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第14章・灰は撒かれた
◆ 14・聖女と魔王(後) ◆
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「あんた達って対だし、影響しあう関係なわけじゃない? 最終戦までイイ感じで手を組んで、影響を及ぼし合って、したいだけ成長したらいいじゃないの」
言葉にしてみれば、とても良い案に思える。それこそ私を殺してイチから全てを始める、なんて時間の無駄に思える。
「つまり予定調和よ! 最後の最後、最終戦までは協力しあって、状況に合わせて勝ち負けを譲り合いながらやるのよ。そうすればどちらも成長できるでしょ?」
「オレはいいよ」
勝ち目も五分五分なエイベルは私の案に乗る。
反対にフローレンスは断るように首を振った。
「姉様、それは詭弁です。勝利条件を整えるためには、システムにのっとって魔王討伐をしましょうというだけの事ですよね? 地上社会を守るためには魔王は倒されなければならない。つまり勝利がどちらであるべきかは決まっているんです」
……正論だわ。
「最終的に負けるべき魔王が、一歩先んじているわたしと手を組む理由は何でしょう? それは遅れているから、こちらの条件の方が上だからです」
「そう、かしら……、うちのエイベルだって結構力がついてるし?」
「隠しても無駄です。今日の時点で、魔王はわたしに勝てません。こちらは姉様一人の命を狙って二人でかかりますし、魔王は姉様を守って防戦せざるを得ません。わたしと力が拮抗していたとしても、ヘクター参入、姉様の護衛、……勝機はありません」
これまた、正論ね……。どうするっ? 向こうは私一人を殺害して離脱するわけだから、こっちの立場の方が弱い。
せめて勇者が……っ、ヘクターがいなければ……。
沈黙の降りた部屋に規則正しいノック音。
いかにもアレックスらしさを感じる叩き方だ。
「……カエルさんですね。本当に……邪魔な人」
聖女の能力なのか、単に我が家にやってくる彼を見て知っているからか、フローレンスにも分かったらしい。
「チャーリー、話があるから開けてほしいんだけど」
まだ私の自由時間だ。フローレンスに了承を得るまでもない。
戸口に向かい、ドアを開ける。想像通りのルーファの姿をしたアレックスの姿がある。
ただ、少しだけ違うのは大荷物を背負っている事だった。
「チャーリー、ごめん。遅くなったよ」
そこで彼も中にいるフローレンスに気づき、ホッと息を吐いた。
「やぁ、フローレンス・メイ・ヨーク。ボクがアレクサンダーである事は分かるね?」
「ごきげんよう。見た目は違いますが、分かります」
彼女は短いスカートの裾をつまんでお辞儀する。
アレックスは入室後ドアを閉めると、背負っていた大きな布袋を床にドサリと置いた。
「まだ時間は大丈夫だよね?」
「え、うん、……まぁ」
私の期限の事を言っているなら間に合ってはいるが、力のバランスは追いついていない。言葉を濁しているうちに彼が小さく「間に合って良かった」と呟く。
おもむろに袋の口を縛っていた紐をほどき始めるアレックス。
「さぁエイベル、君に必要な物を用意してきたよ」
バラリと中身が覗いて――私は悲鳴をかみ殺した。
「……っ!!!!」
言葉にしてみれば、とても良い案に思える。それこそ私を殺してイチから全てを始める、なんて時間の無駄に思える。
「つまり予定調和よ! 最後の最後、最終戦までは協力しあって、状況に合わせて勝ち負けを譲り合いながらやるのよ。そうすればどちらも成長できるでしょ?」
「オレはいいよ」
勝ち目も五分五分なエイベルは私の案に乗る。
反対にフローレンスは断るように首を振った。
「姉様、それは詭弁です。勝利条件を整えるためには、システムにのっとって魔王討伐をしましょうというだけの事ですよね? 地上社会を守るためには魔王は倒されなければならない。つまり勝利がどちらであるべきかは決まっているんです」
……正論だわ。
「最終的に負けるべき魔王が、一歩先んじているわたしと手を組む理由は何でしょう? それは遅れているから、こちらの条件の方が上だからです」
「そう、かしら……、うちのエイベルだって結構力がついてるし?」
「隠しても無駄です。今日の時点で、魔王はわたしに勝てません。こちらは姉様一人の命を狙って二人でかかりますし、魔王は姉様を守って防戦せざるを得ません。わたしと力が拮抗していたとしても、ヘクター参入、姉様の護衛、……勝機はありません」
これまた、正論ね……。どうするっ? 向こうは私一人を殺害して離脱するわけだから、こっちの立場の方が弱い。
せめて勇者が……っ、ヘクターがいなければ……。
沈黙の降りた部屋に規則正しいノック音。
いかにもアレックスらしさを感じる叩き方だ。
「……カエルさんですね。本当に……邪魔な人」
聖女の能力なのか、単に我が家にやってくる彼を見て知っているからか、フローレンスにも分かったらしい。
「チャーリー、話があるから開けてほしいんだけど」
まだ私の自由時間だ。フローレンスに了承を得るまでもない。
戸口に向かい、ドアを開ける。想像通りのルーファの姿をしたアレックスの姿がある。
ただ、少しだけ違うのは大荷物を背負っている事だった。
「チャーリー、ごめん。遅くなったよ」
そこで彼も中にいるフローレンスに気づき、ホッと息を吐いた。
「やぁ、フローレンス・メイ・ヨーク。ボクがアレクサンダーである事は分かるね?」
「ごきげんよう。見た目は違いますが、分かります」
彼女は短いスカートの裾をつまんでお辞儀する。
アレックスは入室後ドアを閉めると、背負っていた大きな布袋を床にドサリと置いた。
「まだ時間は大丈夫だよね?」
「え、うん、……まぁ」
私の期限の事を言っているなら間に合ってはいるが、力のバランスは追いついていない。言葉を濁しているうちに彼が小さく「間に合って良かった」と呟く。
おもむろに袋の口を縛っていた紐をほどき始めるアレックス。
「さぁエイベル、君に必要な物を用意してきたよ」
バラリと中身が覗いて――私は悲鳴をかみ殺した。
「……っ!!!!」
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