戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第181話 剣術大会㉘

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「ルーク」

ザンクロウと別れてからしばらくして、ミリーナがルークを呼ぶ。

「どうした?」

ルークが速度を落としてミリーナの横を歩く。

「なんだか嬉しそうね」

「なぬ?ほんとか!?ぬう・・・我には分からぬ」

ミリーナの言葉にルークを見るヒルダだが、すぐに違いが分からず諦める。

「・・・顔には出していないつもりだったのだがな」

ルークが驚く。

「なんとなく雰囲気でね。さっきの剣士のこと?」

ミリーナの確認にルークは頷き、

「ああ。あの男は強い。『剣術大会』で当たるのが楽しみでな」

ミリーナに答えた後、ルークは自分の発言に違和感を感じる。

(・・・おかしいな。戦いが楽しみと思ったことなど無かったというのに)

戦場にいたときは戦いが楽しいと思ったことなど一度も無かった。

とにかく生き抜くのに必死だった。

隣りにいる戦友が明日にはいなくなることが日常だった。

いつ死んでもおかしくない世界にずっといたのだ。

(そうか。漸く俺は自分のためだけの戦いをするんだな)

周りの戦友たちはルークのことを超人だと言い、心の拠り所としてきた。

ルークは許嫁や家族のためにだけ戦ってきたが周りの戦友の期待にも応えなければという義務感が強かったのだ。

軍を抜け、自由気ままな旅ができた今、漸くルークは自分のための戦いができるようになっていた。

ヤムイ村や王城、バストロの件では何だかんだで守るための戦いだったが今回の『剣術大会』は違う。

生まれて始めて自分のためだけに戦う。

そのことに気づいたルークは、今の感情を素直に受け入れることができた。

「それは良かったわね」

ミリーナがルークの心を読んでいるかのように心から安心した笑顔を向ける。

「・・・ああ」

何だか照れ臭くなったルークが短く返事をするがミリーナは気にする様子もなく確認してくる。

「あの剣士ってそんなに強かった?もちろんあたしよりは強いことは分かるんだけど、ルークが楽しみに思うほどかはちょっと分からないのよね」

「そうだな。これを見てみるといい」

ルークが懐から先ほどの剣先を取り出し、ミリーナに渡す。

「え、さっきの剣先じゃない?これがどうし・・・ええ!?」

ミリーナが剣先を見てから途中で驚く。

興味を持ったヒルダがミリーナから剣先を受け取り、眺めるがよく分からない。

「・・・むぅ。我にはよくわからぬ。ミリーナよ、何をそんなに驚いておるのじゃ?確かに剣で剣を斬ることは相当の腕が無いと駄目なことは分かるが、、、」

「ヒルダちゃん、ここをよく見てみて」

ミリーナがヒルダに剣先の切断面を指差す。

「ふむ。普通に綺麗に切断されているようにしか見えぬが・・・ぬぬ!?これは・・・焦げておるのか?」

ヒルダがミリーナの言いたいことに気づく。
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