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第212話 闇の獣人、エラーナ街で大歓迎される

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 いろいろとあったが、エラーナ街に行くことになり、ロンドウェル達従者を王城の俺専用の部屋から連れ出すことにした。

 セレソロインやサンティラが彼らの時間を止めておいてくれたので、待たせているという感じはしていないようだったのが安心できた。

 考えてみれば人形の女神は来るわ、冥王の使者の死神が未熟なせいで神々からのフルボッコに遭うわ、しまいには天空城の島まで来るわで、やっとエラーナ街を浄化することができる。

 そして先遣隊として時空の大精霊のエレンソルを派遣して、俺達は街の近くで20分ほど待った。

 エレンソルのお陰で俺達は空中からエラーナの街に降り立って、すでに外に出ていた民衆が届かない程度の高さに浮かびながら、魔法浸透をかけて「ピュリファイ×2、竜王の息吹×2、覇王竜の息吹×2、アルティメット・ヒール×2、パーフェクト・ヒール×2、超・修復×2」をかけてやった。

 後は各地の村でやった通り、結界移動で街の連中をすでに作成してあった城砦に連れていって、そこで一時間ほどいろんな所を触らせて幻影ではないと判断させてから、また結界移動でエラーナ街に連れて帰り、あとは城塞を創っては破壊するという行為を、大精霊、リヴァイアサン、俺の三回に渡って城塞を破壊していった。

 今回は50万人規模の大都市だ。はっきり言ってエラーナ街よりもはるかにでかい。

 その大都市の城塞を俺がアビス・ファイアを抑えないで普通に使っただけで、城塞都市が猛然と燃え上がって灰になっていく。

 そのありさまを見た街の連中は完全に畏怖を込めた目で俺を見ていた。

 後は街の周囲にある畑に、スーパーマイコニドとネオ・マンドラゴラを設置。

 そして井戸の神のアビリティのポンプはすでに設置してあり、改めてその効能を説明して、ボケ防止になるから老人は特に井戸水をこまめに飲むように、と言ったら杖なしで歩けるようになった老人達は感涙して、むせび泣いていた。

 後は井戸の周囲にいる小型化したパペット達も水の運搬を手伝ってくれるが、あくまで「手伝い」なので井戸水以外の運搬はできないが、そのバケツや桶に荷物を結わえ付けておけば、一緒に運んでくれるという裏技を話したら、町民全員はおろか警備兵達も大喜びしていた。

 それからは俺の分身を大量に出して、町民の大人達全員に俺と分身の精液を飲ませて、邪神の支配下に置かれないようにした。

 邪神の憑依や精神支配はあなどれないからな。後は俺の精液を変化させた飴玉を大量に配ったりして、精神支配なんてされないようにしておく。

 後は俺の精液を飲ませた以上は、もうこれ以上俺に付き纏ったりしないように家や職場に戻るように念じたら、そのまま素直に戻ってくれた。

 それからは貧民街に行って、金貨3000枚をボスのラナンという男に渡した。もちろんこいつも俺の精液の飲んだ者の一人だ。

 黒い髪に黒い髭を生やした、見た目は40代前半だが、実際は29歳と覇王竜の叡智で出た。

 いわゆる老け顔って奴だな。それでラナンには冷暖効果のある玉の入った袋を闇の中の空間から出して、貧民街で生きる連中に一つずつ配るように言った。

 後は貧民街の中で子供達を集めて、ほどよい広さの地下室に行って、そこに地の大精霊の糞を混ぜた土を混ぜようとしたら、いきなり目の前の空間から白いパペットが10体ほど出てきて、俺の手伝いをあっという間にやってくれた。

 こいつらを鑑定してみたら、タラミレーナの眷属ということだった。俺が農作業するのは聖人としてふさわしくないからだと思ったらしい。

 いやね? 俺だってたまには土いじりとかしてみたいんだけどな…。まあ手伝ってくれたのは嬉しいからいいか。

 で、後は俺のヴァイオリンの演奏を聞かせて、それからは畑と同様にネオ・マンドラゴラを即席の畑に設置。

 こいつら読心能力もっているから、純粋にキノコが成長するように祈る気持ちで歌わないとダメだと言ったら、子供達は全員、何度も首を縦に振ってくれました。

 ちなみにこの街で育てるのは青色のキノコだ。精神鎮定効果を強めに設定しておいた。

 地下室から出てきた俺を待っていたのは、街の衛視隊の連中だった。

 俺に稽古をつけてほしいということなので、早速目隠しと耳(獣人なので顔の側面じゃなくて頭に生えている)に詰め物をして、手招きした。

 もともと俺は暗殺者の訓練を受けていたし、数多のアビリティの吸収、限界突破ポーションを毎日最低でも100本は飲んでいるせいか、こいつら全員の気配は目と耳を封じていても丸わかりだった。

 こうして俺は素手で全員を手加減して攻撃したり、カウンターをしたが、それでも何人かはあばら骨にヒビが入っていた。
 
 どうして自分達の接近に気づいて、正確かつ的確に攻撃できたのか。もしかして匂いでわかるのかと衛視長に聞かれたが、そんな事はない。

 嗅覚もシャットダウンさせている。俺は「感覚に頼るな。魂で感じるのだ」とちょっと偉そうに言ったら衛視達がどよめいていた。

 この街でやることはやった。異世界から化け物や各地で封印されていた魔物とかが出現した際に、二重の結界を貼っておいた。「2級創造神の神衣」と「1級創造神の神衣」も綻びとか生じていないようで安心した。

 後はこの街の冒険者ギルドと、奴隷商の所を覗いてみるかな。

 別に頼んでもいないのに、町長のメラドという眼鏡をつけた神経質そうな薄い金髪のおじさんが、俺と従者のロンドウェルとアルロンを尾行しているのに俺は気づいていた。

 「お前達…何か、全く気配を隠して切れていないが、一応尾行されているようだが気づいていたか?」

 「もちろんです、ラフィアス様」

 「どこかで撤きますか? それとも裏路地にでも誘い込んで骨の2本ほどへし折って、何の為に尾行していたのかを吐かせた方がいいかもしれません。このまま中途半端な感じを受けたまま尾行されるのは苦痛でしかありません」

 ロンドウェルもアルロンも気づいているようだった。そりゃあれだけ気配を出しっぱなしで後を付いてくるんだから、ちょっと感覚が鋭ければ素人でもわかるか。

 そこで裏路地に入ったら、俺達が手を出すまでもなく、みすぼらしいが汚れが全く見当たらない男達が、メラドを捕まえていた。
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