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第229話 剣術大会本戦㉗

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「「おおおおおおおおおおおお!!!」」

ビキ

ビキビキ

ビキビキビキィィィィ

ルークとバグラス大将軍の攻撃の余波でリングがとうとう割れた。

リングの割れる勢いを利用し、再び距離をとる2人

「やるのぉ『魔人鬼』よ!!想像以上だ!!!」

バグラス大将軍が叫ぶ。

「そいつはどうも!」

ルークも珍しく叫ぶ。

「そろそろ本気でやるかっ!」

「望むところだ!!!」

ガン!

ガン!

ガン!

ガン!

もはや2人の姿は目視で見れず、剣同士がぶつかっているとは思えない異音だけが周りに響いていた。

超高速の世界の中でルークは考える。

(やはり、バグラスの方に分があるな)

少しずつだがルークが押され始めていた。

それはいうなれば片手での経験の差である。

バグラスは7年前から残った腕一本で生きてきたのに対し、ルークはバグラスに合わせて利き腕を使わないだけなのだ。

その違いは徐々に差となって現れ始める。

(両手を使うか?)

ルークは少し弱気になりそんな事を思い始めるがすぐに否定する。

(両手を使っても本当の意味で勝ったとは言えない)

一方、バグラス大将軍も内心では驚きに満たされていた。

(良くぞ良くぞここまで強くなったものよ)

この男は7年前とは比べ物にならないくらい強くなった。

当時のバグラスは言い訳にこそしなかったもののルークに負けたのは他の連中との連戦だったということが大きいと考えていた。

始めからルークと戦っていれば利き腕を失うことも無かったのだと。

だが、今はどうだろう。

普段使わぬ利き腕でない方でこの自分と互角に戦っているのだ。

(生きてきてこれほど楽しいことはない)

7年前のあの日まで、バグラス大将軍は正直周りに相手になる者がいなくて退屈な日々を送っていた。

ハンデこそあったが7年前の戦いが人生の中で一番充実した日といっても過言ではなかった。

だが、どうだろう。

7年前以上の戦いを今この瞬間しているのだ。

本当に人生とは分からないものである。
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