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第101話 闇の獣人、起きてから魔法封じ対策に動き出す

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 俺が目を覚ました時、目の前にいたのは白く輝く多頭蛇のヒュドラだった。

 驚いたけど、自分が覇王竜の精気をアクティブにしていて、射精しっぱなしだったのを思い出して、慌てて覇王竜の精気をパッシブにした。

 「おー。目が覚めたか婚約者殿。おかげでわしはこの二週間の間、ずっとお前さんの精液を飲み続けてな。そのおかげで本来の姿と力を取り戻すことができたわ。…いや、今なら全盛期以上の力が出せるかもしれんな」

 そう言いながら俺は自慢げに体の向きをいろいろと変える多頭蛇となった、アナントスを見て、ナルシストの筋肉男を思い出した。

 あいつも教官の一人だったけど、やたらと体を鍛えるのが好きでしょっちゅう脱いではアサシンギルドのギルドマスターに怒られていたっけ。

 しかしこれは…多頭蛇と言えるんだろうか? 何だかドラゴンみたいな太い足が二本生えているし。

 まあ、いいか。俺は目やにができていないか確かめたが、ついていなかった。

 「お前さんの涙とか目やにとかは、わしが消しておいたぞ? あと外の動きじゃが、今は時間停止しているからまだ到着はしていないが、お前さんが派遣した闇商人の一行がそろそろ王都に着く頃じゃ。今日の夕方には届く頃じゃろ。

 それとお前さんが言っていた貧民街の連中じゃがな。どうやら人選が終わったみたいで、おまえさんが忙しかったら黙っていたが、昼から夕方にかけて王城に東と西の頭領が来て、手紙を門番に渡していたから、明日にはあの宰相の部屋に手紙が届くと思うぞ?」


 俺の代わりにいろいろと調べて動いてくれていたなんて…何て優秀な神様だろう。…なんて感激している場合じゃなかった。

 「おーい。セレソロイン。サンティラ。俺が寝ている間のポーションって67億本ある?」

 「ございます、ラフィアス様。数が多いのでここの空間に収納していますが…早速使いますか?」

 「うん。使う使う。それじゃちょっと行ってくるからな」

 そう言った俺の腕に、30cmほどの大きさの白蛇になったアナントスが巻き付いてきた。

 「わしも一緒に行くぞ。何があるかわからんからな。邪神とその眷属は時間停止空間の中でも動けるということを忘れるなよ?」

 「忘れてないって。アナントスが一緒なら心強いしな。それじゃ行きますか」

 そう言ってセレソロインが示した扉の向こうに俺とアナントスは足を踏み入れた。

 確かにポーションばっかりの空間だな。そりゃ67億本もあればこうなるか。

 そして俺はステータス・ボードを開いて、アビリティを起動。たちまちほとんどの精液ポーションの光が消えて、瓶の中身が空っぽになる。

 「何をやったんじゃ?」

 「ああ。魔法封じ対策。ほら、俺って戦闘の大半が相手を無傷で倒すタイプで魔法がメインだからさ。魔法が使えない空間とか、アイテムや薬で封じられたら一気に弱体化しちゃうだろ? 遺跡の中にはそういう空間があるし。魔法が全く効かない敵も存在する。一時的にそういう結界とか作るアイテムもあるようだから、そういうモンスターや結界とか貼られた時の対策に大量のポーションが必要だったわけさ」

 「なるほど。神であるわしには魔法封じなど、ほとんど意味などないがな。それでもわしとお前さんが離れ離れにならんとも限らん。もともとこのポーションはお前さんが購入したアビリティで作った分身達を使ってできたもんじゃし。まさかこれほど大量に使うとは思わなかったが、残りはどうするんじゃ?」

 「それなら4億と少しだからまた溜まるまで温存だな。ここでやるべき事はやったしな。それじゃコア・ブランチの元に戻ろうか」

 そして時間停止を解除してから、情報を整理。時間を表示する宝石を見たら午前1時40分と出ました。

 そういえば時間停止していたから、現実には1秒も経っていないけど、あの時の俺って自分の精液の濃度(つまりエネルギーの量)が高すぎて、すぐに女王や姫、ヴェルゼが気絶して不貞腐れていたんだっけ。

 それも長く眠っていたから、かなり昔のように思えてならない。

 とにかく朝になるまでやるべき事はやっておくか。俺は霊魂解析で闇商人のリーダーを解析してみる。

 するともうジェルロンドに到着していて、宿屋で寝ていることがわかった。

 あと貧民街の方の東と西のボスをマーキングしてあるので、こいつらの魂も解析してみた。

 そしたら東と西からではそれぞれ50人ずつ派遣することで話がまとまったようだった。

 そうなったら明日にはこいつらを廃村に置きに行ったほうがいいな。100人程度ならアビリティの「結界移動」で十分に転移させられる人数だし。さすがに街だと数万人だし王都ジェルロンドは20万近くいるようだしな。

 …そうだな。今度また精液ポーションが溜まったら、結界移動の転移させられる人数とか増やしておくか。

 まあそれは後でいいとして、元・廃村だけど名前付けておかないとな。
 
 下級ポーションのみとはいえ、異世界からの住人が来て作った村だからそいつの名前を付けるのは…不吉すぎるよな、やっぱり。そいつ一晩で4人の女とやりまくって早死にしたそうだし。

 そんな奴の名前なんて村に付けたらすぐに滅びそうだから却下だな。

 そうだ! 蛇が地下にいたからな。毒蛇もいたのでヴァイパーとパイソンで、ヴァンパイソン。いやこれ吸血鬼が住み着きそうだから却下! それじゃ、うーん…。ヴァイソン村にしよう。これが無難だと思う。

 それで蛇肉祭りにしよう。幸いなことに俺が海蛇召喚で大量のウミヘビを召喚しては殺しまくったから、その肉を与えてやればいい。

 そういえばこいつらに分け与えてやる精液ポーションの飴玉タイプを作っていなかったな。すぐに作るか。

 人数が多くないから、村は1000瓶でいいか。街の方は2000瓶もあればいいだろ。

 どっちも貧困が原因とはいえ、犯罪者がそれなりにいるからな。他の村や街と違ってあまり人口も多くないから、沢山与えて甘やかすことは良くないだろうしな。

 もちろんその前にこいつらの前に城塞都市を作っては、俺が自ら破壊するということを見せつけてやって舐められないようにしてから、飴玉渡して蛇肉祭りを村と街でやる予定だ。

 何だかそう考えたら楽しくなってきたなー。時間停止させてから精液ポーションを飴玉に変える作業をする。

 その間俺がニマニマと笑っているので、アナントスは落ち着かなげに俺の腕に巻き付いたり、左の腕に移動したりしていた。

 作業は体感時間で1時間ほどで終わった。後は蛇肉だな。でもその前にアナントスに許可を求めないと。俺の婚約者になっているとはいえ、彼女は蛇の神様だからな。

 俺が村人と無人島の街に新しく済む住民達を記念して、祭りを催すために大量のウミヘビの肉が必要なので、召喚するアビリティは海神王様からもらっているので、召喚しては殺してもいいかと聞いたら、あっさりと了承してくれた。

 「別に構わんぞ? そもそも大海蛇は気性が激しくてな。神であるわしの命令にこそ従順ではあるが、精霊や他の眷属には露骨に牙を剥いて逆らう、乱暴な連中じゃからの。しかも最近では数が多いから、1000や2000程度なら全く問題はないぞ?」

 と、お許しを得たので時間停止を解除。早速召喚しては寿命強奪で冥界送りにしました。

 これで2000体ほど召喚して寿命奪ったせいか、3000年ほど寿命もらえました。

 そうこうしている間に朝が来ましたので、大量の大海蛇の死体を闇の中の空間に収納すると、俺はレヴィンの部屋に戻って、俺にとっては久しぶりの朝御飯を食べるべく、レヴィンに施されたアビリティを解除することにした。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 後書きです。ラフィアスはやろうと思えば分身達に任せて、現実には1秒も経っていないのをいいことに、時間停止空間の中でダラダラと自堕落な生活を過ごすことは十分に可能ですが、今まで受けた教育とか、例のあの人の影響でよほどの事がない限りは、自分でやるようにしています。

 実際に分身を購入するまでは彼一人でやっていたわけですからね。もっとも今では村とか街を癒して回っていたのでそれが一段落したからというのもあって二週間ほど、時間停止空間の中で寝ていたわけですが。

 現実世界でやる事があるから、精液ポーションの作成は分身達にと時空の大精霊達に任せているのであって、特にすることがない場合は精液ポーション作成か、膨大な量のアビリティの整理、回収した財宝の整理とか、時間停止空間の中でもやることはいろいろあります。

 そして60億本以上の精液ポーションは何に使ったのか?
 
 一言で言えば魔法封じ対策ですが、その詳細は今後明かされることになるでしょう。

 読んでいただきありがとうございます。

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