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第12章・秘密は舞台
◆ 22・守護神の作成材料(前) ◆
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このまま行けば、オアシスの町は終焉に向かう。
オアシスを作っていたのが本当にカメなら、そういう事になる。そしてそれはカラクリの全てを分かっているヨルクの人間なら回避したい所だろう。
そう、たとえば新しい守護神役を用意する――とか。
町の存続のために、カメもどきのすり替えを行う? あり得ない話じゃない。でも……。
「だからって私を選ぶの? カメを殺した一派ですけど?」
知らないはずはない。
曲がりなりにも町を支配していた一族だ。情報は一番に届いているはずだ。
「……そうか、あなたは知らずに来たんですね……」
令息は嘆息づく。
うつむいた顔には疲労が色濃い。
「ヨルク家は始祖にはなれないんですよ」
「しそ?」
アレックスと令息の顔を交互に見るが、どちらもその問いを無視した。
「では、あえてお願いさせてください。知りうる限りの情報を提供しますので、そちらもこちらの懸案事項について妥協点を見出してもらえますか?」
「は?」
「ですから、お互いが現在抱えている問題について……その、ざっくばらんに話しましょう!」
いやいや、聞いてもないうちから決められるか。
なんだ、コイツ。頭の線が切れたの??
「えーっと……ヨルク伯爵……?」
父が死んだなら跡取りとして繰り上がり、彼こそがヨルク伯という事になる。
「あぁ、まだ跡目争いの渦中ですので継いでいません。ですから、カシムとお呼びください。ヨーク家の方々は人の名を覚えるのが苦手でしたよね、呼びやすい形で大丈夫ですとも。あなたの父君からは一度も名指しされた事がないので慣れています」
たたみかけるように、カシムは言葉を羅列する。
だが先ほど毒殺だかなんだかをされかけた側としては、勢いに飲まれるわけにはいかない。
「一緒ですね!」
「はい?」
「私も父から一度も名前で呼ばれていないので、一緒ですね!」
「……えーっと、実子、でしたよね? シャーロット、さんは」
「ええ、実子ですけど? そういう人なので、あの父は!」
「……あー……、いえ、他家のしきたりに口を出す気はありませんので。えーっと……」
言葉に詰まる令息。元来、気の良い青年なんだろう。
私は微笑んだ。
「しきたりではなく、父の怠慢です。慣れていますので気になさらないでください。それでお話があるとの事ですが、私にするよりもこの男にしてくださった方が良いかと存じます。彼は私の婚約者から送り込まれた監視者ですので、私よりも立場の認識が深いです。ご意見ご感想などを、色々な見地から話してくれると思います。ねぇ、アレックス?」
話を振られたアレックスも、コクリと頷き促す。
「カリム様の事情は大体把握しております。こちらとしても、すでにたくさんの思惑が絡み合った旅でしたので深入りするつもりはありません。端的にお話願えますか?」
カリムは救いを求めるようにスライ先輩たちに視線を飛ばす。当然、先輩もモニークもサッと視線を逸らした。
「……わかりました」
諦めたように呟くカリム。
「シャーロットさん、あなたの……血がほしいんです」
オアシスを作っていたのが本当にカメなら、そういう事になる。そしてそれはカラクリの全てを分かっているヨルクの人間なら回避したい所だろう。
そう、たとえば新しい守護神役を用意する――とか。
町の存続のために、カメもどきのすり替えを行う? あり得ない話じゃない。でも……。
「だからって私を選ぶの? カメを殺した一派ですけど?」
知らないはずはない。
曲がりなりにも町を支配していた一族だ。情報は一番に届いているはずだ。
「……そうか、あなたは知らずに来たんですね……」
令息は嘆息づく。
うつむいた顔には疲労が色濃い。
「ヨルク家は始祖にはなれないんですよ」
「しそ?」
アレックスと令息の顔を交互に見るが、どちらもその問いを無視した。
「では、あえてお願いさせてください。知りうる限りの情報を提供しますので、そちらもこちらの懸案事項について妥協点を見出してもらえますか?」
「は?」
「ですから、お互いが現在抱えている問題について……その、ざっくばらんに話しましょう!」
いやいや、聞いてもないうちから決められるか。
なんだ、コイツ。頭の線が切れたの??
「えーっと……ヨルク伯爵……?」
父が死んだなら跡取りとして繰り上がり、彼こそがヨルク伯という事になる。
「あぁ、まだ跡目争いの渦中ですので継いでいません。ですから、カシムとお呼びください。ヨーク家の方々は人の名を覚えるのが苦手でしたよね、呼びやすい形で大丈夫ですとも。あなたの父君からは一度も名指しされた事がないので慣れています」
たたみかけるように、カシムは言葉を羅列する。
だが先ほど毒殺だかなんだかをされかけた側としては、勢いに飲まれるわけにはいかない。
「一緒ですね!」
「はい?」
「私も父から一度も名前で呼ばれていないので、一緒ですね!」
「……えーっと、実子、でしたよね? シャーロット、さんは」
「ええ、実子ですけど? そういう人なので、あの父は!」
「……あー……、いえ、他家のしきたりに口を出す気はありませんので。えーっと……」
言葉に詰まる令息。元来、気の良い青年なんだろう。
私は微笑んだ。
「しきたりではなく、父の怠慢です。慣れていますので気になさらないでください。それでお話があるとの事ですが、私にするよりもこの男にしてくださった方が良いかと存じます。彼は私の婚約者から送り込まれた監視者ですので、私よりも立場の認識が深いです。ご意見ご感想などを、色々な見地から話してくれると思います。ねぇ、アレックス?」
話を振られたアレックスも、コクリと頷き促す。
「カリム様の事情は大体把握しております。こちらとしても、すでにたくさんの思惑が絡み合った旅でしたので深入りするつもりはありません。端的にお話願えますか?」
カリムは救いを求めるようにスライ先輩たちに視線を飛ばす。当然、先輩もモニークもサッと視線を逸らした。
「……わかりました」
諦めたように呟くカリム。
「シャーロットさん、あなたの……血がほしいんです」
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