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第267話
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「あ、グレイ!イズさん!」
グレイとイズが魔法陣からもとのグレイの部屋に戻ると、それに気がついたアリシアが駆け寄って来る。
「グレイ、大丈夫ですか?」
すぐにふらついて具合が悪そうなグレイに気がつくと心配そうに声を掛けてくれる。
「う・・・大丈夫。無事に魔法陣は迷宮に繋がっていたし、向こうも変わりなかった・・・イズ、悪いけど俺は少し休むからアリシアに説明してくれ」
グレイは絞り出すようにそう告げると、魔法陣を書くために場所を移動させていたベッドに頭を抱えるように腰掛け目をつぶり、何かに耐えるようにじっとする。
アリシアはグレイを心配そうに見つめると、説明を任されたイズの方を向き、
「イズさん。グレイはどうしてしまったのですか?グレイはこう言ってくれてますが、やはり私《わたくし》の呪文に不備があったのではありませんか?」
『グレイの事は心配いらない。そしてアリシアの呪文に不備も無いから安心してくれ。これはただの長距離転送酔いだ』
「それでしたらまだ良いのですが・・・長距離転送酔いですか?」
アリシアも聞いたことは無いのだろう。
イズの言葉に対して安神した後、聞き慣れない言葉に対して不思議そうに尋ねる。
『ああ。魔力が低いと長距離を移動した時の余波に耐えられなくてな。人によって症状は様々だが、グレイの場合は酷い頭痛に悩まされるようだ』
説明を任されたイズがアリシアに対して丁寧に答える。
「そうでしたか・・・」
アリシアは辛そうにベッドに座っているグレイを心配そうに見る。
(・・・そんなに辛いのでしたらイズさんだけ戻って来ても良かったのにというのは私《わたくし》の我儘ですわね)
アリシアはグレイが辛くても戻ってきた理由を察していた。
アリシアとすぐに戻ると約束したことと、無事だと安心させたかったからだろう。
その事に気がついていたため、アリシアは心の中で思った事を口に出したりはしなかった。
(本当に不器用なのかそうでないのか分からない方ですわね)
アリシアはグレイを温かく見守る。
(それにしてもこの状態のままですと可哀想ですわ。・・・何か痛みを和らげる方法があれば良いのですが・・・)
アリシアはここまで考えたところでふと思いつく。
「グレイ!その頭痛は【エリクサー】を飲めば治るのではありませんか!?」
アリシアが慌ててグレイにそう告げる。
万が一周りに聞こえる事を懸念してなるべく、【エリクサー】という単語を使わないようにしていたがこの時ばかりははっきりと【エリクサー】と言うアリシア。
『あっ・・・』
アリシアのその言葉に真っ先に反応したのはイズであった。
まるでその手があったかと言わんばかりに声を漏らす。
「・・・」
グレイは無言のままであったがアリシアの言葉を聞いてすぐに口の中に【エリクサー】を腕輪の力で出現させ、一気に飲み干す。
「・・・ふぅ・・・助かった。ありがとうアリシア」
すっかり顔色が良くなったグレイがアリシアに礼を言いながら立ち上がる。
「上手くいって良かったですわ」
グレイの言葉にホッとするアリシア。
「・・・イズ?」
グレイは続いてイズの方に向くと静かに名前を呼んだ。
『い、いや、頭痛にはあれが聞くことは知ってはいたのだが、グレイの状況と頭の中でリンクしなかったんだ・・・決してわざとでは無いのだ!・・・すまなかった』
イズは言い訳のようなことを言った後、最後には素直に謝った。
「・・・いや、別に責める気はないぞ。ただ、今後魔法陣を使っていく上で今知れたのは良かったなって言おうと思っただけだからさ」
『そ、そうじゃなっ!うん。我も忘れないようにしようぞ』
イズはグレイに責められると思ったことが勘違いだと分かるとホッとしたように呟いたのであった。
グレイとイズが魔法陣からもとのグレイの部屋に戻ると、それに気がついたアリシアが駆け寄って来る。
「グレイ、大丈夫ですか?」
すぐにふらついて具合が悪そうなグレイに気がつくと心配そうに声を掛けてくれる。
「う・・・大丈夫。無事に魔法陣は迷宮に繋がっていたし、向こうも変わりなかった・・・イズ、悪いけど俺は少し休むからアリシアに説明してくれ」
グレイは絞り出すようにそう告げると、魔法陣を書くために場所を移動させていたベッドに頭を抱えるように腰掛け目をつぶり、何かに耐えるようにじっとする。
アリシアはグレイを心配そうに見つめると、説明を任されたイズの方を向き、
「イズさん。グレイはどうしてしまったのですか?グレイはこう言ってくれてますが、やはり私《わたくし》の呪文に不備があったのではありませんか?」
『グレイの事は心配いらない。そしてアリシアの呪文に不備も無いから安心してくれ。これはただの長距離転送酔いだ』
「それでしたらまだ良いのですが・・・長距離転送酔いですか?」
アリシアも聞いたことは無いのだろう。
イズの言葉に対して安神した後、聞き慣れない言葉に対して不思議そうに尋ねる。
『ああ。魔力が低いと長距離を移動した時の余波に耐えられなくてな。人によって症状は様々だが、グレイの場合は酷い頭痛に悩まされるようだ』
説明を任されたイズがアリシアに対して丁寧に答える。
「そうでしたか・・・」
アリシアは辛そうにベッドに座っているグレイを心配そうに見る。
(・・・そんなに辛いのでしたらイズさんだけ戻って来ても良かったのにというのは私《わたくし》の我儘ですわね)
アリシアはグレイが辛くても戻ってきた理由を察していた。
アリシアとすぐに戻ると約束したことと、無事だと安心させたかったからだろう。
その事に気がついていたため、アリシアは心の中で思った事を口に出したりはしなかった。
(本当に不器用なのかそうでないのか分からない方ですわね)
アリシアはグレイを温かく見守る。
(それにしてもこの状態のままですと可哀想ですわ。・・・何か痛みを和らげる方法があれば良いのですが・・・)
アリシアはここまで考えたところでふと思いつく。
「グレイ!その頭痛は【エリクサー】を飲めば治るのではありませんか!?」
アリシアが慌ててグレイにそう告げる。
万が一周りに聞こえる事を懸念してなるべく、【エリクサー】という単語を使わないようにしていたがこの時ばかりははっきりと【エリクサー】と言うアリシア。
『あっ・・・』
アリシアのその言葉に真っ先に反応したのはイズであった。
まるでその手があったかと言わんばかりに声を漏らす。
「・・・」
グレイは無言のままであったがアリシアの言葉を聞いてすぐに口の中に【エリクサー】を腕輪の力で出現させ、一気に飲み干す。
「・・・ふぅ・・・助かった。ありがとうアリシア」
すっかり顔色が良くなったグレイがアリシアに礼を言いながら立ち上がる。
「上手くいって良かったですわ」
グレイの言葉にホッとするアリシア。
「・・・イズ?」
グレイは続いてイズの方に向くと静かに名前を呼んだ。
『い、いや、頭痛にはあれが聞くことは知ってはいたのだが、グレイの状況と頭の中でリンクしなかったんだ・・・決してわざとでは無いのだ!・・・すまなかった』
イズは言い訳のようなことを言った後、最後には素直に謝った。
「・・・いや、別に責める気はないぞ。ただ、今後魔法陣を使っていく上で今知れたのは良かったなって言おうと思っただけだからさ」
『そ、そうじゃなっ!うん。我も忘れないようにしようぞ』
イズはグレイに責められると思ったことが勘違いだと分かるとホッとしたように呟いたのであった。
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