【完結】最後の勇者と元魔王さまはこの世界を知り得るか

鯖猫ちかこ

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 硬く尖った胸元に触れるだけでお湯が揺れる。
 俯きがちになるノエの顎を掬ってこちらを向かせた。折角だしかわいいかおはずっと見てたい。

「は、んん、あ、そこ、ばっかじゃっ……」
「ん、どこがいい?」
「くち、口、もっ……」

 どうやらまだキスが足りないようだ。
 ノエが段々と我慢がきかなくなって、足を広げて閉じてを繰り返してきて、この態勢ではきつくなってきた。
 でもこの横向きが気に入ってしまった俺は、ノエを抱えて膝の上にその横のまま乗せる。
 かわいいかおも近くなって、ノエも足を浴槽の縁に掛けたりと少し自由になった。
 またもノエから唇を重ねてくるけれど、すぐに離されるのはもうわかっている。
 だからノエの後頭部を押さえて、離れられないようにした。
 そんなことをされると思ってなかったんだろうな、ノエは一度、びくりと震えたけれど、それを受け入れて瞳を細めた。

 俺の舌を迎え入れて、ちろ、と薄い舌が遠慮がちに動く。
 ん、ん、と声と息を漏らして、一生懸命ついてこようとする姿がかわいい。
 うっとりとした表情で、逃げずに気持ち良い、をちゃんと受け止めるノエがかわいい。

「っは、ぁ……」

 唇が離れる頃にはもうとろとろ溶けたノエが出来上がっていた。
 間近で見る整ったかおのノエも、少し離れて見る色っぽいノエもどちらも胸がきゅうとなる。
 相変わらず口元を汚すのが上手いノエのその口周りをそのまま指で拭った。

「気持ちいいねえ」
「ん、きもちい……」
「キスも触るのもどっちも気持ちい?」
「んあ、っ、う、あう……ん、っ、どっち、も、きもちい」

 おうむ返しのように繰り返すことで、もう考えることも上手く出来ないんだろうな、とわかった。
 そりゃあそうだ、こんなに蕩けてしまっては思考なんて纏まらないだろう。
 思ったことを口にするだけ。正直なノエがより素直になってしまう。

「ッあ、はぅ……あ、あし、」
「うん、足も気持ちいい?」
「わ、かんな、っ」

 足を開かせて、内ももに触れる。
 湯の中だとそこの反応はあまり良くない気がした。
 そこら辺の愛撫は諦めて早々にノエ自身に触れると、あ!と流石に良い反応。
 俺の肩に回された腕に力が入った。

「やっぱここがいちばんかあ」
「んっ、や、う」
「足閉じないで」

 ノエの足を持ち上げて浴槽に足を掛けさせた。
 そのせいで不安定になる躰を押さえてやりつつ、お湯の中、ゆるゆると指を動かした。
 高く甘い声が響く。それに興奮してしまう。
 大丈夫、防音魔法はちゃんと使ってあるから、思う存分声を出してほしい。かわいい声をもっと。

「あ、や、だ、だめっ」
「なんで?痛い?」
「ちが、や、う、も、汚しちゃ……っあう」
「いいよ、他に誰か入る訳でもなし」
「やだあっ」

 先端に触れる度、先走りで既にぬるぬるしてるのはわかる。だから今更、とは思うんだけど。
 いやいやと首を横に振るノエに、嫌がらせをしたい訳ではないしなあ、と考えながらも手を止めることは出来なかった。
 別に羞恥プレイがすきな訳でもない。恥ずかしがってる姿は正直興奮するけれど。
 でもほら、嫌がられることばかりして、この行為に悪い印象を持たれるのも困る。ノエにはちゃんと気持ち良いことばかり覚えてて貰わなきゃ。

「あ、やあ、やだ、出る、出ちゃ、やだあ」
「んー、じゃあ外に出そっか」
「え、あ……?っあ!」

 困惑するノエを抱えて浴槽の縁に座らせ、そのままにゅぐにゅぐと指と手のひらを動かす。お湯の中より触ってる感あるなあ。
 急にそんなことをされて、考えがついていけない様子のノエは、びくびく躰を震わせながら、やだ、とまだ呟く。

「こ、こわ、い」
「大丈夫、ノエがひっくり返らないよう俺が支えてるから出していいよ、お湯の中じゃなければいいんでしょ?」 
「ぅあ……あ、っん、や、ぬるぬるするう……」
「ノエの出したものでね」
「むり、も、や、出う……」
「気持ちいいね、いいよ、ほら、いつでも」
「あっ、あ、あう、つよ、あ、」

 触っているだけだと、観察する余裕がある。
 ノエが高まっていくにつれ、大きな瞳に涙の膜が張って零れそうになり、胸の突起は尖ったまま震え、我慢をしているのか肩や足に力が入って、唇はぐっと結ばれたり薄く開いたりを繰り返して、爪先はぎゅうと丸まったまま。
 ここまで来ると俺を見る余裕なんてないようで、しげしげと見る俺に文句は飛んでこない。
 気持ちいいね、いつでもいいよ、イって。

「っあ、あ、やっ、も……あッう、うう、」
「我慢しなくていんだよ、あ、また口でしたげようか」
「い、いや」
「嫌?」

 恥ずかしいのかな、と思っていると、まずいからいや、と返ってきた。
 成程、気持ち良いよりその後のキスの方がだいじらしい。
 そんなのどうにでもなるのに、ときゅんとしてしまった。

「そう、じゃあ口ではまた今度ね、今は先に出しちゃおっか」
「んうう……!」

 華奢な背中を自分の躰で支えながら、肩越しにノエに触れた手を早くした。
 びくびく震えるノエを全身で感じる。
 もう少し、ということがわかるから、ごくんと喉を鳴らしてしまった。
 自分への刺激がなくても、ノエを見てるだけで楽しい。
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