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第218話 剣術大会本戦⑯

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「ここでいいか?」

「はい!ありがとうございます!!」

医務室にザングを運んだルークは横にさせる場所を尋ね、そっと寝かせてやった。

残念ながらザングの巨体を寝かせられるベッドは無かったため地面に敷物を敷いてから横にさせる。

「よし!急いで治療をするぞ!!」

流石、歴史ある『剣術大会』である。

医務室に常駐している医師も何人もおり、総出で治療を始める。

「ルーク選手、本当にありがとうございました!」

ルークがもはや自分にできることはないため医務室を出ようとした時、再度赤服運営から礼を言われる。

「気にしなくていい。俺はできるときにできることをしただけだ」

ルークはそう言うと医務室を出ていく。

ドアを閉める瞬間まで赤服運営達が頭を下げている気配を感じた。

(こういった真摯な対応をしている運営がいるからこその『剣術大会』なのだな)

ルークはふとそう思い、僅かに笑う。

「「ルーク!!」」

「ん?ミリーナにヒルダか。良く入って来れたな。あと、急に居なくなってすまなかった」

医務室の前にいつの間にか来ていたミリーナとヒルダがルークの姿を見て駆け寄ってくる。

ルークは考え事をしていたため、2人の気配に気づかなかったため、軽く驚く。

「ううん。いいのよ。ここへはルークの関係者だって赤服の人に話したら通してくれたわ。それよりあの人は大丈夫なの?」

ミリーナがザングのことを心配してルークに尋ねる。

「そうじゃ、とんでもない攻撃を受けたからのぉ・・・」

ヒルダも同じく心配をする。

「正直分からない。俺の過去の経験からしたら五分五分だ。だが、優秀そうな医師も沢山控えていたから望みはあるだろう。後は祈るしかない」

ルークは医師の動きを見て優秀と判断していたのでそのことも添えて2人に話す。

「・・・そう」

「・・・そうなのか」

「ここに居ても仕方がない。宿に戻ろうか」

「ええ」

「わかったのじゃ」

そうしてルーク、ミリーナ、ヒルダの3人はそれぞれ物思いにふけながら宿に向かって歩いていったのだった。
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