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38 ファーガス視点:ダナ
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このごろ部下どもが騒がしい。
新人の入隊前だというのに、どこからかその人物についての噂が入って来るのはいつものことだが、今年のそれが少し違うのは、二年振りの女性近衛の入隊があるからだろうと容易く見当がつく。
昨年、一昨年と女性隊員の入隊はゼロ。二年続けてのゼロ更新はファーガスが入隊してからは初めての事だった。
その不作の後にようやく新人が入って来るという情報に女性近衛の隊長であり、幼馴染みの嫁はさぞかしほっとしている事だろう。
意識で耳を塞いでいてもダナとうい名前がよく耳に入ってくる。どうやら二人いるうちの一人の名前らしい。その名が出る頻度からして彼女の方が注目されていると言っていい。
顔がいいのか、腕がたつのか、頭が切れるのか、それとも別の……まあ、分かりやすく顔だろう。
ファーガスはそう結論づけ、それ以降はまた雑音を阻んだ。
それから数か月、親友の嫁の後ろを歩く新人二人の姿を偶然目にした時、あの時期に男どもを騒がせた噂の二人だとすぐにわかった。
真新しい制服であることは遠目でもわかる。サイズの合った服は違和感なく体のラインに沿っているのだが、着ている当人たちの緊張感からかどこか不安定な印象を受ける。幼さも抜けきっていない。
背筋に一本の芯が通っているかのように歩く姿にも隙がないのだが、しなやかさを感じるのはやはり女性だからだろうか。
ほぼ同じ身長、似たような華奢な体型の二人。
であるのに、ファーガスの視線は瞬時に一方を捕えた。
なるほど、あれがダナか。
女性近衛にも色々なタイプがあるが、この新人は美しいよりは可愛らしいと表現されるのだろう。
顔のパーツはどれもこじんまりとしているが、それぞれがいいバランスに配置されている。個性のあるパーツを生かす化粧をする同性の集団では埋もれ、一目で印象付けられないせいで正統な評価はされにくい。
所属が近衛でなければそれほど男たちの口に上る事もなかっただろう。
美しいな。
女性に対してさほど興味を示さないファーガスでも、一般的な顔の美醜の判断はできる。
自然の中や生活の中にある配置、例えば花の花弁の一枚一枚、下から見上げる螺旋階段、柄に彫られた紋章、剣身の滑らかな質感、それらと同じように並べその顔をただ美しいと思った。
ただ、今後も関わることはないだろう。
二人へ向けていた興味に近いものはそれで十分満たされ、彼は思考を次へと移した。
しかしその後も、彼の視界には度々その女が登場した。
当時ものぐさな小隊長にかわり雑務、特に書類仕事の一部を請け負っていたファーガスは、騎士の控室から隊長のいる執務室を往復する事が多々あった。
別棟にある役職者の部屋を訪れ、書類を届け終わった後ファーガスが好んで使う帰り道は、回廊から一旦外へ出で中庭を横切り、塔門を裏へ向かい控室へ戻るという遠回りのルート。
そこを使う事に理由があるならば、回廊を直進するルートでは人に遭遇する確率が高いからだ。 そこで誰かに絡まれるということはないが、仕事終わりのこの時間に誰の視線にも煩わされたくないというのが正直な所だった。
見られるのは、嫌いだ。
ファーガスそう思うようになったのは、八歳になり母のいる宮を出てからだ。
初めは、母に瓜二つのこの容姿が注目されているのだと思った。
『あれは男か女か、しかし側妃の宮から出たのだから男であろう』
そんな好奇な目はあからさまでなくとも五感で感じ取っていた。
そんな好奇心とは違う種類も紛れ込んでいたのは、幼い彼の後ろ姿や流し目の名残に現王の持つ匂いを覚えた者もいたからだ。
用意された友人候補、彼等もまたファーガスの一挙手一投足に神経を払い顔色を伺う。いつでも後を追いファーガスから離れることはなかった。
ある日、ファーガスは身内、腹違いの兄である第二王子からの手渡しの菓子で体を壊した。嘔吐の次は下痢、命まで奪うことはない毒とも言えぬ毒だった。
毒入りの菓子を口に運ぶのを見ていた兄の顔は、一体どんな表情だったのだろう。
五番目の僕でさえこうなら、一番目から四番目の兄はもっと凄まじいさ中に身を置いているのだ。
見られるのは、嫌だ。面の皮一枚下で何を考えているかわからない、その内が透けて見えそうな目が嫌だ。
ファーガスは一度だけ大きく震えたが、精気までは削られないよう強く振舞う事で持ちこたえた。
『剣を思う存分振るいたいのなら騎士になればいい。というか、ダイゴはとうに騎士になっているんだったね』
生まれてから10日後には騎士として名を連ねている事を、友達の言葉で思い出していた。
この友達の押しつけがましくない所をファーガスは気に入っていた。その愛称で呼ぶのは彼ただ一人。
彼は自分の非力さを補うためか勉学に対しては隙をみせない。見切りをつける部分と粘ってこだわる部分の迷いない選択は彼の無垢さゆえだ。
騎士養成の学校は全寮制だった。
王族であるファーガスも例外なく入寮した。環境がかわり彼を見張る人間はいなくなった。舞台から降りた男に監視の目は必要なくなったのだ。
入学から一か月もした頃、夜中にこっそりとドアを叩く音がした。声はなく執拗なそれに大きな物も入り始め、あちらにいる者の苛立ちが伝わる。友人であるなら名を名乗るはずだが、それがないのが証拠だ。
そんな傾向は薄々感じていた。
「殺すぞ」
心のままに低く唸ればようやく諦めて去った。
その後も夜中にドアを叩かれる行為は続いた。手が木を叩くだけの行為だが、向こうにいる人間の特徴はあって、それぞれ違う人間だということがわかる。
自分との繋がりが必要なら昼にくればいい、となると、考えられるのはひとつ。
男の尻がそれほどいいか。
「眠れん」
悪態をついて、思い切って街に降りた。
朝からの訓練で体は眠りを求めている。それでも、昼は市場で賑わう通りは、暗闇の中で違う顔を見せ、ファーガスは初めて目にした、夜の世界、隠れていた世界に息をのんだ。
命だけは持ちかえればいい。
金で解決できるならば素直に出した。
宿も安心できる場所じゃないと知った。
外の世界は剥き出しの刺激だらけで、裏の裏を読むようなこれまでいた世界とは違い、明快で面白い。
自由にできる金がなくなった頃、ある男と出会った。
この出会いも直感といっていい。この男は信頼できるだろうと、男の店に出入りするようになり、裏方として手伝うようになった。
男は七つ年上。若くして小さいながらも自分の店を持ち働いているオーナーだった。
店を出す時の借金も抱えるわりに欲がなく、昼は営業せずぐーすか寝ているのだと言う。ファーガスの正体を知ろうとせず飄々としている所が気にいった。
カウンターから出ないファーガスにも、異性だけでなく同性からの誘いがあった。夜はすべてを隠すとはいっても、明かりの灯る場所は昼と同じ、その美貌をさらけだすのだった。
『俺は売り物じゃない』
すごんでも懲りない輩はいた。ナイフを持ち出し威嚇する奴にはそれなりに対抗した。給仕をする身内であるはずの女さえも色目を使ってしなを作った。
「何か悩みがあるのなら相談にのるよ?」
「別に……」
客である色男の声に眉をひそめた。
「今夜はご機嫌ななめだね」
「普通だよ」
悩みなんてない。あったとしても喋らない。
ファーガスはいつも通りグラスを拭いていただけだ。
「お前眠いんだろ。奥にすっこんで休めよ。頭空っぽにしてても深読みされるのは大変だわな。お前はただのアホの子なのに」
オーナーの男だけはファーガスの表情を読んでいた。
その頃から店主が伸ばし始めた髭は、自分に威厳をつけるためだったらしい。それよりも身体を鍛えろとファーガスは助言をするようになった。
昼は決められたカリキュラムをさらい、週に一度は夜の町にいた。どちらにいてもよく言われたのが、
「何を怒ってる」
「言いたいことがあるなら口にしてみろ」
そんな内容だった。
言われても困惑するだけだった。
そんな時ほどファーガスは何も考えていなかったし、ただ眠気を感じていただけだった。
そもそもファーガスはそれほど難しい事を考えたりしない。それよりは直感に従って動いた方が断然にいいのだと経験から学んでいた。
周りが勝手に彼の中身を伺い、そうであろうと完結してファーガス像を作り上げてしまうのだ。
どこへ行っても同じなら、自分の考えや心持を柔軟に対応するしかない事を自然に学んだ。
細身の体を甘くみた人間の待ち伏せも、不意打ちにも小慣れた頃、無秩序な世界を後にした。
思い返してみれば、その頃のファーガスは週に一度の夜だけオーナーである友人に会いに来ていただけなのかもしれない。
そんな中で、単純に自分は夜ではなく昼、商売より剣がお似合いだと思ったのだった。
執務室帰りの人に会わないための帰り道。塔門の裏は広く寂しい空間だ。剥き出しの土からは草が生え、植栽は一本。これまで誰ともすれ違う事がなかったそこに、ダナはいた。
人の手は借りずに誰にも気付かれることもなく、ここまで根をはり育ってしまったのかもしれない木は、冬になると大きな葉の数を減らすがこの季節には茂っている。
木の幹によりかかるように地面に座り、空を見上げ風に吹かれているダナ。
新たな生活に葛藤や悩みはつきものだろう。一人になるには絶好の場所かもしれない。
動かない彼女は恐らくこちらに気付いていない。ファーガスは横目だけでダナを確認し、興味はないと足早に去った。
新人の入隊前だというのに、どこからかその人物についての噂が入って来るのはいつものことだが、今年のそれが少し違うのは、二年振りの女性近衛の入隊があるからだろうと容易く見当がつく。
昨年、一昨年と女性隊員の入隊はゼロ。二年続けてのゼロ更新はファーガスが入隊してからは初めての事だった。
その不作の後にようやく新人が入って来るという情報に女性近衛の隊長であり、幼馴染みの嫁はさぞかしほっとしている事だろう。
意識で耳を塞いでいてもダナとうい名前がよく耳に入ってくる。どうやら二人いるうちの一人の名前らしい。その名が出る頻度からして彼女の方が注目されていると言っていい。
顔がいいのか、腕がたつのか、頭が切れるのか、それとも別の……まあ、分かりやすく顔だろう。
ファーガスはそう結論づけ、それ以降はまた雑音を阻んだ。
それから数か月、親友の嫁の後ろを歩く新人二人の姿を偶然目にした時、あの時期に男どもを騒がせた噂の二人だとすぐにわかった。
真新しい制服であることは遠目でもわかる。サイズの合った服は違和感なく体のラインに沿っているのだが、着ている当人たちの緊張感からかどこか不安定な印象を受ける。幼さも抜けきっていない。
背筋に一本の芯が通っているかのように歩く姿にも隙がないのだが、しなやかさを感じるのはやはり女性だからだろうか。
ほぼ同じ身長、似たような華奢な体型の二人。
であるのに、ファーガスの視線は瞬時に一方を捕えた。
なるほど、あれがダナか。
女性近衛にも色々なタイプがあるが、この新人は美しいよりは可愛らしいと表現されるのだろう。
顔のパーツはどれもこじんまりとしているが、それぞれがいいバランスに配置されている。個性のあるパーツを生かす化粧をする同性の集団では埋もれ、一目で印象付けられないせいで正統な評価はされにくい。
所属が近衛でなければそれほど男たちの口に上る事もなかっただろう。
美しいな。
女性に対してさほど興味を示さないファーガスでも、一般的な顔の美醜の判断はできる。
自然の中や生活の中にある配置、例えば花の花弁の一枚一枚、下から見上げる螺旋階段、柄に彫られた紋章、剣身の滑らかな質感、それらと同じように並べその顔をただ美しいと思った。
ただ、今後も関わることはないだろう。
二人へ向けていた興味に近いものはそれで十分満たされ、彼は思考を次へと移した。
しかしその後も、彼の視界には度々その女が登場した。
当時ものぐさな小隊長にかわり雑務、特に書類仕事の一部を請け負っていたファーガスは、騎士の控室から隊長のいる執務室を往復する事が多々あった。
別棟にある役職者の部屋を訪れ、書類を届け終わった後ファーガスが好んで使う帰り道は、回廊から一旦外へ出で中庭を横切り、塔門を裏へ向かい控室へ戻るという遠回りのルート。
そこを使う事に理由があるならば、回廊を直進するルートでは人に遭遇する確率が高いからだ。 そこで誰かに絡まれるということはないが、仕事終わりのこの時間に誰の視線にも煩わされたくないというのが正直な所だった。
見られるのは、嫌いだ。
ファーガスそう思うようになったのは、八歳になり母のいる宮を出てからだ。
初めは、母に瓜二つのこの容姿が注目されているのだと思った。
『あれは男か女か、しかし側妃の宮から出たのだから男であろう』
そんな好奇な目はあからさまでなくとも五感で感じ取っていた。
そんな好奇心とは違う種類も紛れ込んでいたのは、幼い彼の後ろ姿や流し目の名残に現王の持つ匂いを覚えた者もいたからだ。
用意された友人候補、彼等もまたファーガスの一挙手一投足に神経を払い顔色を伺う。いつでも後を追いファーガスから離れることはなかった。
ある日、ファーガスは身内、腹違いの兄である第二王子からの手渡しの菓子で体を壊した。嘔吐の次は下痢、命まで奪うことはない毒とも言えぬ毒だった。
毒入りの菓子を口に運ぶのを見ていた兄の顔は、一体どんな表情だったのだろう。
五番目の僕でさえこうなら、一番目から四番目の兄はもっと凄まじいさ中に身を置いているのだ。
見られるのは、嫌だ。面の皮一枚下で何を考えているかわからない、その内が透けて見えそうな目が嫌だ。
ファーガスは一度だけ大きく震えたが、精気までは削られないよう強く振舞う事で持ちこたえた。
『剣を思う存分振るいたいのなら騎士になればいい。というか、ダイゴはとうに騎士になっているんだったね』
生まれてから10日後には騎士として名を連ねている事を、友達の言葉で思い出していた。
この友達の押しつけがましくない所をファーガスは気に入っていた。その愛称で呼ぶのは彼ただ一人。
彼は自分の非力さを補うためか勉学に対しては隙をみせない。見切りをつける部分と粘ってこだわる部分の迷いない選択は彼の無垢さゆえだ。
騎士養成の学校は全寮制だった。
王族であるファーガスも例外なく入寮した。環境がかわり彼を見張る人間はいなくなった。舞台から降りた男に監視の目は必要なくなったのだ。
入学から一か月もした頃、夜中にこっそりとドアを叩く音がした。声はなく執拗なそれに大きな物も入り始め、あちらにいる者の苛立ちが伝わる。友人であるなら名を名乗るはずだが、それがないのが証拠だ。
そんな傾向は薄々感じていた。
「殺すぞ」
心のままに低く唸ればようやく諦めて去った。
その後も夜中にドアを叩かれる行為は続いた。手が木を叩くだけの行為だが、向こうにいる人間の特徴はあって、それぞれ違う人間だということがわかる。
自分との繋がりが必要なら昼にくればいい、となると、考えられるのはひとつ。
男の尻がそれほどいいか。
「眠れん」
悪態をついて、思い切って街に降りた。
朝からの訓練で体は眠りを求めている。それでも、昼は市場で賑わう通りは、暗闇の中で違う顔を見せ、ファーガスは初めて目にした、夜の世界、隠れていた世界に息をのんだ。
命だけは持ちかえればいい。
金で解決できるならば素直に出した。
宿も安心できる場所じゃないと知った。
外の世界は剥き出しの刺激だらけで、裏の裏を読むようなこれまでいた世界とは違い、明快で面白い。
自由にできる金がなくなった頃、ある男と出会った。
この出会いも直感といっていい。この男は信頼できるだろうと、男の店に出入りするようになり、裏方として手伝うようになった。
男は七つ年上。若くして小さいながらも自分の店を持ち働いているオーナーだった。
店を出す時の借金も抱えるわりに欲がなく、昼は営業せずぐーすか寝ているのだと言う。ファーガスの正体を知ろうとせず飄々としている所が気にいった。
カウンターから出ないファーガスにも、異性だけでなく同性からの誘いがあった。夜はすべてを隠すとはいっても、明かりの灯る場所は昼と同じ、その美貌をさらけだすのだった。
『俺は売り物じゃない』
すごんでも懲りない輩はいた。ナイフを持ち出し威嚇する奴にはそれなりに対抗した。給仕をする身内であるはずの女さえも色目を使ってしなを作った。
「何か悩みがあるのなら相談にのるよ?」
「別に……」
客である色男の声に眉をひそめた。
「今夜はご機嫌ななめだね」
「普通だよ」
悩みなんてない。あったとしても喋らない。
ファーガスはいつも通りグラスを拭いていただけだ。
「お前眠いんだろ。奥にすっこんで休めよ。頭空っぽにしてても深読みされるのは大変だわな。お前はただのアホの子なのに」
オーナーの男だけはファーガスの表情を読んでいた。
その頃から店主が伸ばし始めた髭は、自分に威厳をつけるためだったらしい。それよりも身体を鍛えろとファーガスは助言をするようになった。
昼は決められたカリキュラムをさらい、週に一度は夜の町にいた。どちらにいてもよく言われたのが、
「何を怒ってる」
「言いたいことがあるなら口にしてみろ」
そんな内容だった。
言われても困惑するだけだった。
そんな時ほどファーガスは何も考えていなかったし、ただ眠気を感じていただけだった。
そもそもファーガスはそれほど難しい事を考えたりしない。それよりは直感に従って動いた方が断然にいいのだと経験から学んでいた。
周りが勝手に彼の中身を伺い、そうであろうと完結してファーガス像を作り上げてしまうのだ。
どこへ行っても同じなら、自分の考えや心持を柔軟に対応するしかない事を自然に学んだ。
細身の体を甘くみた人間の待ち伏せも、不意打ちにも小慣れた頃、無秩序な世界を後にした。
思い返してみれば、その頃のファーガスは週に一度の夜だけオーナーである友人に会いに来ていただけなのかもしれない。
そんな中で、単純に自分は夜ではなく昼、商売より剣がお似合いだと思ったのだった。
執務室帰りの人に会わないための帰り道。塔門の裏は広く寂しい空間だ。剥き出しの土からは草が生え、植栽は一本。これまで誰ともすれ違う事がなかったそこに、ダナはいた。
人の手は借りずに誰にも気付かれることもなく、ここまで根をはり育ってしまったのかもしれない木は、冬になると大きな葉の数を減らすがこの季節には茂っている。
木の幹によりかかるように地面に座り、空を見上げ風に吹かれているダナ。
新たな生活に葛藤や悩みはつきものだろう。一人になるには絶好の場所かもしれない。
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