死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第16章・リスタート

◆ 15・来訪者 ◆

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 夕暮れが迫る。
 バルコニーから見えるオレンジの空を見上げ、ため息が出た。すでにウェディング並みに着飾られ、頭にもドレスにも生花がブスブスとささっているし、少し動くにも重さを感じる仕様だ。
 もうすぐ誕生日パーティーだと思えば、気分も沈むというものだ。かつてはこの重さも嬉しかったはずが、今では何度目か数えることも止めた。
 結局、毎回誕生日がスタートなのだからこの流れには飽き飽きしている。


 とはいうものの、こうして参加者の到着を待つのは久しぶりかも?


 続々と馬車が敷地に入ってくるのが見える。
 変わりばえのしない光景に白いものが目にうつる。基本、貴族の馬車など馬二頭に黒塗りで天辺に家の紋章だ。目に楽しい要素すらもない。
 だが、今しがた入ってきた馬車は白塗りで、馬も白い。

「ウソでしょ……!」


 神殿の馬車じゃない?! どういうことよ!!


 個人的な来訪では使われない神殿の公用馬車だ。天辺には啓教会のマークまで入っている。


 どうして啓教会が?! まさか、またいきなりの断罪スタートじゃないでしょうね?!


 見る間に馬車は屋敷に近づいてくる。
 慌てて、室内に飛び込むと父が部屋に入ってきたところだった。

「お、父さま……っ」
「娘1、先ほど連絡があってね。大神官がお前と話したいってことだったよ」
「だ、だいしん……え? 私と??」
「父様も立ち会うけれど、とても重要な話らしいから慎重に発言するんだよ」

 啓教会、大神官、重要な話とくれば、ロクな話ではない。


 そういえば、誰か来るってエイベルが言ってったっけ? それってこいつらのこと? え、ぶっ倒せって言っちゃってるんだけど??


「お父様……は、何の話だと思いますか?」

 問いかければ、父は小首を傾げる。

「その、想像でもいいので! いきなりのこの来訪で! 重要な話と言われればこちらとしても心の準備が欲しいですから!」

 心のままに叫べば、父は一応の納得を示す。

「うん、そうだね。驚くのは分かるよ。父様の予想では、成婚についてだね」
「結婚について? それってもしかしてアレックスとの結婚に反対とかそういう話をしにきたってことですか?」

 わざわざ誕生日に来てまで話すことだろうかと首を傾げる。
 父は軽く笑った。

「まぁ、成婚日の発表をしてしまっては結婚も決定ということになるからね。彼らも焦っているんだろう」
「その話題、私としてはどんな態度をとれば?」

 ヨーク家の娘としての態度を質問すれば、父は肩を竦めた。

「責任のとれる言動であれば、指示はないよ。第一これは父様の想像だからね。実際に何を聞かれるかは分からない」

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