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第16章・リスタート
◆ 8・苦手な交渉相手(前) ◆
しおりを挟む「ようこそ、いらっしゃいま」
「またかよ、クソだな」
私が言い終えるより早く言葉をかぶせてくる客人。
第三王子は最初から覚えていることを隠す気もないらしい。もちろん、これはこれで話が早くて助かる。だがもし、隣のアレックスが色々なそれらを知らなかったとしたら、明らかに問題発言だ。
「なんだ、その目は?」
「王子、そういう話は場所をわきまえ」
「なら、さっさと場所に案内しろ」
コイツ、いつか殴る!
「やぁ、キャメロン」
アレックスが挨拶する。
ずいぶん気安い挨拶だが、第三王子は完全に無視して邸内へと入っていく。
第三のくせにいいのか、その態度……。
「うん……まぁ、ボクら兄弟の仲ってこうだよね……」
「そ、そうね……。で、でもまぁ、お互い頑張りましょう」
「うん……」
さっさと応接室に入った第三王子は、くるりとこちらを振り返り、館の主人然としてメイドたちに指令を出す。
すなわち、人払いだ。呼ぶまで誰も近寄るなと命令し、追っ払う。
「で、今度はどんな死に方をした? そろそろ兄上に殺されたか? 大笑いしてやるから言ってみろ」
「違うわね」
「そんなことしないよ」
彼は「どうだか」と鼻で笑った。
「キャメロン、実はボク」
「あーあーあー、聞くのめんどくさいので話さないで貰えます、兄上。こちら天才なので、大体のことは把握してますし? まぁ今の時点で兄上がこの流れに乗っかってる以上、記憶保持者ってことでしょう」
「うん、まぁ。あと神になったからかも」
キャメロンはピタリと止まり、白けた目でカエルを見つめる。
「あ、いや、ウソじゃないし、頭が可笑しくなったわけでもないよ? 本当に神という枠に入ってしまったらしいというか、それで記憶が残ってるみたいで、流れを説明させてもらえるなら」
なんでアレックスって、弟妹を前にすると口下手になるんだろう? そもそも苦手意識が全面に出ちゃってるのよねぇ。
第三王子は顎に手を当て、考え込む。
「兄上が馬鹿だとは思っていませんから、気が触れたのでなければ恐らく本当なんでしょう」
失礼極まりない言葉で納得し、キャメロンは私を指さす。
「つまり今回は人外に殺されたな?」
「え、何で?」
「記憶が残っていれば分かるだろう。人外に殺された時だけ、この特殊ステージが現れる」
「……キャメロン、それはどうだろう? ボクはチャーリーがバランスを崩して進みすぎた時と思ったよ?」
「兄上、……賢い兄上とも思えない雑な分析ですね」
二人はにらみ合う。
分析タイムという名の兄弟の語らいが始まるのだろう。ならば私もすべきことをしてくるべきだろう。
アレックス、がんばれ!
って事で……、私はお父様の、協力を得る努力ね。
そもそも私のために時間を割いてくれるかも怪しいが、二人に背を向け――部屋を出た。
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