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第6章 ケンジの新しい生産力!
5話 あせり・・・
しおりを挟むあれからトニーとジーロはみんなの信頼を得ようと奮闘してふらふらになりながら頑張っていて仕事にも精を出していたのだった。
「トニージーロお前達ちょっと俺の部屋に来てくれるか?」
ケンジは二人を自分の部屋に呼び出すのだった。
「「えーっと何でしょうか?」」
「ああ!お前達の事がちょっと気になってな。ちょっと話をしないか?」
二人はケンジにいきなりそんな事を言われて緊張するのだった。
「俺達何かまたいけない事をしたのでしょうか?」
「それならすぐ改めます!」
「いやいや・・・あれからお前達を見ていてちょっと気になってな・・・」
「「えーっと・・・何をなおせば・・・」」
「ちょっと落ち着くんだ!お前達は何も悪い事はしてないしそんなに怯えるな。そうじゃなくてだな・・・お前たちちゃんと休んでいるのか?顔色がわるいぞ。」
二人はそうケンジに言われると下を向き震える声で話し始めるのだった。
「いえ・・・あまり寝ていません・・・」
「夜中に何をやっているんだ?時々工房にも夜中入っているだろ?」
「なぜそれを?」
「ひょっとしてお前達みんなの信頼を取り戻そうとして焦ってるんじゃないんだろうな?」
「「・・・・・・」」
「やっぱりそうか・・・お前達の気持ちはわからなくでもないが今日から夜はちゃんと寝る事!時間外勤務は禁止だ!そして今日はもう部屋でゆっくり寝るんだ。」
「そんな!」
「せっかくみんなと一緒の待遇になったのに俺達だけ休めないです!」
「お前達の気持ちはよくわかるが駄目だ!このまま働いてたらお前達過労死するから認められない!今はちゃんと休め!」
トニーとジーロの二人は少しでもみんなの信頼と取り戻そうとして夜中に下準備や庭の手入れをしていたのだった。その結果寝不足に陥り今の地点でふらふらになりながら工房での仕事をこなしていたのだった。
「トニー、ジーロお前達は仲間を一回裏切った。この事実はもう変わらないがこれからの行動でいくらでもやり直せると言ったのは俺だ。」
「「だから俺達は・・・」」
「だがな、焦る必要なないんだぞ!確かに信用を取り戻すには3倍の時間と労力が必要だが同じ時間で取り戻そうとしたらお前達は信用を取り戻す前に死んでしまうぞ。良いのかそれで?」
「だけど・・・」
「よく聞くんだ!やってしまったものはちゃんと自分自身受け止めるのは結構な事だよ。だけどな現状をよく見て見ろよ。そんなフラフラの状態で働いていてもみんなの足を足を引っ張っているじゃないか!」
「「!」」
「ようやく気付いたのか?お前達の工房の仲間はお前達が頑張っていることはちゃんと伝わっているよ。だからお前達に気を使って今の状況でも何も言わないだろ?」
そういわれトニーとジーロは下を向きケンジが何が言いたいのか理解しようとしていた。
「もしこのまま休まず働いていたら絶対怪我をするぞ。そうしたらもっとみんなに迷惑を掛け、徐々に取り戻した信頼がまた無くなるのがわからないのか?」
「「・・・・」」
「いいか?自分のできる範囲で頑張ればみんなちゃんとわかってくれるからそんなに焦るな!いっぺんにやろうとするんじゃない。いいな?」
「「はい・・・主様すいませんでした!」」
「俺の言うことがわかったなら今日はもう部屋で休むんだ!シェムには俺から言っておくから!」
トニーとジーロはケンジに頭を下げ部屋から出ていくのだった。そしてケンジは鍛冶工房に顔を出しシェムとダンギに二人の事を報告したのだった。
「ダンギ、シェムなんであんな状態になるまで放って置いたんだ。お前達二人は部下の事もちゃんと見てやらないといけないだろ?」
「わし達も注意はしてたんだがなかなか夜中の作業をやめなくてな・・・」
「ダンギそんな調子で軽く言うんじゃない!今日もフラフラになってたじゃないか!」
「わしもあいつ等の事を止めたんじゃが言う事聞かなくてな・・・」
「だったらなんであんな状態まで放って置くんだ。俺にちゃんと報告しろよ。いいか?部下の体調も把握して自分達で無理だと判断したら俺に言うんだ。」
「だが、主殿にそんなめいわくを・・・」
「迷惑じゃない!ちゃんとホウレンソウを実行しろ!」
「「ほうれん草?」」
「ホウレンソウがわからないのか?報告・連絡・相談の頭文字を取ってホウレンソウだ。この3つは確実にして上と下を密にして失敗をなるべく回避するんだ。」
「「ふむふむ・・・・」」
「お前達がちゃんと今回の事を俺に相談していればあいつ等はフラフラになってまで働かずに済んだんだぞ。自分達で手に負えない事があったらまず俺に相談するんだ!わかったな!」
「じゃが、そんな事で主殿の手を煩わせても・・・」
「そうだ。俺達は主殿の奴隷だから本来ならあれぐらい働いていても文句は言えないんだから・・・」
「お前達の言い分はわかったが、それは奴隷としての信念だが俺は今までそんな風にお前達をあつかったのか?一日一回だけの食事だけで一日20時間とか働かせていたのか?」
「「それは絶対なかった・・・」」
「だったらなぜそれが普通と言ってあいつ等にそれを求めると俺が思ったんだ?なあ!言ってみろ!」
「主殿すまんかった!」
「わし達が浅はかだった・・・」
ダンギとシェムはケンジの言い分に自分達が間違っていたとすぐに謝罪するのだった。
「いいか?もう一度言うからしっかり聞くんだぞ。ホウレンソウはちゃんとしろ。今回は俺がギリギリ気づいたからよかったがあのまま働いていたら鍛冶工房ではちょっとしたミスが命取りになるんだぞ。」
「命取りってそんな大袈裟じゃないのか?」
「ワシらもこういった現場で長く働いていたが命取りって聞いた事がないぞ。」
「じゃあ、あいつ等があのまま働きつ続けフラッと倒れた先に並べた剣先があったらどうするんだ?」
それを聞いたダンギとシェムは顔を青くしたのだった。
「それならまだ手足が飛ぶだけかもしれないが、誤って反射炉に頭が入ってしまったらどうなるんだ?一瞬であの世行きだぞ。手足が飛ぶだけなら俺の魔法で治せるが蘇生は無理だぞ!いいのかそうなっても?」
ダンギとシェムはケンジの注意したことに顔を真っ青にして謝罪するのだった。
「いいか?俺はダンジョンに潜り魔物を討伐するとき、ギル達に油断は絶対ダメだと口を酸っぱくして言っているが、こういった工房でも絶対油断はしたら駄目だぞ!何が起こるかわからないんだからな!」
「「はい・・・わかりました・・・これから重々気を付けます!」」
「お前達に鍛冶工房は任せているが責任者は俺なんだから遠慮せず分からない事や手に負えない事があったら、なんでもいいから報告、連絡、相談をちゃんとしてくれ!」
ダンギとシェムはケンジに言われ自分達はまだまだ未熟だと反省し頭を下げるのだった。ケンジは二人を叱り裁縫工房に入るのだった。
裁縫工房に入ると珍しくプリムが裁縫スキルを伸ばし服を作っていたのだった。
「あ、ご主人様!」
「お?プリムがここにいるのは珍しいな。今日はマイたちと町の外には行ってないのか?」
「今日はマイさんが当分休みにするって言ってたから裁縫を伸ばそうと思って衣類を作っていたんですよ。」
「そっか。マイもずっとギルド依頼をしてたもんな。」
「それにしてもご主人様何かあったのですか?なにかちょっといつもと違う感じが・・・」
さすが初期からのメンバーだけあって付き合いが長い事だけあるプリムであった。一目見てケンジの精神状態を見抜いてしまったのだった。
「疲れているなら休んだ方が?」
「いや・・・大丈夫だ。」
「だけどいつもと違う感じがします・・・」
ケンジは観念して先ほどの事をプリムに話したのだった。するとプリムはダンギ、シェム、トニー、ジーロの4人に怒りをあらわにするのだった。
「あの4人は何をやってんですか!」
「オイオイ・・・なんでプリムがそんなに怒ってんだよ。」
「なんでってご主人様に迷惑を掛けているからに決まってるからじゃないですか!」
「あいつ等には十分注意しておいたからわかってくれたと思うからもういいよ。」
「ですが!」
「プリムありがとな!俺の為にそんなに本気で怒ってくれて。」
ケンジはプリムの頭をポンポンとして気を落ち着かせようとしたのだ。
「なんで・・・ご主人様はそんなに優しいのですか?もっと主として命令してくださってけっこうなのに・・・」
「そんなの決まっているだろお前達が大事だからだ。そんな命令なんてしなくてもお前達はちゃんとやってるじゃないか。」
「それはご主人様がわたし達の事を想ってくださるから少しでも恩を返したいからです。」
「なら命令なんてする必要ないじゃないか。」
「でも、そんなんだからあの4人みたいにご主人様が余計な手をわずらわせるんじゃ・・・」
「プリムそれは違うよ・・・・間違えて俺の手を煩わせるのはなんの問題はない。そのあとが問題になってくるんだよ。」
「どうゆうことですか?」
「プリム、お前はあいつら4人ににそんな事を言うがお前は間違ったことは絶対しなかったのか?」
「それは・・・」
「ちょっと意地悪だったなスマンな・・・つまりプリムだけじゃなく俺もだが失敗や間違いは誰でもするもんだ。完璧な人間なんていないんだぞ。わからない事もいっぱいあって人間は自分の経験をもとに行動をするもんなんだよ。」
「だからその本人には間違いという意識が無く間違いを起こすときもあるんだ。で、さっき言ったホウレンソウというものが役に立つんだ。それによって間違っていたことが正しくなる時だってあるし、俺が正しいと思ってたことが間違いだった事はたくさんあるんだ。」
「そんなことは・・・」
「いや、気を使わなくていいよ。こういっては何だがよくマイとセバスに怒られることあるしな。」
ケンジは照れ笑いしながら頭を掻くのだった。
「で話は戻るが間違えたら素直に認めて次に生かす事が大事なんだ。何回も注意しているのに自分はこうだったとかこっちの方がとか言って同じ間違いを何回もする方がダメなんだよ。」
「たしかに・・・」
「これであの4人も今回のような事はもうしないだろうとおもうよ。それでみんなが気持ちよく生活できるなら間違いは何の問題もないだろ?」
「だからご主人様はわたし達に命令とかしないんだ・・・」
「命令したり理不尽な事やらされても意味ないだろ?でもあいつ等もこれで分かってくれるしいいだろ。」
「へええ・・・そうなんですね・・・」
「なんだよその意味深な良い方は。」
「じゃあ、わたしからご主人様に一言!」
「なんだよ!俺が何かやっているのか?もっと主人らしく命令しろと言っても無駄だぞ。これだけは曲げれないからな・・・」
「そんなことじゃありません!」
「じゃあなんだよ・・・」
「夜のご奉仕の時激しすぎるから逝ったら腰の動きを止めてと言っているのに何回お願いしてもご主人様は夢中になってわたし達は死んでしまいそうになっているのに言う事を聞いてくれません!」
「うぐっ・・・」
ケンジはプリムの意見に二の句が告げず口ごもってしまうのだった。
「ねえ、ご主人様。これからは直してくれるんでしょ?」
プリムはケンジを見て目を細めてクスリと笑うのだった。
「ああ、解ったよ。俺の負けだ。なるべく善処する。」
「なんですか?その善処って!」
「だってよう・・・プリムを抱くとあまりに気持ちよくて・・・」
プリムはケンジの言葉にボッという音が聞こえるほど顔が真っ赤になりケンジの胸をポカポカ叩くのだった。
「だってよう・・・じゃありません!何恥ずかしい事言ってんですか。」
「俺はいつも気を付けるんだぞ。だけどお前達が寝室に入って来て抱かれるとなぜか夢中になってて・・・」
「だから!そんな面と向かって恥ずかしい事言わないでって!」
「わかった、これから気をつけるよ・・・」
「それならよろしい!」
プリムは照れ隠しで胸を張ったのだった。だが、ケンジは絶対無理だろうなあとおもっていたのだった。
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