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第147話 ヒルダ・ノーム・ジークムント⑨

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ふわぁ

あらかた話し終えたヒルダが、眠そうに欠伸をする。

「そろそろ眠るか」

ヒルダの様子を見たルークが休む準備を始める。

「そうね」

ミリーナもルークの手伝いをし、食事後の片付けと眠るための準備を行う。

眠るための準備と言っても地面に布を敷くだけなのですぐに終わる。

「ミリーナとヒルダは横になって寝てくれ」

ルークが火の番をしながらそう声をかける。

「あたしも手伝うわよ」

ミリーナが提案するが、ルークは首を振る。

「大丈夫だ。俺も半分寝るから」

「そう。何だかいつも悪いわね。ありがとう。お言葉に甘えさせて貰うわ。ヒルダちゃん、悪いけど地面に敷く布の量が少ないから一緒に寝ましょう」

ミリーナがルークに礼を言い、ヒルダに一緒に寝ようと誘う。

「半分寝るとは?何のことじゃ??」

頭に疑問符を浮かべながらミリーナのもとについて行きつつヒルダが尋ねる。

「ああ。何か、ルークってば半分眠るということが出来るそうよ。脅威があったときにはすぐ気づいて動けるらしいの。器用よね・・・まあ、そういう特技を身につける位過酷な日々を過ごしていたということではあるのだろうけど、、、」

「なんとっ!そんな事が可能なのか」

ミリーナの言葉にヒルダが驚く。

「あたしも本当なのか気になって夜中にルークに向かって石を投げてみたんだけど」

「命知らずじゃな、、、それで??」

ヒルダが興味津々といった様子で聞いてくる。

「見事に頭に命中して怒られたわ」

ミリーナが真顔で言う。

「はっ?当たったとな??」

話の流れからして当たるとは思っていなかったヒルダが呆けた顔をする。

ミリーナがルークを見るとじとっとした目で見てきていた。

「ルークったらそんな目で見ないでよ。ヒルダちゃん、冗談よ。冗談。ルークは見事にあたしの投げた石を斬り裂いたわ」

ミリーナが舌を出しながら前言を撤回する。

「な、何じゃ冗談か。驚かせおって。ん?だが、普通は石を斬る方が驚くものじゃよな?」

ヒルダが胸に手を当てて驚くが、ふと疑問を口にする。

「本当そうよね・・・」

ミリーナも同意する。

「・・・なんだ?そんな目で見て」

ルークはまるで姉妹のように同じジト目で見てくるミリーナとヒルダに居心地の悪さを感じたのだった。
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