるだけで、ボクが彼の力を使えるわけではないんだ。ボクはボクの使える分の力しか使えないんだって言ってた。えー……っと、ごめんね?」
相変わらず何に謝っているのか、お人よしの王子は一生懸命言葉を探している。私の為にだ。
何だかんだ、あんたのそーゆー態度に支えられていたのね……私。
頭を振り、溜息をつく。
「ルーファの、体借りて問題、起きないの? そういう意味なら、あんたの体を今、悪魔が使ってるってなるんじゃ?」
「不具合かぁ、うーん……君がこの顔を好きにならないか心配かな」
「ならないわね」
「君って変わってる。ボクは驚いたよ? 人に声を掛けられる事は今までもたくさんあったし、好意的な物は多かったけど。好意の種類が違うというか……本当に、顔って大事なんだね」
当たり前の事を口にするルーファの姿をしたアレックス。
そりゃあ、そうでしょうね?
ルーファの顔が一級品のイケメンでも、関わるには面倒臭そうな雰囲気を出してる男だ。本当に残念なタイプだと思う。それに引き換え、生来からの王子様気質の男が一級品の顔を手に入れているのだから結果はお察しだ。
「ルーファはアーラの物だし……何より、あんっな面倒な男に堕ちるのは無垢な天使くらいよ。で、あんたは何で体を入れ替えてまでココに?」
「カエルの姿だとすぐにプリンス・オブ・コンクエストって気付かれてしまうと思って」
「そうじゃなくて! 私とあんた今、敵対してるんでしょ!」
大声を出せば、彼は驚いたように瞳を瞬かせた。
「君の父上とだよ。それと、君の情報はキャメロン経由で貰ってるんだ」
側ではエイベルがオリガの日記を声出しで読んでいる。普段の片言が嘘のようにスラスラと読む様は何度見ても不思議だ。
七割が愚痴の日記とか、自分では読みたくないわ。
オリガの日記を持ってこさせた理由は、持ち出し禁止の書物を家に置いておく不安。そして早く役に立つ情報を仕入れる為だった。移動時間に読んで貰えば時間の節約もできて、魔王な彼が持っているなら奪われる心配もない。
もっとも落とす可能性はあるので重々言い聞かせたし、互いにダブルチェックをするようにもした。
不意に、エイベルが読み聞かせしていた声を止める。
「オネーサマ、誰か来た」
控え目なノック。
こちらにはエイベルがいるのだ。不穏な客だろうとも問題はない。
「どなた?」
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「ボクだよ」
驚きと同時に、ドアに駆け寄り開いた。そこには見慣れたカエル男の姿――ではなくて、整った顔立ちのイケメン悪魔の姿。
だが、表情が違う。
傲岸不遜な感情を表す強い瞳は、穏やかな光を湛え、全体的に柔らかい印象になっている。
「あの、チャーリー……、えっと、ボクはアレックスだよ。カエル王子の……」
困ったような下がった眉を見れば、彼が本物だと分かる。
「ルーファと一時的に体を入れ替えているんだ。あ、彼が言うには長い時間ではなくて、定期的に経路の補給というモノをしなければならないんだって。あ、入れ替わってるだけで、ボクが彼の力を使えるわけではないんだ。ボクはボクの使える分の力しか使えないんだって言ってた。えー……っと、ごめんね?」
相変わらず何に謝っているのか、お人よしの王子は一生懸命言葉を探している。私の為にだ。
何だかんだ、あんたのそーゆー態度に支えられていたのね……私。
頭を振り、溜息をつく。
「ルーファの、体借りて問題、起きないの? そういう意味なら、あんたの体を今、悪魔が使ってるってなるんじゃ?」
「不具合かぁ、うーん……君がこの顔を好きにならないか心配かな」
「ならないわね」
「君って変わってる。ボクは驚いたよ? 人に声を掛けられる事は今までもたくさんあったし、好意的な物は多かったけど。好意の種類が違うというか……本当に、顔って大事なんだね」
当たり前の事を口にするルーファの姿をしたアレックス。
そりゃあ、そうでしょうね?
ルーファの顔が一級品のイケメンでも、関わるには面倒臭そうな雰囲気を出してる男だ。本当に残念なタイプだと思う。それに引き換え、生来からの王子様気質の男が一級品の顔を手に入れているのだから結果はお察しだ。
「ルーファはアーラの物だし……何より、あんっな面倒な男に堕ちるのは無垢な天使くらいよ。で、あんたは何で体を入れ替えてまでココに?」
「カエルの姿だとすぐにプリンス・オブ・コンクエストって気付かれてしまうと思って」
「そうじゃなくて! 私とあんた今、敵対してるんでしょ!」
大声を出せば、彼は驚いたように瞳を瞬かせた。
「君の父上とだよ。それと、君の情報はキャメロン経由で貰ってるんだ」
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