誰か私と結婚してくれ。〜婚活の邪魔をしていたのは公爵家の幼馴染みでした〜

こたきんぐ

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第3話

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伯爵令嬢の私、ラーテリィ・コルケリア。
公爵家の長男、レイモンド・マクニール。

所謂私たちは幼馴染みだ。

親同士も仲が良く、生まれた年も近く、本当に赤ちゃんの頃からのお付き合いである。
伯爵家と公爵家ではだいぶ身分の差はあるけれど、それでも私の父親とレイの父親、そして現国王様は昔から仲が良い。

表向きではお祖父様達が国を救ったから、それからの付き合いでとか言われてるけど、実際はこの三人とも飲兵衛なのだ。酒飲み仲間。その関係がずっと続いている。何ならお祖父様の代から。

私は、王子様であるアルベルト・タータニア王子殿下との交流は程々だけど、レイは殿下と親友と呼ばれる間柄で、よく互いに相談事もしていると言う。
男同士積もる話もあるんだろうな、仲が良いことは良いことだ。
なーんて、きっと主に政治事のお話をされているのだろう。そういう立場の人達だから。

昼は殿下と談笑、夜は父親を連れて私と晩酌。
レイの日常の中で、さほど珍しくない日々のスケジュールである。

今日もお昼は殿下と会って、仕事を終わらせてから馬車に乗ってコルケリア家にやってきた。
コルケリア領と、マクニール領はお隣のためそんなに遠くない。だから気軽にやってくるし、遊びにも行く。

未婚の男女が夜中に同じ屋根の下…なんて心配もいらない。毎回どちらの父親もついてくるから。
じゃなくても、私とレイが男女のアレやソレになるとは思わない。

だってレイはこの国一の公爵家で、将来有望で、期待の後継者。
評判は良けれど私はされど一伯爵家の令嬢。

レイにはレイに相応しい、立派な御令嬢や、それこそどこかのお姫様と婚約するのが相応しいのだ。

そもそもレイが私をそういう目で見られるとは思えない。
こんな素の姿を見て、女として見えるわけがないもん。


「レイもさ、そろそろ結婚する時期だよね。来てるでしょ?そういうの。あ、婚約者とか実はもういてたりして…!?」
「…いないよ」
「ほんとかなぁ…。というか、今いないのが不思議なんだよね。
顔はいいし、文武両道だし、公爵家の跡継ぎだし、裏はともかく表の顔はとびきりいいしさ。もう結婚しててもおかしくないのに」


数年前までいたのだが、何故か破談になった。
理由は教えてくれなかったけれど、無理に聞くことでもないので、その件はそっとしている。

それにしても、立場的にも、もう次のお相手がいてもいい頃なのにそんな話はミリも聞かない。
いつも私の婚活話を含め、雑談ばかりでレイの恋愛事情なんて聞いたことがない。いた時ですらだけど。


「ま、レイが結婚しちゃったら、こうやって飲みに付き合ってくれなくなるもんね。それはちょっと寂しいけど」
「……、」
「でも早くいい人見つけて、結婚して、後継ぎ残しておじ様を安心させてあげなさいよ。
レイなら選び放題だろうし…。まあ焦ってもないみたいだけどさ、うちの親と一緒で」


何故か何度も縁談を切られまくっている娘の現状に焦っていない私の親達。
そうか~、残念だったなあ。あらあら、そういうこともあるわよねえ。が、毎回の両親の反応だ。
やっぱり思い返してもちょっとおかしいな。呑気すぎる。

レイのご両親も、自分の息子に婚約者等の女性の影が見えないことに焦ってないようだけど…。
他の家のことをとやかく言うつもりは甚だないが…。
いや、実は私に隠してるだけでやっぱりいるとか!?
気づいたら1人残されてる、なんてのは嫌すぎるから、いるならいると正直に言ってほしい。

そもそも私が婚活頑張ってるのは、レイに置いてかれるのが嫌だ、っていう理由が大きいのに。


「もしそういう女性がいるなら早めに言ってね!?」
「だからいないって。……ラティ、君こそ縁談がきたら、必ず僕に言うんだよ?」
「もちろんだよ、相談乗ってもらわないと困るし。それに今までだってずっと言ってるじゃん。一人欠かさず!
で、全部失敗して、レイに笑われて、私は毎回こうやって酒を浴びてんの!」


ぐびぐびーーっとついにワインボトルに口をつけて、一気飲みしボトルを空にする。


「っぷはあ!もぉ誰でもいいから結婚してくれないかなぁ!!」
「…あーあ、やけになって…」
「次は何飲もうかな!!」


やけにもなるわ、と空になったボトルを地面に置き、その近くにあるお酒のボトルがたくさん入ったカゴをごそごそと漁る。
次は白ワインでも飲もうか、と銘柄を確認しつつ選んでいく。




「__約束、だもんね」




レイがぼそりと呟いたその言葉は、一生懸命次に飲むお酒を選んでいる私の耳には、届かなかった。


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