ゲームで自滅する悪役貴族に転生したのでゲーム知識で最強になって愛する嫁達との楽園を作る

岩の上の朴念仁

文字の大きさ
9 / 40

9話 デート、そして一つに

しおりを挟む
 
 「うーん、これで大丈夫だろうか?」

 鏡に映る自分の服装を確認し、1人呟く。

 ダンジョンから帰った後、シャーロットにデートに行こうという旨の手紙を出すと、すぐに返事が返ってきて快諾してくれた。

 今日がその王都でシャーロットとデートする日な訳だが、前世で1度も彼女のできたことのない俺にとって上手く彼女をエスコート出来るだろうかという緊張で、朝から何度も鏡を見ては服装を確認しているのだ。

 ここ3日ほどで、デートコースの下見はしたし、人気のお店なんかも調べた。

 「シャーロットに喜んでもらえるといいんだけど。」





 シャーロットの家の前で彼女が出てくるのを待つ。シュトレーゼン家と同じで彼女の家も公爵家なので恐ろしく広い。
 庭では、魔法使いたちが訓練をしている最中の様だ。

 シャーロットの家は、アルカディア王国で代々、魔法師団長を勤めてきたしてきた家門なだけあり、訓練している魔術師達のレベルもかなりのものだ。
 
 シュトレーゼン公爵家が剣術の名家なのに対し、ルクレシア公爵家は魔法の名家なのだ。
 
 魔術師たちの訓練をしばらく眺めていると、シャーロットが出てきた。

 「お待たせしました。アルとデートに行ける日が来るなんて夢みたいです!」

 屈託のない笑みを浮かべてながらそう告げるシャーロットを見て、勇気を出してデートに誘った甲斐があったなと思う。

 「やあ、シャーロット。2週間ぶりだね。そのドレスとても似合っているよ。もしかして、俺の瞳と同じ色のドレスにしてくれたの?」

 「はい!よかったです、気づいてもらえて。
アルの瞳と同じエメラルドグリーンのドレスにしてみました。」

 「本当に可愛いよ!ずっと眺めていたいぐらいだ。」

 「そしたらデートに行けなくなっちゃうじゃないですか~。」

 クスクスと笑いながらそう言うシャーロットは冗談抜きでめちゃくちゃ可愛い。
 
 俺は彼女の隣を歩いていて恥ずかしくないよな?痩せたことで俺もかなりイケメンになった自信はあるが、、。

 「アルも、とってもかっこいいですよ。他の女性に奪われないか心配です。」

 「今日はシャーロットとデートするんだから他の女性になんて興味ないよ。」

 「それなら良かったです。でも、他に好な女性ができたら私に相談してくださいね。アルほどの男性を私が独り占めできるとは思ってませんから。」

 え、いいの?!俺は日本人としての価値観で考えていたが、この世界では貴族が側室を迎え入れるのは当たり前のことなのだ。
 シャーロットが許してくれるなら、そういう事も後々考えるとするか。

 でも、今はそんなことよりシャーロットとのデートを楽しもう。
 

 「じゃあ、出発しようか。歩いて街まだ行くから疲れたら言ってね。」

 「はい、馬車以外で街に行くのは初めてなので新鮮でとてもワクワクします。」

 馬車で移動する方が楽なのだが、せっかくのデートなので徒歩で移動することにした。安全面を考えると少し心配だが、今の俺ならシャーロットを守るぐらいの力はあるだろう。




 演劇を見た後、宝飾品店でシャーロットの瞳と同じ色の大きなサファイアの付いたネックレスを買いプレゼントすると、目を輝かせて喜んでくれた。
 
 「こんな綺麗なネックレスをいただいてしまっていいんでしょうか?」

 「もちろん、このネックレスはシャーロットにしか似合わないだろうし、俺もシャーロットがつけてくれると嬉しいな。」

 「ッ、一生大切にします!!」

 とても喜んでくれた様で良かった。これからもシャーロットに似合いそうなものがあれば、プレゼントしよう。

 「次はどこに行きましょうか?」

 「お腹も空いてきたし、昼ごはんを食べに行こうか。」

 「いいですね。私は甘いものが食べたいです!」

 「そう言うと思ったよ!昔から甘いものが大好きだったもんね。ちょうど良いお店が近くにあるんだ。」

 「私の好みを覚えていてくれたんですね。嬉しいです!じゃあ早速、昼食にしましょう。」

 少し歩くと、「小人の休日」と書かれた看板が見えてくる。石造りの建物がほとんどの王都にしては珍しく木でできたお店だ。

 「ここだね。店員は全員小人族で、名物のパンケーキが美味しいみたいだよ。」

 「パンケーキ!!早く食べましょう!私もうお腹がぺこぺこで我慢できません。」

 普通はパンケーキよりも小人族に反応すると思うんだけどな。シャーロットはお腹がペコペコでそれどころではないらしい。

 店の中に入ると、「いらっしゃいませ」という声が聞こえてくるが、何処から話しかけられているのかわからない。
 
 俺とシャーロットがキョロキョロと辺りを見回していると、
 
 「おーい、お客さん。下です下。」

 下を向くとそこには50センチにも満たない大きさの女性が立っていた。本当に小人族がやっていたのか。
 
 だけど想像してたのと違うな。もっと手のひらサイズで羽の生えた感じのを想像していたんだが。
 なので、正直に思ったことを伝えてみる。
 
 「小人族っていうのは、もっと小さくて羽が生えているのを想像していたんだが。」

 「いや、それだったらフェアリー族ですよ!私たち小人族とは別の種族です。」

 どうやら俺の想像していたのだと、フェアリー族に当たるらしい。ゲームに登場していなかった種族がどんどんと登場してきて非常に興味深いな!
 いつか、この世界にいる色んな種族を探してみるのも楽しいかもしれない。

 「このパンケーキとても美味しいですね!」

 「ああ、ふわふわで口の中に入れるとすぐにとろけるね。」

 「小人の休日」の看板メニューである、ふわふわパンケーキを食べすすめる。シャーロットが本当に美味しそうな顔をして食べてくれたので来た甲斐があった。
 
 前世、日本で食べたパンケーキに比べると味は今ひとつのはずなのだが、とても美味しく感じる。
 シャーロットと、愛する人と一緒に食べることで美味しく感じているのだろう。
 
 


 その後もしばらくデートを楽しみ日も沈み始めた頃、

 「もうこんな時間か。シャーロット、今日は楽しめた?」

 「はい!!こんなに幸せな時間を過ごせたのは生まれて初めてです。」

 「それなら良かったよ。俺もメチャクチャ楽しかった!」

 俺がそろそろ帰ろうかと言おうとしたところで、
 
 「こ、この後ももっと幸せな時間を過ごしたいですっ。」

 シャーロットが顔を赤らめながらボソッと呟いた。

 え、これってそういうことだよね?!オッケーってことだよね?





 俺の部屋のベットで、隣に座るシャーロットを見ていると体が熱くなってくる。理性を保つのがやっとな状態だ。

 俺がシャーロットを見つめていると、お互いの目があう。あまりの可愛さに俺は彼女を押し倒し口づけした。
 もうこれ以上は理性を保てない。

 「ア、アル、いいよ。」
 
 その言葉を聞くと同時に俺の理性は崩壊した。





 翌朝、窓から差し込む光で目を覚ました。
 
 隣では裸のシャーロットが気持ちよさそうに眠っている。透き通るような白い肌に、豊満な胸。眺めているだけでまた、下の方が熱くなってくる。
  でも、今は我慢だ。

 自分の欲望を満たすために、疲れ果てて寝ている彼女を起こすほど俺は野暮じゃない。

 心地の良い充足感につつまれながら俺はもう一度、眠りについた。

 
 


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

付きまとう聖女様は、貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも、モテたい願望が強すぎて、つい……〜

咲月ねむと
ファンタジー
この乙女ゲーの世界に転生してからというもの毎日教会に通い詰めている。アランという貧乏貴族の三男に生まれた俺は、何を目指し、何を糧にして生きていけばいいのか分からない。 そんな人生のアドバイスをもらうため教会に通っているのだが……。 「アランくん。今日も来てくれたのね」 そう優しく語り掛けてくれるのは、頼れる聖女リリシア様だ。人々の悩みを静かに聞き入れ、的確なアドバイスをくれる美人聖女様だと人気だ。 そんな彼女だが、なぜか俺が相談するといつも様子が変になる。アドバイスはくれるのだがそのアドバイス自体が問題でどうも自己主張が強すぎるのだ。 「お母様のプレゼントは何を買えばいい?」 と相談すれば、 「ネックレスをプレゼントするのはどう? でもね私は結婚指輪が欲しいの」などという発言が飛び出すのだ。意味が分からない。 そして俺もようやく一人暮らしを始める歳になった。王都にある学園に通い始めたのだが、教会本部にそれはもう美人な聖女が赴任してきたとか。 興味本位で俺は教会本部に人生相談をお願いした。担当になった人物というのが、またもやリリシアさんで…………。 ようやく俺は気づいたんだ。 リリシアさんに付きまとわれていること、この頻繁に相談する関係が実は異常だったということに。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

主人公に殺されるゲームの中ボスに転生した僕は主人公とは関わらず、自身の闇落ちフラグは叩き折って平穏に勝ち組貴族ライフを満喫したいと思います

リヒト
ファンタジー
 不幸な事故の結果、死んでしまった少年、秋谷和人が転生したのは闇落ちし、ゲームの中ボスとして主人公の前に立ちふさがる貴族の子であるアレス・フォーエンス!?   「いや、本来あるべき未来のために死ぬとかごめんだから」  ゲームの中ボスであり、最終的には主人公によって殺されてしまうキャラに生まれ変わった彼であるが、ゲームのストーリーにおける闇落ちの運命を受け入れず、たとえ本来あるべき未来を捻じ曲げてても自身の未来を変えることを決意する。    何の対策もしなければ闇落ちし、主人公に殺されるという未来が待ち受けているようなキャラではあるが、それさえなければ生まれながらの勝ち組たる権力者にして金持ちたる貴族の子である。  生まれながらにして自分の人生が苦労なく楽しく暮らせることが確定している転生先である。なんとしてでも自身の闇落ちをフラグを折るしかないだろう。  果たしてアレスは自身の闇落ちフラグを折り、自身の未来を変えることが出来るのか!? 「欲張らず、謙虚に……だが、平穏で楽しい最高の暮らしを!」  そして、アレスは自身の望む平穏ライフを手にすることが出来るのか!?    自身の未来を変えようと奮起する少年の異世界転生譚が今始まる!

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

処理中です...