死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第13章・悪役闘争

◆ 9・迫る死(中) ◆

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「問題ないわ」

 モニークはあっさりと口にする。

「悪役における能力移行の話ね。元々同志となった時点で、あなたに結集する予定だったわ」


 知ってたのね……っ。


「まさか、力の移行問題で行動に踏み出せなかったの?」
「そう、よ……。私、悪役って割り振られてる事くらいしか知らなかったし、言ってくれれば良かったのに。……先輩を殺す理由」

 あくまで先輩殺害への躊躇いは見せずに言う。


 もしかしたら、過去軸での力の結集先は先輩だったんじゃない? だから先輩は私を殺しにきた? いや、あれらの死は大勢の中の一人で、だから……。


「言っても理解できなかったでしょう? あなたよりあっちのスライ坊やの方が余程、説明しがいがあるわ」
「なら、どうして私を選んだのよ」
「あら? 選ぶ前に押し売りに来たじゃないの」


 確かに!!
 そうか……、やっぱりそうなんだっ。


「悪役会社、だなんて……事故死には良さそうな隠れ蓑かもしれないけれど。どうであれ、『わたしたち』があなたのサポートをします」


 ここに来てるのはモニークだけじゃないのね。


「だから、安心して……任務を全うしてくれるわね?」

 彼女の言葉は、まるで毒だ。
 ひっそりと私の心に入り込んできそうだ。


 味方がいるのは本来願ってもない事だけど……。
 でも、反組織の関係に飲まれていくのはイヤだわ。


「モニーク、スライ先輩はともかく……ヘクターでも良かったの?」
「一つ、教えてあげる。悪役の血は濃いほどいいのよ」

 言うだけ言って彼女は去っていく。
 残された私はしばし呆然とし、首を傾げた。

「つまり?」


 先輩の方が話しがいがあるって言ってたし、あっちの方が血が濃くて……養子身分のヘクターは無しって事よね?
 ヨーク家は可もなく不可もなくって感じ? って事はやっぱり先輩が過去軸であんな風になったのは反組織が絡んでたって思っていいのよね。


 父は良く言っていた――交渉構想のをする上での一番大事な事は、その敵の弱味だと。
 弱味がない時は、作りなさいと。
 敵とは親しくし、敵の弱味をいくつも見つけ作っていく事が重要だと。
 弱味は強味に変わることもあれば、プラスに働く事もある――だから『たくさん集めなさい』と。


 何がプラスに働くか分からない……か。
 差し当たっての敵カリムを探さないとよね。ここ、完全に私の別荘みたいになりつつあるし。


 そうとなれば家主の所在を家人に聞いて回るのが一番だ。少なくとも貴族の家だ。
 執事が知らないはずもない。
 与えられた部屋の寝室に向かいながらフゥと白い息を吐く。

「ちょっと寒いわね」

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