7 / 28
抱き枕になります2
しおりを挟む
ノロノロと移動する私の後ろを辛抱強く付いてきてくれるミーア。これが魔王だったらとっくに抱きかかえられてる。
「こちらですよ、リナ様。」
ミーアに道を教えてもらいながら王妃用の部屋に入り、洗面所に向かう。
「ふわあ…おっきい…」
「溺れないように、お湯は浅く入れましょうね。」
大理石のような床の上には猫足のバスタブ。その隣には豪華な椅子。多分ここで体を洗うのかな。壁にはシャワーが付いている。ホテルのスイートルームのお風呂場って感じだ。泊まった事はないけど。
ミーアが蛇口をひねり、バスタブにお湯を張る。
「さあ、お召し物を脱ぎましょう。」
そう言って手慣れた手つきで私のゴスロリ服を脱がしていく。スッポンポンのまま手を引かれ、椅子に座る。ミーアは袖とスカートを少しまくり、私の隣にしゃがみ込んだ。
「それでは洗っていきますね。」
良い香りの石鹸で全身優しく洗われる。シャワーで泡を落とした頃には、バスタブのお湯も丁度いい深さになっていた。
「さあ、お湯に入って体を温めましょう。」
ミーアに抱っこでバスタブの中に入れてもらう。
「はああ~、気持ち良い…」
「それはようございました。肩まで浸かってくださいね。」
「うん。」
ミーアが薔薇の花弁をお湯に浮かべてくれた。貴族の女性はこうやって身体にいい香りを染み込ませるんだとか。動物扱いの人間にこんなによくしてくれるなんてミーアは本当に良い魔族だ。
「ミーアありがとう。優しくて大好き。」
「まあ!ありがとうございます。光栄です。」
しばらくチャプチャプ遊んでいると、突然洗面所の扉がバンと開いた。私はびっくりしてちょっと溺れかけた。
「ゲホ、ゲホ!」
「リナ様、大丈夫ですか!?」
「溺れているではないか。もう出せ。」
「かしこまりました。」
バスタオルに包まれて、ミーアの腕の中でしばらく咳き込む。ミーアは優しく背中をさすってくれた。服ビシャビシャにしてごめん。
「やはり風呂には入らなくて良い。危険だ。」
お前のせいだろ!
「ゲホ…驚いて少し水を飲んでしまっただけです。大丈夫です、お風呂すごく気持ちよかったです。また入りたいです。毎日入りたいです。」
「ふむ…」
これでお風呂が年に一回とかになってしまったら悲しすぎる。私は一生懸命魔王を説得した。
「では次からは俺と入れ。目を離すとすぐ溺れるようだからな。」
「…はい。」
不安しかない。でもご主人様の言う事は絶対。それにこれで私の身体の清潔は守られた。
「申し訳ありませんでした。」
「ミーアのせいじゃないよ。」
「以後気をつけろ。もう下がって良い。」
「かしこまりました。」
私を魔王に手渡し、一礼して去っていくミーア。あれ、私まだちゃんと身体拭けてないし全裸だしどうすればいいんだ?
「部屋に戻るぞ。」
「はい。」
バスローブ姿の魔王に抱かれ、隣の部屋に戻る。メイド達もいなくなっていて、広い部屋に魔王と二人きりになった。
「寝るぞ。」
「はい。…あの、まだ濡れていますし、服も着ていません。」
「これで良いだろう。」
魔王が指を鳴らすと、暖かい風が私を包んで、あっという間に全身乾いた。これが魔法か。初体験だ。私は目をキラキラさせて言った。
「魔法すごいです!」
「そうか。」
魔王は私からバスタオルを剥ぎ取ると、そのまま寝室に入っていった。魔王は私に服を着せる気はないらしい。また全裸生活に逆戻りだ。でも一応聞いてみるか。
「あの、服は…」
「すぐにベッドに入るのだから問題ない。」
「そうですね。」
魔王にとって私の服は単なる防寒具なのだ。これ以上のことは言うまい。
魔王は私を布団の中に入れると、自分も横になった。
「リナ。」
「はい。」
「その口調を直せ。」
「と言いますと。」
「ミーアとは普通に話している。」
「でも魔王様だから…」
「魔王様もやめろ。名前で呼べ。」
名前なんだっけ…レオナール?
「レオナール、様。」
「様もいらない。」
「レオナール。」
「もっと短く。」
「…レオ。」
「それで良い。」
初めからレオって呼んでって言えばいいのに。魔王…いや、レオは、口下手だ。
ーーーーーーーーー
「んう…あつい…おもい…」
いつの間に寝ちゃったんだろう。本当子供ってすぐ寝るんだから。
そんな事より身体が重くて動かない。金縛りかな。なんか暑いし、早く解けないかな…
私が大人しく金縛りが解けるのを待っていると、右隣からそよ風が吹いていることに気がついた。窓でも開いてたかなと風上を見ると、私の視界一杯にレオの端正な顔が広がっていた。
「ひえっ」
思わず叫びそうになって、慌てて口を閉じる。近い、近すぎる。私がこっちに寝返り打ってたらチューしてたよ。よく見るとレオの腕が私の身体の上に乗っかっている。金縛りじゃない、普通に拘束されていたんだ。
そうだよね、愛されペットたるもの、ご主人様の抱き枕にならないと…ってなれるかい!体格差を考えろ、巨人一歩手前みたいな大きさしておいてこんな小さな幼女を抱き枕にすな。潰れる。こんなんで寝てられるか!
私はこの拘束から逃げ出すために身をよじった。
よじよじ。よじよじ。もう少しだ、あとちょっとで抜け出せる…
「あまり動くな。」
「ひょえ!」
動きすぎたようだ。レオを起こしてしまった。怒ったかな。
「ご、ごめんなさい。」
「どうした。」
「あの、腕が重くて…」
「ふむ…でも抱いてやらねば寒いだろう。」
「今は暑いよ。」
「そうか。」
そう言うと、レオはゴロンと仰向けになった。やっとあの重さと熱から解放される…
「くしゅん」
「やはり寒いのではないか。」
寒いのはさっき寝汗かいて冷えたからだよ。これでまた抱き枕されたらもう朝まで寝れないだろう。仕方がない。私はレオの左腕にギュッと抱きついた。私が抱き枕になるのではなく、レオを抱き枕にすれば良いのだ。
「こっちの方がいい。」
「そうか。もう寝ろ。」
「おやすみなさい。」
「ああ。」
汗で冷えてしまったお腹がレオの暖かい腕に当たって気持ちいい。私はまたすぐ眠りについた。
「こちらですよ、リナ様。」
ミーアに道を教えてもらいながら王妃用の部屋に入り、洗面所に向かう。
「ふわあ…おっきい…」
「溺れないように、お湯は浅く入れましょうね。」
大理石のような床の上には猫足のバスタブ。その隣には豪華な椅子。多分ここで体を洗うのかな。壁にはシャワーが付いている。ホテルのスイートルームのお風呂場って感じだ。泊まった事はないけど。
ミーアが蛇口をひねり、バスタブにお湯を張る。
「さあ、お召し物を脱ぎましょう。」
そう言って手慣れた手つきで私のゴスロリ服を脱がしていく。スッポンポンのまま手を引かれ、椅子に座る。ミーアは袖とスカートを少しまくり、私の隣にしゃがみ込んだ。
「それでは洗っていきますね。」
良い香りの石鹸で全身優しく洗われる。シャワーで泡を落とした頃には、バスタブのお湯も丁度いい深さになっていた。
「さあ、お湯に入って体を温めましょう。」
ミーアに抱っこでバスタブの中に入れてもらう。
「はああ~、気持ち良い…」
「それはようございました。肩まで浸かってくださいね。」
「うん。」
ミーアが薔薇の花弁をお湯に浮かべてくれた。貴族の女性はこうやって身体にいい香りを染み込ませるんだとか。動物扱いの人間にこんなによくしてくれるなんてミーアは本当に良い魔族だ。
「ミーアありがとう。優しくて大好き。」
「まあ!ありがとうございます。光栄です。」
しばらくチャプチャプ遊んでいると、突然洗面所の扉がバンと開いた。私はびっくりしてちょっと溺れかけた。
「ゲホ、ゲホ!」
「リナ様、大丈夫ですか!?」
「溺れているではないか。もう出せ。」
「かしこまりました。」
バスタオルに包まれて、ミーアの腕の中でしばらく咳き込む。ミーアは優しく背中をさすってくれた。服ビシャビシャにしてごめん。
「やはり風呂には入らなくて良い。危険だ。」
お前のせいだろ!
「ゲホ…驚いて少し水を飲んでしまっただけです。大丈夫です、お風呂すごく気持ちよかったです。また入りたいです。毎日入りたいです。」
「ふむ…」
これでお風呂が年に一回とかになってしまったら悲しすぎる。私は一生懸命魔王を説得した。
「では次からは俺と入れ。目を離すとすぐ溺れるようだからな。」
「…はい。」
不安しかない。でもご主人様の言う事は絶対。それにこれで私の身体の清潔は守られた。
「申し訳ありませんでした。」
「ミーアのせいじゃないよ。」
「以後気をつけろ。もう下がって良い。」
「かしこまりました。」
私を魔王に手渡し、一礼して去っていくミーア。あれ、私まだちゃんと身体拭けてないし全裸だしどうすればいいんだ?
「部屋に戻るぞ。」
「はい。」
バスローブ姿の魔王に抱かれ、隣の部屋に戻る。メイド達もいなくなっていて、広い部屋に魔王と二人きりになった。
「寝るぞ。」
「はい。…あの、まだ濡れていますし、服も着ていません。」
「これで良いだろう。」
魔王が指を鳴らすと、暖かい風が私を包んで、あっという間に全身乾いた。これが魔法か。初体験だ。私は目をキラキラさせて言った。
「魔法すごいです!」
「そうか。」
魔王は私からバスタオルを剥ぎ取ると、そのまま寝室に入っていった。魔王は私に服を着せる気はないらしい。また全裸生活に逆戻りだ。でも一応聞いてみるか。
「あの、服は…」
「すぐにベッドに入るのだから問題ない。」
「そうですね。」
魔王にとって私の服は単なる防寒具なのだ。これ以上のことは言うまい。
魔王は私を布団の中に入れると、自分も横になった。
「リナ。」
「はい。」
「その口調を直せ。」
「と言いますと。」
「ミーアとは普通に話している。」
「でも魔王様だから…」
「魔王様もやめろ。名前で呼べ。」
名前なんだっけ…レオナール?
「レオナール、様。」
「様もいらない。」
「レオナール。」
「もっと短く。」
「…レオ。」
「それで良い。」
初めからレオって呼んでって言えばいいのに。魔王…いや、レオは、口下手だ。
ーーーーーーーーー
「んう…あつい…おもい…」
いつの間に寝ちゃったんだろう。本当子供ってすぐ寝るんだから。
そんな事より身体が重くて動かない。金縛りかな。なんか暑いし、早く解けないかな…
私が大人しく金縛りが解けるのを待っていると、右隣からそよ風が吹いていることに気がついた。窓でも開いてたかなと風上を見ると、私の視界一杯にレオの端正な顔が広がっていた。
「ひえっ」
思わず叫びそうになって、慌てて口を閉じる。近い、近すぎる。私がこっちに寝返り打ってたらチューしてたよ。よく見るとレオの腕が私の身体の上に乗っかっている。金縛りじゃない、普通に拘束されていたんだ。
そうだよね、愛されペットたるもの、ご主人様の抱き枕にならないと…ってなれるかい!体格差を考えろ、巨人一歩手前みたいな大きさしておいてこんな小さな幼女を抱き枕にすな。潰れる。こんなんで寝てられるか!
私はこの拘束から逃げ出すために身をよじった。
よじよじ。よじよじ。もう少しだ、あとちょっとで抜け出せる…
「あまり動くな。」
「ひょえ!」
動きすぎたようだ。レオを起こしてしまった。怒ったかな。
「ご、ごめんなさい。」
「どうした。」
「あの、腕が重くて…」
「ふむ…でも抱いてやらねば寒いだろう。」
「今は暑いよ。」
「そうか。」
そう言うと、レオはゴロンと仰向けになった。やっとあの重さと熱から解放される…
「くしゅん」
「やはり寒いのではないか。」
寒いのはさっき寝汗かいて冷えたからだよ。これでまた抱き枕されたらもう朝まで寝れないだろう。仕方がない。私はレオの左腕にギュッと抱きついた。私が抱き枕になるのではなく、レオを抱き枕にすれば良いのだ。
「こっちの方がいい。」
「そうか。もう寝ろ。」
「おやすみなさい。」
「ああ。」
汗で冷えてしまったお腹がレオの暖かい腕に当たって気持ちいい。私はまたすぐ眠りについた。
0
あなたにおすすめの小説
ハイエルフの幼女に転生しました。
レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは
神様に転生させてもらって新しい世界で
たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく
死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。
ゆっくり書いて行きます。
感想も待っています。
はげみになります。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
レティシア公爵令嬢は誰の手を取るのか
宮崎世絆
ファンタジー
うたた寝していただけなのに異世界転生してしまった。
公爵家の長女レティシア・アームストロングとして。
あまりにも美しい容姿に高い魔力。テンプレな好条件に「もしかして乙女ゲームのヒロインか悪役令嬢ですか?!」と混乱するレティシア。
溺愛してくる両親に義兄。アームストロング公爵の他に三つの公爵家のそれぞれ眉目秀麗な御子息三人も、才色兼備で温厚篤実なレティシアに心奪われ三人共々婚約を申し出る始末。
十五歳になり、高い魔力を持つ者のみが通える魔術学園に入学する事になったレティシア。
しかし、その学園はかなり特殊な学園だった。
全員見た目を変えて通わなければならず、性格まで変わって入学する生徒もいるというのだ。
「みんな全然見た目が違うし、性格まで変えてんだからもう誰が誰だか分からない!! 乙女ゲームの舞台かも知れないなんて知ったこっちゃない! 恋愛ど素人には荷が重いから、レティシアとバレずに平穏な学園生活送りたい! お願いだからモブとして学生生活エンジョイさせて!!」
果たしてレティシアは正体がバレる事なく無事卒業出来るのだろうか?
そしてレティシアは誰かと恋に落ちることが、果たしてあるのか?
レティシアは一体誰の手(恋)をとるのか。
これはレティシアの半生を描いたドタバタアクション有りの痛快学園コメディ……ではなく、れっきとした異世界ファンタジー感のある恋愛物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる