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――月が、綺麗ですね。 ―――いつかあの世で返事を聞かせてほしい。 臨終の床にある彼女の言葉に、私は何も返事をすることができなかった。 だって、私は、彼女の思いに答える資格もない器械(おもちゃ)だから。 魂なんてなくて、 死んだ後は、無になるのだから―― そして、彼女を失い、自棄になった私を救った大切な親友。 その命すらも、消えようとする時、 脳裏に浮かんだのはかつての彼の言葉。 ――願いを確実に叶えてもらう。神様への願いの伝え方が存在しているんだって。 ごめんなさい。私は、あなたたちから受けた愛を、仇で返します――。 *********************** 「約束しましょう、柾。私は、何があっても必ず、彼女の傍にいます」 親友と交わしたその約束は、 ロボットである私には、簡単に果たせるはずのものだったのに――。 人間の女の子とロボットのウサギ。 結ばれるはずのない、切ない恋。 そして、神主の彼との大切な友情。 みんなを奪っていこうとする残酷なこの世界に、神様なんていないのか。
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文字数 106,387 最終更新日 2024.03.27 登録日 2024.03.11
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