君のすべては僕のもの

ぽんち。

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第2章(高一冬~)

3:明け透けの悪意

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 ※こちらの回、Ωに対する態度がかなり酷めになっております。苦手な方はすみません。











会場に戻ってからは日下部や本庄にからかわれたが、僕は無視をしつつ食事をしていた。
 しばらくたち、秦同たちは四家の特別席の方に用があるそうで向かっていったその瞬間だった。


「あの子、四家の方たちといたわね」

「あの首輪…まさかΩ?」

「なんでΩがここに?」

「立場が理解出来てないのかしら」

「四家にΩがいるとは聞いたことがないから、
どこかのネズミに違いないわ」

「こんなところにまで紛れ込んでくるなんて」


   『  汚  ら  し  い  』


 秦同たちがいなくなった瞬間、周りから聞こえるΩに対する声。ここまでの敵意を感じたのは、これで二回目だ。


(いじめられた時もそうだった)

ドロドロとした感情に支配されそうになる。
なんでΩに生まれただけで、こんな扱いを受けなきゃならないんだ。


「ちょっとそこのΩ、振り返りなさい。」


僕は壁側を向いていたので、振り返るよう命令された。

(こんなところで揉め事を起こして、秦同たちに迷惑をかける訳にはいかない。)
そして、呼吸を整え、振り返り目を開いた。
すると一気に会場がざわめき始めた。


「まさかあのネズミ…~持ちだったなんて」

「だから秦同様たちは一緒にいるのかしら?」

「ただのΩだと思っていたら、実在していたのね」


 ヒソヒソ声が聞こえてくる。実在?持ち?なんの話しだろうか。不思議に思っているといきなり頭から一気に冷たくなるのも感じた。


「あら?ごめんなさい。手が滑ってしまったわ」

「彩花様?お気をつけにならないと大変ですわ。運良く当たったのが小汚いΩだったから良かったものの。」


くすくすくす。周りから聞こえる笑い声。
僕は、水をかけてきた女性を睨んだ。


「あなたのその反抗的な態度気に入らないわ
その瞳もね?」


なんでこんなこと言われなきゃならないんだ。
この人に迷惑なんてかけてないじゃないか。


「ーーーーっすか」

「はぁ?」

「僕の瞳の色がなんですか。またまた蒼い瞳で生まれただけなのに。Ωがなんだって言うんですか。誰にも迷惑かけてないじゃないですか。」


 僕は静かに、涙を堪えながら怒りを抑えていた。


「あなたね?Ωがいるだけで周囲の人が迷惑しているの?それの自覚がなくて?才能もない、見目が麗しく人を誑かすしか脳のない人種。秦同様たちは迷惑しているに違いないわ。」


「そんなことありません。3人は僕の友人で」


「ぷふっ。友人?皆さん聞きまして?友人ですって!あはははっ!」


その声を皮切りに、令嬢たちと貴族たちが笑い始めた。


「あなた、可哀想に」

「……?」

「あなた騙されたわね。四家のαたちに」

「!?」

「あの人たちはよくΩを助けているのよ。それを自分を選んでもらったって勘違いしたΩがよく紛れ込んでくるんだけどね?あなた今日は日下部様と一緒にいたから、まだ捨てられてないだけなのね。可哀想に。」

「そ、そんな、訳ない。」

「あの方たちは、本当におめでとうを弄ぶのがお上手なこと。ふ~ん、あら?もしかしたら、あなたは蒼い瞳もちΩだから、ペット候補に考えていらっしゃるのかもしれないわ!」

「ぺ、ペット?」

「庶民は知らないわね?私たちのような上流の貴族はΩのペットを持っているのよ?番のね?あなたはΩの中でも一際美しいし、蒼い瞳を持っているから、秦同様たちのペット候補かもしれないわ」


 身体が震える。そんな訳ないそう信じていてもこの会場のΩに対する扱い、貴族のルール、怖い。恐怖でこんなに身体が震えるのは生まれて初めてだった。


「あら?可哀想に震えちゃって…。ご気分でも優れないのでは?」

「彩花様家まで送ってさしあげてはいかがでしょう?」

「………。そうね、わたくしが家まで「いえ!小汚いΩにそこまで気を使っていただく訳にはまいりませんので、1人で帰ります。」

「やっと自分の立場を理解出来たみたいね?嬉しくってよ?秦同様達には、私の方から伝えてあげます。さっさとお帰り?」

「………。よろしくお願い致します。それでは失礼致します。」


そう言い放ち、礼をして僕は会場を出た。


 忘れていた。いくら秦同たちが優しくしてくれるからって、あいつらはαで四家だったのに。
無我夢中で家まで走り、ベットにダイブした。


秦同にメール入れとかなきゃ…そう思い携帯に手を伸ばそうとしたが、疲れと眠気が一気に襲ってきて、そのまま眠りについてしまった。



 その直後、携帯に着信音が止まることなく、なっていた。いつもなら起きるくらい鳴っているその音に、楪は朝まで気づくことは無かった。








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