15 / 36
第2章(高一冬~)
2:二人の時間
しおりを挟む秦同家主催のパーティに誘われた僕は、
日下部と共にパーティ会場までやってきた訳だが、夢でも見ているんだろうか。
「なぁ、日下部。」
「どうしたの?ユズくん?」
「僕には、ここがあの有名な日本一の高級ホテルに見えるんだが。」
「?合ってるよ?」
そうだった、日下部も四家なんだった。四家にとってはこんなところでパーティをするのが普通なのか。庶民には、ついていけない…。
と思っていた瞬間、日下部からまた信じられない言葉が聞こえてきた。
「今日は、招待客が少ないから
ここのホテルにしたって言ってたよ?」
「そうか……。」
よし、何もかも忘れて過ごそう。
そう自分に思い込ませ、車を出た時だった。
「久城!」
「秦同!」
「やっほー!ヒロ!お姫様は無事送り届けたよ!」
「!?」
「ああ、ありがとう。友紀」
(お姫様ってなんだよ)
静かに心の中でツッコミを入れた。
さっきから、秦同の視線が痛い。もしかして、
スーツ似合ってないのかな?そうだったら、かなりショックだな。
「さっきからなんだよ?スーツ似合わないか?」
「い、いや。似合ってるよ」
そっぽを向きながら答えられた。
いや、そんな目も向けられないほど似合ってないのか!?確かに昔から女顔とは言われてきたが、
うう。秦同にそう思われてると考えるとやっぱりショックだ……
「ぶふっ。くくっ……。……ふっ。
あははははっ。もう無理、笑いこらえらんないよ。」
「いきなりどうしたんだ?日下部」
「いや、だってさ(笑)2人ともすれ違いすぎ!」
「????」
僕は、日下部の言った言葉に首を傾げていると
「だって~、ヒロは『似合ってるよ』とか言ってそっぽ向いて赤面してるし、ユズくんは似合ってないと思ってしょんぼりしてるし~(笑)2人とも可愛すぎ」
赤面?そんなはずない。そう思い、改めて秦同の顔を見てみると確かに少し赤くなっていた。
(似合ってないわけじゃなかったんだ。良かった)
「友紀」
「ん?なぁに?」
「少し久城と2人で抜けてくる。パーティまで1時間あるだろ?」
「ほいほい。りょーかい。叔父さんたちは
僕とミッチーで対応しておくね?」
「すまない。助かる。」
「え?ちょっ、まっ…」
言い終える前に、秦同に手を引かれ歩き出した。
(沈黙が辛いから、とりあえずあそこのベンチにでも座ろう)
そう思い、僕は秦同の袖を引っ張り公園のベンチを指さした。
「とりあえず、あそこのベンチにでも座る?」
「あ、ああ。」
「飲み物買ってくるよ。なにか飲む?」
「なんでもいいよ。」
「りょーかい。」
僕はいそいそと自分のジュースとコーヒーを買って秦同の元に戻った。
「はいどーぞ?」
「ありがとう。」
……………………………………。
(ち、沈黙が長い)
なにか話があった訳では無いのかな?
秦同の様子を伺おうと横目で秦同を見ると
燃えるような紅い瞳が、僕を一直線に見つめていた。その瞳はまるで、愛おしいものを見ている時ようだった。その瞳に耐えきれず、僕は視線をもとに戻した。
(やばい。なんかドキドキする。)
発情期はこないだ終わったし、心配はしていないが、妙に心臓がうるさい。
『僕もユズくんがヒロの運命の番だって思ってるんだ!ーーーーーーーーヒロの気持ちは本物だと思う。これだけは信じて欲しい。』
日下部の言葉を思い出した。
(こんな時に思い出すなんて…)
顔が熱くなるのを感じる。ついに我慢できなくなり、僕はジュースを飲み干し、秦同の方に向き合った。
「おい!秦同!」
「な、なんだ?」
いきなり怒鳴られて驚いたのか、秦同は腑抜けた声を出した。
「~っ。さっきから視線ずっと痛いんだけど。」
「視線?」
「お前、ずっと僕のこと見てるじゃん?
あんなずっと見つめてきて、顔に穴あくって」
一瞬驚いた顔をした秦同は、少し考え込んで
オロオロしながら謝ってきた。
「す、すまない。そんなに嫌だとは思ってなくて」
「別にいいけど、なにか話あったんじゃないの?」
「いや、久々だから2人きりになりたかったというか。少しお互いの近況報告でも出来たらと思っていただけなんだ。」
「そっか。僕のは聞いても平凡すぎて面白くないと思うから、秦同から教えてくれる?」
「ああ!もちろんだ!」
それから時間が許す限り、秦同のお互いの報告をし合っていた。僕の方の話は、日下部のことや叔父叔母のことばかりだったが、秦同は嬉しそうに僕の話を最後まで聞いてくれた。
「そろそろ時間だ。戻ろう。」
「あ、うん。」
「また今度聞かせてくれ。」
僕は、コクンと頷く。
(こんなにイケメンで優しくて、お金持ちのαって
モテて当然だよな)
そんなことを思いながら、秦同と会場に戻った。
0
あなたにおすすめの小説
無自覚オメガとオメガ嫌いの上司
蒼井梨音
BL
ベータとして生きてきた無自覚オメガの小国直樹は、オメガ嫌いの白鷹課長のいる部署に異動になった。
ビクビクしながら、なるべく関わらないように仕事をしてたのに、
ペアを組んでいた先輩が倒れてしまい、課長がサポートすることに。
そして、なぜか課長にキスされてしまい…??
無自覚オメガ→小国直樹(24)
オメガ嫌いの上司→白鷹迅(28)アルファ
第一部・完
お読みいただき、ありがとうございました。
第二部
白鷹課長と一緒に住むことになった直樹。
プロジェクトのこととか、新しくできた友だちの啓さんのこととか。
相変わらず、直樹は無自覚に迅さんに甘えています。
第三部
入籍した直樹は、今度は結婚式がしたくなりました。
第四部
入籍したものの、まだ番になってない直樹と迅さん。
直樹が取引先のアルファに目をつけられて……
※続きもいずれ更新します。お待ちください。
直樹のイラスト、描いてもらいました。
αで上級魔法士の側近は隣国の王子の婚約者候補に転生する
結川
BL
アデル王子の幼馴染かつ側近のルイス・シュトラール(α・上級魔法士)が転生した先は、隣国の王子の婚約者候補であるルカ・エドウィン(Ω・魔法未修得者)だった。
※12/6追記:2章プロット作成のため更新を留めます(2章からはBL/オメガバースらしい話にします)シナリオ調整のため、公開済みの話に変更を加える可能性があります。
愛させてよΩ様
ななな
BL
帝国の王子[α]×公爵家の長男[Ω]
この国の貴族は大体がαかΩ。
商人上がりの貴族はβもいるけど。
でも、αばかりじゃ優秀なαが産まれることはない。
だから、Ωだけの一族が一定数いる。
僕はαの両親の元に生まれ、αだと信じてやまなかったのにΩだった。
長男なのに家を継げないから婿入りしないといけないんだけど、公爵家にΩが生まれること自体滅多にない。
しかも、僕の一家はこの国の三大公爵家。
王族は現在αしかいないため、身分が一番高いΩは僕ということになる。
つまり、自動的に王族の王太子殿下の婚約者になってしまうのだ...。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
奇跡に祝福を
善奈美
BL
家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。
※不定期更新になります。
あなたの家族にしてください
秋月真鳥
BL
ヒート事故で番ってしまったサイモンとティエリー。
情報部所属のサイモン・ジュネはアルファで、優秀な警察官だ。
闇オークションでオメガが売りに出されるという情報を得たサイモンは、チームの一員としてオークション会場に潜入捜査に行く。
そこで出会った長身で逞しくも美しいオメガ、ティエリー・クルーゾーのヒートにあてられて、サイモンはティエリーと番ってしまう。
サイモンはオメガのフェロモンに強い体質で、強い抑制剤も服用していたし、緊急用の抑制剤も打っていた。
対するティエリーはフェロモンがほとんど感じられないくらいフェロモンの薄いオメガだった。
それなのに、なぜ。
番にしてしまった責任を取ってサイモンはティエリーと結婚する。
一緒に過ごすうちにサイモンはティエリーの物静かで寂しげな様子に惹かれて愛してしまう。
ティエリーの方も誠実で優しいサイモンを愛してしまう。しかし、サイモンは責任感だけで自分と結婚したとティエリーは思い込んで苦悩する。
すれ違う運命の番が家族になるまでの海外ドラマ風オメガバースBLストーリー。
※奇数話が攻め視点で、偶数話が受け視点です。
※エブリスタ、ムーンライトノベルズ、ネオページにも掲載しています。
籠中の鳥と陽色の君〜訳アリ王子の婚約お試し期間〜
むらくも
BL
婚約話から逃げ続けていた氷の国のα王子グラキエは、成年を機に年貢の納め時を迎えていた。
令嬢から逃げたい一心で失言の常習犯が選んだのは、太陽の国のΩ王子ラズリウ。
同性ならば互いに別行動が可能だろうと見込んでの事だったけれど、どうにもそうはいかなくて……?
本当はもっと、近くに居たい。
自由で居たいα王子×従順に振る舞うΩ王子の両片想いBL。
籠中の鳥と陽の差す国〜訳アリ王子の受難〜
むらくも
BL
氷の国アルブレアの第三王子グラキエは、太陽の国ネヴァルストの第五王子ラズリウの婚約者。
長い冬が明け、いよいよ二人はラズリウの祖国へ婚約の報告に向かう事になった。
初めて国外へ出るグラキエのテンションは最高潮。
しかし見知らぬ男に目をつけられ、不覚にも誘拐されてしまう。
そこに婚約者を探し回っていたラズリウが飛び込んできて──
……王への謁見どころじゃないんだが?
君は、必ず守るから。
無防備なおのぼりα王子×婚約者が心配なΩ王子の
ゆるあまオメガバース&ファンタジーBL
※「籠中の鳥と陽色の君〜訳アリ王子の婚約お試し期間〜」の続きのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる