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第74話
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「そうだな・・・今のうちに地面を掘って埋めるっていうのはどうだ?」
バガルトが真顔で本気だか嘘だかわからないことを言う。
「は?」
思わず声を上げるあたし。
「気にするな、冗談だ」
・・・笑えないって・・・レベンは笑いを堪えていたりするけど。
ザワッ
突如背筋に悪寒が走る。
あたしは反射的に横に転がっていた。
ドゴォォォン
耳元でデカイ音がする。
「まいったね・・・」
レベンがぽつりと言った。
直ぐ様身を起こしたあたしにもレベンの言っている意味がわかった。
「まさか2体いるなんてね」
レベンが吹き飛ばした奴は立ち上がり、バガルトと対峙していた。
そしてあたしがさっきいたところには何から何まで同じな怪物が腕を振り下ろした状態で制止している。
「お前達はそいつを何とかしろ。俺はこいつをやる」
バガルトがそう言った途端に空気の質が変わった。
「なんて気なの・・・」
これなら昨日の対戦相手が逃げた理由がわかるわ。
「じゃあ、向こうの化け物はスターリンさんに任せてこっちを片付けますか」
すごいプレッシャーの中であるのにもかかわらず、飄々とレベンが言う。
「そうね。でもどうやって倒す?さっきの奴は身体が硬質な上にでこぼこしていてうまく切れなかったわ。たぶんこいつも同じだと思う」
「僕も似たようなものだよ。せめてあいつの皮膚が尖っていなければ活路はあるんだけどね」
レベンが無理なことを言う。
ん・・・まてよ・・・。あたしはそこまで考えてからある方法を思いついた。
「いい方法を見つけたわ」
「えっ、ほんと?」
レベンが半信半疑で問い返してくる。
「ええ、ちょっと耳を貸しなさい」
あたしはレベンに耳打ちした。
この怪物が人語を理解できるとは思わないが、用心するに越したことはない。
まあ、耳の聞こえないレベンの耳元で話すという行動は自分でもどうかと思ったけど・・・。
「なるほど・・・それならいけるかもしれないね」
レベンも乗り気になった。
「さてと、じゃあさっそく行きますか」
あたしは景気づけに手元の剣を一振りした。
ブゥン
その音を合図にしたかのようにあたしとレベンの二人は同時に駆け出した。
先頭はあたし、見る見るうちに怪物が目前に迫る。
ビュゥン
相手の右こぶしを紙一重でかわし、懐に飛び込む。
ここまでなら最初のときと同じだがここからは違った。
懐に入った瞬間、剣を下から上にはね上げる。
「はあっ!」
キィン
乾いた音をたてて、見事に怪物の突起した部分のさきっぽが寸断された。
遅れてやってくる左こぶし。
あたしは剣の軌道に逆らわずに飛ぶ。
怪物の頭の上で一回転して反対側に着地する。
「おおおぉっ!」
あたしに続いてレベンも怪物の懐に飛び込む。
狙いはあたしが切断した部分。そこに“連破弾”をたたき込むことになっている。
怪物がレベンを吹き飛ばそうに腕を振る。
レベンはこれを屈むことでやり過ごし、絶好の場所を確保した。
レベンが腰だめに構えていた左腕を突き出す。
決まったとあたしが思ったとき、それは起こった。
バガルトが真顔で本気だか嘘だかわからないことを言う。
「は?」
思わず声を上げるあたし。
「気にするな、冗談だ」
・・・笑えないって・・・レベンは笑いを堪えていたりするけど。
ザワッ
突如背筋に悪寒が走る。
あたしは反射的に横に転がっていた。
ドゴォォォン
耳元でデカイ音がする。
「まいったね・・・」
レベンがぽつりと言った。
直ぐ様身を起こしたあたしにもレベンの言っている意味がわかった。
「まさか2体いるなんてね」
レベンが吹き飛ばした奴は立ち上がり、バガルトと対峙していた。
そしてあたしがさっきいたところには何から何まで同じな怪物が腕を振り下ろした状態で制止している。
「お前達はそいつを何とかしろ。俺はこいつをやる」
バガルトがそう言った途端に空気の質が変わった。
「なんて気なの・・・」
これなら昨日の対戦相手が逃げた理由がわかるわ。
「じゃあ、向こうの化け物はスターリンさんに任せてこっちを片付けますか」
すごいプレッシャーの中であるのにもかかわらず、飄々とレベンが言う。
「そうね。でもどうやって倒す?さっきの奴は身体が硬質な上にでこぼこしていてうまく切れなかったわ。たぶんこいつも同じだと思う」
「僕も似たようなものだよ。せめてあいつの皮膚が尖っていなければ活路はあるんだけどね」
レベンが無理なことを言う。
ん・・・まてよ・・・。あたしはそこまで考えてからある方法を思いついた。
「いい方法を見つけたわ」
「えっ、ほんと?」
レベンが半信半疑で問い返してくる。
「ええ、ちょっと耳を貸しなさい」
あたしはレベンに耳打ちした。
この怪物が人語を理解できるとは思わないが、用心するに越したことはない。
まあ、耳の聞こえないレベンの耳元で話すという行動は自分でもどうかと思ったけど・・・。
「なるほど・・・それならいけるかもしれないね」
レベンも乗り気になった。
「さてと、じゃあさっそく行きますか」
あたしは景気づけに手元の剣を一振りした。
ブゥン
その音を合図にしたかのようにあたしとレベンの二人は同時に駆け出した。
先頭はあたし、見る見るうちに怪物が目前に迫る。
ビュゥン
相手の右こぶしを紙一重でかわし、懐に飛び込む。
ここまでなら最初のときと同じだがここからは違った。
懐に入った瞬間、剣を下から上にはね上げる。
「はあっ!」
キィン
乾いた音をたてて、見事に怪物の突起した部分のさきっぽが寸断された。
遅れてやってくる左こぶし。
あたしは剣の軌道に逆らわずに飛ぶ。
怪物の頭の上で一回転して反対側に着地する。
「おおおぉっ!」
あたしに続いてレベンも怪物の懐に飛び込む。
狙いはあたしが切断した部分。そこに“連破弾”をたたき込むことになっている。
怪物がレベンを吹き飛ばそうに腕を振る。
レベンはこれを屈むことでやり過ごし、絶好の場所を確保した。
レベンが腰だめに構えていた左腕を突き出す。
決まったとあたしが思ったとき、それは起こった。
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