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夢の中の少年、アレクに唇を奪われました
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シャワーを浴び終え、ドライヤーを使用しながら、昨日の声について考える。
やっぱり疲れからくる幻聴なのか?それとも白昼夢でも見ていたのだろうか?
結局結論は出ずに、もやもやしたまま1日を終えたのであった。
────────
少年と出会ってから4日後。
その日もいつものように過ごし、眠りにつていたのだけど。
なんと少年が夢の中に出てきたんだ。
白い空間で立ち尽くしていた私に、背後から美麗!と呼ぶ知らない男の声がした。
なんだと思い、声につられて振り返ってみたら、蜂蜜色の髪に、菫色の瞳をした少年が立っていた。
だが4日前に会ったときよりも背が伸びていて、声変わりもしていたんだ。
数日会っていないだけなのに、10歳の少年が声変わりするほど成長してしまうなんて……
なんで私は夢の中で、少年をわざわざ成長させたのだろうか。
とても気になりつつも、少し離れて立っている少年と話をすることにした。
「あれ?声変わりしてるじゃないか。それに見た目も変わってる」
少しラグでもあるのか?少し遅れて返事が返ってきた。
「あぁ。あれから4年が経ったからな。久しいな。美麗」
4年!?
「え?まだ4日しか経ってないだろ」
「どうやらこちらの世界と、美麗のいる世界では時間の流れが違うみたいだな」
「へぇ。不思議だな」
そう言いつつも内心は、良くできた夢だなと感心する。
「まぁ元気そうで良かったよ。夢の中に会いに来てくれてありがとな。少年」
「いや、礼を言うのは俺の方だ。美麗のおかげで俺は、死なずに生きているんだからな」
「そんな大げさな」
「本当だぞ。美麗には感謝してもしきれない」
そう言いながら少年は、段々と私のところへと近づいてくる。
「おい!近すぎないか。少年」
「別に良いじゃないか」
なぜだか近づいてきた少年には、先ほど感じたラグはない。
すぐ目の前に立つ少年。背が伸びているなとは思ったが、4年の月日が流れたからか、今では156cmある私の身長よりも背が高くなっている。
成長期?なのかもしれない。
二人の視線が絡み合う。少年の綺麗な菫色の瞳から、なぜだかそらすことが出来なかった。
吸い込まれそうな瞳の色に私は見惚れてしまったんだろう。
ん?少年の顔がゆっくりと近づいてきているような……
「ちょっ少年!ちょっと待った!!」
私は思わず両手で少年の体を押し返す。
不満そうな少年は、私を睨みつけてきた。
「なんだ?」
「なんだじゃないよ。いきなり顔を近づけてくるなんて」
「別に良いじゃないか」
「良くない!犯罪じゃないか」
「犯罪?」
「私は今年19になった社会人だけど。少年は未成年じゃないか」
「俺は今日15になった。我が国では15で、王族は成人となるから問題はないはずだ」
「そ、そういうものなのか?」
「あぁ」
「じゃあいいか……」
「いいのか」
「まぁ夢だし」
私は考える事をやめた。
外国では挨拶で頬とかにキスをしたりするところもあるから、たぶん少年の国もそうなんだろう。
でも夢の中とはいえ、恥ずかしい。話を反らせたらいいんだけど。
「少年って、今日はどんな用件で私の夢の中にきたんだ?」
「ああ。魔力がもう少しで安定しそうだから、近々現実世界で会えるようになると言いに来たんだ」
「まじか!」
「まじだ。近いうちに会いに来る。美麗。俺のことは少年じゃなく、アレクと呼んでくれ」
急に物凄く真剣な表情をする少年に、確かにずっと少年呼びなのも失礼だよなと思った私は同意する。
「わかった。アレクだな」
「もう時間のようだな。それじゃまたな、美麗。現実で会うのを楽しみにしている」
少し寂しげなアレク。
「私も楽しみにしてるよ。じゃあ…」
じゃあまたと言おうとした私の声はアレクによって遮られた。
抱き寄せられ、顎を掴まれ、上向きにされ……唇を奪われていたんだ。
目を見開く私の目の前には目を瞑った、麗しい顔立ちのアレクがいた。
そしてそのまま少しずつ意識が遠のいていく。
初めてのキスを。人生初めての口づけをまさか夢の中の15歳に奪われるとは…
最後に見たのは、満足気な表情を浮かべたアレクの姿だった。
私が飛び起きたのは言うまでもないだろう。
やっぱり疲れからくる幻聴なのか?それとも白昼夢でも見ていたのだろうか?
結局結論は出ずに、もやもやしたまま1日を終えたのであった。
────────
少年と出会ってから4日後。
その日もいつものように過ごし、眠りにつていたのだけど。
なんと少年が夢の中に出てきたんだ。
白い空間で立ち尽くしていた私に、背後から美麗!と呼ぶ知らない男の声がした。
なんだと思い、声につられて振り返ってみたら、蜂蜜色の髪に、菫色の瞳をした少年が立っていた。
だが4日前に会ったときよりも背が伸びていて、声変わりもしていたんだ。
数日会っていないだけなのに、10歳の少年が声変わりするほど成長してしまうなんて……
なんで私は夢の中で、少年をわざわざ成長させたのだろうか。
とても気になりつつも、少し離れて立っている少年と話をすることにした。
「あれ?声変わりしてるじゃないか。それに見た目も変わってる」
少しラグでもあるのか?少し遅れて返事が返ってきた。
「あぁ。あれから4年が経ったからな。久しいな。美麗」
4年!?
「え?まだ4日しか経ってないだろ」
「どうやらこちらの世界と、美麗のいる世界では時間の流れが違うみたいだな」
「へぇ。不思議だな」
そう言いつつも内心は、良くできた夢だなと感心する。
「まぁ元気そうで良かったよ。夢の中に会いに来てくれてありがとな。少年」
「いや、礼を言うのは俺の方だ。美麗のおかげで俺は、死なずに生きているんだからな」
「そんな大げさな」
「本当だぞ。美麗には感謝してもしきれない」
そう言いながら少年は、段々と私のところへと近づいてくる。
「おい!近すぎないか。少年」
「別に良いじゃないか」
なぜだか近づいてきた少年には、先ほど感じたラグはない。
すぐ目の前に立つ少年。背が伸びているなとは思ったが、4年の月日が流れたからか、今では156cmある私の身長よりも背が高くなっている。
成長期?なのかもしれない。
二人の視線が絡み合う。少年の綺麗な菫色の瞳から、なぜだかそらすことが出来なかった。
吸い込まれそうな瞳の色に私は見惚れてしまったんだろう。
ん?少年の顔がゆっくりと近づいてきているような……
「ちょっ少年!ちょっと待った!!」
私は思わず両手で少年の体を押し返す。
不満そうな少年は、私を睨みつけてきた。
「なんだ?」
「なんだじゃないよ。いきなり顔を近づけてくるなんて」
「別に良いじゃないか」
「良くない!犯罪じゃないか」
「犯罪?」
「私は今年19になった社会人だけど。少年は未成年じゃないか」
「俺は今日15になった。我が国では15で、王族は成人となるから問題はないはずだ」
「そ、そういうものなのか?」
「あぁ」
「じゃあいいか……」
「いいのか」
「まぁ夢だし」
私は考える事をやめた。
外国では挨拶で頬とかにキスをしたりするところもあるから、たぶん少年の国もそうなんだろう。
でも夢の中とはいえ、恥ずかしい。話を反らせたらいいんだけど。
「少年って、今日はどんな用件で私の夢の中にきたんだ?」
「ああ。魔力がもう少しで安定しそうだから、近々現実世界で会えるようになると言いに来たんだ」
「まじか!」
「まじだ。近いうちに会いに来る。美麗。俺のことは少年じゃなく、アレクと呼んでくれ」
急に物凄く真剣な表情をする少年に、確かにずっと少年呼びなのも失礼だよなと思った私は同意する。
「わかった。アレクだな」
「もう時間のようだな。それじゃまたな、美麗。現実で会うのを楽しみにしている」
少し寂しげなアレク。
「私も楽しみにしてるよ。じゃあ…」
じゃあまたと言おうとした私の声はアレクによって遮られた。
抱き寄せられ、顎を掴まれ、上向きにされ……唇を奪われていたんだ。
目を見開く私の目の前には目を瞑った、麗しい顔立ちのアレクがいた。
そしてそのまま少しずつ意識が遠のいていく。
初めてのキスを。人生初めての口づけをまさか夢の中の15歳に奪われるとは…
最後に見たのは、満足気な表情を浮かべたアレクの姿だった。
私が飛び起きたのは言うまでもないだろう。
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