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アスランはこれまで異性同性に関わらず付き合ったことがない。性経験もない。
十代の頃、一度だけ、閨の指南役という女性との機会が設けられた。
相手は若くはあったがどこかこなれた様子で、どうみても玄人の女性。彼女の手が懸命にアスランのふにゃけた物を元気にさせている途中でそれは起こった。
アスランの目が大きくなり、瞳の紫が血の色に変わる。そして丸い瞳孔が縦に裂けたのだ。
そして、これまでやり場がなく彼女の背に回していた手の爪は鋭利に伸び黒色にかわっていた。
彼の変異に気付いた彼女は大声を上げ、ベッドから転げ落ち小机で額を切って気絶した。
これまで見た事がない部分変異。それも美形とされる少年が今にも食い掛からんとしている猛獣にみえ彼女は戦慄したのだ。
その騒動のあと、アスランの相手をしようという猛者は現れなかった。
アスランの相手をした女性が食われ、ベッドは血の海になったと一部で噂が広がったのが原因だった。
アスランには相手を傷つける理由がない。生きている女性を襲い血肉を食らう趣味もないのだが、意識せず出てしまう物を制御するのは難しい。
他の龍は無事にその儀式を通過していたのに、アスランには無理だった。きっと誰が相手となっても他を圧倒する獣性が出てきてしまうのだろう。
時は流れそんな噂もなくなってしまっていたことに加え、アスラン自身も誰かを求めることを放棄してしまっていた。
それでも彼はその見目もあり注目されていた。
男性であっても彼の姿をつい追ってしまう。女性などは目が合うとキャっと声を上げて赤くなった顔を扇子で顔を隠し、それでいて集団になるとこちらを見てはキャッキャッとうるさい。
一体何がしたいのかわからず白けるだけだ。
アスランがいた国はとても窮屈で、その国の誰にも心惹かれなかった。
しかしここは違う。
誰の好奇の目もない場所で、アスランは自由を感じていた。
この地へやってきて一週間。
そろそろ暇になってきたと言う所で、ジイが送ってきた小さな蝙蝠は可愛らしかった。
コウを家に入れ体を拭くように、寝衣として渡したシャツに着替えているようにといった。
こんな上等な物は着られないと、慌てて辞退するのを強引に持たせることができた。あとは同じベッドに引きずり込むだけだ。
実はアスランはベッドに横になり、堂々とコウの着替える姿を楽しんでいた。
背を向けながらも、ちらちらとたまにこちらを窺う素振りが初々しく好ましい。
コウは策略を巡らさない。コウは別荘が欲しいだの流行のドレスの話などしない。屑となった木の実が捨てられないとかもかわいすぎる。
コウは蝙蝠姿であって可愛い。でも抱っこした時に触れた尻がかわいいから、やはり人化した方がいい。
食べたい……
尻を食べたい……
アスランはコウを堪能しゴクリと喉を鳴らしてしまっていた。
自分をいやらしい目でみる龍がすぐ後ろにいるとは、そして自分の尻が狙われる立場であるとは思いもしないコウは背中とお尻、無防備な素肌をさらしてしまっていた。
「着替え終わりました。あの……アスラン様、どうかしましたか?」
「いや、何でもない」
「本当ですか?……お顔が……少し……失礼していいでしょうか」
首をかしげた後、こちんとコウが額を合わせてくる。
すぐ近くにコウの潤んだ瞳がある。その瞳がゆっくりと近づいてきていた。
な、何事がおこっている……
「こ、これは」
「こうして熱を測ることができるのだと、聞いたことがあります」
「コウはこうして測ったことがあるのか、誰にだ?」
「え? こういうやり方もあると知っていただけです。誰かに試したことはありません」
「そうかそうか」
ならばよい。
アスランはそっと胸をなでおろす。熱を測ると称してコウにいけないことをしようとした奴がいたのかと思ったのだが、そうではないようだ。
「えっと、熱は、ないように思います」
コウと触れ合った場所から熱が冷めていくのが寂しい。
「いや、どうだろう。何しろコウは初心者だ。熱を測るのは初めてだろう。だったら慎重を期して、もう一度やってくれるか」
「それもそうですね、わかりました」
素直なコウは言いつけを守る。
そっと顔が近づき、おでことおでこが触れ熱が伝わる。
ここで少し唇を突き出したら届くだろうか。少し触れたくらいなら気のせいだと思ってくれるだろうか。
不埒な男はこの世でもっとも自分がアホであると自覚していない。
コウが眠りに入った後、アスランはコウの腰を抱き、肩を甘噛みしながら己の理性と闘っていた。
甘い匂いがするのだが、食べてはいけない。たとえ骨と皮だけの体でも美味しいのがわかるのに、食べてはいけない。
コウを頭からほおばり、バリバリと噛み砕いて胃におさめてしまいたい。
抱きしめてその全身を舐めて、自身の猛りを埋め込んでしまいたい。
そのどちらもをアスランは望み欲している。しかしそれはコウの承諾なしにやってはいけないことだ。
アスランはコウを抱き寄せて、唇の届く範囲にあるコウの甘い頬と滑らかな首筋と頼りない肩を、いつまでもかぷかぷと噛んでいた。
十代の頃、一度だけ、閨の指南役という女性との機会が設けられた。
相手は若くはあったがどこかこなれた様子で、どうみても玄人の女性。彼女の手が懸命にアスランのふにゃけた物を元気にさせている途中でそれは起こった。
アスランの目が大きくなり、瞳の紫が血の色に変わる。そして丸い瞳孔が縦に裂けたのだ。
そして、これまでやり場がなく彼女の背に回していた手の爪は鋭利に伸び黒色にかわっていた。
彼の変異に気付いた彼女は大声を上げ、ベッドから転げ落ち小机で額を切って気絶した。
これまで見た事がない部分変異。それも美形とされる少年が今にも食い掛からんとしている猛獣にみえ彼女は戦慄したのだ。
その騒動のあと、アスランの相手をしようという猛者は現れなかった。
アスランの相手をした女性が食われ、ベッドは血の海になったと一部で噂が広がったのが原因だった。
アスランには相手を傷つける理由がない。生きている女性を襲い血肉を食らう趣味もないのだが、意識せず出てしまう物を制御するのは難しい。
他の龍は無事にその儀式を通過していたのに、アスランには無理だった。きっと誰が相手となっても他を圧倒する獣性が出てきてしまうのだろう。
時は流れそんな噂もなくなってしまっていたことに加え、アスラン自身も誰かを求めることを放棄してしまっていた。
それでも彼はその見目もあり注目されていた。
男性であっても彼の姿をつい追ってしまう。女性などは目が合うとキャっと声を上げて赤くなった顔を扇子で顔を隠し、それでいて集団になるとこちらを見てはキャッキャッとうるさい。
一体何がしたいのかわからず白けるだけだ。
アスランがいた国はとても窮屈で、その国の誰にも心惹かれなかった。
しかしここは違う。
誰の好奇の目もない場所で、アスランは自由を感じていた。
この地へやってきて一週間。
そろそろ暇になってきたと言う所で、ジイが送ってきた小さな蝙蝠は可愛らしかった。
コウを家に入れ体を拭くように、寝衣として渡したシャツに着替えているようにといった。
こんな上等な物は着られないと、慌てて辞退するのを強引に持たせることができた。あとは同じベッドに引きずり込むだけだ。
実はアスランはベッドに横になり、堂々とコウの着替える姿を楽しんでいた。
背を向けながらも、ちらちらとたまにこちらを窺う素振りが初々しく好ましい。
コウは策略を巡らさない。コウは別荘が欲しいだの流行のドレスの話などしない。屑となった木の実が捨てられないとかもかわいすぎる。
コウは蝙蝠姿であって可愛い。でも抱っこした時に触れた尻がかわいいから、やはり人化した方がいい。
食べたい……
尻を食べたい……
アスランはコウを堪能しゴクリと喉を鳴らしてしまっていた。
自分をいやらしい目でみる龍がすぐ後ろにいるとは、そして自分の尻が狙われる立場であるとは思いもしないコウは背中とお尻、無防備な素肌をさらしてしまっていた。
「着替え終わりました。あの……アスラン様、どうかしましたか?」
「いや、何でもない」
「本当ですか?……お顔が……少し……失礼していいでしょうか」
首をかしげた後、こちんとコウが額を合わせてくる。
すぐ近くにコウの潤んだ瞳がある。その瞳がゆっくりと近づいてきていた。
な、何事がおこっている……
「こ、これは」
「こうして熱を測ることができるのだと、聞いたことがあります」
「コウはこうして測ったことがあるのか、誰にだ?」
「え? こういうやり方もあると知っていただけです。誰かに試したことはありません」
「そうかそうか」
ならばよい。
アスランはそっと胸をなでおろす。熱を測ると称してコウにいけないことをしようとした奴がいたのかと思ったのだが、そうではないようだ。
「えっと、熱は、ないように思います」
コウと触れ合った場所から熱が冷めていくのが寂しい。
「いや、どうだろう。何しろコウは初心者だ。熱を測るのは初めてだろう。だったら慎重を期して、もう一度やってくれるか」
「それもそうですね、わかりました」
素直なコウは言いつけを守る。
そっと顔が近づき、おでことおでこが触れ熱が伝わる。
ここで少し唇を突き出したら届くだろうか。少し触れたくらいなら気のせいだと思ってくれるだろうか。
不埒な男はこの世でもっとも自分がアホであると自覚していない。
コウが眠りに入った後、アスランはコウの腰を抱き、肩を甘噛みしながら己の理性と闘っていた。
甘い匂いがするのだが、食べてはいけない。たとえ骨と皮だけの体でも美味しいのがわかるのに、食べてはいけない。
コウを頭からほおばり、バリバリと噛み砕いて胃におさめてしまいたい。
抱きしめてその全身を舐めて、自身の猛りを埋め込んでしまいたい。
そのどちらもをアスランは望み欲している。しかしそれはコウの承諾なしにやってはいけないことだ。
アスランはコウを抱き寄せて、唇の届く範囲にあるコウの甘い頬と滑らかな首筋と頼りない肩を、いつまでもかぷかぷと噛んでいた。
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