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第170話 闇の獣人、最初のエルモーラからの使者と対面する

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 あれから王国と帝国の二人の使者が到着したんで、彼等は最高級の宿屋で待機してもらうことになった。

 で、最初のエルモーラ王国の使者のおじさんは丁寧な口調だったけど、さんざん待たされたのだから、もしも詫びる気持ちが少しでもあるのなら、俺の愛と祝福を存分に受けたいといったので、望み通り快楽攻めにしてやることにした。

 このおっさん、直接会って霊魂解析のアビリティや覇王竜の叡智の鑑定でわかったことだが、名前はゾルピーラ・フェルモルド。元・奴隷の諜報局員のトップの一人で、いつかはかわいい娘でももらってから、絶対に浮気や不倫をしないように一度奴隷落ちさせてから、隷属の為の刻印を体に刻んで結婚しようとしていたらしい。

 こいつは生まれた時から奴隷だったので、そう簡単には他人を信用できないようだったので、奴隷落ちさせて隷属紋を刻ませて、逆らえないようにしないと信用できないなんて哀れだな。狂っているといえばそれで済むが、それだけ辛い思いをしているとわかると、こいつは仕事以外で誰も私怨で殺していないとわかったのもあって、俺には同情や憐憫の情しか浮かんでこなかった。

 動機はどうであれ、結婚して暮らす為に金は必要なので、危険なこの任務をあえて受けることにしたようだった。

 だがレナリアーラ王国に来てからは、世界各地の封印が解かれて強力な魔物が闊歩する事態になるわ、異世界から化け物達が召喚されるわで、とても女王陛下に拝謁なんてできずに、ひたすら宿屋で待機する日々が続いたそうだった。もちろん金はたんまりもらっており、しっかりと諜報活動を続けていたが、この国では今や俺が女王よりも偉いと庶民が噂しているようで、女王に取り入るよりも俺に取り入ってちゃっかりと手柄を立てようとしている、抜け目ない一面をもっているようだった。

 良くいえば仕事熱心。悪く言えば相手の格を見抜けないで己の欲望のままに行動する愚かな男であるといえる。

 エルモーラ王国の諜報局員か。俺もこの国の調査局員でほぼ同じ職種だから、この男の黒い部分を責めることはできない。

 むしろ相手が何も知らないで俺に対する生贄として送られてきた場合だ。

 そういう意味では今、宿屋で待機してもらっている帝国と王国の二人の男はまさにそのタイプだといえる。

 だが今はこの男ゾルピーラだな。そんなに金が欲しいのなら、マジックパック作った時にいろんなカラーの真珠を沢山入れたタイプのものが何十個もあるから、その一つをくれてやろう。もっとも俺の快楽攻めを味わってもらってだがな。

 ただこいつはどこか信用できないような感じだったので、この男の宿泊している宿に連れていってから、分身3体を作って、こいつを存分に気持ちよくさせてやりました。

 そしてこいつは俺の精液を腹いっぱい飲んだのだから、これでこいつの背後に誰がいようと関係ない。

 俺の支配下に入ったのだから、親兄弟がいたとしても関係なく俺に協力せざるを得なくなる。
 
 逆を言えば邪神の支配から逃れられるし、俺の支配下に入っているのだから自分自身を滅ぼすような愚かな選択はできなくなるので、安全な選択をできるのだから、その意味では感謝されてもいいくらいだった。

 例によってまた時間停止をかけてから、まる三日は俺と分身の三体でゾルピーラを存分に気持ちよくしてあげましたよ?

 それこそ彼が望んだ通り、俺の愛と祝福を込めた精液を口内や腸内にたっぷりと注いでやりました。

 魔皇神のくれた潤滑液にして媚薬の入っているヤツを存分に使ったからな。

 お陰で彼は三日目には完全に俺の性奴隷になりたいとおねだりをしてきた。

 元々、幼少の頃から奴隷だったので性奴隷になることもさほど抵抗はないという。

 ならエルモーラ王国に戻って、俺の為にいろいろと調べてもらいたいし、レナリアーラ王国とのパイプ役になってもらいたいと言ったら、こいつが犬の獣人なら尻尾が千切れんばかりに振られていたんじゃないかっていう程の顔つきになっていた。

 そして魔皇神がくれた俺に永遠に恋する首輪を取り出して、説明したらぜひとも付けたい。それこそがあなたに対する永遠の忠誠の証です、と目を輝かせて了承してくれました。

 お陰で黒い首輪をゾルピーラに装備させて、彼の体を綺麗にピュリファイで掃除してから、一旦彼にはエルモーラ王国に一足先に向かってもらうことにした。

 そしてさまざまな色の真珠が沢山入った(倉庫一つ分の容量をもつマジックパックなので、増えた真珠に俺が色を付けたものを100個ほど入れてある)マジックパックをプレゼントしてやった。

 「倉庫一つ分ですか? それだけの容量をもつマジックパックを沢山作れたら、冒険者は本当に大助かりですね」

 だがその時、無邪気に言ったゾルピーラの言葉が気になって俺はヘインズに確認してみることにした。

 以前はもっと小さい容量の空間に荷物を入れる指輪や腕輪を開発したけど、あれはあまりに容量が小さいからな。

 ダンジョン内でモンスターの遺骸とか、魔物のドロップ品とか持って帰りたくなるのが人情というものだ。

 だが縦、横が3メートル程度だとなあ…。ダンジョン内でいつも食料代わりの魔物が出るとは限らないから、やはりかさばるけど、王都ジェルロンドで作られている最大級の倉庫一つ分に匹敵するほどの容量をもつマジックパックを作ることにしたんだ。

 冒険者ギルドに転移して、受付嬢にギルドマスターに面会したいといったら、すごい速さでヘインズを呼びにいった。

 階段を駆け下りてきたマスターに執務室に案内された俺は、早速ヘインズに指輪や腕輪について聞いてみたら、難色を示していた。
 
 俺としては冒険者の事は冒険者同士で解決してほしい。

 だがヘインズが言うには護衛や採取の仕事程度なら、一部屋分の容量のマジックアイテムでもいいが、ダンジョンだと、何階層も移動しないといけないので、当然ながら寝具や食料を入れないといけなくなる。

 特にダンジョン内では環境が激変することも珍しくないので、防寒や防熱の為の装備品も入れておきたいとヘインズは言っていた。

 だからダンジョン攻略をするには一部屋分の容量では小さすぎるとの事だった。

 もちろん普段の冒険にはこんな大容量は必要ない。だが強力な冒険者ほどいろんな階層を踏破できる。

 当然ながらいろんな宝箱や魔物のドロップ品とも出会える可能性が高くなる。

 なのに一部屋分の容量しかない指輪や腕輪だと、いくらパーティーを組んでいてもすぐに容量限界が来てしまうからな。

 実際にランクCから上の冒険者は、後輩の為にいろんなお宝を売って後輩を育ててやりたいのだという。

 だが現実は厳しく、俺のように闇魔法や空間操作が使えるわけじゃないから、マジックパックだけに頼るようになってしまう。

 そのマジックパックも収納空間が大きくて広いものほど値段が高くて、目玉が飛び出すほどだというから、当然ながら特大級のマジックパックなんてもっていられる冒険者はAランクの中でも、ごく一握りだという。

 当然ながらダンジョンに入っても、持って帰れる物資には限界があり、彼等自身が生き残る為の装備品や食料やテントといった冒険に必要な物を買うだけで、相殺されてしまう。

 だから大容量のマジックパックをCランク以上の冒険者全員に持たせたら、持って帰れるアイテムや遺体の数が桁違いに増える。

 それだけあれば後輩の冒険者達の育成にも十分使えるとヘインズは俺にすがるような目をして言っていた。

 ならば最初からマジックパックの方がいい。また指輪や腕輪に魔力を込められるのなら、状態異常をそれぞれ無効化(つまり指輪10個作って、これは猛毒無効、これは麻痺無効といった一つ一つの無効化の効果を込めたもの)した指輪の方がありがたいという事だった。

 ただこれらの指輪とかマジックパックは貴重だし、これが原因で奪い合いになりかねないのでダンジョン攻略のCランク以上の冒険者のみに、レンタルで貸してみるというのはどうだろうか、とヘインズは言っていた。

 そこで俺は闇の中の空間から、最大級の倉庫一つ分の容量をもつマジックパックを500個ほど出してみた。

 それから時間停止をかけてから、魔皇神に心の中で呼びかけた。

 ただ了承するだけで絶対の誓いを立てる誓約書を200枚ほど出すように念じたら、俺とヘインズの側に、大きな箱が出現した。

 それを開けてみたら、確かに数えて200枚ほどの誓約書が入っていた。

 どれも誓約文が書かれており、右にはい、いいえがあってどちらかに丸をつけるといいタイプだった。

 これなら学校に行かせてもらえないで冒険者になったタイプの連中でもたやすく誓約できるな。


 ちなみに誓約文はいくつか記されていて、マジックパックをもっているからって慢心していい気にならないこととか、それで後輩イジメとか同じ冒険者を見下さないこと。

 冒険者に限らず、他者から盗みや強奪、殺人などをして他人の物品や金品、そして殺した相手の遺体を入れたりしないこと。

 他に得たお宝や価値のある物の少なくとも三分の一は後輩の育成の為にギルドに寄付すること。

 他の冒険者がもっているマジックパックを直接的にも間接的にも奪う事、または破壊したり、手放すように誘導したり、人を雇って誘惑、または恐喝行為をして借金地獄に落とさせて、マジックパックを売るように仕向ける「やらせ」行為をしないこと。

 このマジックパックを持つ前に、所有するパーティーの全員は、非戦闘員の荷物持ちでも必ず、ラフィアス・ゾルトロンドの用意した飴玉を3粒は舐めること。

 これらのマジックパックを制作したのは漆黒の獣聖人ラフィアス・ゾルトロンドなので、彼の背後には神々がいるので、彼の言うことは全て正しい。よって彼の言う事や彼の下す指示には絶対的に服従すること。

 ダンジョン内で多くの価値ある物を入手できるようになったからって、無駄遣いはしない。本当に必要な物だけを買うこと。

 賭博や歌手・踊り子や娼婦などに金を大量に貢がないこと。ただし対象物や対象者に一日に銀貨一枚程度で数名になら許される。

 時間があれば後輩の冒険者達を手伝ってあげたりすること。

 冒険者を名乗る以上は、他人に迷惑をかけるような行いはしないこと。

 マジックパックはダンジョン専用なので他の依頼達成にも使えるが、武器や麻薬といった物品の密輸には使わないこと。

 貴族や犯罪者の手先になって彼等の命じるままにさまざまな商品をマジックパックに入れたりしないこと。

 またこれらのマジックパックは無数の下級から中級の精霊によって常に見られているので、上記を含む、または上記以外の違法・不法な行いをした時はマジックパック没収の他に、冒険者の資格を永久剥奪するので、覚悟して使うようにすること。

 以上だった。読んでみてこれでもか、これでもかといわんばかりの禁止事項ばかり並べられている。

 だが悪用されるとこれ以上に厄介な代物は他にあまりないだろう。

 俺は闇の中の空間から精液ポーション(もちろん魔皇神が俺の精液の味を変えた最新型)を変化させた数千個の飴玉が入っている7つの大型の袋を取り出した。

 続いて時間停止を解除して、ヘインズに誓約書と飴玉の入った袋と、マジックパック500個を渡した。

 誓約書を読んだヘインズは、精霊の監視があるのならこれ以上完璧な防犯防止の誓約書はないでしょう、と畏怖を込めた目で俺を見ながら言った。

 恐らく魔皇神が各属性の精霊王に命じて監視するように、手配したんだろうな。魔族は人間を堕落させるのが上手だけど、そんな彼等も肉体を持たない精霊は苦手らしいからな。一つの属性だと大変だが複数の属性なら下級精霊でも監視して報告するだけならできる。

 もっとも精霊使いという存在がいるが、いくらなんでも全属性の精霊を封じて悪事を隠すということは不可能だからな。

 それは魔皇神に命じて(俺の性奴隷だし、この件に関しては俺のプライベートな事じゃないので)、精霊術師や精霊に関する作用をもったアイテムの所持者には特に注意して監視するように言っておいた。

 後はCランク以上の冒険者パーティーに一人一個ずつ持たせればいい。そう言ったらヘインズは頷いてから、俺の前に跪いていた。

 俺は後はお前次第だ、と言ってからダンジョンの地下131階層へと転移した。
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