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第14章・灰は撒かれた
◆ 13・聖女と魔王(中) ◆
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咄嗟にエイベルの手を掴む。
エイベル、勝てるの!?
〈いい勝負〉
心の声は正確に彼に伝わったらしい。
だが、『いい勝負』という事は負ける可能性もあるという事だ。敵はフローレンスだけではない、今は姿が見えないだけでヘクターもいるのだ。
「ところで……、ヒントは集められましたか?」
私を見もせず、フローレンスが問う。
成功ルートの為のヒントについてだと、すぐに分かった。
「そうね、ウチの弟が栄養失調って事が分かったわ。少なくともあんたを簡単に倒せるくらいには栄養を付けさせないとだし、これからはいっぱい食べさせようと思ってるわ。大事にしていきたいわね」
「いいですね」
軽口のように答えた言葉を、彼女もあっさり流す。
「オレとアンタ、イッショだ」
〈白に黒が混ぜられてる、足りてない〉
……聖女値が?
〈全部いいわけ、……このヒトが、『やりなおしたい』んだ〉
エイベルから伝わってきた言葉にパチリと瞬きする。
改めて妹を見て、しっくり来た気がした。
積み上げていく人生、自分の歴史。それを、意図的に壊され捻じ曲げられたと彼女は知っている。お父様に引き取られた所からやり直せたら良かったのかもしれない。
でも、そんなのは無理。
十六才の誕生日スタートを動かす事なんて、おっさん天使でもない限り……。それはフローだって分かってるはず、記憶があるんだから、一定の時間軸より前には戻れないって分かってる。
だとするなら、やり直しの時点からフローに目を向けて大事にしてくればよかったんだろうか?
だが、それも無理な話だ。日々襲い来る殺害の連鎖からまぬがれようとすれば、当然フローレンスに目を向けてやる暇などない。
「……私、ダメな姉だわ」
漏らせば、彼女が目を見開く。
「わたしはそう思ったこと、ありませんよ?」
今更、謝ってもしょうがないわね。
「フロー、……今ここにいるのは、魔王と聖女と普通の……ちょっと悪い事もした普通の人間。大事な事もすぐ忘れちゃったりするし、いいかげんだったりもして……、つまり、そんな私、に期待する方がどうかしてるのよっ」
言葉に出してみれば、もっともすぎて、納得しかない。
いやホントこれに尽きるわ。
「私、考え違いしてたわ。あんた達みたいなイイ意味でモンスター越えの奴らを騙して、従えて、いいように動かそうって思ってたけど。全部間違いね!」
「……オネーサマ……」
「そんなこと、思ってたんですか? 姉様」
大きく頷く。どうせ相手は心の色だかなんだかが見えるのだ。
「だからまぁ、私のリスタートで何かがどうにか変わるとか期待するんじゃないわよ。あんた達で手を組みなさいよ」
二人は意味が分からないとばかりに目を見開き、互いを見る。そしてこちらに向き直った。
「お姉様、ごめんなさい。意味が……」
「うん。わからない、オネーサマ、バカなの?」
エイベル、勝てるの!?
〈いい勝負〉
心の声は正確に彼に伝わったらしい。
だが、『いい勝負』という事は負ける可能性もあるという事だ。敵はフローレンスだけではない、今は姿が見えないだけでヘクターもいるのだ。
「ところで……、ヒントは集められましたか?」
私を見もせず、フローレンスが問う。
成功ルートの為のヒントについてだと、すぐに分かった。
「そうね、ウチの弟が栄養失調って事が分かったわ。少なくともあんたを簡単に倒せるくらいには栄養を付けさせないとだし、これからはいっぱい食べさせようと思ってるわ。大事にしていきたいわね」
「いいですね」
軽口のように答えた言葉を、彼女もあっさり流す。
「オレとアンタ、イッショだ」
〈白に黒が混ぜられてる、足りてない〉
……聖女値が?
〈全部いいわけ、……このヒトが、『やりなおしたい』んだ〉
エイベルから伝わってきた言葉にパチリと瞬きする。
改めて妹を見て、しっくり来た気がした。
積み上げていく人生、自分の歴史。それを、意図的に壊され捻じ曲げられたと彼女は知っている。お父様に引き取られた所からやり直せたら良かったのかもしれない。
でも、そんなのは無理。
十六才の誕生日スタートを動かす事なんて、おっさん天使でもない限り……。それはフローだって分かってるはず、記憶があるんだから、一定の時間軸より前には戻れないって分かってる。
だとするなら、やり直しの時点からフローに目を向けて大事にしてくればよかったんだろうか?
だが、それも無理な話だ。日々襲い来る殺害の連鎖からまぬがれようとすれば、当然フローレンスに目を向けてやる暇などない。
「……私、ダメな姉だわ」
漏らせば、彼女が目を見開く。
「わたしはそう思ったこと、ありませんよ?」
今更、謝ってもしょうがないわね。
「フロー、……今ここにいるのは、魔王と聖女と普通の……ちょっと悪い事もした普通の人間。大事な事もすぐ忘れちゃったりするし、いいかげんだったりもして……、つまり、そんな私、に期待する方がどうかしてるのよっ」
言葉に出してみれば、もっともすぎて、納得しかない。
いやホントこれに尽きるわ。
「私、考え違いしてたわ。あんた達みたいなイイ意味でモンスター越えの奴らを騙して、従えて、いいように動かそうって思ってたけど。全部間違いね!」
「……オネーサマ……」
「そんなこと、思ってたんですか? 姉様」
大きく頷く。どうせ相手は心の色だかなんだかが見えるのだ。
「だからまぁ、私のリスタートで何かがどうにか変わるとか期待するんじゃないわよ。あんた達で手を組みなさいよ」
二人は意味が分からないとばかりに目を見開き、互いを見る。そしてこちらに向き直った。
「お姉様、ごめんなさい。意味が……」
「うん。わからない、オネーサマ、バカなの?」
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