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第16章・リスタート
◆ 14・迫る過去(後) ◆
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「聞こうじゃないの」
軽い口調で、先を促す。それだけが精いっぱいだった。
ずっと気にはなっていた。
こんなにも人畜無害な草食男が、どうして私を監禁し、ドS男になってしまったのかと――。質問することであの時の彼を目覚めさせてしまわないかは、不安になった。
だが、向き合う時があるとするなら、今なのだろう。
「君はヨーク侯の資産の一つで、その価値はとても高い。前回でも分かる通り、ヨーク侯と同じ方向を向いていなければ、その資産は別の人物へと支払われる」
それはそうね?
前回はお父様とアレックスの意見が食い違ったとかで、第三王子の婚約者にされたし?
「君を監禁した軸では、強引にヨーク家から奪ってるんだよね……」
「……そう言われれば、揉めてたような記憶あるわね」
「うん……」
でもだからって、私を監禁する意味は?
「だから、君の実家からも君を連れ出そうと人が送り込まれたし、ボクも奪い返されないようにって……気付いたら君を監禁するしかない状態になっていて」
「いやいやいや、なんで私に言わないのよ? お父様がそんな人手を雇ってまで娘を取り戻そうとしてたなんて初耳よ!」
確かに私は資産だ。
買い手はお父様の利益になる人でなければならないだろうが、わざわざ取り戻そうとしたなど驚きだ。
「君は……喜んで出て行くと思った」
「はあ?」
「その、き、みに……好かれてると思わなかったし、君はヨーク侯との関係も良くて……彼の意見をこそ尊重するだろうと思って」
かつての私と言えば、『カエルなんて嫌』を声高に宣言していたのだから、アレックスが誤解するのも無理はない。実際、父の命令となればあの頃の私がどう動いたかも――分からない。
「……監禁の言い分は分かったわ」
表面上は受け入れて咳払いをする。
「でもアレックス、それなら監禁だけでいいような気がするの。あんた……結構なドSっぷりを発揮してたじゃない? アレって生来なものなわけ? あんた、私を屈服させたいと思ってきたわけ?」
これはとても重要な質問だ。
この答え次第で、私は将来結婚を取りやめようと思う。人生80年分も生きたのだ、愛だけではやっていけないことくらい理解できている。
「君の愛読書が『アデレイド戦記』でオリガ・アデレイドを敬愛してたから、せめて性格を近づけて好かれようと努力したんだけど」
「ふざけてるの?」
「え」
「アレックス……本の中のオリガ・アデレイドはもっと、別次元にかっこよかったわ。あんたセンスないし、二度とマネしないで。今後マネしたら即離婚よ」
「う、うん」
彼は頬をかく。
困っているのはこちらの方だ。
「つまり、チャーリーと結婚するには、ヨーク侯と足並みが揃っていないとダメってことだよ。そしてそれはいくつもの政治とお金を含む問題で、彼の意見次第で状況は変わるんだ」
「めんどくさいわね」
言ってから、溜息をつく。
「私は……普通に死にたいのよ」
軽い口調で、先を促す。それだけが精いっぱいだった。
ずっと気にはなっていた。
こんなにも人畜無害な草食男が、どうして私を監禁し、ドS男になってしまったのかと――。質問することであの時の彼を目覚めさせてしまわないかは、不安になった。
だが、向き合う時があるとするなら、今なのだろう。
「君はヨーク侯の資産の一つで、その価値はとても高い。前回でも分かる通り、ヨーク侯と同じ方向を向いていなければ、その資産は別の人物へと支払われる」
それはそうね?
前回はお父様とアレックスの意見が食い違ったとかで、第三王子の婚約者にされたし?
「君を監禁した軸では、強引にヨーク家から奪ってるんだよね……」
「……そう言われれば、揉めてたような記憶あるわね」
「うん……」
でもだからって、私を監禁する意味は?
「だから、君の実家からも君を連れ出そうと人が送り込まれたし、ボクも奪い返されないようにって……気付いたら君を監禁するしかない状態になっていて」
「いやいやいや、なんで私に言わないのよ? お父様がそんな人手を雇ってまで娘を取り戻そうとしてたなんて初耳よ!」
確かに私は資産だ。
買い手はお父様の利益になる人でなければならないだろうが、わざわざ取り戻そうとしたなど驚きだ。
「君は……喜んで出て行くと思った」
「はあ?」
「その、き、みに……好かれてると思わなかったし、君はヨーク侯との関係も良くて……彼の意見をこそ尊重するだろうと思って」
かつての私と言えば、『カエルなんて嫌』を声高に宣言していたのだから、アレックスが誤解するのも無理はない。実際、父の命令となればあの頃の私がどう動いたかも――分からない。
「……監禁の言い分は分かったわ」
表面上は受け入れて咳払いをする。
「でもアレックス、それなら監禁だけでいいような気がするの。あんた……結構なドSっぷりを発揮してたじゃない? アレって生来なものなわけ? あんた、私を屈服させたいと思ってきたわけ?」
これはとても重要な質問だ。
この答え次第で、私は将来結婚を取りやめようと思う。人生80年分も生きたのだ、愛だけではやっていけないことくらい理解できている。
「君の愛読書が『アデレイド戦記』でオリガ・アデレイドを敬愛してたから、せめて性格を近づけて好かれようと努力したんだけど」
「ふざけてるの?」
「え」
「アレックス……本の中のオリガ・アデレイドはもっと、別次元にかっこよかったわ。あんたセンスないし、二度とマネしないで。今後マネしたら即離婚よ」
「う、うん」
彼は頬をかく。
困っているのはこちらの方だ。
「つまり、チャーリーと結婚するには、ヨーク侯と足並みが揃っていないとダメってことだよ。そしてそれはいくつもの政治とお金を含む問題で、彼の意見次第で状況は変わるんだ」
「めんどくさいわね」
言ってから、溜息をつく。
「私は……普通に死にたいのよ」
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