220 / 375
第11章・恩赦
◆ 19・刺客たちの輪舞(後) ◆
しおりを挟むいやいや、そのスライ先輩とモニークを雇ったのってお父様よね? 自分で雇って自分で狙うってアリ? むしろ、狙いやすくなるから雇ったとか?
父の殺意など基本がヨーク家の利になるかどうかだろう。
普通に考えれば敵対中な事もあり、アレックスが狙われた対象と見てもいいのかもしれない。だが今の彼は、ルーファの姿だ。
流石の父もこの姿でアレックス本人だとは思わない――と考えていたが、あり得ない話ではないのかもしれない。
「あんたを狙ってるんじゃないの? お父様っていつの間にか細かい所まで調べつけちゃってる人よ? どうやって情報を仕入れてるのか謎すぎてキモいのよ」
「……ハハッ、いや、ボク狙いじゃないと思うよ。ところでチャーリーはヨーク家がどちら側についてるか知ってる?」
我が家の事だ。私だってヨーク家令嬢として知るべき事は知っているのだ。
「舐めないでよね、ヨーク家はうまい蜜のある方に肩入れ形式よ!」
胸を反らす私に、アレックスは溜息をつく。あからさますぎる呆れ顔だ。カエルの姿なら、こんなにも腹が立たなかったろう。
「何よ、言いたい事があるなら言いなさいよ」
「えーっと……それ分かってないって事だよね、チャーリー。教団側か反教団側かって意味だったんだけど」
「分かってるって。でも……たぶん、お父様にとって『どっち』なんて意味がないんだと思う」
お父様は灰色計画推進中。そんな人間が片側に寄った考え方をするとも思えないのよね。
今までの世界線でも、父がそんな事を考えていたのかは分からない。私が色々動いて、どんどん世界が変わり始めた結果かもしれない。なにせアレックスすらもイケメンチェンジしている始末だ。
お父様にとっての灰色……。
「二人がお父様のやりたい事の邪魔になっているなら、程良い所で始末を、っては考えてるかもね?」
「……確かにチャーリーの言う通り、ヨーク侯にはそういった一面があるね。でも、貴族とてしの派閥は彼の信念とは別に存在するんだ。そして……ヨーク家は教団側だよ」
そうなの?!?!
今までの色々が頭をよぎる。
「いや、待って? 私ってすっごく教団と相性が悪いというか……命狙われて、殺されて、ひどい目にあって死んできたのよ? あ、言葉通りよ? 本当の本当に『死』んで来たんだからね??」
彼は困ったような表情で頷く。
「うん、そうらしいね……。ルーファから聞いてる」
「だったら、分かるでしょ! ヨーク家がバックアップについてるのに、その娘の私が何だってあんなにも命狙われてきたのよ!」
「声を落として、チャーリー」
「だって……!」
「……チャーリー、酷な事を頼むけど……思い出してみて? ヨーク侯が間に入っていた場合でも、教団に殺されてきた?」
え……っと?
アレックスの言葉に、今度は私が逡巡した。
0
あなたにおすすめの小説
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
ファンタジー
公爵令嬢として生まれながら、子ども時代からメイドや周囲の陰謀で、次々と濡れ衣を着せられ、「悪女」扱いされてきたミリアム。
第3王子との婚約を聖女に奪われ、聖女への嫌がらせの冤罪で国外追放された後、平民として生き延びる中で、何度も5年前へのロールバック(逆行)を繰り返すことに。
生計をたてる為に、追放後の平民生活で極めた針仕事が、ロールバックが繰り返されることで、針仕事の能力だけは引き継がれ、天才的な実力を手に入れる。
その時女神「アテナ」の加護を得て、2つの力を手にすることに。
「加護縫い」
(縫った布に強力な祝福を込められる)
「嘘のほころびを見抜く力」
(相手の嘘を布のほころびとして視覚的に捉え、引き抜く、または繕うことで、真実を暴いたり修正したりする)
を手にしたミリアムは、5歳の幼女時代まで遡り、2つの力で悪評をぬりかえ、仲違いしていた家族も、加護の力を与えることで協力な味方へと変貌。
さらに、女神から可愛いしもべ「アリアドネ」を授かり、元婚約者と聖女にザマァを狙う中、加護縫いの能力が最も高い人間を王太子妃に迎える決まりのある大国、ルーパート王国の王太子が近付いて来て……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる