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五章 ローレル迷宮編
巴猛りて戦は進む
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「たった、三人の侵入者に!!」
「何故こうも押される!?」
「ってか治癒班何やってんの!? ヒール連打がお仕事でしょうが!? ハイヒール、マナヒール、キュアヒールにサークルヒール! とにかく切らさんでよろしくっすよ!」
「全開でやっとるわ! むしろお前ら回復してんのに寝てんじゃないわよ! 体力は十分、状態異常も解消してるはずなのに!!」
「防御スキルも強化も万全なのに、なんて攻撃力だよあいつら!!」
ピクニックローズガーデンがかき回されている。
彼らが最も得意とする防衛戦、それもホームという一番の拠点においてだ。
その上相手は既に分断され、最も戦力が低い筈の、たったの三人を担当し仕留めるだけの破格の勝利条件だというのに。
うん、どうやら上手くいってるな。
ベレンもホクトも、それにシイも上々の滑り出しだ。
……。
久々に味わう懐かしいコーヒーの風味に混ざる微かな梅コブ茶のかほり。
この世界でもコーヒーはあるけれど、コレは何というか懐かしい。
そう、缶コーヒーのブラックっぽい味。
インスタント系?
なんてどうでもいい事を考えつつ、見せてもらっている戦況を確認して僕は自分の口元に笑みが浮かぶのがわかった。
「ノマ君もリョーマさんも浮足立ってるー。シバッフは前出過ぎ、クレミュは何してるの回復間に合ってない! アニキ君は相変わらずだし、もう!」
対面する緋綱さんは駄目出しをしながら、僕じゃなく戦況を上から眺める映像を見つめている。
何もない中空に映し出される、お金持ちご用達58Vはありそうな大きなテレビ的映像。
さて、と一口お茶を啜った彼女が最初にやったのがこれの投影。
何かしてくるならと僕も彼女の魔術の発動に合わせてブリッドを発動させたんだけど、何故か不発。
幾つか水面下でこっそり試してるけど、魔術がどうも発動しないっぽい。
魔力体は発現しているんだけど……賢人の能力ってのはどうも、わからないのが多い。
ノマとかリョーマとかはピクニック傭兵団の主要メンツの名前かな。
誰の事をどう突っ込んでいるのかまではこっちには流石にわからない。わかってれば意外と面白そうなだけに残念でもある。
一応界で確認したけど、これは間違いなく生中継。
僕は緋綱さんに攻撃できない現状のまま、彼女が用意した映像で一緒に観戦してるわけだ。
ちなみに映されてないだけで、別の場所で巴と澪もちゃんと戦ってる。
巴はハクモクレンさんとギネビアさんのコンビと、澪は六夜さんと。
すこーし予定と違ってるけど、こちらの仕込みはしっかりと効いてる。
ベレン達がこの調子なら今のところ心配事はなし。
なら僕としては時間稼ぎが一番したい訳で。
「っ! アゲハちゃんの修羅剛拳を正面から!? 忍者なのは外見だけなの、あのアルケーの大男!」
「いやー、彼はあれでちゃんとトリッキーにも動きますよ? ほら」
極めて短い時間で拳一つに凶悪に威力を凝縮した、一撃必殺の名に相応しい突きがシイを狙っていた。
森鬼でも小柄な彼女は見かけに反してパワーファイターではあるが、流石にあれをまともに受けるとまずかったと思う。
でもシイは繰り出された拳の軌跡を跳躍で空に逃れてかわし、代わりにそこに身を滑り込ませたのはアルケーのホクト。
既に攻撃はシイに届かないけど、追撃への警戒を含めてホクトがそれを潰しておく事にしたんだろう。
硬く守られた肘を拳に合わせて女格闘家、アゲハというらしい彼女の攻撃を受けた。
普通に考えたらアゲハって人、かなり痛いと思うんだけど怯んだ様子も見せずにホクトに回転しながらの連打を浴びせにかかっている。
おっそろしい精神力だな。
もちろん耐久力もとんでもない。
「え?」
緋綱さんが僕の言葉に反応してこちらを見る。
ホクトがアゲハの連撃を受け、流し、避けつつ上に“逃がした”シイの動きをコントロールする。
糸だ。
シイの跳躍を助ける形でホクトは彼女に強靭な糸をひっつけていた。
空に逃げたシイが、即座に降り注ぐ追撃をあり得ない動きで回避しながら得物である金棒を振りかぶる。
直後に急降下、力任せの一撃が人が集まった一角に叩き込まれた。
ホクトとシイ、息の合ったコンビネーションだ。
次々に武具を出しながら、迫ってくる速度重視の軽装戦士をいなしては潰すベレンも中々素晴らしい。
……いや、軽装戦士ってかあれはもう手数と火力に特化したタイマン上等仕様のアサシンズな気がするな。
遊撃って言葉がピッタリ。
後衛からの援護も絶妙だ。
今のベレンはエルドワ秘蔵の武器を惜しげもなく使う事で矢どころか投擲武器の殆どを無効化してる上、恐らく防御よりも回避に心血を注いできたであろう相手の遊撃担当に、出鱈目な命中補正を加えて必中に近い鈍器アタックを続けている。
物凄くベレンにとって相性がいい展開だ。
武器をとっかえひっかえして戦況を有利にしていく。ドワーフの彼ならではの展開、かもしれない。
それにしても遠距離武器の無効化と必中。
どっちも……僕を見ててエルダードワーフが力を入れてきた分野だ。
つまりあの手の武具はまだまだベレンの指輪蔵にある。
相手には色々申し訳ないながら、僕からすれば安心して見ていられる。
「はぁー……んー……強い。にしても、おかしいな。いくら何でも回復が遅すぎる。まさか何か手を打たれた? でも回復魔術を阻害するなんて自分達の首さえ絞めかねない危険な方法を選ぶとは……」
「……」
うん、そう考えてくれるならまだ大丈夫か。
僕に直接聞いてくるでもなく、スポーツの試合を観戦してる客という雰囲気で一人呟きながら戦いの様子を見ている緋綱さん。
回復魔術を使えなくしたら打ちどころによっては死者を出す可能性が高い。
それじゃ色々と本末転倒だ。僕らの望みにも反する。
ってか、おかしいのは僕の現状もだ。
これまで魔術を封じられた事はない。
思い返せば状態異常自体無縁の異世界ライフだった。
でも今、確かに僕は目の前の女性に魔術を放てない。術が発動しないんだ。
魔力体は普通に操作できるし、一応界も使えるのに。
なんか、気持ち悪い。どうしたもんかね。
巴と澪も依然戦闘継続中だ。
遊んでいるのか、相手が本当に強敵なのか、そこまではわからない。
これだって、本当ならわかるはずなのに。
念話も通じない。
もしかしたら巴と澪からは僕を感じられない状態かもしれない。
時間稼ぎをしたいのは僕らだし、今現在その目的は順調に達成できている訳だけど。
やっぱり気持ち悪い。
「えー、緋綱さん、ちょっといいですかね」
ダメ元で直球を放ってみる事にする。
「なに、真君?」
「さっきからどうも、魔術が発動しないんですよね。何かしてます?」
少なくとも、魔術じゃない何か。
僕の界と同様に、日本から来た人だけが持っている特殊なスキルによるものだろう。
ただこのままだと、もう肉弾戦を試みるくらいしか僕の中の選択肢がない。
案外それも正解のような気もするんだけどね。
これまで散々界に頼ってきてなんだけど、バレない能力って本当に使える。
……だからこそ、やられる側はどれだけきついのかってのが、今身に染みてる。
「ええ。高嶺君が私に君を抑えさせるキャスティングをしたって事はやるべき事も一つだからね。君は今、私の作ったセイフティゾーンの中にいるの。君相手に魔術勝負じゃ分が悪すぎるもの」
高嶺、か。
さっきの声の主。
この迷宮の管理人だかデザイナーだかの事で間違いないだろう。
「セイフティゾーン、ですか?」
「そ。魔術だろうと物理だろうと、他者へのあらゆる攻撃を許さない領域の構築。それが私のとっておき」
「……めっちゃずるい能力な気がするんですけど」
無敵空間かよ。
強制的に引き分けにします的な?
鬼か。
「一見ね。実のところ制限も多いから使いどころは難しいの。たまたま今回は上手くハマってくれてる感じかな。そういう訳だから、一緒に観戦でもしながらのんびりしてて。お!? ビアにハク、仕掛けるねぇ!」
「っ」
ビア、ハク……。
巴んとこか!
いや、待て。そっちは余程大丈夫だ。
それよりも。
制限も多い?
使いどころが難しい?
攻撃を許さない領域の構築とだけ聞くと正直とんでもない優良スキルだ。
でも穴はあるらしい。
界でその内容に集中して調査してみるか……。
とにかく! このままってのは、論外だ。
新たに部屋に現れた巴を映す映像を眺めるふりをしながら、僕はセイフティゾーンとやらの全貌を掴むべく調査を始めた。
皆にだけ負担をかけてしまっているってのは……面白くないんだ。
絶対に何とかするから、もう少しだけ、みんな、頼むよ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ぐ、ぬぅっ!!」
「踊弓七星! かーらーの! 甲乙鏡射双閃!!」
巴が間を詰めようと足に力を込め体を微かに前傾させた瞬間。
大型弓を背にしたハクモクレンが軽やかな舞と同時に右手の鞭を閃かせる。
彼女の前方の中空に一瞬の内に出現した七つの矢が鞭に弾かれ、巴の正中線に沿って縦一直線に撃ち込まれていった。
たまらず太刀と障壁の展開を併用して凄まじい速度の矢を斬り払い、受ける巴。
何度か受けたこの踊り子の矢は、速く重く、そして鋭い。
真に次ぐ射撃スキル、巴は彼女にとっての最上級の位置づけをハクモクレンの弓技に与えていた。
冒険者の使うスキルを正直侮っていた巴だが、ハクモクレンの繰り出すスキルも彼女自身の弓矢の技も到底侮れるものではない。威力も連携も一線を画す一級品だった。
「ちっ、次は弓か、まったく器用な奴じゃのう!!」
間合いはそのまま、そして七連撃を防いだ事で生まれる巴が動けない僅かばかりの時間。
既にハクモクレンは背にあった筈の弓を構え、放っていた。
だが前方から矢は来ない。
巴が目を見開いて動くまで、ほんの一秒もなかっただろう。
それでも素早い対応、とは言えなかった。
背後から迫る重い一矢。
即応して展開した障壁は貫かれ、内心で舌打ちをしながら巴は空いた左手で脇差を抜いて迫る矢を斬り落とす。
「なんじゃと!? うっ!」
驚異的な身体能力と反射が為せる迎撃だった。
だというのに、一矢目の迎撃を合図にしたかのように同じ軌道でさっきまでは確かに存在しなかった二矢目が巴に迫る。
最早対応など出来ようもない。
太刀を手にした巴の右の二の腕に矢が突き刺さった。
同時に襲い掛かる石化と衰弱をもたらす魔力。
一呼吸遅れて巴はその二つを気合だけで吹き飛ばした。
「やってくれお――貴様、いつ――!!」
「如何なる強者でも、油断は禁物といいますよ!! 終極回転、聖光乱閃!!」
触れたら光の塵にされそうな凶悪な魔力を両の拳に宿したプリースト、ギネビアが巴との間合いを自ら超至近距離に詰めて不敵に笑う。
これはもう刀の間合いですらない。
ではなにか? 拳だ。
拳の間合いだった。
完全に意表を突かれた巴は、ギネビアにとって必殺の踏み込みを許してしまった。
(まずい。この感覚、これは若のっ!?)
僧服に身を包んだ女に踏み込まれた瞬間、巴は背に生まれた悪寒に戦慄した。
懐かしくも恐ろしい、主との最初の邂逅がその時の痛みと共に脳裏に浮かんだのだ。
迫る光の拳。
どこを防ぐか。
閃光を交えた攻撃は視界をも嫌らしく塞いでくる。
巴は咄嗟に顔を庇い、そして……腹部に響く重く鈍い一撃を感じた。
「ぐぅっ! おの、れ、え…!?」
「ただ一撃で終わりなら、終極回転などとはつきませんよ!」
「ぬぅ……っ! ぐ……っ、……」
一撃を加えた勢いを活かし、遠心力をも味方につけた縦横無尽の殴打の嵐が巴を呑み込んだ。
光の炸裂と鈍器を全力で叩き込む音が一際激しくなった後に止んだ時、巴は大きく後方に吹き飛び仰向けになって大地に伏した。
ギネビアは深い呼吸を一つ終えると、相棒の元に戻っていく。
「ん、おつかれビア」
「久々に乱舞した。あぁ、プリーストにあるまじき姿を晒しちゃったわ……」
「もう兼モンクって事でいいんじゃないの? やっぱりビアの聖光十字系スキルって普通と色々違う気がするし」
「なんでよ!? 祈りで聖属性の力を高め敵を退ける攻撃を放つ。合ってるじゃないの!」
「字面だけは、まあ辛うじてね。文字の不思議、言葉の不思議って奴よね」
「言っとくけど、まだ全然終わりじゃないからね!? 気を緩めないでよ?」
不満げな表情でハクモクレンに戦況を確認するギネビア。
「わかってる。これがただの上位竜なら今のフルヒットで残るは大寄せってとこだけど。相手は日本人と契約した、上位竜を素体にしたアンノウン。せめてノーダメージじゃなけりゃ御の字ってやつよ。本当、しんどいわコレ……」
「ええ」
二人はスキルと魔術をそれぞれ待機させ、伏した巴に警戒の意思を向け続ける。
「……いやいや、久しくなかった感覚じゃよ。流したくもない血を流し、普段ならば拍手の一つもくれてやりたい見事なスキルと魔術の連携に神経を逆撫でされる。ああ、そうじゃなあ。これが……敵と戦う、という感覚じゃったなあ」
『……』
巴が口を開き、膝立ちになり、次いで服の土を払い、立ち上がった。
倒れた時に手放した脇差を拾いあげ、丁寧に鞘に納め、手放す事のなかった太刀の背で肩を何度か軽く叩く。
二の腕を貫いている矢を左手で掴むと、それは即座に霧になって消え去った。
同時に傷口も塞がっている。
口内に溜まった血を勢いよく吐き出すと、相当な殴打を浴びた筈の身体には痣の一つも残っていなかった。
そして代わりに、これまでとは明らかに違う特徴が一つ、巴の顔に現れている。
瞳だ。
爬虫類に似て、だが絶対にそれとは違う圧倒的な力を放つ眼。
幻獣の王者だけが持つ、いや更に限られたほんの一握りだけが宿すのだろう絶対の高貴と絶望を周囲に放っていた。
「うわ、竜眼。ようやく戦闘モードですか、常時咆哮か、それ以上だわね」
ハクモクレンがその目が顕現した効果を分析する。
口調程の余裕は彼女の表情にはない。
「つまり、あれ? フ〇ーザ様的に変身しましたってとこ?」
「……ポッドから降りた位だったりして」
「だったら、正攻法は諦めますか。ここからは騙し合いと駆け引きのお時間でどうでしょう、ハク」
「さんせー」
ギネビアとハクが額を伝う冷や汗を日本人ならではの軽口で吹き飛ばし、唾液を喉奥へと飲み下す。
「認めるぞ」
『?』
「ハクモクレンにギネビア、お主らの力を。強者と認める。驕りの上で儂の前に立った愚者ではなく、儂と相対するに相応しき経験と力を備える者であると」
『……』
巴の声音が静かで、冷たく、凍てついたものへと変わっていく。
内容が相手を褒めているのに、二人の耳に届くその声は尋常ではない重圧を伴っていた。
「若が望まぬ血を流した」
半身の構えでありながら、刀を構えるでもなく無造作に持っている。
これまで彼女が戦いに用いてきた剣士としての構えとは明らかに違う。
「更なる力を与えられた証に授かった銀の髪を地にこすりつけ、汚した」
空いている手で髪に触れると、ぱらぱらと砂が落ちる。
今の巴は真から力を与えられてブーストされた状態。
髪色が青から銀へと変じているのがその証だ。
「ふふ、まったく。少しでも油断すると万全ではないこの身ですら万能感で全身を満たされる。もう少し慣れておかんと持て余す代物じゃの、これは。さりとて驕ってこれとは、まったくもって情けないわ」
僅かに主への苦情混じりの苦笑を洩らし、だが一瞬でその感情を吹き飛ばし巴はその目を前方で油断なく構える彼女の敵へと向けた。
怒りとともに。
「だがそれでも! 地の利をすべてくれてやっても! いくらこちらの求める勝ちが薄氷の上を滑る一粒の輝石であったとしても! この無様は許せん!」
「この怒りは多分に儂自身へのものではあるがの!! 敵であるお主らに、多少は報いてもらっても構わんよなぁ!!」
続け様に発される言葉とともに叩きつける様に放たれる魔力。
瞬時に紡がれる数種類の魔術、永い経験を持つ二人の冒険者をして未知の力の発動。
巴は己の不利を口にしたけれど、それはギネビアとハクにも言える事だ。
冒険者にとって、初見の、明らかに強い事だけはわかる相手を決して逃げずに戦わなくてはならないというのは死ねといわれているのとあまり変わらない無理難題だ。
本来生きて情報と収穫を持ち帰る事こそが冒険者の仕事なのだから。
どんな有利をもらっても戦いを避けるべき存在はいる。
例えば上位竜を遥かに凌ぐとわかっている未知の存在、とか。
「……ふぅーっ。ここからはがっつり守ってカウンター狙い――」
「で、持久戦上等ね。わかってるわよハク。支援は任せて。火力と撹乱はお願いね」
「ふっ阿吽の呼吸ですな。ならば是非もなし。これ切り抜けて飲む今日のお酒はさぞかし美味しいよーっと!!」
ギネビアとハクが渾身の覚悟で臨戦態勢をとった。
竜の咆哮に勝る程の圧を受けながら、それでも構えられる。
二人の冒険者としての高い実力を窺わせる。
「では、いざ――」
巴が刀の切っ先に纏わせた青く淡い光を二人に向け呟く。
ハクモクレンが鞭を、ギネビアはグローブを装備して鋭い視線を巴と交わした。
巴が不敵に笑い、ハクとギネビアが息ぴったりに頷き合う。
『勝負!!』
両者から気迫とともに再びの開戦の言葉が吐かれ魔術とスキルが一気に放出されていく。
決着も近い、そんな気配がひしひしと周囲に伝わる光景だった。
そしてその頃。
もう一人の真の従者と、暗殺者の間でもその激突に終わりが訪れようとしていた。
「何故こうも押される!?」
「ってか治癒班何やってんの!? ヒール連打がお仕事でしょうが!? ハイヒール、マナヒール、キュアヒールにサークルヒール! とにかく切らさんでよろしくっすよ!」
「全開でやっとるわ! むしろお前ら回復してんのに寝てんじゃないわよ! 体力は十分、状態異常も解消してるはずなのに!!」
「防御スキルも強化も万全なのに、なんて攻撃力だよあいつら!!」
ピクニックローズガーデンがかき回されている。
彼らが最も得意とする防衛戦、それもホームという一番の拠点においてだ。
その上相手は既に分断され、最も戦力が低い筈の、たったの三人を担当し仕留めるだけの破格の勝利条件だというのに。
うん、どうやら上手くいってるな。
ベレンもホクトも、それにシイも上々の滑り出しだ。
……。
久々に味わう懐かしいコーヒーの風味に混ざる微かな梅コブ茶のかほり。
この世界でもコーヒーはあるけれど、コレは何というか懐かしい。
そう、缶コーヒーのブラックっぽい味。
インスタント系?
なんてどうでもいい事を考えつつ、見せてもらっている戦況を確認して僕は自分の口元に笑みが浮かぶのがわかった。
「ノマ君もリョーマさんも浮足立ってるー。シバッフは前出過ぎ、クレミュは何してるの回復間に合ってない! アニキ君は相変わらずだし、もう!」
対面する緋綱さんは駄目出しをしながら、僕じゃなく戦況を上から眺める映像を見つめている。
何もない中空に映し出される、お金持ちご用達58Vはありそうな大きなテレビ的映像。
さて、と一口お茶を啜った彼女が最初にやったのがこれの投影。
何かしてくるならと僕も彼女の魔術の発動に合わせてブリッドを発動させたんだけど、何故か不発。
幾つか水面下でこっそり試してるけど、魔術がどうも発動しないっぽい。
魔力体は発現しているんだけど……賢人の能力ってのはどうも、わからないのが多い。
ノマとかリョーマとかはピクニック傭兵団の主要メンツの名前かな。
誰の事をどう突っ込んでいるのかまではこっちには流石にわからない。わかってれば意外と面白そうなだけに残念でもある。
一応界で確認したけど、これは間違いなく生中継。
僕は緋綱さんに攻撃できない現状のまま、彼女が用意した映像で一緒に観戦してるわけだ。
ちなみに映されてないだけで、別の場所で巴と澪もちゃんと戦ってる。
巴はハクモクレンさんとギネビアさんのコンビと、澪は六夜さんと。
すこーし予定と違ってるけど、こちらの仕込みはしっかりと効いてる。
ベレン達がこの調子なら今のところ心配事はなし。
なら僕としては時間稼ぎが一番したい訳で。
「っ! アゲハちゃんの修羅剛拳を正面から!? 忍者なのは外見だけなの、あのアルケーの大男!」
「いやー、彼はあれでちゃんとトリッキーにも動きますよ? ほら」
極めて短い時間で拳一つに凶悪に威力を凝縮した、一撃必殺の名に相応しい突きがシイを狙っていた。
森鬼でも小柄な彼女は見かけに反してパワーファイターではあるが、流石にあれをまともに受けるとまずかったと思う。
でもシイは繰り出された拳の軌跡を跳躍で空に逃れてかわし、代わりにそこに身を滑り込ませたのはアルケーのホクト。
既に攻撃はシイに届かないけど、追撃への警戒を含めてホクトがそれを潰しておく事にしたんだろう。
硬く守られた肘を拳に合わせて女格闘家、アゲハというらしい彼女の攻撃を受けた。
普通に考えたらアゲハって人、かなり痛いと思うんだけど怯んだ様子も見せずにホクトに回転しながらの連打を浴びせにかかっている。
おっそろしい精神力だな。
もちろん耐久力もとんでもない。
「え?」
緋綱さんが僕の言葉に反応してこちらを見る。
ホクトがアゲハの連撃を受け、流し、避けつつ上に“逃がした”シイの動きをコントロールする。
糸だ。
シイの跳躍を助ける形でホクトは彼女に強靭な糸をひっつけていた。
空に逃げたシイが、即座に降り注ぐ追撃をあり得ない動きで回避しながら得物である金棒を振りかぶる。
直後に急降下、力任せの一撃が人が集まった一角に叩き込まれた。
ホクトとシイ、息の合ったコンビネーションだ。
次々に武具を出しながら、迫ってくる速度重視の軽装戦士をいなしては潰すベレンも中々素晴らしい。
……いや、軽装戦士ってかあれはもう手数と火力に特化したタイマン上等仕様のアサシンズな気がするな。
遊撃って言葉がピッタリ。
後衛からの援護も絶妙だ。
今のベレンはエルドワ秘蔵の武器を惜しげもなく使う事で矢どころか投擲武器の殆どを無効化してる上、恐らく防御よりも回避に心血を注いできたであろう相手の遊撃担当に、出鱈目な命中補正を加えて必中に近い鈍器アタックを続けている。
物凄くベレンにとって相性がいい展開だ。
武器をとっかえひっかえして戦況を有利にしていく。ドワーフの彼ならではの展開、かもしれない。
それにしても遠距離武器の無効化と必中。
どっちも……僕を見ててエルダードワーフが力を入れてきた分野だ。
つまりあの手の武具はまだまだベレンの指輪蔵にある。
相手には色々申し訳ないながら、僕からすれば安心して見ていられる。
「はぁー……んー……強い。にしても、おかしいな。いくら何でも回復が遅すぎる。まさか何か手を打たれた? でも回復魔術を阻害するなんて自分達の首さえ絞めかねない危険な方法を選ぶとは……」
「……」
うん、そう考えてくれるならまだ大丈夫か。
僕に直接聞いてくるでもなく、スポーツの試合を観戦してる客という雰囲気で一人呟きながら戦いの様子を見ている緋綱さん。
回復魔術を使えなくしたら打ちどころによっては死者を出す可能性が高い。
それじゃ色々と本末転倒だ。僕らの望みにも反する。
ってか、おかしいのは僕の現状もだ。
これまで魔術を封じられた事はない。
思い返せば状態異常自体無縁の異世界ライフだった。
でも今、確かに僕は目の前の女性に魔術を放てない。術が発動しないんだ。
魔力体は普通に操作できるし、一応界も使えるのに。
なんか、気持ち悪い。どうしたもんかね。
巴と澪も依然戦闘継続中だ。
遊んでいるのか、相手が本当に強敵なのか、そこまではわからない。
これだって、本当ならわかるはずなのに。
念話も通じない。
もしかしたら巴と澪からは僕を感じられない状態かもしれない。
時間稼ぎをしたいのは僕らだし、今現在その目的は順調に達成できている訳だけど。
やっぱり気持ち悪い。
「えー、緋綱さん、ちょっといいですかね」
ダメ元で直球を放ってみる事にする。
「なに、真君?」
「さっきからどうも、魔術が発動しないんですよね。何かしてます?」
少なくとも、魔術じゃない何か。
僕の界と同様に、日本から来た人だけが持っている特殊なスキルによるものだろう。
ただこのままだと、もう肉弾戦を試みるくらいしか僕の中の選択肢がない。
案外それも正解のような気もするんだけどね。
これまで散々界に頼ってきてなんだけど、バレない能力って本当に使える。
……だからこそ、やられる側はどれだけきついのかってのが、今身に染みてる。
「ええ。高嶺君が私に君を抑えさせるキャスティングをしたって事はやるべき事も一つだからね。君は今、私の作ったセイフティゾーンの中にいるの。君相手に魔術勝負じゃ分が悪すぎるもの」
高嶺、か。
さっきの声の主。
この迷宮の管理人だかデザイナーだかの事で間違いないだろう。
「セイフティゾーン、ですか?」
「そ。魔術だろうと物理だろうと、他者へのあらゆる攻撃を許さない領域の構築。それが私のとっておき」
「……めっちゃずるい能力な気がするんですけど」
無敵空間かよ。
強制的に引き分けにします的な?
鬼か。
「一見ね。実のところ制限も多いから使いどころは難しいの。たまたま今回は上手くハマってくれてる感じかな。そういう訳だから、一緒に観戦でもしながらのんびりしてて。お!? ビアにハク、仕掛けるねぇ!」
「っ」
ビア、ハク……。
巴んとこか!
いや、待て。そっちは余程大丈夫だ。
それよりも。
制限も多い?
使いどころが難しい?
攻撃を許さない領域の構築とだけ聞くと正直とんでもない優良スキルだ。
でも穴はあるらしい。
界でその内容に集中して調査してみるか……。
とにかく! このままってのは、論外だ。
新たに部屋に現れた巴を映す映像を眺めるふりをしながら、僕はセイフティゾーンとやらの全貌を掴むべく調査を始めた。
皆にだけ負担をかけてしまっているってのは……面白くないんだ。
絶対に何とかするから、もう少しだけ、みんな、頼むよ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ぐ、ぬぅっ!!」
「踊弓七星! かーらーの! 甲乙鏡射双閃!!」
巴が間を詰めようと足に力を込め体を微かに前傾させた瞬間。
大型弓を背にしたハクモクレンが軽やかな舞と同時に右手の鞭を閃かせる。
彼女の前方の中空に一瞬の内に出現した七つの矢が鞭に弾かれ、巴の正中線に沿って縦一直線に撃ち込まれていった。
たまらず太刀と障壁の展開を併用して凄まじい速度の矢を斬り払い、受ける巴。
何度か受けたこの踊り子の矢は、速く重く、そして鋭い。
真に次ぐ射撃スキル、巴は彼女にとっての最上級の位置づけをハクモクレンの弓技に与えていた。
冒険者の使うスキルを正直侮っていた巴だが、ハクモクレンの繰り出すスキルも彼女自身の弓矢の技も到底侮れるものではない。威力も連携も一線を画す一級品だった。
「ちっ、次は弓か、まったく器用な奴じゃのう!!」
間合いはそのまま、そして七連撃を防いだ事で生まれる巴が動けない僅かばかりの時間。
既にハクモクレンは背にあった筈の弓を構え、放っていた。
だが前方から矢は来ない。
巴が目を見開いて動くまで、ほんの一秒もなかっただろう。
それでも素早い対応、とは言えなかった。
背後から迫る重い一矢。
即応して展開した障壁は貫かれ、内心で舌打ちをしながら巴は空いた左手で脇差を抜いて迫る矢を斬り落とす。
「なんじゃと!? うっ!」
驚異的な身体能力と反射が為せる迎撃だった。
だというのに、一矢目の迎撃を合図にしたかのように同じ軌道でさっきまでは確かに存在しなかった二矢目が巴に迫る。
最早対応など出来ようもない。
太刀を手にした巴の右の二の腕に矢が突き刺さった。
同時に襲い掛かる石化と衰弱をもたらす魔力。
一呼吸遅れて巴はその二つを気合だけで吹き飛ばした。
「やってくれお――貴様、いつ――!!」
「如何なる強者でも、油断は禁物といいますよ!! 終極回転、聖光乱閃!!」
触れたら光の塵にされそうな凶悪な魔力を両の拳に宿したプリースト、ギネビアが巴との間合いを自ら超至近距離に詰めて不敵に笑う。
これはもう刀の間合いですらない。
ではなにか? 拳だ。
拳の間合いだった。
完全に意表を突かれた巴は、ギネビアにとって必殺の踏み込みを許してしまった。
(まずい。この感覚、これは若のっ!?)
僧服に身を包んだ女に踏み込まれた瞬間、巴は背に生まれた悪寒に戦慄した。
懐かしくも恐ろしい、主との最初の邂逅がその時の痛みと共に脳裏に浮かんだのだ。
迫る光の拳。
どこを防ぐか。
閃光を交えた攻撃は視界をも嫌らしく塞いでくる。
巴は咄嗟に顔を庇い、そして……腹部に響く重く鈍い一撃を感じた。
「ぐぅっ! おの、れ、え…!?」
「ただ一撃で終わりなら、終極回転などとはつきませんよ!」
「ぬぅ……っ! ぐ……っ、……」
一撃を加えた勢いを活かし、遠心力をも味方につけた縦横無尽の殴打の嵐が巴を呑み込んだ。
光の炸裂と鈍器を全力で叩き込む音が一際激しくなった後に止んだ時、巴は大きく後方に吹き飛び仰向けになって大地に伏した。
ギネビアは深い呼吸を一つ終えると、相棒の元に戻っていく。
「ん、おつかれビア」
「久々に乱舞した。あぁ、プリーストにあるまじき姿を晒しちゃったわ……」
「もう兼モンクって事でいいんじゃないの? やっぱりビアの聖光十字系スキルって普通と色々違う気がするし」
「なんでよ!? 祈りで聖属性の力を高め敵を退ける攻撃を放つ。合ってるじゃないの!」
「字面だけは、まあ辛うじてね。文字の不思議、言葉の不思議って奴よね」
「言っとくけど、まだ全然終わりじゃないからね!? 気を緩めないでよ?」
不満げな表情でハクモクレンに戦況を確認するギネビア。
「わかってる。これがただの上位竜なら今のフルヒットで残るは大寄せってとこだけど。相手は日本人と契約した、上位竜を素体にしたアンノウン。せめてノーダメージじゃなけりゃ御の字ってやつよ。本当、しんどいわコレ……」
「ええ」
二人はスキルと魔術をそれぞれ待機させ、伏した巴に警戒の意思を向け続ける。
「……いやいや、久しくなかった感覚じゃよ。流したくもない血を流し、普段ならば拍手の一つもくれてやりたい見事なスキルと魔術の連携に神経を逆撫でされる。ああ、そうじゃなあ。これが……敵と戦う、という感覚じゃったなあ」
『……』
巴が口を開き、膝立ちになり、次いで服の土を払い、立ち上がった。
倒れた時に手放した脇差を拾いあげ、丁寧に鞘に納め、手放す事のなかった太刀の背で肩を何度か軽く叩く。
二の腕を貫いている矢を左手で掴むと、それは即座に霧になって消え去った。
同時に傷口も塞がっている。
口内に溜まった血を勢いよく吐き出すと、相当な殴打を浴びた筈の身体には痣の一つも残っていなかった。
そして代わりに、これまでとは明らかに違う特徴が一つ、巴の顔に現れている。
瞳だ。
爬虫類に似て、だが絶対にそれとは違う圧倒的な力を放つ眼。
幻獣の王者だけが持つ、いや更に限られたほんの一握りだけが宿すのだろう絶対の高貴と絶望を周囲に放っていた。
「うわ、竜眼。ようやく戦闘モードですか、常時咆哮か、それ以上だわね」
ハクモクレンがその目が顕現した効果を分析する。
口調程の余裕は彼女の表情にはない。
「つまり、あれ? フ〇ーザ様的に変身しましたってとこ?」
「……ポッドから降りた位だったりして」
「だったら、正攻法は諦めますか。ここからは騙し合いと駆け引きのお時間でどうでしょう、ハク」
「さんせー」
ギネビアとハクが額を伝う冷や汗を日本人ならではの軽口で吹き飛ばし、唾液を喉奥へと飲み下す。
「認めるぞ」
『?』
「ハクモクレンにギネビア、お主らの力を。強者と認める。驕りの上で儂の前に立った愚者ではなく、儂と相対するに相応しき経験と力を備える者であると」
『……』
巴の声音が静かで、冷たく、凍てついたものへと変わっていく。
内容が相手を褒めているのに、二人の耳に届くその声は尋常ではない重圧を伴っていた。
「若が望まぬ血を流した」
半身の構えでありながら、刀を構えるでもなく無造作に持っている。
これまで彼女が戦いに用いてきた剣士としての構えとは明らかに違う。
「更なる力を与えられた証に授かった銀の髪を地にこすりつけ、汚した」
空いている手で髪に触れると、ぱらぱらと砂が落ちる。
今の巴は真から力を与えられてブーストされた状態。
髪色が青から銀へと変じているのがその証だ。
「ふふ、まったく。少しでも油断すると万全ではないこの身ですら万能感で全身を満たされる。もう少し慣れておかんと持て余す代物じゃの、これは。さりとて驕ってこれとは、まったくもって情けないわ」
僅かに主への苦情混じりの苦笑を洩らし、だが一瞬でその感情を吹き飛ばし巴はその目を前方で油断なく構える彼女の敵へと向けた。
怒りとともに。
「だがそれでも! 地の利をすべてくれてやっても! いくらこちらの求める勝ちが薄氷の上を滑る一粒の輝石であったとしても! この無様は許せん!」
「この怒りは多分に儂自身へのものではあるがの!! 敵であるお主らに、多少は報いてもらっても構わんよなぁ!!」
続け様に発される言葉とともに叩きつける様に放たれる魔力。
瞬時に紡がれる数種類の魔術、永い経験を持つ二人の冒険者をして未知の力の発動。
巴は己の不利を口にしたけれど、それはギネビアとハクにも言える事だ。
冒険者にとって、初見の、明らかに強い事だけはわかる相手を決して逃げずに戦わなくてはならないというのは死ねといわれているのとあまり変わらない無理難題だ。
本来生きて情報と収穫を持ち帰る事こそが冒険者の仕事なのだから。
どんな有利をもらっても戦いを避けるべき存在はいる。
例えば上位竜を遥かに凌ぐとわかっている未知の存在、とか。
「……ふぅーっ。ここからはがっつり守ってカウンター狙い――」
「で、持久戦上等ね。わかってるわよハク。支援は任せて。火力と撹乱はお願いね」
「ふっ阿吽の呼吸ですな。ならば是非もなし。これ切り抜けて飲む今日のお酒はさぞかし美味しいよーっと!!」
ギネビアとハクが渾身の覚悟で臨戦態勢をとった。
竜の咆哮に勝る程の圧を受けながら、それでも構えられる。
二人の冒険者としての高い実力を窺わせる。
「では、いざ――」
巴が刀の切っ先に纏わせた青く淡い光を二人に向け呟く。
ハクモクレンが鞭を、ギネビアはグローブを装備して鋭い視線を巴と交わした。
巴が不敵に笑い、ハクとギネビアが息ぴったりに頷き合う。
『勝負!!』
両者から気迫とともに再びの開戦の言葉が吐かれ魔術とスキルが一気に放出されていく。
決着も近い、そんな気配がひしひしと周囲に伝わる光景だった。
そしてその頃。
もう一人の真の従者と、暗殺者の間でもその激突に終わりが訪れようとしていた。
1,858
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