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第16章・リスタート
◆ 13・迫る過去(前) ◆
しおりを挟むなんてこと……その時に気づいてれば、問い詰められたのに!
愕然とする私にアレックスは肩を、竦める。
「とは言っても、あの方だからね。聞いたところで答えてはくれない可能性の方が高いかな」
「……そうよね」
生きて戻れただけでも運が良いと思おう。
彼は「それに」と続ける。
「ヨーク侯の思惑がどこにあるのか」
「そんなの灰色計画でしょ?」
「その結果だよ。『世界が灰色であればいい』『灰色にしたい』は、ただの想像や希望であって、思想としての理由にはならないよ。『なぜ』『したい』のか、があってこそさ。また計画というからには結果が利益をもたらさないはずもないよ」
「そうかしら」
「思想はより良い何かを得るために掲げる指示器のようなものだよ。漠然としていても何らかの到達点はあるよ」
そんなもの?
じゃ、お父様には別の……、真の狙いがあるってことか。
アレックスが立ち上がる。婚約者の誕生日だ、彼にも用意が多数あるだろうと私も見送りに出るため立つ。
だが彼はなぜか、隣に座った。
「チャーリー」
問うより早く彼が口を開く。
「チャーリー、……は、ボクに王になってほしい?」
思考停止で、立ったまま彼を見下ろした。
前までの私なら、答えなどYES以外の何もない。
だが、経験を詰んだ私は答えに窮する。
何か言うべきだわ……!
「あんたはどうしたいの?」
辛うじて転げ出た言葉は、ただの――答えの先送りでしかない。
それでも彼は「うん」と唸って答える。
「前までは嫌だった」
「私も……」
アレックスが顔を上げる。
対する私は顔を反らした。
「前までは、何としても王になって欲しかったわ。だってヨーク家の娘だもの。家のせいにするわけじゃないけど、それなりにプライドってものを育てられてきてるわ。周囲の期待と視線、それに応えてこそのシャーロット・グレイス・ヨークよ」
その結果、影で苦しみ悲しむ者がいたとしても――顧みるべきではないとさえ。
「だけど、……私も変わったのよ。いっぱい死んでさ? プライドなんて何の役にも立たないって知ったし、期待に応えようとしても、相手の期待と完全一致することはないってこともね」
もしかすると、思慮深いアレックスはそれらを知っていたのかもしれない。だからこそ王になりたくないと思ったのかもしれない。
そう思えば、彼に私から進路指導などできるはずもなかった。
「そっか……。でもチャーリー、前回ので気付いたかもしれないけど、ボクたちが結婚するには条件がたくさんあるんだよ?」
「全く気付いてないけど、何よ?」
「ボクはかつての過去でチャーリーを監禁したよね?」
そっか! 過去を全部見てきたんだった、こいつ!!
「そ、そうね……、な、軟禁って感じかしら……? アレは……」
冷や汗が噴き出そうだった。
この話の流れが、良いのか悪いのか判断がつかない。
「チャーリーを監禁したのには、理由があるんだ」
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