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はちじゅうはち*
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シャルルの大きな手が頬に触れる。
あつい、どうしたの、とびっくりされてしまった。
「ノエ、先にシャワーでも浴びてきた?」
「シャルもでしょ?石鹸のにおい、する」
「うん、急いでね。でもなんか……湯上りの暑さとは違うような……それになんだかノエ、あまいにおいするような気がする」
サキュバスたちの……なんか違う石鹸でも使ったの、とシャルル。
その瞳はそうであってほしいと言いたげなものだった。
それを遮るように、ソフィは、と訊くと、怜くんがあまりにもこわがるものだから番犬代わりに貸してあげた、という。
おおよそ検討はつく、リアムが離さなかったのもあるのだろう。こども同士仲もいい。
「駄目だった?」
「ううん、いい。確かにレイ、リオをこわがってたし」
「一応怜くんたちにも何かあったら俺もわかると思うし、ソフィが出来ることなんてないけどさ、皆一緒に寝る訳にもいかないから、ソフィくらいはね」
「おれ、シャルとふたりがいい」
「こら」
「あっ、違う、ソフィが嫌なんじゃなくて、皆一緒だとベッド、ぎゅうぎゅうだから……」
だって今日は折角シャルルが一緒に寝ていいと言ったんだから、その機会を邪魔されたくない。それにもう、おれたちは計画を実行してしまっている。
わかってるよ、そう苦笑してシャルルはおれに手を差し出した。
寝ようか、今日は色々あって疲れてるだろうし、と掴んだ手があったかくて、それだけでどきりとしてしまう。
そう思ったのはシャルルもだったようだ、おれをベッドに座らせて、じいと瞳を見る。
「……体調悪いとかはないね?どうしたの、いつもより体温が高い。風邪?熱出た?サキュバスになにかされた?」
「んっ……」
「魔力を使った気配はなかったんだけど……精力ってサキュバスからノエにあげられるようなもの?ていうか精力ってどうなるんだろ、鰻食べるような……いやもっと直接的な……」
「は、っう」
ぶつぶつ呟くシャルルの手が耳に触れた。
その瞬間、びく、と腰が揺れて、自分でも戸惑うほどの甘い声が出てしまった。
シャルルの動きがぴたっと止まって、視線が鋭くなる。
「ッは、あ、っ……ん、う」
「息も上がってきた、何か飲んだ?薬?何をされたの」
「された、んじゃないっ……」
「……?」
「お、おれが、ゆった、のっ……お、おとなになりたいっ、て……ッ」
……なんで、とシャルルは呟いた。ショックを受けたようなかおで。
あれ、間違えた?おれたちの考え、おかしかった、かな?
暫くシャルルはぽかんとしたままで、それから急にはっとしたように、もう一度、何をされたの、と言った。
「されたんじゃないと言っても、ノエひとりじゃこんなにならないでしょ、何したの、何されたの、キス?触られた?くそ、やっぱりついてけばよかった」
「さ、さわ、られたり、なんか……ッは」
「もーやだ……絶対なんかあんじゃん、サキュバス信じた俺が馬鹿だった」
怒ったかおで、おれをシーツで包んだ。
彼女たちには服を脱ぐと聞いた、これでは逆だ、肌で触れることが出来ない。
シーツを剥ごうとするおれの手を止めて、これ解くから動かないで、と言うシャルルの声がこわくて、また躰が震えた。
なんで、こうやったらうれしいって言ってたじゃん、なのにシャルル、怒っちゃったよ、ねえ、なんで、
「ほら教えて、何でこんなことなってんの、わかんないと治せないよ」
「さわっ、たら、治るって……」
「触んないよ、こんなとこで」
「……や、やなら、シャル、が、魔力……くれ、たら、っおれ、お、オンナの躰にも、なれる、よ、」
「……?なんで?」
「おれの、躰、が、いや、……っう、なら、」
「そんなこと言ってないじゃん……」
相手に魔法も薬も通じないなら、坊ちゃんに使いましょう。
彼女たちが出した決断は単純だった。
彼も魔王さまを少なからずだいじに思っているのなら、苦しそうにしてる魔王さまを助けてくれる筈。
その為に魔王さまを発情させてしまいましょう、と出されたものに絶句した。
きっとすぐに解除、治癒、その方法を探すでしょう、その時間を稼ぐ為、これら全てを服用して頂きます、そう指差した先は薬の山。
たらふく飲まされ浴びせられ、解除される前に頑張ってモノにするんですよ、そう笑ってこの部屋まで連れてこられたのだった。
「俺はそのまんまのノエがいいよ、違う姿になんかなったらもう魔力もあげないからね、わかる?そんなこと言ったら怒るよ」
「うう……ならない、ならないっ、からあ……」
シャルルの手を取って、頬に寄せた。
そのくらいの刺激でもまた腰が揺れてしまう。
あ、だめ、だめだ、頭が溶けてしまいそうになる。
「さわ、ってほし……」
「ノエ」
「いや?おれじゃだめ?す、すきじゃなくなっちゃう?まだだめ?ずっとだめ?お、おれ、じゃ、もっと近くには、入らせてくれない……?」
「まだ早いよ、ノエには」
「いやだ……いま、今して、おとな、に、なったら」
「ノエ」
「……他のひとに、っ、おとな、にして、貰ってからの方がいい……?」
それわかって言ってんの、とまた冷たい声。
やだな、その声、こわくてきらい、耳を覆ってしまいたくなる。シャルルの声は、すきな筈なのに。
その手を止め、そんなことしたら赦さないから、と耳元で言うものだから、そんな、そんなつもり、なかったのに。
薬のせいだ、そのシャルルの声だけで、下半身はどろどろになってしまった。
あつい、どうしたの、とびっくりされてしまった。
「ノエ、先にシャワーでも浴びてきた?」
「シャルもでしょ?石鹸のにおい、する」
「うん、急いでね。でもなんか……湯上りの暑さとは違うような……それになんだかノエ、あまいにおいするような気がする」
サキュバスたちの……なんか違う石鹸でも使ったの、とシャルル。
その瞳はそうであってほしいと言いたげなものだった。
それを遮るように、ソフィは、と訊くと、怜くんがあまりにもこわがるものだから番犬代わりに貸してあげた、という。
おおよそ検討はつく、リアムが離さなかったのもあるのだろう。こども同士仲もいい。
「駄目だった?」
「ううん、いい。確かにレイ、リオをこわがってたし」
「一応怜くんたちにも何かあったら俺もわかると思うし、ソフィが出来ることなんてないけどさ、皆一緒に寝る訳にもいかないから、ソフィくらいはね」
「おれ、シャルとふたりがいい」
「こら」
「あっ、違う、ソフィが嫌なんじゃなくて、皆一緒だとベッド、ぎゅうぎゅうだから……」
だって今日は折角シャルルが一緒に寝ていいと言ったんだから、その機会を邪魔されたくない。それにもう、おれたちは計画を実行してしまっている。
わかってるよ、そう苦笑してシャルルはおれに手を差し出した。
寝ようか、今日は色々あって疲れてるだろうし、と掴んだ手があったかくて、それだけでどきりとしてしまう。
そう思ったのはシャルルもだったようだ、おれをベッドに座らせて、じいと瞳を見る。
「……体調悪いとかはないね?どうしたの、いつもより体温が高い。風邪?熱出た?サキュバスになにかされた?」
「んっ……」
「魔力を使った気配はなかったんだけど……精力ってサキュバスからノエにあげられるようなもの?ていうか精力ってどうなるんだろ、鰻食べるような……いやもっと直接的な……」
「は、っう」
ぶつぶつ呟くシャルルの手が耳に触れた。
その瞬間、びく、と腰が揺れて、自分でも戸惑うほどの甘い声が出てしまった。
シャルルの動きがぴたっと止まって、視線が鋭くなる。
「ッは、あ、っ……ん、う」
「息も上がってきた、何か飲んだ?薬?何をされたの」
「された、んじゃないっ……」
「……?」
「お、おれが、ゆった、のっ……お、おとなになりたいっ、て……ッ」
……なんで、とシャルルは呟いた。ショックを受けたようなかおで。
あれ、間違えた?おれたちの考え、おかしかった、かな?
暫くシャルルはぽかんとしたままで、それから急にはっとしたように、もう一度、何をされたの、と言った。
「されたんじゃないと言っても、ノエひとりじゃこんなにならないでしょ、何したの、何されたの、キス?触られた?くそ、やっぱりついてけばよかった」
「さ、さわ、られたり、なんか……ッは」
「もーやだ……絶対なんかあんじゃん、サキュバス信じた俺が馬鹿だった」
怒ったかおで、おれをシーツで包んだ。
彼女たちには服を脱ぐと聞いた、これでは逆だ、肌で触れることが出来ない。
シーツを剥ごうとするおれの手を止めて、これ解くから動かないで、と言うシャルルの声がこわくて、また躰が震えた。
なんで、こうやったらうれしいって言ってたじゃん、なのにシャルル、怒っちゃったよ、ねえ、なんで、
「ほら教えて、何でこんなことなってんの、わかんないと治せないよ」
「さわっ、たら、治るって……」
「触んないよ、こんなとこで」
「……や、やなら、シャル、が、魔力……くれ、たら、っおれ、お、オンナの躰にも、なれる、よ、」
「……?なんで?」
「おれの、躰、が、いや、……っう、なら、」
「そんなこと言ってないじゃん……」
相手に魔法も薬も通じないなら、坊ちゃんに使いましょう。
彼女たちが出した決断は単純だった。
彼も魔王さまを少なからずだいじに思っているのなら、苦しそうにしてる魔王さまを助けてくれる筈。
その為に魔王さまを発情させてしまいましょう、と出されたものに絶句した。
きっとすぐに解除、治癒、その方法を探すでしょう、その時間を稼ぐ為、これら全てを服用して頂きます、そう指差した先は薬の山。
たらふく飲まされ浴びせられ、解除される前に頑張ってモノにするんですよ、そう笑ってこの部屋まで連れてこられたのだった。
「俺はそのまんまのノエがいいよ、違う姿になんかなったらもう魔力もあげないからね、わかる?そんなこと言ったら怒るよ」
「うう……ならない、ならないっ、からあ……」
シャルルの手を取って、頬に寄せた。
そのくらいの刺激でもまた腰が揺れてしまう。
あ、だめ、だめだ、頭が溶けてしまいそうになる。
「さわ、ってほし……」
「ノエ」
「いや?おれじゃだめ?す、すきじゃなくなっちゃう?まだだめ?ずっとだめ?お、おれ、じゃ、もっと近くには、入らせてくれない……?」
「まだ早いよ、ノエには」
「いやだ……いま、今して、おとな、に、なったら」
「ノエ」
「……他のひとに、っ、おとな、にして、貰ってからの方がいい……?」
それわかって言ってんの、とまた冷たい声。
やだな、その声、こわくてきらい、耳を覆ってしまいたくなる。シャルルの声は、すきな筈なのに。
その手を止め、そんなことしたら赦さないから、と耳元で言うものだから、そんな、そんなつもり、なかったのに。
薬のせいだ、そのシャルルの声だけで、下半身はどろどろになってしまった。
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